京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No. 3187 RDBの会 36回:フィールドワーク ~ポンポン山のフクジュソウと春のきのこ~

森林公園のフクジュソウ観察コースに向かいましたが、花の咲き具合はいまいちでした。聞くところによれば、時期が遅いのと、天候のせい(晴天だと花弁が綺麗に開くらしい)だそうですが、

fuku1.jpg

 

 

[No. 3187] 2012年3月18日(日)

RDBの会 36回:フィールドワーク

~ポンポン山のフクジュソウと春のきのこ~

 

48期 井上純

 

【メンバー】 山本憲彦L、小西春代、安井一枝、辻野喜信、井上純子、奥野淳子、岩坂弘、鹿嶽真理子、中尾可奈子、石澤薫、長野元、(非会員)谷由美子 計12名

【行  程】

9:05善峰寺バス停9:20~10:40釈迦岳

~11:15ポンポン山~11:40リョウブの丘(昼食30分)12:10~12:30大原野森林公園(フクジュソウ観察コース)~12:55リョウブの丘~13:30ポンポン山~14:10高槻の古木~14:35本山寺~15:40神峰山寺~16:00神峰山口バス停

【天  候】曇り時々雨

 

【記  録】

 参加者各自が都合のよいバス停から乗車し、終点の善峰寺へと向かいました。当日の天気予報は確か曇りだったと思いますが、今にも泣き出しそうな空に雨具やスパッツを着けて出発しました。うっすらと霧がたちこめる山の中は夢幻的ではありましたが、お花の彩りがないためか、モノクロ写真のシックな色合いに包まれていました。

途中、おおさか環状自然歩道と称する道をたどりながら、三角点のある釈迦岳に到着。特に見るべきものもなかったので、休憩はとらずにおおさか環状自然歩道をそのまま進みました。ほどなく、東海自然歩道に合流し、ポンポン山山頂に着きました。人気の低山であるためか、展望は開けませんでしたが、大勢の人が昼食休憩中でした。

集合写真を撮ったら、昼食休憩予定地のリョウブの丘に向かいました。空は終始どんよりとしていましたが、昼食を食べる頃に全く雨が降らなかったのは幸いでした。 

 

休憩後、森林公園のフクジュソウ観察コースに向かいましたが、花の咲き具合はいまいちでした。聞くところによれば、時期が遅いのと、天候のせい(晴天だと花弁が綺麗に開くらしい)だそうですが、それでもベストショットを撮りたくて、斜面に張りつくように身構えていたら、後方から大勢の人波が・・・。30人以上はいたかと思うのですが、一塊になって迫ってくるさまに負けてしまい、その場をあとにしました。   

再び来た道を戻り、ポンポン山に着いたら、本山寺に向かって南下しました。そのコースは自然林が多く、歩いていて、とても気持ちのいい道でした。下山途中にしめ縄をした高槻の古木の写真をぱちり。(帰宅後、ネットで調べたら、樹齢330年の天狗杉と紹介されていました。)

 

本山寺はひっそりとした古寺のたたずまい、さらに里に近い神峰山寺は祭事後の後片付けに追われていたようです。横目に見つつ、バス停へと急ぎました。

バス停到着後はお茶してから帰る人、日帰り入浴して帰る人、そのまま帰る人とバラバラになったので、その場で解散となりました。 

fuku2.jpg

 

(感想) 55期 長野 元

山菜やキノコなどの食べられる植物に興味があり、例会に参加させていただきました。

キノコは発見することができませんでしたが、フクジュソウが見られてよかったです。

また山本憲彦さんの植物講座も勉強になりました。

例えばカタクリの花を守るためにフェンスを作ると雑草だらけになって、雑草より弱いカタクリは育たないということを聞いて、自然は微妙なバランスで成り立っているんだということを知ることができました。

どうもありがとうございました。

 

 

(感想)54期 中尾可奈子 

数日前から天気が崩れ気味で心配していましたが、小雨程度で強く降る事なく楽しく歩けました。福寿草とそれを見ようと長い行列が出来ていたのが印象的でした。また幅広い年齢層の皆さんと一緒に登るのも楽しく、元気をもらいました。リーダーの山本さん、計画と準備をして頂いた西田さんを初め、皆さん有り難うございました。

 

(感想)53期 岩坂弘

ポンポン山の感想

ポンポン山は初めて歩きました。名前から子供のピクニックに良い散歩コースかと思っていたら、そこそこ歩きごたえのある楽しい山でした。もっとも初めてお会いした方や久しぶりにご一緒した方と楽しくしゃべりながらのハイキングが楽しかったのかもしれませんが。のっけから霧雨の山歩きは久しぶりでしたが、雨露に輝いて、たおやかに咲いていた福寿草が、深く心を癒してくれました。むしろ最適な天候だったように思われました。

 

(感想)54期 石澤薫

「ポンポン山の福寿草

あいにくのお天気でしたが、黄色い可愛い花をみることができ、春の訪れを実感することができ、とても嬉しかったです。

また、道中、日本の森の木々の話や、カタクリの保護地の鹿との関係や、福寿草の保護にまつわる間伐と壊伐の話など、大変勉強になり、人と山、森との関わりの大切さを考えさせられました。

そのせいかポンポン山は何度か登ったことがあったのですが、初めて登った山のように感じ、不思議な気持ちです。

帰りのバスは服部で下車し、摂津峡の美人の湯に入って参りました。

服部のバス亭からは歩いて10分ほど、入浴料は900円、お肌がつるつるになりました♪

湯上がり後は一階の食事処で高槻B級グルメのうどん餃子も食べれます。また、この時期は近くに大阪場所のお相撲さんの宿舎があるそうで、お相撲さんも美人の湯へ入りにきておりました。

下山後のお楽しみとしてお薦めです。

あわせてご報告申し上げます。」

 

(感想)50期 奥野淳子

ポンポン山の山頂はやはり「ポンポン」と音がしました。(「気のせいや」とも言われましたが)福寿草の花は初めて見ました。お日様にならう花らしく、曇りの今日はつぼみ気味で、控えめな感じが良かったです。

fuku3.jpg

 

(感想)36期 辻野喜信

 2006年の例会でもここの福寿草の自生地を訪れています。関係者が必死で守っています。薪や炭を使わなくなり人が入らなくなった事や、環境の微妙な変化で生息域が狭められているようです。

 この下の窯ケ谷(東西尾根ルートの間)も多くの人が訪れるようになり、草木群落が大きく傷つけられるようになり、入山が規制されるようになったようです。鹿の増加も影響を与えているようです。前回この谷でヤマシロネコノメソウを教えてもらったことを思い出しました。

 高山でも里山でも自然と人のかかわり方は難しいものですね。

 

(感想) 14期 安井一枝

 ポンポン山は昔キンランに出会えて喜んだ山です。斜面一杯のまっ黄色のフクジュソウを期待していましたが、盛りを過ぎたようで少ししか見えず、天候のせいであまり開いていません。また後からきた団体さんにせっつかれてゆっくり見られず、下の谷に咲いているかわいいヤマシロネコノメソウも時間の関係でお目にかかれず残念でした。ネットで調べると地味なネコノメソウにも仲間がいろいろあって、美しいハナネコノメもお目にかかりたいなと思いました。防鹿柵に囲まれたカタクリはもちろん、アセビやコバノミツバツツジ満開の時期も楽しみの山でした。

道中のニホンジカについての説明文「・・・この貴重な動物を大切にし、いつまでも共存共栄できることを願っています。弱い動物です。暖かく見守って下さい。・・・」を見て、昔大阪自然環境保全協会のナチュラリスト講座を受けた時のことを考えました。同じ北摂里山て゛足跡や食痕、糞、ヌタ場などのフィールドサインを見つけて、こんな狭い所にウサギ、タヌキ、鹿、イノシシなどたくさんの動物が生きているのだと感激し、禁猟区の県境近くに落ちていた薬きょうに憤然としました。ところが現在はこの説明文に違和感を感じているのです。ネットによると、尾根部に100年を超える巨樹が茂り植物の種類では北摂随一、学術的な価値がある本山寺のモミ・ツガ・アカガシ林は、近年の鹿密度の増加、林床植生の変化、乾燥化、林地の崩落、周辺域で拡大しているカシノナガキクイムシによる被害などで、生態系の劣化と森林の更新が危ぶまれています。下草がなくなるのは鹿の食害も大きく、下草がたくさん育つ元気な人工林づくりの取り組み、鹿の生息環境と生息数の調査による鹿の適正数の保護管理が望まれます。基本的に植物ならば何でも食べ一日に一頭あたり3~5kgの草を食べるという大食漢の鹿は農林業への被害はもちろん、南アルプスでも亜高山帯から高山帯にかけてのお花畑のほとんどに影響を与えてライチョウの絶滅まで危惧されていること、アヤメで有名な櫛形山もかつて計3000万本も咲き誇っていたのに激減し絶滅状況になったことも知って、今さらながら驚いています。日本の至る所で深刻な状況になっていくのを憂えています。

 

(感想)6期 小西 春代

家からの朝の出発が遅くこれなら参加できると楽しみにしてました。

阪急バスを途中乗車。善峰寺から釈迦岳へ。釈迦岳の山頂は何十年振りか。

いつもポンポン山へ行くのに素通り。記憶にないぐらい昔に登りました。

福寿草の花も見ることができ私には楽しい一日でした。

後日談 掛かり付けの内科の先生が福寿草の写真取りをして診察室のパソコンに

取り込んでおられました。それこそ近場の花華を次々みせてくださいました。

近場で良い所があれば、とのことでしたので、函館山シャクナゲ、イワカガミ、話題になったコブシ、タムシバなど一度に見られますよと紹介をしておきました。

山岳会の話をして植物観察も活発にしてますよ。と伝えておきました。

次の患者さんには迷惑をかけたのでは??????。

 

(感想) 44期 山本憲彦

急遽、この例会のリーダーの西田さんからリーダー依頼が入る。お義父様が前日に救急で入院されたらしいのです。

雨もようだが、どうかな?

当日はやはり朝から雨。傘を差しながらのポンポン山への道。広葉常緑樹の林が表れてきます。とくにヤブツバキの葉が雨に濡れて光っています。

最近はなぜかツバキの展示会が盛んです。京田辺の浄安寺の紹介をしました。お寺の庭にある300種あまりのツバキを春にお堂にて花瓶に挿して見せてくれるのです。説明をきちんと住職がしてくれます。2―3月がいい。

道は前日来の雨でぬかるんでいます。だが、今日は若い人たちと一緒です。そのための本日の大きな出し物の「キノコ鍋」ができなかったので、まことに申し訳ありません。きっと、西田さんがいつか近いうちにすてきなキノコ鍋例会を主催してくれるでしょう。次回に期待しましょう。

ところで、このフクジュソウ群落ですが、昔はその辺りに真っ黄色になるくらいあったと(以前に地元の人に聞いたので)話しましたが、残念ながら、もうその面影はありません。

でも、遠くの山上まで行くことのない人たちにとっては、このわずかばかりの群落は鑑賞できるという意味では貴重です。地元の人たちの努力に頭が下がります。

RDBの会ではこれで、この場所を訪ねるのは2回目になります。花は少し減っているかな?でも、立派なテントでの受付が出来て、見守る人たちも少しは楽になったかな?

石灰岩地帯は京都府ではそんなに多くありません。丁度蛇紋岩が露出している大江山と同じように、この京都市森林公園もこの辺りだけに石灰岩が露出しているのです。だから、石灰岩を好む植生が存在するのです。石灰岩地帯は、近畿では伊吹山一帯と鈴鹿山脈。たいていセメント工場があります。私は特に奥美濃石灰岩地帯で花を見るのが好きです。今や絶滅危惧種となって久しい花々に山中奥深いところで巡り会ったことがありますが、そんな時は本当に感動します。

ポンポン山は、ゴルフ場になるのを阻止して、その一部を京都市が用地を買収し森林公園として保全したのです。いろいろ保全上の問題を抱えているとしても、地域振興という問題を乗り越えてこの植生を保護しているのはすばらしい試みだと思います。

みなさんの雨にも負けずに高槻まで歩いたパワーには恐れ入りました。石澤さんと中尾さんは帰りに温泉につかりに途中下車しました。

数人で駅前で反省会をして解散しました。みなさん、お疲れ様でした。次回は本格的なキノコ鍋例会でお会いしましょう。

 

――――――――――――――――

追記

今回は以前にも書きましたが、RDBについて再度説明します。

世界中で発行されているRED DATA BOOKの頭文字です。「絶滅危惧種」を収録したものです。もちろん植物だけでなく、動物や昆虫や魚類などの「野生生物種」や「地域生態系・地形・地質」などに分類されており、およそ地球上にあって現在、何らかの原因で消えてしまったもの、消えかかっているもの、消える危険のあるもの、監視すべきものなどを収録しています。

現在、日本ではRDBは国としては環境省から、そして、ほとんどの都道府県から出されています。京都府も出しています。

ただし、その危惧の程度はその地域で判定したものと、全国的な規模で判定する環境省の危惧のレベルとはあまり一致していません。 

 たとえば、最近よくWEBでも出てくるセツブンソウは京都府では「絶滅危惧種」ですが、環境省の判定は絶滅危惧II類になっています。京都の方が消滅する可能性が大きいのです。

 また、京都では、絶滅危惧種になっているカワラサイコというバラ科の黄色い花は環境省では「該当なし」=危惧の心配なし

になっています。菌類では、セミタケが京都府では絶滅寸前種ですが、環境省では「該当なし」になっています。

また、鳥類では、イヌワシが、京都府では、絶滅寸前種、環境省絶滅危惧種IB類(近い将来消える)に分類されています。

さらに、京都府では、「地域生態系」として、要特別対策・要保全対策・管理維持と分類されています。われわれのRDBの会でも、頭巾山のブナ群落・金剛童子山のシデ群落・養老山のコナラ群落・君尾山のモミ群落などを見てきました。

これからRDBの会の植生観察に参加されるメンバーは参考にしてください。

京都府RED DATA BOOK CATEGORY(選定基準)の野生生物種については、以下の6種。

絶滅種

絶滅寸全種

絶滅危惧種

絶滅危惧種

要注目種

要注目外来種

環境省の分類(1997年)は、

絶滅(EX)

野生絶滅(EW)

絶滅危惧I類(CR+EN)

絶滅危惧IA類(CR)

絶滅危惧IB種(EN)

絶滅危惧 II類(VU)

準絶滅危惧(NT)

情報不足(DD)

付属資料(LP)

の8種になっています。

 

私たちは、山に入りますが、入ることを誰も止めることは出来ません。そのときに入山行為の結果としてその生態系に何らかのインパクトを与え、時には野生生物系の絶滅を来すきっかけになることも指摘されています。そして、人間と生態系とのかかわり方について様々な立場からいろいろな提唱が今なされています。

里山はその共存を目指すものでした。今回の例会はその問題を考えさせられました。

ヤマヤとして、登山とは、生態系の中に足を踏み入れるという行為なのだという意識を持っておくことは重要だと思います。