「小屋から先は通行禁止になっている。小屋のスタッフがそうしている。自分たちは昨日頂上に登って降りてきたが、岩が薄い氷に覆われていて、アイゼンもピッケルも効かない。午後になったら氷が溶けるかもしれないが、それだと時間的にアウト。(規制があろうとなかろうと)どちらにしても登れない」とのこと。
写真:「試練と憧れ」碑の前にて
[No.3145] 剣岳 早月尾根ワンデイ
日程:10/8(土)快晴~10(日)快晴
<参加者>
CL秋房伸一、加藤一子、富岡慶子、上坂淳一、向昌宏、秦谷耕平
会員6名
<記録>
10月8日(土)
ロッジ前9:40=10:00山科駅前=16:00馬場島(幕)
快晴の下、朝ゆっくりの出発。今回の山行はワンデイのために前後それぞれ1日を移動に使うという贅沢なプラン。秋晴れの下、オープンカーで快適なドライブ。
10月9日(日)
2:30起床、3:30出発→5:20(休)1400m表示地点→7:30早月小屋(伝蔵小屋)7:50→8:30 2450m地点(引き返す)→9:10早月小屋9:30→10:50 1400m表示地点(休)→12:10馬場島=(入浴)(夕食)=京都
快晴で満天の星、絶好のコンディションの中、予定どおり3:30に出発。テント等はデポしたままなので荷物も軽い。ヘッドランプを頼りに歩く。オーダーは秋房・富岡・加藤・向・秦谷・上坂。
道はしっかりしているので、特に問題はなく、途中衣類の調整をしたが、最初の休憩は1400m地点。
早月尾根は急登で有名だが、荷物が軽いとこんなにも楽なのかと思う。皆、調子は良さそう。
早月小屋の手前で、クラックスの知り合いの人とすれ違ったところ、「小屋から先は通行禁止になっている。小屋のスタッフがそうしている。自分たちは昨日頂上に登って降りてきたが、岩が薄い氷に覆われていて、アイゼンもピッケルも効かない。午後になったら氷が溶けるかもしれないが、それだと時間的にアウト。(規制があろうとなかろうと)どちらにしても登れない」とのこと。その人たちは登攀具も身につけフル装備だった。
標高のせいか、小屋の手前から気温がどんどん下がり、ウール手袋をしていても冷たくて指先が痛く感じる。日向になると、一気に暖かいが。
小屋のスタッフは強硬に通行禁止の旨を皆に話している。
「引き返しますが、行けるところまでは行ってみます」と小屋番に言い、小屋から小一時間登った小ピークで引き返した。
昼には馬場島に降り、当日の夕飯予定であったスパゲティをつくり、帰路についた。午後でも雲が出ず、抜群のコンディションであった。馬場島の幕地が快適であったのが救いである。
写真:剣岳を正面に見る
【感想】 54期 秦谷 耕平
京都比良山岳会に10月上旬に見学にお邪魔して間もなく、次の週にもかかわらず例会に参加させていただきました。
10月8日、9時に山科駅に集合して挨拶。みなさんほぼ初対面に近い。お洒落な車に乗っておられるのが向さん、トレイルランに取り組まれている女性が富岡さんと加藤さん、今回のリーダーで車をだしていただいているのが秋房さん、今回お誘いいただいたのが上坂さんである。
車に乗せていただいて一日かけて馬場島へ。メンバー6名で夕食を囲んだ後、早々に眠りにつく。
翌朝は2時半起床、3時半に出発。ヘッドライトをつけて黙々と登り始める。
早月尾根は標高200mおきに標識があって目安になってくれるのだが、1551mのピークに1600mの標識がなぜか設置されているところもあったりする。
夜が明けると北方にどっしりした赤谷山を望む。夏道はないそうだが登りたい意欲をかきたててくれる。
写真:赤谷山
標高2000mを超えると手先が冷え込んでくる。池塘を過ぎてしばらく歩いたところにある早月小屋は標高2200m、約4時間で到着。南の方角には大日岳、立山川、室堂方面を望む。
小屋の主人からは「今日は2400mから上は凍っていて登れないよ」とアドバイスを受ける。気温は3度とのこと。テントには霜が下りている。時間が経てば少しは寒さも緩むだろうか。
文句のつけようもない晴天なのだが、2400mまで登ったところで登山道が氷結を始めいよいよ足元が怪しくなってくる。冬山の装備で臨まないと、これ以上は危ない。
リーダーの判断のもと、2400mの標識を過ぎたところで引き返すことにする。
標識を少し過ぎたピークからは、9月の連休に訪れた白馬岳がうっすら雪化粧しているのが見える。まさか2週間後に剱の稜線から白馬岳を望む贅沢に浴するとは思ってもいなかった。
景色を堪能したあと早月小屋に戻る。荷物が軽いので下山は早い。馬場島の「試練と憧れ」の碑の前で記念撮影をして、富岡さんに準備いただいたパスタとサラダで昼食とする。
馬場島は快適なキャンプ場でありながら水・トイレ完備、しかも無料。管理棟では風呂に入れるだけでなくビールも調達できるとのこと。登山目的でなくても訪ねてみたいキャンプ場であった。
帰りは上市町の温泉で疲れをほぐして、上坂さんの案内で氷見の「きときと寿し」本店へ。地元の港で獲れたネタを出してくれる回転寿司らしからぬ店だった。
京都の自宅には日が変わる前に到着。楽しい休日が終わった。
ここ3、4年、怪我や環境の変化などが重なってしばらく山から遠ざかっていましたが、今回みなさんと剱岳にご一緒して、少しずつ自分の心の中にある山に取り組んでいきたいと思いました。
これからもよろしくお願いします。
【感想】52期 秋房伸一
最高のコンディションでしたが、氷結による、まさかの敗退。剣岳おそるべし、だと実感しました。