京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

№3036  「穂高バリエーションクライミング」

三度目の前穂北尾根例会ということで、新しみが無いと思われそうですが、40歳を契機に比良山岳会に入会してちょうど10年目、その40代最後の例会リーダーということで、自分としては色々な意味で記念すべき山行となりました。

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前穂高岳山頂にて

 

 

例会報告 NO.3036

 「穂高バリエーションクライミング」 (合宿ポイント)

【日時】8月5日(木)夜~8日(日)

【参加者】CL 丸山 弘 米山佳秀 向 昌宏  計3名

【天候】 1日目 晴れ時々曇り  2日目 晴れ  3日目 曇り時々晴れ

【山域】 前穂高岳北尾根 前穂高岳 奥穂高岳

【行程】

5日20時 山科駅集合

6日1時 平湯温泉駐車場着

6日5時 バス乗車

6時30分 上高地バスT発

12時 涸沢テント場着

7日3時 起床 4時 出発 

5時30分5・6のコル 

7時30分3・4のコル

10時30分 前穂山頂着

12時00分 野沢チームと吊尾根で会う。   

13時30分 奥穂高山頂

16時10分 テント場着

8日 5時起床 6時30分出発

11時 上高地バスT

11時30分 平湯駐車場 

17時 京都解散

 

【CL所感】

 三度目の前穂北尾根例会ということで、新しみが無いと思われそうですが、40歳を契機に比良山岳会に入会してちょうど10年目、その40代最後の例会リーダーということで、自分としては色々な意味で記念すべき山行となりました。

 初めての北尾根は、入会して日も浅い頃に野崎リーダーのもと、上坂さんにもあれこれ教えて頂きながら夢中で登りました。2006年には夏合宿で自分がリーダーで登ったものの、戸田さん、上坂さん、長野さん、岡さんと力量十分のメンバーに支えていただいたおかげの山行でした。

今回のメンバーはお二人ともバリエーションクライミングは初めてということで、昨年から釈迦岳、愛宕山でのボッカ例会や2度の御在所マルチ練習など、準備段階から本番まで全部リーダーを引き受けた点でまた違う緊張感を持ってリーダーを勤めさせていただきました。

 登攀終了後、天狗のコルから縦走してきた「43期」同期の野沢さん(と竹田さん)のチームと「吊尾根最低鞍部で12時00分ジャスト」にお会いした時は、劇的な出迎えに感激しました。

 前穂北尾根登攀自体は、何よりメンバーが一生懸命歩き、メンタル面でも頑張ってくれたので、計画の時間より少しづつ早く通過でき、余裕のあるクライミングになりました。メンバーのお二人にルートファインディングやリードを少しでも経験してもらうくらいのリーダーとしての度量があったら良かったと思いますが、今後の課題でしょう。

 一点だけ危なかったのは、5峰頂上直下のルンゼで直前パーティーの起こした大きな落石に巻き込まれかけたことです。人気ルートなので5,6パーティーが登攀していましたが、どのパーティーも初心者連れで、基本的なルート取りのミス(岩を怖がって斜度の緩いところばかり選ぶ結果、不安定な浮石の多いルンゼ中央に寄りすぎる傾向)や落石を起こさない登り方(浮石を避け、岩を試してから押さえて登る)が不十分で、あの地震の後、もう落ち着いているはずの箇所でも「ラク」の声が時々上がり、直前の先行パーティも2度ほど不注意な落石を起こしていました。用心して少し間を明け、フォールラインを避けて登っていたのが、結果的に被害を防ぐことになりました。(後続パーティーもルートファインディングに自信がないのか、我々にぴったりくっついて登ってくるので困りました。3峰では先行パーティーのロープワークの練習不足も渋滞の原因になっていましたが、天気が悪ければ罵声が飛びそうです。)

 全体としては、涸沢でのテント泊も天候に恵まれて景色も最高で、ビールも美味しく、メンバーに恵まれて楽しい40代最後の山行になりました。参加者の皆さんありがとうございました。また、懲りずにいろいろなクライミングに出かけましょう。 

 

【感想】52期 向 昌宏

3時起き4時出発、通常の山行より早いのに、前方にはヘッドランプの明かり、5パーティーほど先行していた。5・6のコルでハーネスをつけて気持ちが引き締まる。事前の調べで、4峰は岩がぐらつき注意必要、3峰はロープだが難しくはない、5峰は難なく歩けると把握していたのでリラックスして登攀へ。初級とはいえ本番だけあって岩のぐらつきや高度感が緊張を高めていた。時折ラクの声と落石の音が聞こえてくる。5峰の核心に近づいたころ尋常でない叫び声とラクのコール。見上げると先行クライマーのすぐ足もとからその人の3倍ほどありそうな落石というか岩の崩落。距離は50mほど離れているが轟音とともにこちらに向かって落ちてくる。前にあるものすべてを蹴散らし、岩を砕いて落ちて行く。破片が飛んできそうで、できるだけ離れようと斜面にへばりついた。あたりは静まり返りみな呆然。被害者はいないようで少し落ち着いたが、足は震え動揺は隠せない。スローモーションがあたまの中で繰り返される。とんでもないとこに来たのかも。今日でバリエーションクライミングは終わりにしようかと思った。しばらくして気持ちも落ち着き、先行パーティのミスルートと初心者的なことが原因であり本来回避できると丸山CLの説明に半分納得する。それと落石のルート上に入らないこと先行パーティと距離を保つことで巻き込まれるのを回避できることを聞き、自分達の状況判断である程度は対応できるのだと納得した。この後、ずっと落石の音に過剰反応し夜もなかなか眠れなかった。

気を取り直して4峰へ。ルートを教えてもらうが自分ではとても判断できそうにない。ロープなしで行けるが、これまでとは環境が違い、ミスしたら落ちてしまう。緊張で喉はカラカラ、とにかく岩の安定度に注意を払いながら手と足を出した。登りが終わると次はガレ場。ぐずぐずの足もと、その先は谷。ガレ場は苦手なのでなかなか進めない。なんとか3・4のコルへ到着。一息つく、というより渋滞で充分な休養。天気がよかったので、眺望もきき気持ちよかった。

 いよいよ核心の3峰、気合も入りクライミングモード。ロープのおかげか気持ちは楽だ。岩自体はがっしりしていてホールドも豊富で困ることなく登れた。高度感は別として御在所の方がテクニカルな気がした。ロープ3ピッチはすぐ終わり、ほどなく2峰につき懸垂下降。ガスも晴れ見晴らし最高。前穂山頂も登山客でにぎわっている。1峰まであと少し、気持ちを引き締めなおし最後の登攀。初めての前穂高岳に北尾根から登ったので喜びもひとしおだった。

一瞬今日で止めようかと考えたクライミングですが、いろんな要素のある自然のなかで、総合力をつけるのは大きな魅力です。ロープワーク、ルートファインディングに登攀力と課題は山積ですが、経験をつみ、つるべでクライミング出来るように実力をつけたいと思います。適切に導いてくれた丸山CL、ご一緒いただいた米山さん、ありがとうございました。

 

 

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4峰のルート確認

 

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吊り尾根にて野沢・竹田パーティーと出会う

 

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イワギキョウと前穂北尾根 

 

【感想】     52期 米山佳秀

日本百名山ほか縦走登山を主に登山をしてきたが4年前、50代後半になりかじった岩と沢で、その当時の目標であった本格的なアルパインライミングがとうとう出来ました。

 7月の一カ月間は、ボッカや一日で12時間近く歩いたりと前穂に備えました。

 前穂高北尾根は、岩登り入門コースと聞いていたが、最初の登りの5峰での前パーテイーの落石が、物凄い音で落下していき途中、岩に砕かれるのを真横でみていると、心臓と足の震えは5峰を登り終えてもなかなかもとには戻らず先行き不安でした。核心部の3峰では待ち時間が長く登っているときは、のどがカラカラでなんとか通過し2峰近くになると、前穂頂上が見え沢山の登山者がこちらに向けて、声をかけてくれました。

 登頂後はテン場に戻ることになるが、本日の核心であった前穂登頂が終わったので、モチベーションが上がらず、奥穂経由は長かった。

 12時間の行動でしたが、天候に恵まれテン場にもどり登山靴を脱ぎ、生ビールをのんで、充実感いっぱいの時間を過ごせましたことは、メンバーの皆さんに感謝。次はーーーーー。