京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3065  RDBの会 第23回:植生観察 (巨木の観察)京都北山『小野村割岳』

P840m付近までは少し登りが続いたがそこを超えると高低差の少ないなだらかな尾根道となった。尾根を歩いていると人の頭ほどのサルノコシカケ?やアシウスギに別の木が着生してどちらも共存している不思議な木に出会う。

エイリアンの木の前で

”エイリアンの木”の前で

 

 

[№3065] 12月5日(日)

RDBの会 第23回:植生観察

(巨木の観察)京都北山『小野村割岳』

 

48期 國領 孝子

【参加者】CL山本憲彦、SL西田知美、穐月大介、岩波宏、葛城美知子、井上純子、國領孝子、向昌宏(会員外 谷由美子、岩波さんの奥様と2人のお子様)会員8名 非会員4名 計12名

【天候】晴れ

 

【記録】JR京都駅中央郵便局前8:00(車)~9:50佐々里峠登山口~10:10灰野との分岐~10:50(P832m付近)荷物をデポして赤崎中尾根へ行き11:20にP832付近へ戻る~11:52エイリアンの木(昼食)12:20~12:34(P911m)~12:55小野村割岳13:45エイリアンの木~3:15佐々里峠登山口(車)~17:00京都駅解散

 

京都駅から車で約2時間、佐々里峠付近の民家や田んぼは霜がおりて真っ白だった。佐々里峠の駐車場に車を止めて外へ出ると空気は冷えきっていてとても寒かった。佐々里峠登山口のアルミ階段を登り登山開始。登り始めるとすぐにブナ、ホオノキ、ミズナラの大木に出会う。しばらく進むと灰野、佐々里峠の分岐があらわれたが道はすぐ先で合流していた。P840m付近までは少し登りが続いたがそこを超えると高低差の少ないなだらかな尾根道となった。尾根を歩いていると人の頭ほどのサルノコシカケ?やアシウスギに別の木が着生してどちらも共存している不思議な木に出会う。

 

又竜のように折れ曲がったトチノキにも出会う。このような形になるのは、この場所がいかに厳しい冬の自然環境かと感じさせるものであった。P832m付近では雷が落ちた通称『雷杉』に出会う。下部は黒く空洞なのに上部はまだ枝がしげっておりこのような状態でも生きていることに驚く。そこで小休止して荷物をデポして赤崎中尾根を探索。そこにはたくさんのアシウスギの巨木が点在し又枝が地面についたところから成長しているものがたくさん見られた。これはあとで調べると『伏条台杉』というらしい。赤崎中尾根からもとの場所へ戻り30分程歩くとエイリアンの木と名付けられたアシウスギに出会う。この木はスギの根元から4,5m位のところに別の木の根がたくさん絡み合ったものだった。そこで昼食をとり再び歩く。P911mでアシウスギと常緑樹が合体したものに出会う。(この木のスギはすでに枯れているようだ)そこを右にとり20分程歩くと小野村割岳の頂上につく。記念写真をとったあと、もと来た道を足早に戻る。3時すぎには佐々里峠に戻った。

 

今回念願だったアシウスギを見ることができとても感動しました。そして京都の山奥にもこんな自然があることをとてもうれしく思いました。しかし、そこに多くの人が足を踏み入れることにより当然尾根の環境も変わってきているのだろうと思います。私はアシウスギやその他の植生がずっと静かに今までの長い時間をへて生きてきたように、ずっとずっとそのようであってほしいと思いました。

 

 

【感想】52期 向 昌宏

12月の芦生なので寒さが心配でしたが、天気も良くて歩くと暑いくらいでした。佐々里峠までで標高はかせいでいるので小さなアップダウンはあるものの小野村割岳まで快適に歩け

ました。落ち葉を踏みしめて歩くのはほんとに気持ちがいいです。芦生杉のいろんな形と着生植物の様子は何度見てもどうしてこうなるのかといろいろ考えさせられます。

今回は少し立ち寄ってもどりましたが、また機会があれば赤崎中尾根をおりてみたいと思います。

ご一緒いただいた皆様ありがとうございました。

 

【感想】      48期 葛城美知子

初冬の樹林は、ブナ・ミズナラクヌギ・トチが葉を落とし明るくて気持ちが良い。落葉の道を歩くと、芦生杉の大きさと自然が作る造形に圧倒されるばかりです。雷杉の大きな穴、中から覗くと上部は枝を広げ緑の葉が生い茂っている。大きな芦生杉に他種類の木が着生し絡まった「エイリアンの木」や、苔が生えた倒木から新しい木が育つ姿は、屋久島の森と似ている。森の精が居そうで、子供にかえって遊びたくなる。楽しい1日でした。又、違うコースを歩いてみたいです。

 

【感想】      48期 井上 純子

 いろんな形の杉の巨木を眺めながらの陽だまりハイク。落葉樹の葉っぱはほぼ落ちていて、明るく、とても歩きやすい登山道。足の便が悪く、行くことのできなかった小野村割岳ですが、今回参加させていただいて、一日癒されました。ありがとうございました。

 

【感想】      34期  岩波 宏

今回も家族で参加させていただき、ありがとうございます。子供たちが、歩いてくれるか心配でしたが、岳人は、父母よりも体力があり、エイリアンの木や雷杉を見たりして楽しんでいました。美穂は少しずつ歩く距離は増えてきたけれど、帰りはお父さんの背中でうとうとしていました。皆さんで採ったキノコは、我が家はかす汁の中にいれて食べました。おいしかったです。お父さんも日ごろの不節制が答えました。これからも、機会がありましたら、ぜひ参加したいです。

 

【感想】40期 西田和美

 平成17年、近畿地区岳連自然保護連絡協議会が京都で開催されたおり、井ノ口山に伏状台杉の巨木群を観察に行く機会がありました。初めて見た芦生杉のその大きさに圧倒された思い出があります。今回訪れた小野村割岳でも、たくさんの杉の巨木を観察することができました。

 その中でも、特に印象に残っているのが既に寿命を終えた杉の姿でした。倒木となってどのくらいの年月が流れたのでしょうか。横たわった体の上にサクラやタカノツメの若木が育っている姿を見て、尊く、立派で優しい“杉のこころ”みたいなものを感じました。

 

【感想】25期 穐月大介

京大演習林のあたりは木地師しか住まない所で京都の秘境といわれていたそうです。

私は広河原や京大演習林が好きでクロカンやキャンプでもよく行った所で探検できる所がいっぱいです。

今回は西田さんと一緒なので食べられるキノコを教えてもらえるかと思ったらやっぱり!ナメコが採れました!!(ナメコだと教えていただいたのは山本さんですが)キノコって不思議な生き物で、ぱっと見は植物っぽいのに最近では遺伝学的に動物に近いと言われているそうです、何とも美味しいし。

それにしても岳くんは元気ですね、全行程余裕で完走したのには驚きました。

皆さん有難うございました、又よろしくお願いします。

 

【感想】44期 山本憲彦

 初冠雪にあいたいし、いや、あいたくないし…。

あの佐々里峠への道は雪では無理かな?

など思いながら迎えた今年最後のRDBの会の植生観察例会。けれど、この日は最高の自然条件で実施できました。

 今年は、1月の恒例の「愛宕山初詣・新年会」そして、大阪市立博物館、2月は琵琶湖博物館、3月は京大博物館、4月は鷲峰山、5月は剣山―三嶺山縦走、6月は加賀大日岳、8月は甲斐駒・仙丈ヶ岳、9月は鶏籠山・的場山、12月は今回の今年最終の例会「小野村割岳」になります。

 例会に参加されたみなさんには、植生観察とは謳いながら、実際には、十分な観察もできないことも多かったと思います。

 けれども、この例会では、子供達のめざましい成長を楽しみにもできました。岳くん、美穂ちゃんのお二人です。

なんと、今回は岳くんは全行程、先頭集団で逃げ切りました。お見事!美穂ちゃんもよく頑張りましたが、帰りはさすがに、お父さんのザックをお母さんが担いで、その代わりにお父さんの背中で気持ちよくうたた寝をしていました。でも、全行程の2/3は自力で歩いたのは立派です。また二人の来年の成長が楽しみです。

 さて、今年の京都府下の植生観察では、私だけかもしれませんが、京都府絶滅危惧種環境省絶滅危惧II類)に属する「キンラン」と「ギンラン」を見ました。最近は本当にほとんど見なくなりましたが、今年見られたのはラッキーでした。これも採取が原因でしょう。この2種は栽培が困難と言われています。もう盗らないで欲しいと願うばかりです。

 クリンソウ京都府絶滅危惧種)は最近は、北山の谷筋で逆に増えているとよく聞きます。けれどサクラソウ類には伝染性のウイルス病があるので、一旦はびこると大変な事になります。あまり人の手で移植などしない方がいいでしょう。自生群落を大事にしたいものです。

 また、今年はラッキーな事に、「カキノハグサ」(京都府絶滅危惧種)も見ることが出来ました。これは日本にしかない種で、もう盗らないで欲しいですね。

 そのほかに、例会では「ムベ」(京都府絶滅危惧種)を見ました。

 また、RDBの参加のみなさんが、「何でこれが絶滅危惧種?」と言う「ヤドリギ」もよく見ましたね。なぜか「京都府絶滅危惧種」です。丹後半島ではその近くでこの種子を媒介するキレンジャクを見ました。本種は広葉落葉樹にしか寄生しないので、寄生地域全体を大事にしたいものです。

 菌類では、セミタケが京都府絶滅危惧種になっていますが、確か西田さんが京都府内で見られたと言われていました。そういえば、ニイニイゼミも最近見なくなりましたね。

 今年の例会で気が付いたことの一つは、里にしかなかったナガバヤブソテツが深い山中にもはびこっていたことでした。中部の国立公園地域に登山者の持ち込むオオバコ(足の裏で運ぶという意味の学名がついている)が高山植物を追いやっていることも問題になっています。植生は人の手によって大きく簡単に変わっていく事も多く、山の中に大量の人数で一挙に入ることは問題だと思います。大量でワイワイガヤガヤと歩きたいなら、町中をウォーキングすれば済むことです。わざわざ足で植生を乱しながら大量に山に入る必要はないのではないかと、今回の例会で入れ違った30人近いグループの人たちを見ながら心深く思ったことです。

 ぼやいていても仕方がない。

さて、来年はRDBの会は、メインの活動を京都府下の植生観察に戻します。一昨年に大江山にて観察を行いましたが、すばらしい植生をもつ山でした。丹後半島京都府下一のブナの巨樹をみましたが、京都府の北部にはまだまだ見つけられていない植生も多いと思います。また見るべきものも多いと思います。同時に歴史なども勉強できれば最高です。

 したがって、植生観察の地域を、前から課題の京都府北部地域に絞ります。年間予定は、RDBの会・忘年会ないし、会報1月号にて発表します。

 みなさん、今回はお疲れ様でした。そして、今年一年間、RDBの会の活動に参加してくれたみなさん、ご協力ありがとうございました。どうぞ、来年もよろしくお願いします。

 

小野村割岳山頂

小野村割岳山頂

 

雷杉にて

雷杉にて