播州の紅葉を求め日名倉山、段ヶ峰の関西百名山2座を巡った。夜は龍野市の西田さんの実家に泊まり楽しい夜を過ごした。
写真(11/13): 段ヶ峰山頂にて
[個人山行] 関西百名山シリーズNo58・59 西田邸に泊る日名倉山・段ヶ峰
平成23年11月12日(土)~13日(日) 48期 山本浩史
播州の紅葉を求め日名倉山、段ヶ峰の関西百名山2座を巡った。夜は龍野市の西田さんの実家に泊まり楽しい夜を過ごした。
【参加者】 山本浩史L、西田和美、葛城美知子、井上純子、奥野淳子、亀島文子 計6名
1日目(11/12): 日名倉山
【行 程】 京都駅6:35=京都南IC =(名神・中国道)=山崎IC=9:50エーガイヤ温泉=10:02ビジターセンター跡(車デポ)=10:12エーガイヤ温泉10:20~11:12林道終点11:19~11:50奥海越~12:22一の丸~12:30二の丸~12:36日名倉山13:13~13:54ビジターセンター跡14:02=14:15エーガイヤ温泉15:10=17:01△西田さん実家(前川邸)
【登山データ】 天候:晴れ一時曇り 歩行7.0? 3時間34分 延登高 766m 延下降 406m 3座登頂
10月から週末ごとに雨が降っていたが久しぶりに晴れの週末を迎えた。早く皆が揃ったので予定より5分早く京都駅を出発した。中国道のいつもの渋滞に掴まりで予定時刻より30分遅れて西宮名塩SAに到着、長岡京駅で奥野さんをピックアップして来る亀島車を待った。宍粟市千草町のエーガイヤ温泉に到着すると遅れを取り戻すため下山後の林道歩き省略を目論んで国道429号線志引峠近くにあるビジターセンター跡に車を回送した。7人乗りの亀島車をデポし、エーガイヤ温泉に戻り集落を抜けて日名倉神社を目指した。“雛倉”という表札が目に付き、日名倉山と音が同じで何やら由緒有り気な苗字に興味を持った。
日名倉神社で人家は途切れ、田畑の畦道然とした林道を進むと両側から樹林が迫って来て獣除けのフェンスに通行を阻められた。扉には鉄製の閂が下ろされ開けて入り中から此れを下ろすのに一苦労した。西山川に注ぐ本流は奥海越に源を発し林道も谷をなぞる。標高600mで林道が終わり登山道は先の細道へと入って行く。相変わらずの谷道で標高が上がると右岸の伐採された斜面が現れ食害防止のネットが張られているが壊れてかなり中途半端になっている。
やがて瑠璃寺からの林道に飛び出し奥海越(800m)へと到る。瑠璃寺は西田さんが行った事があり猿が幅を利かせ食べ物を見るとひったくりに来るとかで怖かったそうだ。林道が交錯している。ここでミッション1 「一の丸にコンパスの方向を合せる」を行う2.5万図で方向を定めて指し示した方向は何と元来た道。“どう云うこと!?”と皆いぶかしむが地図上でも鋭角に折り返す所で実は一の丸への取り付きは20mほど先で合わせ直すとコンパスどおりの方向に登山道はあった。一の丸へ向けては植林帯の北微西の方向へ直線的に進む、展望のない針葉樹林で余り面白くない。日名倉山は本峰が三の丸で上から順に二の丸、一の丸となっている。普通なら本峰を本丸あるいは一の丸とするのが常識なのに何故だろう?山頂には真新しい石標に「一の丸 400米 上山 勝」と書かれ、この“米”は標高ではなく日名倉山までの残りの距離で、その下の名は寄進者なのだろう。標識にも一寸違和感がある。
一ノ丸の標高は約990mでこの辺りの稜線はススキが気持ち良くススキの向こうに二ノ丸と日名倉山が望める。二ノ丸は標高約1,020m、あと210mと同じ石柱の標識にあった。こちらはまた違う人の名が刻まれていた。さしたるアップダウンも無く三の丸に到着、此れが日名倉山本峰(1,047m)だ。一際大きい例の石柱と宍粟50名山を示す金属製の山頂標識が迎えてくれる。日名倉神社の奥宮なのだろうか小さな祠が鎮座し傍らには1等三角点「雛倉山」がある。“雛”の字が使われているのは、苗字を含め室集落で古くから使われていた表記であったのではないだろうか。山頂には6、7人の子供連れの先客、岡山側のベルピール自然園から登ってきたようだ。遅めの昼食を済ますころ雲が出てきてじっとしていると寒くなってきた。寒さに負けず用意したミッションを二つ後山と那岐山を山座同定する。後山はすぐ北側の山で簡単に同定でき、西の方にある那岐山はツインピークのどちらが山頂かと云う所まで同定できた。(右側が主峰だった)
此処は兵庫と岡山の県境の山で下山は北北東に続く県境尾根を行く。下り口を探すが踏み跡程度しかなく、ワクワクして踏み出すがベルビー側に少し行った所から道があったようでやがて階段の整備された道に出てしまった。鹿除けネットが倒れ掛かり歩き難い部分もあったが良好な整備状態だ。県境尾根と分れ岡山県側に下りると林道に飛び出した。50mも進むと亀島車のデポ地点・ビジターセンター跡に到着した。此処は宮本武蔵の山牢跡で立派な石碑と吉川英治の小説「宮本武蔵」の山牢の行(くだり)が案内板に書かれていた。東粟倉ビジターセンターは平成10年に出来た立派な施設だったがつい最近廃止になりきれいに更地化している(平成21年6月の記事にはあったが1年後の記事には跡形も無かったとされていた。
亀島車に乗り込みエーガイヤ温泉に向かい汗を流した。風呂上りに張り紙を見て愕然! 「温泉汲上げポンプ故障のため地下水を利用しています。」、アイスクリームを食べて気を取り直して一路龍野市を目指す。市内のマックスバリューで食材を仕入れ西田さん実家に到着した。築80数年の風格ある建物で、白い碍子に張られた電線が歴史を感じさせてくれた。お庭の手入れは行き届き広い離れは今では犬のマク君専用になっているようだった。冷蔵庫にあったエビスビールに葛城さん提供の白ワイン、亀島さん提供の赤ワインで楽しい夕餉のひと時を過ごさせて頂いた。夜は座敷に敷いたシュラフに潜り込みぐっすり眠った。
2日目(11/13): 段ヶ峰
【行 程】 △西田さん実家(前川邸)6:55=(山陽・播但道)=生野IC=7:58生野荘跡=8:18駐車地点(車デポ)=8:27生野荘跡8:36~9:18達磨ヶ峰9:24~9:54 P915~10:41フトウヶ峰10:54~11:29段ヶ峰11:55~12:22杉山12:30~12:56林道出合~13:21千町峠~14:53駐車地点14:56=15:08生野荘跡=16:02和田山・奥香の湯17:20=和田山IC(北近畿・舞鶴道)=南丹篠山IC=千代川IC=(京都縦貫道)=19:42京都
【登山データ】 天候:晴れのち曇り 歩行15.0? 6時間17分 延登高 923m 延下降 823m 4座登頂
もう寝ていられなくなって朝5時に起床、朝食とお昼のおにぎりを女性陣が準備してくれ巨大卵焼きと昨日の残りのおかずを平らげ食後のコーヒーをよばれ西田さんのご両親とマク君に見送られて出発した。生野ICを下りるとすぐ最近出来た栃原トンネルで一気に栃原集落に抜け、生野高原ゴルフ場や別荘のある高原地帯に入った。生野荘跡で皆をおろし、亀島車と山本車は下山口へ車を回送に向った。千町峠の先の杉山南西尾根先端に車を置こうと目論んでいたが高原の西側で集落に下りる道が分岐する所で通行止めの看板が傍らに立っていた。行ける所まで行ってみようと通行止めを越えると簡易舗装がダートになりひどい道になったので先は断念し生野荘から3.2?の地点で亀島車をデポした。残りの6.7?は帰りに歩くしかない。
生野荘跡登山口にはバイオトイレが設置され5台程の駐車スペースがある。戻って来ると車の数が増え残留組が死守してくれたスペースに山本車を入れた。そして皆に駐車地点を告げると明らかに「え~」と云う視線が帰ってきた。登山口には「熊出没注意」の看板、そんな物は気にせずに奥野さんを先頭に登山道に踏み出した。最初のピーク達磨ヶ峰(913m)はススキの原っぱで高原状の稜線が一望できる。3等三角点「勝負沢」があるが山頂標識は薄れて判読不能になっている。傍に小さな私製の標識が掲げられていたがこれも薄れかけ一寸寂しい。
段ヶ峰への道は北東方向に向けてうねうねと続き、深い鞍部もなく本当に気持ちのよい稜線が続く。今日のミッション1「P915を特定する」はフトウヶ峰との間にある913mの標高点で小ピークを幾つか越えた先にある。配布した2.5万図を見ながら越えるピークを数え登山道が北に向くともうすぐだ。再び西に進路を変えた処の小高い丘(地図の白い△)がP915と特定することができた。
もうひとつ小ピークを越えると目の前にフトウヶ峰が聳え最大の登り返しで200m登る。フトウヶ峰(1,082m)はススキの草原の山として有名であったが、今やススキは何処へ? ササが蔓延りすっかり植生が変わってしまったようだ。山頂の250m程東に4等三角点「倉谷」(1,072m)があるが、平成19年8月に設置されたばかりで2.5万図にはまだ載っていない。ササ原に変わっても360°の展望に変わりはなく段ヶ峰が倉谷を隔てて一段と近づいた。ここでミッション2 「日名倉山」を山座同定だが、段ヶ峰に遮られて見えず代りに氷ノ山の同定を行った。そしてもう一つのミッション「段ヶ峰までの所要時間を予想」は、距離1.9?、標高差はほぼ平坦と言える位のもので指導標には45分と記されている。そのままの45分は禁止して所要時間を予想してもらうと35分から50分の答えが出た。今回は余り読図から出てきた答えではなさそうな気がするが止むを得まい。
生野町と朝来町の町界尾根(今は合併し朝来市となり町界尾根は消滅)に乗り見晴らしよく段ヶ峰を目指すが境界の少し南に登山道はついている。ガイドブックなどでは段ヶ峰(1,103m)は“だるがみね”と読ませているが西田さんの説によると地元では“だんがみね”と読んでいるそうだ。因みに“ダルガ峰”というカタカナ名の山は、岡山県境後山の北にある。其れはさて置き、段ヶ峰山頂に到着、所要時間は立ち止まりのロスタイム1分30秒を差し引き33分17秒で皆ゆっくり目の予想を指定しまし奥野さんの35分が一番近かった。山頂標識が二つ、一方は1,103m、もう一方は1,106mと異なる標高を表示している。国土地理院の最新の成果情報では標高1,103.41mとなっているので宍粟50名山の標識は正しく、間違っている方は「第19回JR西日本登山大会云々」の表記があるもので何とも恥ずかしいものだ。そして宍粟50名山の標識には「だんがみね」とふり仮名があった。
360°の展望を楽しみながら昼食を摂った後はバリエーションの杉山を目指す。段ヶ峰の北にある2等三角点「段ヶ峰」を通って福知川源頭の鞍部を通り朝来市と宍粟市の市境の尾根を行く。藪漕ぎかと楽しみにしていたがしっかりした道があり、此れでもかと云う位テープがあり拍子抜けだった。杉山(1,088m)山頂には宍粟50名山の立派な標識があり稜線の北方にも踏跡は続き笠杉山に行けるようだ。東側には段ヶ峰が平たく横たわり、フトウヶ峰で見えなかった日名倉山を山座同定したが今一自信を持てなかった。
下山は林道への最短の尾根を下るが入口は赤テープに導かれたが後は地図とコンパスを頼りに200mの標高差を下った。結構傾斜のきつい所もあったが際どい所は無く、適度にルートファインディングを楽しませてくれた。千町・段ヶ峰林道は予想のイメージとは違い数年前に整備された立派な舗装道路だった。ここからは覚悟の上の林道歩きだが6.7?は長い。千町峠(970m)までは上りで後は下りとなる。峠は開けて展望がよく傍らには悠友山荘があり、看板には「毎月第1土曜日 宿泊可 要予約」とあった。小屋の入口が段ヶ峰登山口で朝来・宍粟市境尾根の登山道に繋がる。また南側は平石山への登山口で車が数台置かれていたが正式には何処から来るのだろう?
千町峠を越えると林道は簡易舗装道とダートを繰り返しで走る車もなく落葉が積もっている。大きく括れた倉谷を二等辺三角形の両辺をなぞり大きく迂回する。急峻な谷だが沢登りコースとされている。向こうからカメラを持った小父さんがやって来た。一体何をしているのだろう? 次の大きな谷は杉谷でフトウヶ峰への一般登山道が分岐している。杉谷を回り込み暫く進むと道がひどいダートになり亀島車デポ点に到着した。結果的に此の林道は全線支障個所無くダートさえ我慢すれば走行可能、現に単車は走っていた。ゴルフ場付近を走っている時、男女二人の
登山者が歩いていた。段ヶ峰山頂で出会った二人で杉谷登山道を下りてきたそうだ。
生野荘跡に戻り黒川温泉に立ち寄る予定だったが、山本車のガソリンが残り少なくなりスタンドを探すが日曜お休みの店ばかりで消防署で6?和田山寄りのスタンドなら開いているとの情報で北に走り給油することができた。黒川温泉に戻るのも何なので和田山の奥香の湯に立ち寄った。北近畿豊岡道を通って帰ることにしたが亀島車と離れ離れになってしまい自然解散となってしまった。 《山紀行750》
【登山データ計】 歩行22.0? 9時間51分 延登高 1,691m 延下降 1,231m 7座登頂
【感 想】 48期 葛城美知子
日名倉山は、林床のミツマタ大群落が印象に残りました。蕾と幹でミツマタと思いましたが葉を見るのは初めて、調べると後山麓の西粟倉村で栽培され野生化している所もあると書かれていた。ここの群落も野生化したのか?
段ヶ峰は、フトウヶ峰からの広々とした笹原の草原歩きが気持ち良かった。又杉山へは整備された道で喜ぶが、山頂からの降りは道が無く関西百名山らしいと思った。
宿泊させて頂いた西田さん実家、大きな梁とガイシを残した部屋が懐かしく思えたが天井が低い、ご両親に聞くと災害に弱いので天井を下げたとの事。大事に守られている家だと思いました。
【感 想】 50期 奥野 淳子
暖かな晩秋の日差しを浴びて、穏やかな山歩きでした。皆で夕食の買い物をしたり、時間を気にせずおしゃべりしたり。泊まりの山行はやはり良いものですね
。
【感 想】 53期 亀島 文子
雛名倉山頂に大きなベンチが、6ケあり。小さなベンチの立札が、3ケありました。立札無しでも分かりますがね
段ケ峰は穴栗50名山の16番目。杉山17番目。展望の良い山ですすきが綺麗でした。山道も整備され歩きやすく紅葉、錦おりなす山の(日本画の世界)風景を楽しみながら歩けました。西田邸でお世話に成り、宴会も楽しかったです。お土産の大好きな柿を貰い有難う御座いました。
写真1(11/12): 日名倉山(二ノ丸山頂より)
写真2(11/12): 日名倉山山頂にて
写真3(11/12): 船木山・後山(日名倉山山頂より)
写真4(11/13): 杉山(段ヶ峰山頂より)
写真6(11/13): 段ヶ峰(杉山山頂より)