3日間ともお天気に恵まれ、富士山をフルコースで楽しむことができました。樹海、風穴、雲海、御来光、お鉢めぐり、影富士、宝永火口、大砂走り。下山してから地図を広げると、なんと、富士山を北西から南東に縦断してきたことが分かり、感慨もひとしおでした。
最高峰の剣ヶ峰
No.3043 青木ヶ原の樹海から登る富士山(△・3,775.6m)
2010年9月18日~20日
【参加者】CL AT SL秋房伸一
記録・食当 小泉賀奈子 計3名
【天候】18日(土)・19日(日)快晴、20日(月)曇り
【記録】
1日目 9月18日(土)快晴
8:05 JR 京都駅〈新幹線こだま号〉→10:30JR新富士駅10:55〈富士急静岡バス 1,810円〉→12:26赤池バス停 昼食後行動開始、13:40精進口登山道入り口~14:22乾徳道場分岐~15:02国道71号との出合い~15:12富士風穴~16:21一合目~17:10二合目(幕営)
新富士駅の北口バスターミナルから河口湖行きのバスが出ており、チケットを購入して乗車。バスは富士山を東に見て北上し、赤池バス停で下車。精進湖横のレストランで昼食をとる。食後、共同装備の分担を決めて歩き出した。
精進湖登山口は国道139号と並行する旧道に面しているため、一度は通り越してしまったが、消防署から50m程南に行ったところを東に入ると見つかった。樹海の中は登山道が整備されていて、道に迷うこともなく気持ちよく歩くことができた。「方位磁針が狂う」という迷信は嘘のようで、コンパスは正確な方位を示していた。
途中、風穴にケービングに入るツアー客と遭遇。「許可がないと風穴には入れない」とガイドに言われ、様子を伺うだけにした。風穴は夏場でも内部が凍っており、中から涼しい風が吹いてきた。
(許可がないと風穴には入れない 様子を伺うだけにした)
夕刻が迫ってきたため、ペースを上げて一合目まで進む。ここからは幕営適地を探しながら進むことに。結局二合目まで行き、数棟ある民家のそばにポットラックを設営。豚汁(肉なし)とコーンおこわ(?!)の夕食で元気回復。翌日に備えて20時就寝。
2日目 9月19日(日)快晴
4:00起床、6:00二合目~6:30国道707号の高架をくぐる~6:49三合目・船津林道との分岐~7:47四合目~8:32吉田口五合目~9:20小御岳神社~9:30泉ヶ瀧~9:54六合目~10:52七合目トモエ館~13:00八合目白雲荘(小屋泊まり 5,500円)
5時ごろ、朝食をとっているときに民家から車の音と人の話し声が聞こえたが、しばらくすると止んだ。ポットラックを撤収して出発。ポットラックは重量が軽く、天井も高くて3人で使用するには十分な広さがあった。
汗をかかない程度の速さでカラマツ林を順調に進む。三合五勺あたりできのこ採りにきていた男性と出合う。四合目には山小屋の残骸があった。ここからは傾斜がついて上り坂となる。
(汗をかかない程度の早さで順調に進む)
8時32分吉田口五合目に到着。富士山の全容が現れた。ここは観光客が多く土産物屋が軒を連ねていて、一瞬登山していることを忘れてしまうような光景が広がっていた。1時間ほど休憩をして、再び山行開始。
(吉田口五合目、富士山の全容が現れた)
登山客が多く、すれ違う下山客は疲れ顔の人が多かった。しばらく木陰もあったが、森林限界を超えると太陽の照りつける中を進んだ。足元は砂利であるため、登山道は防砂のために階段状に整備されていた。山頂まで続く代わり映えのない景色が時折辛く、こまめに小休憩をとりながらゆっくりと歩いた。
1時、宿泊予定の白雲荘に到着。名前の通り眼下には雲海が広がり、遠く河口湖や西湖を臨めた。小屋の前は展望台になっており、多くの登山客で賑わう。日帰り客、諸外国人、小学生の団体、家族連れ。富士山は万人に愛される山なのだろう。ただ、60Lザックを背負って登っているのは我々3人だけであり、驚かれた。
その後、思い思いに過ごし、16:30夕食、17:30就寝。山小屋に到着する客足がバラバラな為、何度か目が覚める。
3日目 9月20日(月)曇り
2:00起床、3:00八合目白雲荘~3:29本八合目トモエ館~4:25久須志神社(ここで待機して5:22御来光を見る)~6:40剣ヶ峰△・(3,775.6m)~7:03富士宮口下山道入り口~7:48八合目~8:13砂走館~9:09馬の背~9:17宝永山~9:30馬の背~大砂走り~9:56須山口 二合八勺~10:30御殿場口 新5合目駐車場11:00〈タクシー〉→11:40JR御殿場駅(昼食)12:24→13:10JR三島駅13:48〈新幹線ひかり号〉→15:48JR京都駅、解散
ツアー客が慌しく出発していく横で善哉の朝食。小屋を出ると満点の星空が迎えてくれ、ひと際オリオン座が東の空に輝いていた。山頂まで続くヘッドランプの行列を確認して登頂開始。足元が岩場になっている箇所もあり、注意してツアー客を抜かしていく。
予定より1時間早く登頂した為、ツェルやシュラフで防寒した。日の出前の山頂は氷柱ができるほど寒かった。5時22分、御来光とともに歓声が上がる。
(御来光とともに歓声が上がる)
その後、お鉢めぐりをして最高峰の剣ヶ峰へ。展望台からは影富士がくっきりと見られた。下山は富士宮ルートから大砂走りのある御殿場ルートに変更。途中、宝永山に足を伸ばし、宝永火口を臨む。強風が吹き荒れていた。大砂走りを警戒に下り、無事下山。タクシーでJR御殿場駅へ。三島駅からひかり号に乗車して帰京した。
(展望台からは影富士がくっきりと)
【感想】 52期 小泉 賀奈子
高校時代から「青木ヶ原の樹海から富士山に登りたい」と夢見てきました。今回、こうして実現させてもらえたことに感謝の念でいっぱいです。3日間ともお天気に恵まれ、富士山をフルコースで楽しむことができました。樹海、風穴、雲海、御来光、お鉢めぐり、影富士、宝永火口、大砂走り。下山してから地図を広げると、なんと、富士山を北西から南東に縦断してきたことが分かり、感慨もひとしおでした。
雲海のかなたから御来光の光が差し込んだ瞬間は息をのむほど美しかったです。それまで寒さで震えていたけれど、光と熱とを惜しみなく与えてくれる太陽に、改めてその偉大さを感じました。
また、吉田口から見た富士山は優しい姿をしており、一方、下山時に御殿場口から見た富士山はポッカリと火口にえぐられて荒々しい表情をしていました。これも富士山の魅力なのでしょう。今回行けなかった須走りルートと富士宮ルートは来年計画することにし、また新たな一面を見られることを楽しみにしたいと思います。
今回の企画を「私も富士山に登ったことがないのでぜひ行きましょう!」とバックアップしてくださった秋房さん、3度の高山病に冒されながらもリーダーを買って出てくださった富士山4度目のTさん、大変お世話になりました。来年は、また違うコースで富士山を0合目から目指したいと思います。
(来年はまた違うコースで!)
【感想】 51期 T
富士山は僕の好きな山で、今回富士山へ登るのはこれが四度目になりました。
1合目から富士山に登るというのは、一度はやってみたいことだったのですが、こうして誰かが言い出さないと自分から積極的にやろうとは思わなかったでしょうから、おかげさまで今回はとても良い機会となりました。
3000m級の山でありながら普通の観光客のような場違いな格好の人が数多く訪れ、ご来光を目指す登山者で山頂付近は大混雑。
毎年夏の富士登山の風景ですが、そういう俗っぽいところを嫌うベテラン登山者も多くおられるかもしれん。
しかし山に訪れる登山者も物理法則に逆らっているわけではない以上、自然現象の一部と言いますか、個人的には富士山の姿、現象の一部と思い、それはそれで味わい深いものと思って楽しんでいます。
今回とても感動したのが、雲海の上に影富士が出来ているのがハッキリと見られたこと。美しくて息を飲みました。
それに、とても美しかったのが御殿場口の下山路の異様な光景、そして途中に立ち寄った宝永火口と、宝永山から見上げる富士山の姿です。
富士吉田口とはまったく印象が違い、どこまでも火山灰が降り積もった砂漠のような景色と、その砂漠の上に力強く富士山頂の姿が見え「富士山は火山だ」ということを改めて強烈に感じる風景でした。
さすが日本一の山というか、とても感動する景色がたくさんみられた山行でした。
ありがとうございました。
(吉田口とはまったく印象が違う風景)
【感想】 52期 秋房伸一
山岳会の例会らしく、ひと味もふた味もスパイスのきいた富士登山ができました。1合目どころか“0合目”から登ったのは貴重な体験です。ひとえに小泉さんの富士への想いとTさんの経験のお陰です。
青木ヶ原は、もっと鬱蒼とした茂みで、六字名号(南無阿弥陀仏)を唱えながら歩かずにはいられない所かと思っていましたが、全然予想と違いました。でも、一人では行きたくないですね。
八合目の小屋では安静にしていても脈拍が80を越え、高山で身体に負担が掛かっていたのでしょうが、翌日の行動では何ら不自由を感じることなく過ごせました。
“大砂走り”は誠にエキサイティングでした。“峰高ければ裾野広し”という言葉を実感しました。
古くから信仰登山の対象となっていた山には、やはり人を魅せるパワーがあると思いました。やはり富士は偉大な山です。
("大砂走り"はエキサイティング!)