梅雨の時季にしか咲かないキタダケソウを求めて雨覚悟の山行でしたが、天気に恵まれ世界にここしかない花にめぐり合えました。又、各小屋の協力で登山ルートの情報が得られ、予定の白峰三山縦走ができました。
農鳥岳からの下り
[No.2944]2009年7月1日(水)~5日(日)
「RDBの会」第10回植生観察
48期 葛城美知子
梅雨の時季にしか咲かないキタダケソウを求めて雨覚悟の山行でしたが、天気に恵まれ世界にここしかない花にめぐり合えました。又、各小屋の協力で登山ルートの情報が得られ、予定の白峰三山縦走ができました。
【参加者】CL山本憲彦 SL西田和美,寺石實、小西春代、四方宗和、辻野喜信、葛城美知子 計7名 (会員外)谷由美子、國岡美千子 計2名 合計9名
《1日目・2日目》7月1日(水)・2日(木)
【天候】雨のち曇のち晴れ
【行程】京都駅1日23:03=(高速バス)=2日6:43甲府駅南口=(タクシー)=8:35広河原9:00~9:40分岐(白根・大樺沢)~13:00白根御池小屋
【記録】京都駅八条口に集合、夜行の近鉄高速バスクリスタルライナーで甲府へ向かう。翌朝、甲府に着きジャンボタクシーで広河原に入る。
雨が降っていたので「アルペンプラザ広河原」休憩所で準備して出発する。南アルプス林道のゲートをくぐると北岳方面の大樺沢雪渓が見え、「南アルプス北部案内板」から降り、野呂川に架かる吊橋を渡ると広河原山荘の前に出た。樹林帯の道を行くと、広場がありクリンソウが咲いていた。大樺沢との分岐で白根御池へ向かうと登山道が急登になるが、新緑は綺麗だし、斜面には花が多数見られるので観察しながらゆっくり登る。
今日は白根御池まで、30分から1時間に1回休憩して花の名前を調べる。開けた所から雪渓が縦模様の池山吊尾根が見え、少し登ると標識に「急登ここまで」「白根御池小屋まで30分」と書かれていたので、最後の休憩を取る。
午後1時に白根御池小屋に着き、ベンチで休憩していると山小屋のスタッフが熱いお茶とお湯をポットで持ってきてくれた。各自くつろいだ後、散策に出かける。天気が快復して晴れ間が見え、白根御池に吊尾根が映り夕方には北岳が見えた。東には、鳳凰三山の白い岩稜が見え展望を楽しむ事ができた。
新しくなった白根御池小屋は快適で、私たちは2部屋頂く。後は東京からのツアー客で、この時季は空いてゆっくり出来ます。夏には見られない、雪解けにしか咲かない花、咲き始めの花はどれも可愛い。5時夕食、8時消灯で明日に備える。
【今日見た花】
クリンソウ・モミジバカラマツ・ゴゼンタチバナ・マイズルソウ・ヒメイチゲ・イチヨウラン・キソチドリ・ギンリョウソウ・ミドリユキザサ・タカネグンナイフウロ・ズダヤクシュ・キタダケタンポポ・ミヤマクワガタ・サンカヨウ・ニリンソウ・バイカウツギ・ニシキウツギ・ムシカリ・ミネザクラ・オガラバナ・ウラジロナナカマド・オオヒョウタンボク
【今日見た鳥】
キセキレイの番 小屋に巣を作り餌を運ぶ
《3日目》3日(金)
【天候】晴れ時々曇のち雨 夕方から大雨
【行程】白根御池小屋5:57~8:35小太郎尾根分岐点~9:30北岳肩ノ小屋9:50~10:50北岳(3.192m)11:30~11:46吊尾根分岐~(八本歯ノコル分岐までキタダケソウの観察)~吊尾根分岐12:45~13:40北岳山荘
【記録】
4時起床、5時朝食で6時前に出発する。白根御池の横から草スベリの急登が始まるが、キバナノコマノツメが一面に咲いているので観察しながらゆっくり歩く。1時間で小休憩後、登り出すとポツポツといろんな種類の花が見られ、曲がったダケカンバの間から北岳が見えた。直ぐに小太郎尾根が見え、シナノキンバイの群生地で休憩する。まだ咲き初めで蕾が多く、二俣との合流点辺りまで群生している。
小太郎尾根の下は雪渓を歩き、尾根に出ると大きな仙丈ヶ岳が姿を見せた。ここからは稜線の花に変わりキバナシャクナゲが谷を埋める。甲斐駒ヶ岳の山頂も見え、展望と花の両方を楽しみながらの稜線歩きで肩ノ小屋へ向かう。咲きはじめのハクサンイチゲ・オヤマノエンドウ・ミヤマキンバイの色とりどりの花畑が綺麗です。
肩ノ小屋で20分休憩後、岩場の急坂を登ると両俣分岐に出た。ここから山頂まで20分の標識、最後の登りで北岳山頂に着く。先程まで晴れていたが、山頂はガスで展望が無く寒い。北岳の三等三角点には「白根岳」と書かれていた。
大休憩で昼食をとり、歩きはじめると大きな雪渓のある間ノ岳・農鳥岳、下に北岳山荘と縦走路が見えた。富士山も姿を現し、皆で喜ぶ。吊尾根分岐でザックをデポして、八本歯ノコル分岐までのキタダケソウ群生地へ降る。咲いていました、お目当てのキタダケソウ。嬉しくて、どんどん降っていくとチシマアマナ・変種の緑がかったハクサンイチゲ等も見られた。八本歯ノコル分岐で見ると、トラバース道は途中に通行止めの柵がありました。(事前に確認済み)ここからは八本歯ノコルの梯子や池山吊尾根に続く道がよく見えます。間ノ岳をバックに咲くキタダケソウは本当に素晴らしかった。花は2cm位で小さいですが、花弁の後の額が白く、合わさって沢山の花びらのように見えます。葉に特徴があり、見るとハクサンイチゲとの違いが分りますが間違う人が多いそうです。
1時間キタダケソウを観察して、吊尾根分岐に戻り北岳山荘へ降る。途中から稜線下の道を歩く。この道でシロウマオオギ・ミネズオウが見られた。午後1時40分に北岳山荘に着く。山荘の前は雪が多く、小屋明けの準備を始めたところのようです。時間は早いですが、外は寒いので部屋で寛いでいると雨が降り始めた。
5時の食事まで女性5人は、玄関横のストーブを囲み、登山ルートの情報を得ようと入ってくる登山者にたずねるが、農鳥岳からの人は誰もいなかった。リーダーが小屋の人に頼み、いろんな方面からの情報を貰い、夕食の頃に明日縦走できる事が分る。夜は土砂降り、古い小屋は寒かった。
【今日見た花】白根御池~小太郎尾根
シコタンハコベ・キバナシャクナゲ・サンカヨウ・シナノキンバイ・ハクサンチドリ・ヨツバシオガマ・モミジカラマツ・ミヤマハタザオ・ミネザクラ・コイワカガミ
小太郎尾根~北岳山荘
キバナシャクナゲ・ミヤマキンバイ・イワウメ・ウラシマツツジ・ハクサンイチゲ・イワベンケイ・レンゲイワヤナギ・キタダケヨモギ(蕾)・クモマナズナ・チョウノスケソウ・チシマアマナ・キタダケソウ・コイワカガミ・シロウマオオギ・ミネズオウ
《4日目》4日(土)
【天候】小雨のち曇時々晴れ
【行程】北岳山荘5:38~6:30中白根山(3.055m)6:40~8:04間ノ岳(3.189m)8:22~9:45農鳥小屋10:15~11:20西農鳥岳(3.050m)11:30~12:27農鳥岳(3.025m)12:45~13:50大門沢下降点13:57~
1班 四方 16:30大門沢小屋
2版 小西、西田、葛城、谷、國岡
17:50大門沢小屋
3班 寺石、辻野、山本
18:00大門沢小屋
【記録】
4時起床、5時朝食。小雨だが寒いのでレインスーツを着て5時半頃出発する。登りはじめると直ぐに雨は止み、50分程で中白根山山頂に着き休憩する。
雲海に中央アルプスが浮び、目の前に大きな間ノ岳が見える。花は少なく咲き始めのハクサンイチゲが目立つ。中白根山を降り始めると、後に傘雲の北岳山頂が見えた。間ノ岳の東斜面の雪渓は大きく、振り返ると北岳を真中に、左に甲斐駒ヶ岳、右に鳳凰三山、今日も曇だが近くは良く見える。
7時30分に2回目の休憩をするが寒いのですぐに歩き始める。30分程で間ノ岳に着く。間ノ岳には三等三角点「相ノ岳」がある。日本で4番目に高い山なので、展望は無いが休憩する。間ノ岳から20分程降るとガスが切れ、下に農鳥小屋が見え二重山稜が良く分る。ガレキの道をペンキマークを拾いながら歩くと、後に青空が見えてきた。三国平分岐を通り農鳥小屋に着く。
大休憩で昼食を頂く。農鳥小屋は、まだ宿泊客が無いとの事で一人で小屋番をしながら登山道の整備をされている。気さくな方で、農鳥岳の登山ルート情報を丁寧に説明してくれた。西農鳥岳への登り始めは、お花畑の後に新緑の三国平方面登山道が見える気持ちの良い道です。途中からはハイマツのガレの急登になり、尖った西農鳥岳山頂付近が見える。
広場に農鳥岳・農鳥小屋の標識があった。登山道が90度曲がっているので、ここが西農鳥岳山頂であることが後で分る。ここからなだらかな稜線の上に見えていた標識が農鳥岳で、奥の山は広河内岳でした。農鳥岳山頂に着き標識を見て分りました。
農鳥岳からの降りは、小屋で教えて貰ったように、初めの雪渓は高巻で岩場を登り登山道に降りる。塩見岳が姿を見せ雪渓を5~6回渡り、1時間程で広河内岳との分岐の大門沢下降点に着く。
午後2時前、後のコースタイムを考え小休憩で降り始める。トラブルがあり、四方さんがザック2個持ち先発隊で降りられる。しばらくは8名で歩くが2回目のトラブルで、2班女性5名、3班男性3名で降る。昨日、小西さんが捻挫されていたので、30分に1回休憩を取りながら降り河原に着く。ここからの道は良いと思っていたが、丸木橋が出てきた。一つ目はロープがあったので難なく渡れたが、二つ目は時間がかかる。雪解けの水量は凄い。大門沢小屋の標識があり、ホッとしながらも安全第一と考え、着く時間は考えずにゆっくり歩く。
下に大門沢小屋の屋根が見えた時は嬉しくなりました。着いたのは午後5時50分で、四方さんに応援を頼むが、3班は10分違いで降りてこられた。小屋に遅くなり迷惑かけたので、直ぐに夕食を取っていると、富士山が見えるとソロの男性が教えてくれた。小屋は貸切で、後は男性1名だけでした。朝から行動時間12時間の長い一日になりましたが、全員無事で良かった。
【今日見た花】稜線は少ない
大門沢小屋付近
【今日見た鳥】稜線
《5日目》5日(日)
【天候】晴れ
【行程】大門沢小屋5:40~8:30小コモ リ沢8:40~9:30林道出合~10:35奈良田~10:50奈良田温泉「奈良田の里温泉」(入浴・昼食)
奈良田13:30=(バス)=14:59身延駅16:37-(ワイドビューふじかわ)-17:59静岡駅18:12-(ひかり)-19:48京都駅 京都駅で解散
【記録】
4時起床、5時朝食で5時40分に出発する。出発前に、小屋の主人からホームページに載せるとの事で写真を撮ってもらう。今日も沢沿いの道を歩くが、男性が一緒だと心強い。広い樹林帯の道ではキノコの観察をしながら歩く。大コモリ沢の丸木橋を渡り、大きな岩の横を通ると小コモリ沢に着く。最後の丸木橋は新しいが少し斜めになっていた。皆の協力で渡りきり、3回目の休憩を取る。ここは広河内と小コモリ沢の合流点でケショウヤナギが綺麗です。
早川水系発電所取水口にある一つ目の吊橋を渡ると樹林帯に入る。鳴く声に、蝉、蛙の意見が出る。木に蝉の抜け殻が沢山あったので春蝉かな?二つ目の吊橋は何故か「一人づつ渡ってください」の案内板がありました。三つ目の吊橋の手前で休憩する。そこから10分程で林道に出ると、登山道の標識がありました。
林道を歩き奈良田発電所横の広河内橋を渡っていると、ヘリが下りてくるのが見えた。着陸しないで、又飛んでいったが荷揚げのヘリなのか?
奈良田に着き、町営の温泉「奈良田の里温泉」で温泉と昼食を楽しむ。後の公共機関も、サブリーダーがきっちり手配されていたので、のんびり帰ることが出来ました。
【今日見た花】
2日目と同じなので追加のみ
ヤブウツギ・ホタルブクロ・ホソバキリンソウ・タマアジサイ・ツリブネソウ・キツリブネソウ
【感想】 國岡美千子
キタダケソウを見ることは、長年の念願でした。4月にドカ雪が降り残雪が多く、縦走が無理かもしれないが、キタダケソウは満開という情報で、楽しみに出かけました。
【1日目:甲府-広河原 -白根御池小屋】 7/2(木)
広河原から歩き始めると林道にバイカウツギが数本咲いていて、とてもきれいだった。登山道を少し登るとクリンソウも一群れ咲いて、思いがけないお花に出会えてびっくり。大樺沢分岐を過ぎると樹林帯の急登が続いたが、樹林帯のお花を楽しんでいるうちに小屋に到着。マイズルソウ、ゴゼンタチバナがたくさん咲いており、ニシキウツギ、サラサドウダン、グンナイフウロも見ることができた。
御池小屋には13時に到着。小屋は建て替えられとてもきれいで、快適な小屋。途中から雨が上がり薄日も射し、鳳凰三山の山並みや池山尾根から八本歯のコルが良く見えた。時間があるので、周辺を散策。キンポウゲ、ニリンソウ、ツマトリソウ、サンカヨウ等が咲いていた。
【2日目:白根御池小屋-北岳--キタダケソウ群生地-北岳山荘(泊)】 7/3(金)
今回の山行の目的・キタダケソウを見ることを楽しみに、北岳に向かった。先ずは小太郎尾根までの草スベリの急登。登り始めはニリンソウ、キンポウゲ、しばらくすると黄色のスミレが出てきた。キバナコマノツメで、本当にたくさん咲いていた。上の方はシナノキンバイが多く、斜面一面がお花畑になっていた。サンカヨウ、ハクサンチドリ、ショウジョウバカマ、ミネザクラ、コイワカガミ等のお花も。
稜線に出ると咲いているお花が変わった。オヤマノエンドウ、キヤマキンバイ、キバナシャクナゲ、ハクサニチゲ、イワウメ等のお花畑。今回の山行はキタダケソウを見ることしか頭になく他の花を期待していなかったので、一面のお花畑に感激。キバナシャクナゲはちょうど見ごろで、大門沢に下るまでの稜線一面に咲いていた。こんなにたくさん咲いているのを見るのは初めてで、本当にうれしかった。ハクサンイチゲの白、オヤマノエンドウの紫、ミヤマキンバイの黄色の3色のお花畑がとてもきれいだった。
北岳山頂からは、仙丈岳、間ノ岳方面、遠く中央アルプス、御嶽等も見渡せた。鳳凰三山から甲斐駒が岳はガスがかかり良く見えなかった。北岳からの下りもキバナシャクナゲ、ハクサンイチゲ、ミヤマキンバイ、オヤマノエンドウ等一面のお花畑。
八本歯のコル分岐にリュックをデポし、いよいよキタダケソウの観賞へ。少し下るとすぐにキタダケソウが咲いていた。ハクサンイチゲが斜面一面に咲いているが、その中にキタダケソウが混在して咲いている。似たような花だが、葉はかなり違い、花もハクサニチゲは花弁の先がとがっているが、キタダケソウは丸くやさしい感じで、見慣れると簡単に区別できた。あちこちにまとまって咲いているが、登山道から離れている個所が多く、あまり近くで見れなくて残念。花弁が多い花と少ない花があるので不思議に思ったが、小屋で見たビデオでそのわけがわかった。咲いてから少しするとガクが成長し、このガクが白く花弁のように見えるとのこと。
八本歯のコル~山荘までの巻き道は通行止めという情報なので、キタダケソウをゆっくり見ながら尾根まで引き返した。分岐にチョウノスケソウも2株だが咲いていた。
【3日目:北岳山荘-間ノ岳-農鳥岳-大門沢小屋(泊)】 7/4(土)
夜かなり激しい雨が降り風も強かったが、朝起きると小雨になり日中雨は降らないという予報で、縦走することに決定。白根、間ノ岳、農鳥岳から大門沢の下降点まではかなりアップダウンもあり、長い縦走路だったが、縦走路も昨日と同じ花々のお花畑が続き、とてもきれいだった。
農鳥岳から大門沢下降点の間には雪渓が数か所残っていたが、無事に通過できほっとした。下降点からは広河原から白根御池小屋までと同じ樹林帯のお花に変わったが、かなり急な下りで又時間が遅くなったので、お花を楽しむ余裕がなかった。小屋の天場にはニッコウキスゲがたくさん咲いていた。
【4日目:大大門沢小屋-奈良田 -身延-静岡-大阪】 7/5(日)
奈良田まで下るのみ。何箇所か沢を横切る個所が少し足場が悪かった。最初に白根三山を縦走した時には吊り橋等しっかりした橋が付いていて、苦労しなかった記憶があるが。。。
念願だったキタダケソウはちょうど見ごろで、梅雨時としては天候に恵まれ、本当に楽しい山行でいた。
【感想】 6期 小西春代
7月3日
北岳山頂よりの下り、もうすぐ、キタダケソウをみられるところの位置で大きな岩を踏み外してしまう。あー、捻挫をしてしっまった。とゆう思いでした。どうしよう。先は長い。後戻りは岩稜の連続。ここは前に進むしかない。北岳荘も近い。頑張って歩こう。でも右足首をかばいながらの歩行はスピードがおち、全員の足を引っ張ってしまった。痛みもひどくなく捻挫でよかった。
7月4日
今日は重いアイゼン、水分、食糧の個人装備を分担してもらい、右足首を鎮痛消炎剤を張りしっかりテーピングして出発。
痛みもなく稜線歩きをなんとかこなす。でも時間がかかりすぎ。西農鳥岳になかなかつくことができずこのままでよいのかと心配。
でも西農鳥を越し農鳥岳についていました。少々心が落ち着く。
大門坂の下り。何としてでもくだらなくては。ところが、右足首をかばって歩いたため昔の古傷の左足膝が痛みだした。
慎重に、慎重に大門坂のガラガラ道を下る。この時点で右足首よりも、左足膝のほうがゆうことをきかなくなってきた。
とりあえず心は大門沢小屋へ、小屋へ。足がヘトヘト状態で小屋に到着。椅子にヘタリこんでしまう。左足で踏みこむことができなくなっている。
7月5日
今日は午前中に奈良田へ着くように頑張らなくては。左足膝にテーピングをバッチリ。でも下りのほうがつらい。
花や景色はどうでもよくなり、歩きやすい道に早く出ることを心待ちしながら進む。右足首の状態が思わしくない。
途中でテーピングをしっかりとする。両足ともすっかり病気。
口数も少なくなり皆がきずかってくれるのがありがたい。
とりあえず時間がかかったが奈良田温泉に着いた。これで歩かなくても家に帰れる。と一安心した。
メンバーの皆様には大変な迷惑と心配をかけてしまいました。ありがとうございました。
7月6日
整形外科受診。右足首骨折。ギブスをはめ1ヶ月間じっとおとなしく。左足膝使い痛み。
今回三千メートルの南アルプスはやめておこうと当初は思っていました。
でも、南は初めて、行程がゆったりしている、世界中でここにしかないキタダケソウが見たい。の思いに駆られて参加しました。しかし、縦走路にはエスケープ道がなっかた。引き返すか前に進むかしかなく、これからはよくよく検討して参加する必要ある。年齢も考えて。
山岳会の皆様にはご心配をおかけし、参加メンバーには長時間かかり、肉体的にも負担をおかけして申し訳ないことをしてしまいました。
これからは、参加できる山を厳選して山行きを続けたいと思います。
今後ともこれに懲りずによろしくお付き合いください。
【感想】 元会員 谷由美子
白峰三山縦走(標高日本第2位、間ノ岳4位、西農鳥岳15位、農鳥岳)まだ梅雨も明けていないのにだいじょうぶかなあ、と思いつつ、この時期にしか咲いていない花々、世界中北岳にしかないキタダケソウとの出会いを楽しみにゆったりとした計画と聞き参加させていただきました。
思っていた通りにこの時期、高山植物も多く、また稜線や崩壊地、それにやせた露岩帯、落石と滑落に注意しながら慎重に一歩一歩足を運ぶのですが、どんなにしんどくても足下の岩の間に小さな花が顔を出しているのを見ると、私まで元気が出ました。
夜中に北岳山荘で大雨と雷、明日からの行程を考えて、ちょっといやな気持ちでしたが、中白峰に近づくにつれ、雨もあがり、時折雲海に浮く富士山を眺めながら間ノ岳、農鳥へ、後は大門沢を下れば、大門沢小屋に着くが、水量の多い枝谷ではあるが、渓谷、巾60cm程のぬれた丸木橋を4,5回渡る。落ちれば流され命はないと思い四つん這いなって、一度は四方氏に荷物を降ろすように言われ、持ってもらい渡ることにした。申し訳ない!ロングコースももう少しで終わりである。小屋に着き遅めの夕食後しめっぽい布団ではあるがぐっすり寝る。
翌日は奈良田温泉に入れることを楽しみに林道を歩いていると、ツリフネソウ一輪発見。しばらく行くとキツリフネソウに出会えた。
今回私は歩きながら覚える高山植物の本を北岳山荘で買い求めたので、家に帰っても思い出しながらチョウノスケソウやキタダケソウともう一度出会えればと願っています。山岳会の皆さん、ありがとうございました。
【感想】 6期 四方宗和
白根三山を歩いて
私にとって南アルプスは縁の薄い山域である。過去45年山歩き(もちろん山から離れていた期間も結構あるが)を振り返ってみると京都、大阪から足場の良い北アルプスに偏っていたきらいがあるので・・・。もちろん東北の山々も北海道の山々も歩けていないが、南アの場合は過去何度か計画したが2度は入山し(白根三山ではない)、2度は入山できていないのである(いずれも北岳周辺)。一度は大学・ワンゲル時代に計画したが「虫垂炎」の発症で私だけ前々日くらいに断念した。2度目は当会の夏山合宿であったが丁度、私はその頃「結核腫」の治療中で山には入らず奈良田温泉までの送り迎えをし奈良田の民宿に5日間ほど滞在してサポートした記憶がある。東北、北海道は計画すらしていないのだからともかく南アは計画をし入山できていないのでやはり縁が薄いといえるだろう。
今回の例会企画は「RDB(絶滅危惧種の植物調査)」、梅雨の真っ只中と云うこともあり参加を躊躇した。しかし深田久弥による「日本100名山」を2つ踏めるのは魅力的である。余談になるが長らく山歩きを趣味とはしてきたが「100名山」は40弱しか踏んでいなかったのである。時間的な余裕が出来た今、何か目安にと思い「100名山歩き」を考えていたところにこの企画がでてきて参加することにした。
今回の参加メンバーは9名(女性5人、男性4人)CLの山本氏、SLの西田さん葛城さんは「北岳草が一輪でも2輪でも見られたら極楽」、山野草にはめっぽう強い非会員の國岡さん(100名山は富士山を除いてすべて登ったとのこと)そして最近山野草観察を始めた人など、私と寺石さん辻野君が少し畑違いの感があったが「同床異夢」のメンバーで広河原をスタートした。
梅雨シーズン、そして出発前の天気予報など楽しい状況ではなかったがこの時期としては天気に恵まれたと言える。雨具が必要であったのは初日2時間ほどと3日目の農鳥への道半日くらいであり、初日の甲斐駒、仙丈の遠望、2日目の富士山など眺望もよくさらに想像していたよりはるかに大きいお花畑と「北岳草」の群生(実はここ1両日が旬であったとのこと)など出発前の考えを大きく変える収穫の大きいものであった。
私個人としては満足の行く山行であったが小西さんの「足首骨折」、寺石さんの疲労による「転倒、頭部打撲」など夫々の体力差が現れた山行でもあり、高山縦走形式の例会のリーダーには少々問題を提起した山行になったと思う。
【感想】 36期 辻野喜信
キタダケソウを観るために、梅雨の時期に北岳に登る人がいる。参加させてもらった。梅雨の雲間からどんな山が見えるのかを楽しみに。
広河原の吊橋から見えたのは大樺沢上部の雪渓か。白根御池小屋からは東に観音岳と薬師岳が見える。地蔵岳はその前の山に隠れている。池山尾根方面の谷にはきれいな雪渓が残っている。夕方には八本歯ノコルから右に北岳が見えた。
草すべりを登るにつれ地蔵岳も見えてくる。小太郎山分岐では仙丈ヶ岳が美しい。大きな2本の沢の上部はカールになっている。ガスが流れ甲斐駒ケ岳が時々頭を出した。北岳肩ノ小屋と仙丈ヶ岳は同じ高さにある。仙塩尾根の北部が見える。仙丈から塩見に歩ける機会があるのだろうか。
北岳の標高を3192mとしてきた国土地理院は04年10月に3193mと改定した。当時標高が1m高くなったと話題になった。06年に標石も新しくなった。
北岳山荘に向かう途中で、間ノ岳から農鳥岳への大きな稜線が見えた。お花畑に着くとなんと富士山まで見えた。
中白根山では中央アルプス方面の展望が開けた。恵那山と越百山・空木岳・木曽駒ヶ岳の稜線が見える。頂上部は雲の中。その奥の乗鞍岳までは無理だった。
間ノ岳から農鳥小屋に下る途中、大きな二重山稜と農鳥岳への稜線が見えた。小屋から少し登ると三国平から熊の平への道が良く見える。
西農鳥岳のピークは踏まなかった。下調べをしていたら踏めたかもしれない。農鳥岳の大町桂月の歌碑が新しくなっていた。達筆で読めない。入会した翌年(94年)の夏合宿で登っている。この時も読めなかった。「酒のみて高根の上にはく息は 散りて下界の雨となるらん」と読むらしい。酒が好きだった桂月は白根三山縦走の翌年(大正25年)に亡くなった。
農鳥岳から大門沢の下降点に下る途中でようやく塩見岳が見えた。この日の最後を飾ったのは大門沢小屋から見えた富士山でした。この時期にこれだけの山が見えたことで大満足でした。日焼け対策を怠ったので、帰って1週間は大変でした。
企画から小屋の予約、バス・電車の手配までしてくださった山本CL,西田SLありがとうございました。
【感想】 2期 寺石 實
リーダーの山本さん.小西さんの誘いもあり小生の年齢では無理かなと思ったが意を決して参加させてもらった.梅雨の真っ只中の山行きであり.天候と体力二つの心配をかかえながらの山行きだぅた。
心配した雨は広河原からの登り30分ほどだけで止んで5日の下山まで天候は我々に味方してくれた。これも全員9名の日頃の精進のお陰だと自画自賛しあった。
今回の目的の一つである高山植物の鑑賞であったが随所にいろいろな高山がさきほこって疲れた我々の目を楽しませてくれた。特に北岳草はタイミングよく見頃で感激した。
リーダーをはじめ花に詳しい人に教えて貰ったが.無粋な小生には右から左に筒抜けでおぼえられない。実に5、60種類の高山植物が咲き誇っていたと思われる。感激・感激。
さて三山縦走では疲れながらも何とかクリアーできたが最後の大門沢の下りで大チョンボしてしまった。もともと右膝にバクダンをかかえ疲れもあって前のめりに転倒.弾みで谷側に4.5回転落ちてしまった。
幸い大した怪我もなかったが.リーダーはじめ四方君.その他のメンバーに迷惑をかけてしまった。8人の山仲間の友情に感謝するしだいです。
おそらく三千メートル級の山行き今回が最後だと思う。貴重な経験有難うございました。
【感想】 40期 西田和美
梅雨の真っただ中、全行程雨具着用も仕方ないと思っていましたが、お天気に恵まれ、スパッツ着用程度で済んだのは大変幸運なことでした。草すべりの急な登りも、次々に姿を見せてくれる可憐な花たちの励ましで、少しもしんどいとは思いませんでした。
北岳では、念願のキタダケソウをほとんど独り占め状態で観察できました。雪解けとともに咲き、登山シーズンには既に種を結んでいる…こんな岩だらけの厳しい場所でしか生きていくことができない小さな花…この先も地球がある限り、ずっとたくましく咲き続けてほしいと心から思いました。
花を楽しんだ分、大門沢の下りは永遠に続くのではないかと思うほど長く、緊張しました。この下りで超アドベンチャーな橋の最も安全な渡り方を私なりに身につけられました。お陰で10日経った今でも膝がアザだらけです。
【感想】 44期 山本憲彦
最近なぜかミステリアスな花としてキタダケソウを見たい人が増えているらしい。
今回はその待望のキタダケソウに会うことだ。いや、会えるだけでもいいのだが、できたらば、咲いていて欲しい。そんな思いで全員が長い深夜の高速バスからタクシーを乗り継いで降り立ったのが広河原。
南アルプスは大きい。これでやっと入り口だ。大樺沢が大雪のために雪山装備が必要とのことで、我々は白根御池に向かう。 梅雨末期でいつ豪雨がきてもおかしくない。けれども、キタダケソウはこの時期でないと会えない。いや、出発の時点で九州では豪雨のニュース。天気には覚悟はしていたものの不安を抱いての出発。白根御池は今年の春の大雪のためかまだかなりの雪が池の上の方に残っている。
そのおかげで、まずは咲いたばかりのサンカヨウ、サンリンソウに会えたのはラッキー。白根御池小屋はまだ新しくホテルのような山小屋だった。
2日目の登りでは、白根御池の上部でキバナノコマノツメの群生を見た。ここは花が多いところだ。北岳にむかってぐんぐん高度を上げていく。
北岳よりも先に広大な雲海の先に富士山が真っ正面で我々を迎えてくれる。そう、二日目も快晴にちかい。信じられない天気だ。いよいよ北岳から下っていくと、北岳山荘が見えてきた。鞍部から八本歯のコルに向かう急な下山路に入るといよいよキタダケソウに会えることになるはずだ。ザックをデポしていく。ガレている。ザレてもいる。
滑りながら降りていくと、あった、100年の恋の相手のように待ちこがれたキタダケソウだ。しかも満開だ!予想していたより株数は多い。
が、キタダケソウはこの辺りにしか咲かないのだ。そう考えると、なんと限られた狭いところに咲いているのだろうか。株数から言うと、1000株もないだろうというレベル。
その清楚さに、なんとかまた会いに来たいキタダケソウだと思った。なんと私は初めてチョウノスケソウにも会った。これにも感動した。
とうとうその夜中じゅう、そして朝方も土砂降りとなった。きっとあのキタダケソウはこのきつい雨で花びらが飛ばされている事だろう。
予定通りに出発する。昨日もたくさんのハクサンイチゲの巨大な群生をみた。こんなに大きいお花畑は北アルプスや中央アルプスなどでは私は見ていない。
間ノ岳、西農鳥岳(頂上直下)、農鳥岳のピークを踏む。大門沢までの下降点で広河内岳への登りの道を見送る。
登山道にほとんど雪はなかったが、一カ所だけ東斜面の雪渓が進路を阻んでいた。
大門沢の下りはきつかった。下りの単調さに閉口するが、苦労しながら、とうとう大門沢小屋に到着。ほっとする。ふと前を見ると富士山が雲海の上にきれいに見えている。
窓の外にはニッコウキスゲも咲いている。
あれほど歩き続けた標高3000mの雲上散歩が何となくなつかしくなる。
上では、標高2800-3000mに咲く初夏の花、ゴゼンタチバナ、マイズルソウ、ツマトリソウ、シナノキンバイ、ミネズオウなどにも会えた。ミネザクラも満開だった。
大門沢の下降は最終日にも延々と続く。途中で3度ほど雪解け水で増水した沢にかかる濡れた丸太橋を渡る。秘密の花園=キタダケソウを見た以上はそうおいそれとは簡単には帰してくれない。私には北岳を盟主とする名峰たちが私たちにその思い出を鮮明にするために仕組んだ関門のように思えた。
奈良田での温泉あがりの生ビールと言い、帰りの新幹線の中でのビールといい、今回は帰りのビールは格別な味がした。
今回は中高年者も参加していたので、現代のほとんどの山岳会の、エスケープ・ルートがないコースを取るときの山行例会の問題点をも解決する方法も意識できた山行だったと思う。ケガや転倒は山行にはつきものだが、特に3000m級での山中3泊以上になると、疲れも出てくるし、とくに下りは注意力が散漫になるので、注意すべきだ。
それにしても、我が中高年のメンバーは確かに人並み以上に達者だ。尊敬に値する。
これから私もその元気と根性を見習って精進しようと思う。
花、天気、メンバー、何を取っても言うことなしだが、反省すべき事はある。これからは3000m級の3泊以上の縦走の場合は、ある程度の事前の訓練が必要だと言うことだ。一定の山行訓練を事前に条件付けるほうが安全上いいかもしれない。北岳付近で足首を痛めたと言う小西さんは帰京後病院で足首骨折と判明。よくぞ最終地点まで歩かれたと思う。ベテランだからこそ事後措置も適切であったし、歩行も工夫されてこその無事下山だったと思う。一刻も早く治されてまた山行ごいっしょしたいものだ。また、大門沢下山途中で転倒された寺石さんも帰京後の精密検査で異常がないということでほっとしている。お二人とも大ベテランである。それでも、エスケープ・ルートのないとくに南アルプスのような長距離縦走の場合は、何らかの安全面での判断が必要かもしれない。が、縦走途中で足を痛めたり、転倒したりすることは老若巧拙を問わず、どのようなメンバーで構成されても起こりえることである。これらのことについては縦走の現状を知っている今回のメンバーに意見を聞いて今後の参考にしたいし、会の今後の判断データにもなればと思う。今後の例会において、すべてをリーダーの責務にしてしまうともうリーダーのなり手がなくなってしまうかもしれないからである。また参加メンバーを厳選する方向に向かう可能性も出てくる。仮にそれでも事故の可能性は残る。難しい問題だ。
それにしても、我々を迎えてくれたたくさんのお花に感謝するとともに、全員の協力でなんとか全員が下山できてほっとしています。本当にお疲れ様でした。
追記 小西さんは秋には山行できそうとのこと。また、寺石さんは、精密検査でまったく問題がないとのこと。大事にいたらず良かったです。また涼しくなる秋から近郊の山を楽しみましょう。
白根御池にて
北岳にて
間ノ岳にて
農鳥岳にて
大門沢小屋にて 出発前