京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.2991 比良55-7 烏谷山~擂鉢山~荒川峠~南比良峠

 

2010年3月13日 (土)

例会案内には「水晶小屋偵察」としていたが、谷筋を間違え、荒川峠にポッカリと出て、荒川峠周回コースになってしまった。

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写真:荒川峠に戻れた

 

【参加者】  CL秋房伸一 米山佳秀 計2名

【天 候】 曇/雨

【行 程】9:00比良駅=第1デポ地=9:25荒川峠登山口第2デポ地~10:43稜線~11:00荒川峠~11:28烏谷山~11:50-12:20擂鉢山~13:21作業所跡~13:26小屋~13:49荒川峠~14:19南比良峠~15:53第1デポ地

比良55-7烏谷山

GPSの軌跡。道をロストして荒川峠にポッカリ出た

 

【記録】

例会案内には「水晶小屋偵察」としていたが、谷筋を間違え、荒川峠にポッカリと出て、荒川峠周回コースになってしまった。

 今回は2人2台で車をデポ。米山さんとは1月の比良全縦のサポート隊でご一緒し、その時も荒川峠へ登ったので、今回は楽をしようと思った次第。

 比良駅に集合し、1台目は下山時用で南比良峠へ向かう林道脇にデポ。林道終点が広場になっているので、次回からはそこにデポすれば良い。2台目は荒川峠登り口手前の林道脇にデポ。

積雪も消え、荷物も軽いのでサクサクと登る。1月にスノーシューで歩いた時には稜線から荒川峠までの雪が重く、結構長く感じたが、今回は、あっという間だった。

 烏谷山から摺鉢山への道は地形図や登山地図には記載が無いが、踏み跡程度の道はある。テープも所々にあり、尾根を外さないように歩けば擂鉢山(1006m)に到着する。摺鉢山の山頂はたおやかな優しい感じ。残雪はわずかで所々地面が見えている。

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  写真:擂鉢山 山頂

 

 昼食後、山頂からひとつ烏谷山側の尾根を「大橋」に向かう。道は無いが、下草が少なく歩きやすい。山林作業の人も歩いているようだ。地形図と照らし合わせながら下る。

傾斜が緩くなり、いよいよこの後斜度が増し、奥ノ深谷に下る地点にさしかかったのだと緊張する。奥ノ深谷沢登りで来ていて、変なところに降りれば大変なことになると十分想像できるからだ。

と思って緊張していたところ、何と、明らかな作業道に出会った。「助かった~」と思い、緊張を解いて地図との照合も止めて何も考えずに道に頼って下る。しばらくして川に出会った。

 

 「やった~」、水晶小屋の前の川だと思ったのだ。川沿いに上がると小屋があるのではないかと思ってしばらく歩くが、どうも違和感がある。残雪で周囲の景色がわかりにくいこともあるが、どうもおかしい。これはどこかの支谷だと判断し、引き返したが、どちらにしても水晶小屋前の川付近ではなさそうなので、雪の斜面を上がり、小さな尾根上に出て、ひとつ隣の沢の様子を見ることにした。

 小尾根から隣の沢を眺めると、ガスの合間に小屋のようなものを発見。「小屋があります~」と米山さんに向かって叫び、やれやれと思って近づくと、なんとそれは屋根の形に見える大きな岩であった。「これじゃ、遭難者が幻覚をみているようなものじゃないか」と背筋が冷たくなる。近づくと、なんでこの岩が小屋に見えたのか不思議だ。岩から少し下ると作業小屋の跡のようなものがあってプロパンボンベが散乱している。人の痕跡があると少し安心するが、荒廃していて、天気もぐずついて時刻の割にはどんよりと暗く、不気味な感じがする。

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写真:作業小屋跡。プロパンが散乱

 

 GPSを取り出して現在地を確認しようとしたが、雨で表面に水滴が付着する上に画面が小さくて見にくい。谷間なのでそもそも衛星を捉えているのかよくわからないと判断(後の反省としては、少々時間がかかっても衛星状態モードにして確認すれば良かった)して、GPSは頼りにしないことにした。

 目の前の沢が奥の深谷ではないか、とかそうではない、とかいいながら、沢沿いに少し下ってみたが、どちらにしても水晶小屋の前の川でないことは判った。自分たちは道に迷っているのだという自覚が生じる。

 冷静になって周囲を見渡し、稜線がそう遠くないことから、とにかく沢沿いに登ることにした。尾根筋に上がれば道に出会うはずだ。

 

 少し登ると、手入れされた山小屋があった。その時は「大橋」付近の山小屋のひとつではないかと思ったが、地図に出てない名称も不明の小屋であった。登山地図には、存在しない山小屋(堂満小屋)が載っているかと思えば、このように現存する小屋は載っていない。小屋があるということは、道が下界と繋がっているわけで、安心する。

 道なのか、流水跡なのかよくわからないが、残雪で比較的歩きやすい沢沿いを登っていくと、なんと、ぽっかりと荒川峠に出た。

 

 南比良峠からの下降では、急斜面で懸垂下降を2ピッチして、先日のロープワーク講習の復習をした。落ち葉の急斜面で下って下れないことは無いが、下が崖や濁流だったとするとノーロープでは怖いと感じるくらいの斜面の状態ではあるので、せっかくロープ一式を装備に加えていたので、使ってみた次第。

 

 米山さんと二人だったので、少々道に迷っても、どうということもなく助かった。

旧版の昭文社の登山地図には迷ったあたりの沢筋も表記されており(最近の昭文社の登山地図は道路地図のようなデザインになっていて、パッと見は綺麗で見やすいが、林道や送電線や沢が見難く、載っている登山道をトレースする以外の目的には使い辛い)、地形図とよく照合すべきだったと反省した。地形図には川が書かれてなくても、谷に水が流れて川になっているのは普通であるので、そのあたりも想像して読図しないといけない。