京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3119 第30回 RDBの会 鬼ヶ城・烏ヶ岳

電波塔だらけの烏ヶ岳山頂を経て印内口に下る途中、今度はみごとなヤマアジサイの群落を発見!手入れの行き届いた観音寺の紫陽花とはまた一味違う、凛とした野生の美しさがありました。

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[NO.3119]第30回 RDBの会 鬼ヶ城・烏ヶ岳

【記録】40期 西田和美

実施日:平成23年6月19日(日)

天 候:曇り時々晴れ

参加者:山本憲彦(L)、西田和美(SL)、四方宗和、岩波宏、四方真知子、山本浩史、奥野淳子、岩坂弘 

    以上会員8名 谷由美子、岩波昌美、岩波岳人、岩波美穂、会員外4名

コースタイム:観音寺(10:30)→鬼ヶ城山頂(11:34~12:00)→烏ヶ岳山頂(12:51)→印内口(13:49) 

 

 玉のような紫陽花の花が美しい観音寺を後に、サワガニの歩く森を抜けて鬼ヶ城を目指しました。山頂付近はメモリアルの森と呼ばれ、何の記念か分かりませんが、植樹されたらしい桜が並んでいました。360度の展望を楽しみながら大休止。次に目指すのは烏ヶ岳です。途中、林道脇の林の中にオニノヤガラが2本、ニョッキリと出ているのを発見!京都府レッドデータブックで準絶滅危惧種に指定された種子植物142種の中の一つです。手袋を外し、弾力のある柄にそっと触れてみました。感動!

 電波塔だらけの烏ヶ岳山頂を経て印内口に下る途中、今度はみごとなヤマアジサイの群落を発見!手入れの行き届いた観音寺の紫陽花とはまた一味違う、凛とした野生の美しさがありました。

オニノヤガラ:Gastrodia elata Blume ラン科 オニノヤガラ属 ナラタケ菌と共生している腐生植物で、山野の林内にはえ多年草。地下の塊茎は長楕円体で肥厚している。茎は直立し高さ1m位。塊茎は天麻と呼ばれる生薬になる。

【観察した主な植物】

エゴノキ、ウツギ、ヤマボウシ、イワガラミ、ヤマアジサイ、ホタルブクロ、ヤマツツジ

マタタビ、ササユリ、フタリシズカウツボグサ、ウリハダカエデ、アカメガシワ

スイカズラ、ニワトコ(赤い実)、クリ、オニグルミ、オオセミタケ(冬虫夏草) など。

 

「感想」   50期  奥野 淳子

知らない花の写真を撮って、山から戻って図鑑をめくる。すぐに忘れてしまうから、何度も繰り返し楽しめる。一生懸命に咲いている。名のある花も名も無い花も。

 

「感想」44期 山本憲彦

今年は京都府北部の山々を巡ります。と言ったものの実は…の一部は少しは涼しかろうという期待もあってのことだったのを白状します。

 しかし、今年の暑さはどうですか?……それにもかかわらず、たくさんのメンバーが例会に参加してくれました。もともと植生観察をしながら山に登るので、ゆっくりとしたリズムが好きなメンバーには好評ですが、さっさとピークを踏みたい人には一種の我慢を強いることになるかもしれません。

 地図を開いてみてください。鬼ヶ城・烏ヶ岳を中心に、東に長老岳・弥仙山、北に由良ヶ岳、西に三岳山・大江山がすぐ目の前にみえるように 感じます。実際に当日は梅雨の真っ最中にもかかわらずかなりの範囲で見渡すことが出来ました。京都府北部の山々を巡るにつけてもそのラインはいつも由良川の流れと共にあります。今回も由良川はしっかりとこの二山の東から西へそして福知山をかすめて北へと蛇行してゆったりと日本海に向かって流れているのが分かります。

 四方さんが、由良川の流れを指さして、「あのこんもりとした山の向こうあたりがうちやなあ…」と言われたように、生活と密着した大河を取り巻く山々の上に我々はいるのでした。

 時間の関係で、奈良時代に開山という観音寺にお参りしてそこのアジサイをゆっくり見ることは出来ませんでした。鬼ヶ城のトラバースの道はすでに木が生い茂り、樹林下のようすがよく分かりません。時期的に言えば、マタタビヤマボウシやイワガラミなどの白い花が咲いているはず。山頂まで行って初めてこの3種を確認しました。ウツギがまだ咲き残っていました。ここにはタニウツギは見あたらなかったようです。

実はウツギは、ユキノシタ科ウツギ属。いわゆる「卯の花」と言われるウツギ、伊吹山に見られるヒメウツギ、まれに見られるマルバウツギ、ウメウツギ、バイカウツギなどがあります。いずれも白花です。この3種はわたしの大好きな花です。ウツギ(空木)という名前はその幹の中に空洞が見られるので付けられたのでしょう。

 また、ピンクのタニウツギは、スイカズラタニウツギ属になります。ニシキウツギやハコネウツギもあります。ツクバネウツギ(多種あり)や生け垣によく見られるハナゾノツクバネウツギ(アベリア)などもあります。

 また、ガクウツギはこの時期の花としては大好きな花の一つです。去年うっそうと茂った森の中で青白く照り輝くこの花びらの塊を見たときは相当に興奮してしまいました。別名「コンテリギ」とも言うそうです。一度見てください。今回は見あたりませんでした。

 昼食後、いったん下って隣の烏ヶ岳へは下の林道に出なければなりません。強引に林道に下りました。そのおかげで西田さんが京都府絶滅危惧種オニノヤガラを見つけたのですからケガの功名です。ナラタケと共生している腐生植物の一種です。そして、電波塔だらけの山頂の三角点にタッチした後、印内に向かって下ります。南に面した谷の斜面に見事なヤマアジサイが群落を作っています。すばらしい。ヤマアジサイは装飾花(周りに花びらのように見えているがくへん)の色が気温や土壌の質などの緒条件によって七変化するようです。青系から赤系、さらに赤紫系まであります。以前に白馬岳に行くときに猿倉で見た真っ青なエゾアジサイの群落は忘れられません。その色にも劣らないほどのすばらしさです。

 アジサイこそ日本が誇るべき花のひとつです。19世紀には日本のアジサイが初めてヨーロッパに持ち込まれて、品種改良の好きな彼らによって改良(?)されたいわゆるセイヨウアジサイが日本にその後持ち込まれたのです。アジサイは西洋が本場と思っている人たちも多いと思いますがそれは違います。六甲山で見つかったシチダンカを命を賭けてまで持ち出そうとしたのがシーボルトであったことを考えるとよく分かります。(シチダンカの原種は六甲高山植物園に見本木があります。)

 今回の例会での植生観察は、それほど種類は多く無かったのですが、梅雨の合間の晴れた時に実施できました。参加したみなさん、お疲れ様でした。

次回のRDBの会の例会は9月からとなります。ご注意を!次回「養老山・三国山例会」は9月18日(日)に変更しました。

また、「感想」はお知らせした期日までに送って頂いたメンバーのみを掲載とさせて頂きました。ご了解ください。

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