わが国に残された唯一の女人禁制の山、大峰山。ただし大峰山という山はない。其の核心の山は山上ヶ岳である。山屋にとっては最高峰こそ主峰であるが、最高峰はこれより南にある八経ヶ岳(1,915m)に譲る。女人は古来レンゲ辻の結界から西に進み稲村ヶ岳を女人大峰として登拝した。
写真: 稲村小屋にて
例会No.3042 山上ヶ岳・稲村ヶ岳 《関西百名山シリーズNo42・43》 平成22年9月5日(日)
48期 山本浩史
わが国に残された唯一の女人禁制の山、大峰山。ただし大峰山という山はない。其の核心の山は山上ヶ岳である。山屋にとっては最高峰こそ主峰であるが、最高峰はこれより南にある八経ヶ岳(1,915m)に譲る。女人は古来レンゲ辻の結界から西に進み稲村ヶ岳を女人大峰として登拝した。
【参加者】 堤潤L、畑中里子、小泉賀奈子、尾崎稔、藤堂尚久、亀島文子、岩坂弘(体験山行)、吉良聡恵(同)、安達悠司(同)、山本浩史TC 計10名
【行 程】 京都5:00=上鳥羽IC=(第二京阪・近畿南阪奈道)=葛城IC=7:25洞川温泉7:45=7:52清浄大橋8:09~10:17レンゲ辻10:25~10:57(山上ヶ岳)11:08~11:29レンゲ辻~12:12山上辻12:23~12:46大日山12:49~13:09稲村ヶ岳13:22~13:43山上辻13:54~14:42法力峠14:48~15:25五代松鍾乳洞~15:56洞川温泉16:50=16:58清浄大橋17:01=17:08洞川温泉17:40=18:55葛城IC19:11=(第二京阪・近畿南阪奈道)=大山崎IC=20:10長岡京駅
【登山データ】 天候:晴れ一時曇り 歩行16.2㎞ 7時間47分 延登高 1,390m 延下降 1,480m 3座登頂
(女人)歩行14.4㎞ 7時間47分 延登高 1,087m 延下降 1,180m 2座登頂
始発電車前の出発、しかも直前の参加希望があり車5台で行くことになった。京都市内各所でPick upし近畿道の東大阪PAで4台の車が集合した(堤車は直接現地へ)。奈良、橿原市内を迂回して行くルートは予想以上に時間短縮効果がありPAでの待ち時間を除くと2時間で洞川温泉に到着した。
堤Lも既に到着しており温泉センターの村営駐車場に堤車、藤堂車の2台を止めた。今日歩荷に挑戦する藤堂、小泉、亀島さんのザック計量を行ったところ、20キロ、15キロの規定を夫々クリアし、大峰(清浄)大橋(標高920m)へと向かった。広い駐車場があり既に沢山の車が止められている。1日1,000円の駐車料金で亀島車、尾崎車、山本車の3台を止めた。
堤Lの訓辞を頂き、いよいよ出発だが、早速今日のミッション1「レンゲ辻への所要時間を予想する」があり、皆さんに予測を出してもらった結果は1時間45分から3時間まで倍の開きがあった。体験山行の3人を交えて暫くは林道を歩く。標高1,000mを超えたあたりで登山道となりレンゲ坂谷を登る。広い谷間で大峰の神秘さを味わえる道だ。歩荷挑戦者が先頭を歩き歩度を調整するが20キロ歩荷の藤堂さんにバテが襲いペースダウンし、後尾に落ちて来られた。それでも何とか標高差600mの歩荷をやり遂げ皆の待つレンゲ辻(標高1,500m)に達した。
ミッションの結果は休憩のロスタイムを差し引き2時間1分、2時間を予想した畑中さんがニアピン賞となった。賞品は皆の拍手喝采を受けられるということで、盛大に祝った。黒木で作られた女人結界門は女性の立ち入りを厳しく拒む。来合わせた小母さんが「私は何度も登った。こんなのは迷信だ。」と豪語しているので、「罰が当たるよ。いい死に方はできないね。」と。確かに古き時代に女人は穢れ、清浄であるべきエリアに入ることはできないというのは過去の迷信であるのは間違いない。今でも女性を厳しく拒んでいるのはこの大峰山と大相撲の土俵と修道院ぐらいだろう。悪法と云えども法は法、伝統を重んじ守るべきだろう。それが世界遺産なのだ。
伝統遵守のわが女性陣は結界で踵を返し山上辻の稲村小屋へ先行、男性陣のみで山上ヶ岳を目指した。屹立した小稲村ヶ岳を巻き鉄階段などで整備された南西尾根を登り山頂域に達すると、笹原で西南方向の展望が良い。此の後に行く大日山、稲村ヶ岳、其の左に孔雀ヶ岳~八経ヶ岳の姿、快晴の空の下素晴らしい。週間予報では60%の降水確率の時期まであったが、「晴れの関西百名山」のジンクスを裏付けるように快晴を持って来た。山上ヶ岳(1,719m)の山頂標識は中途半端なところにあり、取り合えず記念撮影をする。1等三角点「大峰山上」は最高所の湧出岩の前にあり笹薮の踏跡を辿り登頂した。御朱印を貰いに行くと云う尾崎さんの後を追い大峰山寺に参拝、白装束の行者さん達が将に出発するところだった。
女性陣を余り待たせては申し訳ないので、西の覗きの行場や宿坊は見ずにレンゲ辻に戻り、山上辻へと急ぐ。先程レンゲ辻に登り切った所で歩荷陣は死重に詰めた水を捨て身軽になったが、藤堂さんのバテは回復せず辛そうだ。先頭から遅れゆっくり進み12:12山上辻の稲村小屋に到着した。下界で36℃の猛暑日でも標高1,535mの山の上で1時間もじっとしていると肌寒いようで、女性陣は防寒着を来て待っていた。稲村小屋の前に小屋の好意によるお茶の入ったポットと湯呑が出されお茶の接待があった。疲れた体に熱いお茶は有難い。
稲村ヶ岳はパスすると云う藤堂さんを残し、待ち草臥れ逸り立つ女性陣を先頭に出発、まずは大日山(約1,595m)に登る。円錐形の鋭鋒で縦走路から外れ南側から登路があり、梯子やロープのお世話になり登頂。山頂には大日如来の祠があり、女人大峰の信仰の場所は実はこの山で、稲村ヶ岳(1,726m)の本峰に宗教施設はない。来た道を引き返し、稲村ヶ岳を目指す。ガレ場のトラバースにすれ違いの困難な危険個所があり、少々渋滞した。バリゴヤの頭への分岐(ロープで遮断)を過ぎ東側から回り込むようにして山頂に到る。
3等三角点「稲村岳」の横に展望台があり登ると山上ヶ岳、大普賢岳、弥山を一望できる。しかしこの展望台揺れている。亀島さんがおっかながって登るのを躊躇していたのも肯ける。ここで残りのミッションを2つ、大普賢岳とバリゴヤの頭の山座同定。5万図の抜粋とコンパスを使い同定、顕著な山容で同定は比較的容易だったのでついでに弥山も同定した。これで小泉さんと亀島さんは読図ポイントget。
藤堂さんの待つ山上辻に戻り、10人全員で記念撮影をし、洞川温泉へと下山を開始した。白倉岳の南麓を巻く法力峠への道はなだらかな下り道で長い。ここで岩坂さんの大腿部に異変があったが、何とか持ちこたえることができた。法力峠(標高1,217m)は三ッ塚、観音峯山を経由して天川村中越の虻トンネル東口に下りるルートが西に分岐する。一行は洞川への道を進み山上川の谷が迫ってくると五代鍾乳洞が現れる。山道を登って来ての入洞なので観光客の姿はなく、入口にヘルメットが数個置かれ中からは冷たい風が流れていた。林道への短絡道が右に分岐していくが真っ直ぐ進み登山口に達した。後は洞川の宿屋街を通り抜け洞川温泉駐車場へと戻る。宿屋街といっても行者宿の風情で趣があっていい。どの宿も温泉があるらしく泊ってみたいものだ。
洞川温泉センターは村営駐車場の奥にある村営の施設、大きく見えるが中は狭く大混雑、内湯と露天風呂があるが洗い場が少なく列を作って待つ始末だった。村営の商売気のなさで風呂上がりに欲しかったアイスクリームはなく、中途半端な冷えの自動販売機の飲み物があるだけだった。
藤堂さんの車で大峰大橋へ車回収に向かい、17:40洞川温泉を後にした。葛城ICで最終乗換えて解散する予定だったが尾崎車が先に高速に入ってしまいそのまま解散となった。
【感想】 52期 小泉 賀奈子
私にとって1年前に入会して初めての山行きが、関西百名山シリーズの高野山でした。あれから一年が経ち、こうして再び同シリーズに参加できたことを嬉しく思います。また、参加者10名のうち5名は、高野山をご一緒したメンバーで懐かしかったです。
今回は翌週の富士登山に備えてのボッカ訓練。60ℓザックに荷詰めをしていざ担いでみると、少々不安になる重さでした。しかし、いざ清浄大橋からの沢沿いの道を歩き始めてみると、程よい歩きやすさとザックのフィット感で元気が戻ってきました。ずんずん進む亀島さんを追いかけて、あっという間にレンゲ辻に到着です。途中、木を登る赤いカエルを発見し、絶句。堤さんと吉良さんは熱心に観察されていましたが、あれが跳ぶかと思うとおそろしや~です。
山上ヶ岳へは女人結界があるために進むことができず、女性陣は山上ヶ辻に先行しました。待っている間に体が冷えてしまいましたが、尾崎さんの差し入れ「かたやき」で元気回復。男性陣の到着を待って大日岳・稲ヶ村岳へ。大きなザックを背負っていると歩きにくい狭さの箇所もありましたが、修験者気分で二山を踏破できて心地よかったです。 その後、洞川温泉までの道はなだらかで歩きやすく、温泉を夢見て進みました。
今回も年齢層、個性ともに豊かなメンバーで、大峰の山を満喫できてとても楽しかったです。参加されたみなさま、ありがとうございました。
【感想】 52期尾崎 稔
今回は山上ヶ岳登山。私の今回の一番の目的はご朱印を頂くことです。大峰山寺は簡単にお参りできる場所にはないので、この機会を逃すとなかなか行くことができないと思い参加させて頂きました。
山上ヶ岳までのルートは清浄大橋からレンゲ辻のルートでしたが、あまり人と会うことなくゆっくりと登ることができました。
山頂の大峰山寺にも、思っていたほど参拝者はいなかったので拍子抜けた感じです。
天候は終始よく、気持ちよく登山できました。
今回企画してくださった山本さん、リーダーの堤さんありがとうございました。
これからもよろしくお願い致します。
【感想】 53期 亀島
ボッカトレ参加の為、前日からペットボトルに水を詰め15Kに成る様に体重計で計りパッキング。朝3時半に起きれるか心配でなかなか寝付けない。東大阪PA集合時間、30分早めに到着。清浄大橋~レンゲ峠をめざしての15Kボッカ、荷が安定しなく肩に食い込む。以前来た時より道が荒れていた。女人結界門~男女別の行動に成り、女4人は稲村ケ岳小屋を目指す。男の到着の間、女性だけで堤さんの差し入れチョコレートを食べ楽しい昼飯。大日岳、稲村ケ岳に登り。洞川温泉で汗を流し、尾崎さん持参の串だんご美味しかったです。8時半家到着。皆様ありがとう御座いました。
【感想】 (体験山行)吉良聡恵
全行程が女性は7時間程度と聞き、かなり不安でしたが涼しい気候であったとこもあり問題なく終えることができ、ホッとするのと同時に、少し自信がつきました。お天気にも恵まれ、最後には温泉というおまけもついて、とても楽しく気持ち良い一日を過ごすことができました。
【リーダー感想】 50期 堤 潤
今回名目上リーダーだったのですが、何をする訳でもなく、ただ先頭付近を歩くのみとなってしまいご迷惑をおかけしました。特に歩くペースを、疲れ+ボッカで歩いていた藤堂さんに合わせられず、ペースを崩してしまい余計疲れる状態にしてしまったのではないかと思います。また9名もいると後ろの方の人の状態がわからずに、疲れの状態等把握できませんでした。
また、元気で実力経験のある皆さんの中ではリーダーとしては時期尚早、役不足だと思いました。
山自体に関しては、秋を感じさせる涼しさが心地よく、人も少なく静かで、由緒ある山域を楽しく歩けました。
ご一緒していただいた皆様ありがとうございました。