京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.2946  夏合宿:徳本峠から蝶ヶ岳・上高地

2009年7月17日(金)~20日(月)

島々谷から徳本峠への道はウエストンを偲ぶ道かと思っていたが、冠松次郎(渓流遡行の祖)のほうが、しっくりくる。

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(写真:槍ヶ岳を正面に、蝶槍までのトレッキング)

 

 

52期 秋房伸一

【参加者】(CL)秋房伸一、(SL)寒川陽子、野沢邦彦、富岡慶子、小松久剛、”む~” 昌宏 会員6名 合計6名

【天候】18日~19日:雨、20日:晴

【行程】

17日21:15京都駅=25:00松本IC=25:45島々の林道広場(幕)

18日 6:20出発:~7:30二股トンネル~10:05-30岩魚留小屋~12:50力水~14:05徳本峠(幕)

19日 6:45出発~大滝槍見台9:05~12:08大滝山南峰~12:17大滝山荘(幕)

20日 6:15出発~7:42-8:40蝶ヶ岳~8:52横尾分岐~9:07蝶槍~9:40横尾分岐~11:10横尾山荘~12:30新村橋~13:30徳本峠分岐~14:20上高地バスターミナル=16:42島々(デポ地)=波田町・竜島温泉せせらぎの湯=松本IC=24:05山科駅

【1日目記録】17日(曇時々雨)

名神と中央道の一部区間で集中豪雨。時速50kmで走っても怖いくらいだったが、渋滞もなく、意外に早く松本ICに着く。最初、島々谷林道の案内板付近に車をデポしようとしたが、寒川さんの偵察により、しばらく先に幕営可能な広場があることが判り、移動。

 

【2日目記録】18日(雨)

夜明け前から雨が降り始め、全員雨具を着て出発。気温は20度以下で、ウール半袖Tシャツ+雨具で不快さは無い。二股までは林道歩きだが、島々谷川がずっと横を流れていて退屈しない。二股トンネルで雨宿り小休止。二股分岐のすぐ先にトイレと案内板があり、そこからが登山道。数年前台風で登山道が崩れ、通行禁止になっていた時期があったが、なるほど、橋など整備されてないと強行突破は難しい箇所が複数ある。

岩魚留小屋までは樹林の中をひたすら歩く単調な道かと予想していたが、大間違い。すぐ横では、沢の水が、元気良く大きな音を響かせながら、まるでレースをしているみたいにスルスルと気持ちよさそうに流れている。あちこちで絶え間のないアタック、スプリント合戦が繰り広げられているかのような、緩急自在の水の動きが、私をワクワクさせる。水流レース観戦の特等席がずっと続いているかのようだ。島々谷から徳本峠への道はウエストンを偲ぶ道かと思っていたが、冠松次郎(渓流遡行の祖)のほうが、しっくりくる。

 

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(写真:島々谷の流れ)

 

岩魚留小屋は休業中。事前連絡が無いと営業しないのかもしれない。林道からは歩きやすい道で着くのかと思っていたが、そうでもない。ヘリを使えそうな場所もない。小屋もこのまま朽ち果てそうな雰囲気。

踏板が苔でツルツルの橋や、もともと堅牢な造りでないのに加えて朽ちそうになっていて「一人ずつ通行すること」と看板がある橋などを何度も渡り、高度を上げる。渓が細くなってくると、橋とはいえないような木を渡してあるだけの渡渉も現れ、バランスをとるのにストックが役だった。

 

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(写真:岩魚留小屋にて)

 

雨が止み、渓から離れ、勾配が急になってしばらくして力水。このあたりから富岡さんのペースが急に遅くなり、休み休み峠を目指した。後で聞くところによると最近貧血になったとのこと。ランニング愛好者、特に女性は貧血になりやすい。地面に足をたたきつけることで足の裏から赤血球が破壊されるからというのが定説。

徳本峠小屋は改築中で来年夏まで休業。テン場も使用できないので、霞沢岳方面に数分歩いた場所で幕営。先着2張り。雨は止んだがガスがかかっていて穂高の眺望は全然得られなかった。

本合宿は3人用テントが1、他は個人テントという構成であったが、3人用テントに6人が入って、ミーティング。合宿らしい時間を過ごした。

 

【3日目記録】19日(雨)

 回復の期待を他所に雨が夜半から降り続く。大滝山への尾根道からは、ガスのため展望はまったく得られない。水場はないのに登山道には水たまりやヌタ場が多い。時々強風が吹くようになる。大滝山への急斜面には高山植物の群生。大滝山山頂付近は緩やかで気持ちのよい空間が広がる。天候と体調を考え、大滝山荘で今日の行程を終えることで全員異存なし。山行の危険度=コース難易度×気象条件 であることを改めて認識。テント設営時は雨も止み、時間も早いことから午後をのんびり過ごす安堵感が広がる。

 NHK第2放送「気象通報」の16時に3人用テントに全員集合。寒川さんが即製手書きの気象用紙にラジオからのデータを書き込み、天気図を作成。その間にも雨が時々強くテントを打つ。寒川予報士は「明日は天気が回復」。その後は、野沢さんから本日の行程判断やパーティーの動きなどについて問題提起があり、活発な議論。途中から山荘で購入した日本酒やウイスキーも入り、いつものように盛り上がる。比良山岳会歌集にあるという「リーダーの唄」を野沢さんがリード歌唱して中締め。雨が上がったので大滝山南峰まで全員で散歩。松本方面の雲海が美しく、穂高側も一部眺望が開けた。寒いのでまたテントに戻り、しばらく歓談。夜は満天の星。

 

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(写真:雨上がりの夕刻、大滝山にて)

 

【4日目記録】20日(晴)

早めに起きてご来光を見に行く人も。

出発してすぐの大滝山北峰で、昨日までとは打って変わった大展望に皆で見とれる。蝶ヶ岳への稜線歩きを天気の良い今日に残しておいて良かった。常念岳がどっしりとした存在感で迫る。蝶ヶ岳の後ろには槍ヶ岳がくっきり。

 

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(写真:大滝山からのご来光:小松撮影)

 

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(写真:右から常念岳蝶ヶ岳、奥に槍)

 

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(写真:槍ヶ岳を正面に蝶ヶ岳へ)

 

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(写真:穂高が大迫力)

 

稜線を快適に歩き、蝶ヶ岳山頂からは穂高槍ヶ岳が圧倒的な迫力。1時間近くのんびりと眺望を楽しみ、蝶槍へ。槍沢から槍ヶ岳へのルートが詳細に見える。蝶槍でも、ゆっくりし、下山にかかる。

横尾山荘で昼食をとってもまだ昼前なので楽勝かと思っていたが、上高地は想像を絶する混雑で、バスは大延着。高速道路も大渋滞で、京都に戻ったのは翌日になっていた。

 

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(写真:槍沢から槍ヶ岳

 

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(写真:蝶槍にて)

 

【SL感想】  48期 寒川陽子]

 秋房CLの下、SLとして久々にパーティー山行を経験させて頂いた。パーティー山行の醍醐味は何といっても構成メンバーの個性にある。全行程を共にした癖だらけの6名、CLはさぞかし隊の取り纏めに苦労されたことと思う。パーティーの目標、SLとしての目標は達成できたと自己評価するが、一個人としてはもう一歩及ばなかった面がある。

 当たり前のことだが個の自由を尊重した山行は楽だ。違う人間である以上、組織として行動すると必ず意見の相違が出る。当会としても世相の流れとしても自由な山行が溢れている現在、今回のCL・SLあって組織的な山行を実践できたことは、特に入会間もない”む~”さん、小松さんにとっては今後の山行のあり方を考える貴重な経験になるだろう。天候・ルート・メンバーの体調…予期せぬ事もあるがだからこそアウトドアアクティビティーは面白いと再確認。

 課題としては3点。寒いからとあまりにガスを消費しすぎたこと。他に暖をとる手立てはあったのに安易な方法をとってしまった。そして充分な睡眠を確保できなかったこと。耐寒訓練が足りなかったようだ。これがシビアな長時間行程であれば間違いなく支障が出る。更に撤収速度、摂食速度、判断力、その他諸々な行動が遅くなったこと。厳冬期に耐え得る生活技術のレベルは常に確保するよう改善を目指す。

 

 

【感想】  52期 小松久

梅雨後半の荒れ模様の天気の中、初合宿・初アルプスを経験することが出来ましたので報告いたします。

1日目報告

9時ごろ京都駅を出発し、気分良く京都南インターを出たは良いのですが、米原を越えたあたりから豪雨になり、非常につらいドライブになりました。

ほとんど視界が利かないまま長野に入ると今度は濃霧。それでもいいペースで走りきり、島々の駐車場についてテントを張ったのが夜2時ごろ。

強まる雨の音を聞きながら眠りにつきました。

2日目報告

強い雨で目が覚め、上下レインウェアで出発。島々沢は増水して大迫力。

徳本峠までは地味な林の中の道と思っていましたが大違いで、轟々と流れる沢の横を、時には崩れた登山道を巻きながら進む楽しい道でした。

徳本峠は強い風でとても寒く、とりあえずテントを張った後は各自テントに潜り込んだのですが、私は山のテント経験がないためどうやって濡れたものを乾かしたらいいか分からないまま凍えていました。そんな中、お隣さんのテントの寒川さんがテント越しに色々と生活技術を教えて下さり、途中、鍋の水をひっくり返すと言う手痛いミスをしつつも、何とかコンロで乾かし物を終えることが出来ました。

その後秋房さん、”む~”さんの大きめテントにみんなで集合してわいわい酒盛り。

次回山行から必ず酒とつまみを持って行こうと固く決意。

3日目報告

前日夕方に雲が切れていたのできっと晴れるだろうとたかをくくっていたのですが、目覚めるとまたまた強い雨。外に干し物をしていたのですが、取りに行く気力もないままに二度寝してグダグダしてしまいました。

強い雨のためそのまま予定コースを進むのか少し議論はあったものの、進むことに決定。

雨は強く、道のぬかるみが酷くて難渋しました。ちょっと油断すると、かかとまで泥でハマります。道自体は樹林帯の中を淡々と歩くもので、見所は大滝山周辺のお花畑くらい。

大滝山周辺まできたあたりで風が強くなり、野沢さんの強い希望で進路について再度検討。3日目は蝶ヶ岳まで進まず、大滝山荘まで進むこととなりました。

正直、私は全く判断がつかなかったのでリーダー、サブリーダーの意見に全く従う気でいましたが、自分がリーダーになった場合にどの事実をもとに、どのような基準で判断を下したらいいんだろうか・・と考えたりしていました。

大滝山荘前につく頃には風雨もやや収まり、急いで幕営準備をして、小屋でお酒を買って宴会開始。

寒川さんの天気図などを感心してみながらちょっと飲みすぎてふらふらになっておりました。

少し眠って、日が落ちて外にでると本当に星座が分からないほどの満天の夜空。次は素面で見たいものです。

 最終日

 早朝に目が覚めて外に出ると、晴れ間が見えています。急いで大滝山頂上に戻ると、ちょうど日の出直前。紅色に染まった穂高、槍そして雲海が美しく、初めて見る高山の日の出に思わず涙がにじんでしまいました。人はこうして山に魅かれていくんですね・・

その後も天気は安定。蝶ヶ岳直前では雪渓で歩行訓練をしたり、写真を撮ったりとお散歩モード全開です。

横尾までの下りでややきついところがあった他は楽しいハイキングな行程でした。

本当にしんどいのはその後の高速道路。渋滞で眠いったらありゃしない。

長時間の歩き方、テントの生活技術、その他色々と非常に勉強になり、かつ楽しい合宿でした。ありがとうございました。