綾部・四方邸での新緑祭の翌日は丹波富士といわれる秀峰、弥仙山を目指した。失われた昔の回峰行の道を辿りバリエーションルートに入った。
蓮ヶ峰山頂標識
No.2936 平成21年5月17日(日)
48期 山本浩史
綾部・四方邸での新緑祭の翌日は丹波富士といわれる秀峰、弥仙山を目指した。失われた昔の回峰行の道を辿りバリエーションルートに入った。
【行 程】 △綾部・四方邸7:00=水分神社登山口7:22-25=施福寺7:40~上杉三角点8:16~蓮ヶ峰8:58~P551 10:38~改心の道分岐10:50~弥仙山11:29~弥仙山三角点12:12~水分神社登山口13:00=(自転車)=施福寺13:40-45=あやべ温泉仁王の湯14:34-15:40=丹波IC=(京都縦貫道)=篠IC=京都駅17:30=桂18:00
【参 加 者】 加藤L、戸田、TC山本 計3名
【登山データ】 歩行11.1㎞ 5時間12分 延登高 921m 延下降 896m 2座登頂 雨
2日目参加者は鯖街道出場組とその応援組、岩組に分散し、前日の三嶽から引き続いては加藤LとTCのみ。2日目は戸田さんがJOINし、やっと3名、実力派のメンバーでバリエーションを予定通り完走できそうだ。朝から予報通りの雨、しとしと雨なのでまあ良しとしよう。後発組に見送られ山本車で出発、綾部市於与岐町の水分神社を目指した。
当初車2台で登山口・下山口を繋ごうしていたが1台になってしまったので、奥の手の自転車を使い馬蹄形縦走を敢行した。そう昨年10月四方邸落成記念の関西百名山山行の帰りに立寄った温泉“スプリング日吉”の福引で当たり、TCの物とさせて頂いたあの折畳み自転車です。(※関西百名山の泊山行で自転車代1万円を還元することにしており、室生火山群で5,000円還元しました。まだ半分残っているので次回の泊山行をお楽しみに!)
水分神社登山口に自転車をデポし、綾部市上杉町の施福寺へと向かった。路肩に駐車しお寺の石段のすぐ右の山道を登りだした。ミッション1「施福寺から3等三角点『上杉』への登山ルートの書き込み」はすでに始まっている。暫く行くと送電巡視路の赤い「火の用心」の標識に従い左手に分け入る。
目的の三角点の傍には送電線が通っているので巡視路があることは確実だ。一旦送電線をくぐると目的地が深い谷の向こうに見えている。尾根の繋がりが見えず本当に行けるのかと心配になる。踏み跡は2.5万図の尾根通しに左回りに円弧を描くように進んだ。左側が開けた山肌をトラバースし送電鉄塔に達すると先ほどの送電線が谷を越えて歩いてきた尾根を跨いでいる。
さて問題の三角点は西南西に20mほど入ったところにある。ヤブに突入すると踏み跡があり、すぐにきれいな点標を発見した。雨が降っているので地図への書き込みは後にして鉄塔に引き返した。稜線を進もうとすると、巡視路は送電線に沿って北に下って行って方向違い。稜線は踏み跡も定かではないようだ。進路をコンパスで定め、密ヤブではないのが幸いで、ヤブの薄い所を選び蓮ヶ峰に到る尾根を進む。樹林帯で展望は全くなくルートファインディングは読図だけが頼り。地形の変化をチェックしながら進む。標高差はそれほどなく蓮ヶ峰(はちがみね・544m)に達する。山頂展望はないが山頂標識だけはしっかり立っていた。
さらに東へと有るか無しかの踏跡を進む。2.5万図の於与岐町から北斜面を登ってくる点線道は微かに踏跡が付いている。次のピークは2等三角点「東八田村」(596m)、これも綺麗な状態で頭を出していた。踏跡の殆どない状態はこの先も続き睦合町へ下る2.5万図の点線道も定かではなかった。進路は徐々に北に振りだす。ミッション2:「P551の位置特定」は顕著な標高差がないピークで注意深く見極める必要がある。小さな隆起を繰り返す北東端をそれと特定した。
この先の地形は複雑で覚悟を決めて掛かるが次のピークとの鞍部で弥仙山「改心の道」が合流した。良く整備された登山道で弥仙山へ2.4キロの道標がある。緊張感のあるルートファインディングもここまでで後は道なりに行けばたどり着ける。最初のピークは西側を巻き、571mピークで綾部・舞鶴市境の尾根に乗る。顕著な方向変換を繰り返し4等三角点「於与岐町」(576m)のピークに達する。流石に整備された登山道は歩きやすい。先頭を行く加藤リーダーは下りになると小走りになり益々行程が捗った。
改心の道は弥仙山の東を巻いて通過するので分岐点(標識あり)から200mほどで弥仙山(664m)山頂に達する。山頂には金峯神社があり山岳信仰の中心地として訪れる人が多いようだ。鳥居の方向が少し開けただけで展望はあまり良くない。雨は相変わらず小降りだが風が強い。昼食を取るのに風の防げる神社の壁に沿った軒下を借りる。雨のためゆっくり休んだのはここが初めてだった。
分岐点に戻り水分神社への下山路へと進む。赤土の登山道は雨で滑りやすい。そして最後のミッションは、「3等三角点『弥仙山』(599m)へのルートファインディング」で北に続く稜線上にある。下山路は稜線から分岐し谷筋へと下って行くので、まずは分岐の見極めが重要、それらしいところがあったがもう少し進んでみると踏み跡らしきものが見え入って行く。すぐに踏み跡は途切れ、またヤブ漕ぎが始まった。90°のターンを3回繰り返し目的の点標を発見した。訪れる人も無く、荒らされずきれいなままの姿で頭を出していた。
分岐に引き返すと後は下るだけ、途中に於成神社がある。無人ながら祠ではなく結構規模の大きな神社だ。やがて林道に出て登山道は終了、少し下ると水分神社があり自転車のデポ点に到着した。自転車は1台、TCが施福寺を目指して車を取りに行った。加藤リーダ-と戸田さんは、じっと待っていると体が冷えると自転車を追って歩くことになった。基本的には下りだが小さな峠越えがあり、しかも上杉町の分岐から2キロ余りは完全な上り坂だ。折畳み自転車6段変速でかなり奥まで頑張ったが勾配が急になり歩いた方が早くなった。神社に自転車を置いて歩いて施福寺に向かった。水分神社の下山口から8.4キロ、徒歩も含めて38分掛かった。
自転車のPick upは後にして二人を迎えに行くと下山口から3.8キロも歩いていた。自転車を回収し再び施福寺の前を通り、峠を越え昨日カルチャーチームが行った上林の和紙の里の近くで府道1号線に出て、更に奥にあるあやべ温泉仁王の湯に立ち寄った。露天風呂もあり入浴料500円はお値打ちだった。 《山紀行677》
【感想】 49期 戸田 和樹
読図と藪漕ぎを楽しませていただきありがとうございました。
最近はほとんど室内でのクライミングばかりだったので、新鮮なきもちで読図と藪山を楽しむことが出来ました。前日に地形図を買いに行き、コンパス、ツエルト、断熱マット、コンロ、等など、準備万端のつもりでした。ところが、施福寺出発の時にコンパスが見つからず、実にがっかりしました。(帰宅後、妻に話すと「山屋として失格ではございませんか。」ときついお言葉を頂戴しました。)
気を取り直して、5センチほどの折れた定規を持ち、地形図をナイロン袋に入れて出発しました。時々方角は加藤一さんに聞きながら、真剣に読図に取り組むことが出来ました。国体山岳から踏査競技がなくなって8年、本当に久しぶりに気合の入った読図でした。しかも結構距離も長くて充分満足させていただきました。藪山のほうは、前進を妨げられるような濃い藪山でもなく、嫌気の差さない程度の刺激を与えてくれました。
しかし藪から登山道に出る直前は、地図を眺めて、この先結構難しいなと思っていましたので、正直ほっとしました。登山道に出ると、今度は加藤一子さんのスピードについていくために頑張らなければなりませんでした。この時は、牧荷ポイントを稼ごうとして20kgにしなくて良かったと感じました。最後に、計画立案していただいた山本浩さんに感謝、そして加藤一さんありがとうございました。
【感想】 22期 加藤 一子
夜中に降っていた雨が、朝目覚めるとほとんど止んでいたので、ホッとした。うどんとおにぎりの美味しい朝食を頂き、みんなに見送って貰い、四方邸を後にした。しかし、一瞬の糠喜びか、また、しとしと雨が降ってきた。車から降りて歩き始めようとして、戸田さんが、コンパスを忘れて来た事に気付かれた。「私はいらないから、お貸しします。」と、危うく口に出そうになったけれど、TCに怒られそうなので、黙って先頭を歩かせて頂いた。
藪で道がハッキリしない所で、しばしば、二番手の戸田さんに、「方角はどうなっている?」と声を掛けられ、コンパスを出してみる。「東の方へ。」と言われ、「ハイ。」と答える。ずっとこんな調子で、戸田さんとTC、二人の先生に付き添われ、雨の中藪と大奮闘したのだった。
弥仙山の近く迄来ると、ハイウェイの様な立派な道が現れ、此までの苦労が、嘘のようにスイスイと歩けた。地図上の距離感、ハイウェイと藪では随分違うものだと実感した。TCが自転車で先に車を取りに行ってくれている間、我々も歩いて後を追った。今日歩いてきた山の方を見ながら、「たぶん、二度とこのコースは歩かないと思う。」と戸田さんがおっしゃった。うーん、私もたぶん。良い思い出になりました。
登山口の施福寺
弥仙山山頂金峯神社にて