冬山に備えて金毘羅山でビブラムとアイゼンによる歩行練習をした。
「一般登山での岩場の通過」という想定、またシーズン初めということもあって、入念にビブラムの履き馴らしをすること、比較的簡単なルートで極力ロープを使用せず登り降りすること、及びリザーブの体力を確認するために帰京は瓢箪崩山を経由することの三点を課題とした。
№2970「金毘羅アイゼントレ」例会 報告
48期 上坂淳一
11月28日(土) 天候 晴れ時々曇り
参加者 CL上坂淳一 岡田恭二 AT 秋房伸一 会員4名
【行程】
8:15国際会館前→8:35戸寺~9:00ワイケン尾根取付~10:30ワイケンの頭~ワイケン沢下降~11:00ワイケン尾根取付~11:45ワイケンの頭~ワイケン尾根下降~15:00ワイケン尾根取付~16:00ワイケンの頭~江文峠16:40~18:00瓢箪崩山~18:50岩倉花園町(解散)
【記録】
冬山に備えて金毘羅山でビブラムとアイゼンによる歩行練習をした。
「一般登山での岩場の通過」という想定、またシーズン初めということもあって、入念にビブラムの履き馴らしをすること、比較的簡単なルートで極力ロープを使用せず登り降りすること、及びリザーブの体力を確認するために帰京は瓢箪崩山を経由することの三点を課題とした。
ワイケン尾根一回目はビブラムによる登高で履き馴らしを兼ねて一時間以上かけて登り、ワイケン沢を下降。二回目は少しスピードを上げて登り、同ルートを慎重にクライムダウン。三回目はアイゼンを着けて登高した。
その後、ワイケンの頭から地図を確認せずに歩きだしたために5分ほど逆方向に歩いてしまい、登り返す羽目になった。金刀比羅宮の紅葉はすでに散り際となっていた。
江文峠からは順調に歩き、岩倉に出たところで丁度バスが来たので、国際会館までの予定を急遽変更して解散とした。
例会の設定としては、日帰りである上にスケールもグレードも本物の冬山とはほど遠い内容であったので、参加者には、今後の活動にあたって山域や気象条件も十分に吟味して、時間の許す限り準備を重ねられることをお願いしておきたい。
【感想】 L上坂(48期)
「登山の多様化」とは誰が言ったのだろうか?
かつて山登りは自然と人間との誠実かつ真摯な交渉として、パッキング、アプローチ、登攀、幕営、炊事、下降…これらすべてを含んでいたものだった。
それがいつの間にか「私」の都合によって、その一部分だけを切り出して(場合によっては引率者や同行者、業者などに雑務を委ねることによって)満足を得ることが当たり前になってしまった。これでは多様化ではなくて「細分化」「断片化」と言うほうが近いのかも知れない。
現実に行われている観光やトレーニング目的のパート練習のすべてを否定するつもりはないが、半世紀近くも娑婆の空気を吸ってきた者としては、年々人類が独善の道を突き進んでいる中で、山登りまでがそれに同調することには自ずと疑問を禁じ得ない。甘んじて足を濯えば良いとは言われるものの、やはり水の清む日を早く見たいのである。
すでに中部山岳の稜線は雪氷に覆われている。今回はどういう偶然か土曜日にもかかわらず、ワイケン尾根を独占させていただいた。これからの数か月はどうしても自力で道を開かねば進めない機会も増えると思われるので、本例会がその一助となれば幸いである。
【感想】秋房(52期)
アイゼントレ例会というふれこみでしたが、ビブラム登攀、クライムダウン、懸垂下降、月明かり(後半ヘッドランプも多用)山中歩行訓練、と盛りだくさんで、たいへん充実したトレーニングになり、ありがとうございました。
ビブラムで岩場を行くのは縦走想定の実践的トレーニングとして、たいへん役立ちました。「本番」では出来ない練習、例えば岩の地上50cm(高度感があると怖くて通過するのに精一杯でいろいろチャレンジできない)の小さなスタンスにビブラムでしっかり立ちこみ、どの程度のスタンスがあれば安定して立てるのか、かかとの角度の違いでグリップの変化を探る、など練習ゲレンデならではのメニューをこなせました。
岩登りそのものに興味の無い人でも、ビブラムでの金比羅ワイケン尾根トレーニングは断然おすすめです。同行の岡田さんは穂高縦走のトレーニングのため夫婦で何回もワイケン尾根を歩かれたとのことで、実に安定して上り下りされるのを見るにつけ、練習は大切だと思いました。
【感想】T(51期)
かなり内容濃く充実したトレーニングになって、満足しました。
とくに冬靴のビブラム(と手袋)でワイケン尾根をクライムダウンする練習がとても勉強になりました。
クライムダウンの練習は日ごろやったことが無かったのですが、いとも簡単に登れるようなところでも非常に難度が高くなるように感じます。
この練習は、夏山のアルプスなどの縦走路にあるような危険箇所をより安全に通過するためなどにもすごく役立ちそうだと感じました。
肝心のアイゼンのほうですが、去年は訳もわからずただアイゼンを履いて登ってたという感じでしたが、今年はアイゼンの前爪を引っ掛けることを意識して登ることができ、大変よい練習になりました。
ノーロープでの登降ということで多少不安がありましたが、ロープが無いことでロープワークに気をとられず足運びだけに集中することが出来、非常に良かったです。