京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3146  南アルプス:塩見岳

強い風がびゅーーーびゅーーーと雨雲を吹き飛ばす。どんどん吹き飛ばしていき、気が付けば一面青空に。奇跡のV字回復です。道はだんだん岩岩になっていき、変化にとんだ楽しいコースです。そしてついに塩見岳の西峰に到着。

 

写真2塩見岳山頂にて

写真 塩見岳山頂にて

 

 

[№3146] 2011年10月14日夜~16日

南アルプス塩見岳

 

【参加者】CL奥野淳子 SL辻野喜信 井上純子 鹿嶽眞理子 計4名

【天 候】 雨のち晴れ

【記 録】 54期 鹿嶽眞理子

【コースタイム】

10/14(金)京都駅発21:00~SAにて車中泊

10/15(土)SA~6:15鳥倉林道ゲートP6:40~7:18鳥倉(豊口)登山口~豊口山間のコル8:25~水場9:15~塩川分岐9:55~10:23三伏峠小屋11:05~三伏山11:23~12:20本谷山12:30~塩見新道分岐14:00~塩見小屋14:25

10/16(日)4:30起床~朝食5:00~塩見小屋出発7:40~塩見岳西峰8:57~9:08塩見岳東峰9:35~10:35塩見小屋11:05~塩見新道分岐11:15~12:55本谷山13:30~三伏山14:30~分岐14:43~14:48三伏峠小屋15:00~塩川分岐15:15~水場15:38~豊口山間のコル16:15~鳥倉(豊口)登山口17:02~鳥倉林道ゲートP17:45 赤石荘にて入浴後帰路に着く 京都駅23:30

 

10/14(金)

雨の中、京都駅八条口を21時に奥野さんの運転で出発。道中もずっと雨が降り続く。途中辻野さんも運転していただき、SAに到着。奥野さんが用意してくださっていた毛布にくるまって車中で仮眠。

 

10/15(土)

しっかりと降り続く恨めしい雨。パーキングに着いてもぱらぱらと。雨具上下をしっかりと着込み、ザックカバーもつけていざ出発。雨にかすんで遠くは全く見えないが、林道の紅葉は見事で、目を楽しませてくれる。どうやら今、紅葉のピークはこのあたりのようだ。40分ほどで登山口に着く。山に入るとカラマツ帯で、もう紅葉は見えない。しかも雨。もくもくと登っていく。          

 

豊口山間部のコルを過ぎ、しばらく行くと水場がある。設置してあったコップで水をいただく。まったりと甘みを感じる美味しい水だった。さらに先へ進む。途中細い丸太を組んだ階段や桟道が沢山あった。雨で滑りやすいかもと用心深く足を運んだが、有難いことに滑るところはなかった。

 

塩川分岐を過ぎ、日本で一番高い峠といわれる三伏峠にたどり着く。ここには三伏峠小屋がある。今日初めて雨をしのげる場所であった。小屋に入ってしばらく休憩。小屋を出てテント場の右側を下り、すぐに三伏山の山頂に飛び出す。道を下り鞍部を過ぎると登りになり、やがて本谷山の山頂に着く。景色もほとんど見えず、雨も降りやまず、皆、ひたすらせっせと歩く。

 

塩見新道との分岐を過ぎ、最後の登りに入る。尾根は風が強く、うっかりすると吹き飛ばされそうだ。ああしんどい、そう思っていたら、いきなり塩見小屋が目に入る。やった~!たどり着いた~!心底ほっとした。この日の小屋のお客は、われわれ4人と、男性2人組と、単独男性の7人のみだった。この天気だもの、中止にした人も多かったのだろう。

 

一日雨の中を歩き続けたので、靴の中はびしょびしょ。服もしけしけで寒い。こんな雨のときはやはり着替えを持ってくるべきだったかも。夕食を5時に頂く。なかなかおいしかった。消灯は6時半。冷えて寒かったので、一枚余分に毛布を着て眠りについた。

 

写真1小屋閉めの朝

 写真 小屋閉めの朝

 

10/16(日)

あまり眠れなかった夜。ずっと外は台風かと思うほどの強風と雨。びゅ~~~~~、ざ~~~~!!! とろとろと寝ては目が覚める。何度目覚めても強風と雨。だめだ、これじゃ山頂に立っても何も見えない。絶望感でいっぱい。4時半起床だったが、私は朝食時の5時まで寝転んでいた。朝ご飯は美味しかったが、この間も雨は降り続く。やっぱり無理か? しかし、宿の方のお話だと、今日の天気予報は晴れとのこと。今はこんな天気ですが、もう少し待てば雨は上がるでしょう。可能な限り待って登ってはどうですかとのご提案。我々のグループもほかの人たちもだいたい同じ結論に達した。どんなに遅くても8時。できれば7時半には出発したい。体調のすぐれぬ私は、もう一度寝床に潜り込む。

 

7時過ぎにようやく雨が上がった。上がったとはいえ、まだ雲が深く垂れ込めている。時間も押してきたので、天気の回復を祈りつつ出発することになった。しばらく歩いていると、ありがたいことに雲が少しずつ切れてきた。強い風がびゅーーーびゅーーーと雨雲を吹き飛ばす。どんどん吹き飛ばしていき、気が付けば一面青空に。奇跡のV字回復です。道はだんだん岩岩になっていき、変化にとんだ楽しいコースです。そしてついに塩見岳の西峰に到着。

 

山頂に立ったら、なんと目の前にどどんと大きな富士山が!大迫力です。これが見られただけでも大満足です。遮るもののない360度のパノラマも素敵。ところで、三角点があるのはこちら西峰ですが、実はすぐそばの東峰のほうが少し標高は高いのです。東峰へ行き、ここで小休止・記念撮影などをしました。そして塩見小屋に戻っていきます。塩見小屋からは、出発するときには見えていなかった塩見岳がよく見えます。ちょっととがった感じの塩見岳と天狗岩が並んでいい感じです。少し休憩を取り、下山を開始します。

 

写真3塩見岳をバックに本谷山

写真 塩見岳をバックに本谷山

 

雨の中を登った時には見えなかった景色が綺麗です。塩見岳が何度も見えます。本谷山でちょっと遅めのお昼休憩。ここでも、塩見岳がしっかり見えたんですね。三伏峠小屋でトイレ休憩をし、ここを出発をしたのが15時。日没までには、登山口へ下りたい。少し足を速めて歩く。

西日が差し、斜面は明るい。カラマツ林が夕日を受けてきらきらと黄金色に輝く。なんと見事な光景だろう。写真に収めるが、果たしてあの美しさは表現できているだろうか? 17時2分、ほぼ予定時刻に登山口にたどり着いた。あとは林道である。夕映えの中、紅葉を愛でつつ歩く。昨日より少し色濃くなったように思う。しばらく歩くといよいよ日没である。夕日が空を染めて沈んでいく。夕闇の迫る道を足早に鳥倉林道ゲートパーキングへ戻った。

 

写真4遠くにかすむ恵那山??

写真 遠くにかすむ恵那山??

 

さてさて、その後の温泉であるが、この近所にある唯一の温泉、赤石山荘に行った。ここ、露天風呂とのことであるが、いやいや、確かに露天風呂に間違いないのだが、洗い場までが露天なのだ。あまりに寒いので、そそくさと体を洗い湯に飛び込むことに。温泉はまったりといい湯でございました。

 

 

【感想】     54期 鹿嶽眞理子

土曜日の降水確率80%で、山行はないものと思い込んでいたら、決行の知らせ。あわてて医者へ行き、熱が下がって間もない体に鞭打っての山行でした。何度も何度も咳き込み、皆様にご心配をおかけし申し訳ありませんでした。土曜日の一日降り続く雨には参りましたが、リーダーの読みのすごさにびっくり。日曜日の驚くべき天気の回復、そして素晴らしい塩見岳の景色にただただ感動しました。参加できてよかったです。

 

写真5塩見岳

 写真 塩見岳

 

【感想】      48期 井上 純子

 今回の山行で、悪天候時の決行判断について考えました。降水確率が80%だろうと90%だろうととりあえず現地に赴くのが、私の山行スタイルですが、常に慎重な判断と万全の準備が求められるものと思います。コースを考え、メンバーの体調を気遣うなど考えるべき点が多かったですが、リーダー、サブリーダーの行き届いた配慮と的確な判断で、楽しく、かつ気持ちのいい例会でした。ありがとうございました。

 

写真6仙塩尾根

 写真 仙塩尾根

 

【感想】       36期 辻野喜信

 南アルプスのほぼ中央の塩見岳からの展望はやはり素晴らしかったです。北に甲斐駒ケ岳仙丈ヶ岳北岳。仙塩尾根がずっと見渡せました。南には富士山。笊や聖も見えているのかもしれませんが分かりませんでした。西には中央アルプスが横たわっていました。北アルプスは雲の中でした。 恵那山も見えているはず。

 下山した林道付近の紅葉と沈む夕日もきれいでした。

 初日の雨で少し冷えたのか、二日目は完全にばててしまい皆さんの足をひっぱってしまいました。塩見岳に「もう無理するな。今度だけは雨雲を吹き飛ばし3000mからの360度の展望をプレゼントしてやろう」と言われたように思いました。

 皆さん有難うございました。

 

【感想】       50期 奥野淳子

 雨に打たれ風に吹かれて体力を消耗しましたが、最後まであきらめない皆さんのお蔭で、山頂を踏み無事下山できました。何事にも動じず太っ腹な辻野SL。「雨の日には雨の日の楽しみを見つける」と井上純子さん。風邪と闘いながらの鹿嶽さん。皆さんに支えられ励まされた山行でした。

 「ゆっくり歩くアルプス」例会は高度を下げてアルプス以外も歩く例会として続けたいと思います。またよろしくお願い致します。