京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3229 青木ヶ原の樹海から登る富士山(再び)

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[No.3229] 2012年9月15日~17日

 青木ヶ原の樹海から登る富士山(再び)

 

【 参加者 】L 小泉 賀奈子、中尾 諭、吉川 彩、鶴田信介、長野 元  計5名

【 天候 】15日(土) 曇り時々晴れ、16日(日)晴れ、17日(月) 曇り時々晴れ

【 記録 】 55期 長野 元

 

 1日目 9/15(土)曇り時々晴れ

8:30京都駅新幹線改札口集合-8:56京都駅発(ひかり)-10:05浜松駅(こだま)-11:02新富士駅(昼食)-12:45新富士駅発(富士急静岡バス)-14:28 赤池バス停-14:52赤池バス停発-16:23富士風穴-17:05一合目の手前で幕営(夕食)     テント泊

 

 2日目 9/16(日)晴れ

5:00起床(朝食)-6:40出発-7:28一合目-8:48二合目-9:20三合目道路下-10:52四合目-11:49五合目(昼食)-13:19六号目14:30七合目トモエ館-16:10白雲荘-17:10(夕食)-19:45就寝   小屋泊まり

 

 3日目 9/17(月)曇り時々晴れ

2:30起床-5:47白雲荘発(吉田口下山道)-7:19六合目-河口湖口五合目-9:20五合目発(河口湖駅行きバス)-10:25河口湖駅着(温泉入浴)-13:00河口湖駅発(バス)-15:10三島駅(ひかり)-17:47京都駅着

 

 

【記録&感想】

  1日目 9/15日(土)

新富士駅に着いたのが昼前だったので、駅前の飲食店兼酒屋で富士宮やきそばを食べた。食後に小泉さんと中尾さんがところてんを注文すると、味付けが酢醤油だったので二人ともびっくりしていた。僕は全く知らなかったが関西では黒蜜、関東では酢醤油が定番らしい、味付けが変わるとデザートとおかずというくらい変わるのが面白い。店を出た後、中尾さんが酒を買おうと、「コンビニ」と書いてある店に行ったが酒は置いておらず、結局さっきの酒屋に戻り、購入したビンの日本酒とサービスで頂いたという一人用のパック酒(玉乃光)×3を一人でボッカされた。

 15時頃に登山口のバス停に到着し、晴れていれば富士山が見えるという場所だったが、あいにくの曇り空で見られなかった。

青木ヶ原の樹海はマイナスイメージがあったが、歩道はしっかりとしていて火山岩や木々に囲まれ、またそこに生えている苔、風穴などすごく自然を感じることができた。ただ樹海の夜は異様に暗く静かで、ここで一人で野宿するのは怖いと思った。

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火山岩がゴロゴロしている青木ヶ原の樹海を歩いていくと、立派な石柱が現れ、「富士風穴」と書いてあった。風穴は地面から10mくらい下に凹んで広場になっていて、外国人の観光客が何人かいた。下に降りていくと、ある一定の高さから下が急に温度が低く、涼しいというよりは少し寒いくらいだった。

 風穴を見た後、テン場を探していたが適当なスペースが見当らず、誰も来ないだろうとのことで道の真ん中にポットラックを張り、夕食の準備にとりかかる。

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夕食のメニューは豚の角煮丼と味噌汁で僕と鶴田さんが野菜を切る係だった。僕はナイフを持ってなくて、小泉さんから借りたが鶴田さんは持ってるとのこと。取り出したのは食事用のナイフだった。僕は「へぇ~コレで大根が切れるんや」と思って見ていると、すかさず小泉さんから「えっ!それ食事用のナイフやん」的なツッコミが入り、鶴田さんは「あっそうなんですか?」とコレじゃ切れないんだと驚いた様子だった。僕は鶴田さんならもしかしたら切れたかもしれないと思った。

 

 米炊きの水加減は吉川さんがして下さり、丁度いい加減で上手く炊けていた。例会に参加する度に皆さん米炊きが上手いなぁ~と思う。角煮はパックに入っていて温めるだけで簡単で美味しかった。味噌汁も濃いめで、山では濃いめの味が美味しく感じる。

食後にお酒を飲んだが、みんなあまり飲めないので、中尾さんは少し物足りない様子だった。

 

 

  2日目 9/16日(日)

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二合目にさしかかったあたりで、きのこ狩りをしていた方にヌメリスギダケとい

うものを頂いた。味噌汁かバター炒めが旨いと言われたがあいにく味噌は昨夜、バターは今朝のラーメンで使い切ってしまっていた。

 

火山岩、火山灰と変わる地面を歩きながら五合目にさしかかる。五合目の手前で急に木が低くなり、森林限界を迎えた。スバルライン五合目は「人、人、人」でまるで観光地のようだった。森林限界を越えると荒涼とした風景で、七合目からは岩場に変わり、一歩一歩足を上げるのが重く、吉川さんが特にきつそうだった。だけど雲と同じか雲より高い標高までくると空は晴れていて雲は真横に見え、とても気持ちの良い風景だった。

 

 16時ごろ白雲荘に到着し、早速、夕食の準備にとりかかる。メニューは五目ごはん、にゅうめん、そしてヌメリスギダケはいしづきをとって洗ってから、小泉さんの提案で味付けチキンと一緒に炒めた。その名のとおり、だんだんヌメリが出てきて最終的にあんかけのあんみたいになったが、クセがなくて美味しかった。食後は吉川さんが持って来て下さったケーキとお茶を飲んで就寝する。

 

夜中から風が強くなり、2時半の時点で山頂は風速10m以上とのこと。雨足も強かった。山頂に登るのを断念し、明るくなってから来た道を下るルートに変更する。白雲荘からは御来光は見られず、雲の切れ間から少し見えた程度だった。しかし下っている途中に山頂を見るとスッキリと晴れていて少し悔しかった。

 下っていると雨が降ったり晴れたりと天気が目まぐるしく変わり、そのたびにカッパを着たり脱いだりしなければならず、山の天気は変わりやすいということを実感した。けれどおかげで目の前にくっきりとしたキレイな虹を見ることもできた。

 

 

 五合目から河口湖駅までのバスから、富士山を見てもやっぱり雲がかかっていた。結局、こっちに来てからはっきりとした富士山の姿を見ることはできなかった。今回は山頂に行くことも御来光を見ることもできなかった。無理して行けばもしかしたら山頂で御来光が見れたかもしれない。けれどリスクを犯してまで行かなくてよかったと思う。もし五合目から登っていたらもっと後悔の気持ちが大きかったかもしれない。しかし0合目から登ったことで、青木ヶ原の樹海、風穴、ヌメリスギダケ、またそれとは対象的な五合目以上の人の多さと森林限界を越えた荒涼とした風景と雲の上の景色に虹と見所は沢山あった。山頂からの御来光というメインディッシュはなかったけれども、富士山のことを少し深く知れた気がして良かった。リーダーの小泉さん、メンバーの皆様どうもありがとうございました。           

 

 

【感想】   54期  鶴田 信介

富士山に初めて登るのに、5合目からでなくいきなり1合目からのチャレンジとなり、大丈夫かな?と自分自身かなり心配をしながら当日を迎えました。

 1日目は青木ヶ原樹海の中、1合目に至る道の真ん中にポットラックを立てるまで。

テントの組み立てから食事の用意まで、皆さんとても手慣れており見ているだけでもとても勉強になりました。調理に関しては私に貢献できることはほぼ皆無で、ある程度は料理を覚える必要があると痛感。これは次回以降の大きな課題となりそうです。

 樹海というと鬱蒼としていてあまりよい雰囲気のしない場所という先入観を持っておりましたが、泊まってみると意外と普通で安堵しました。

 

 2日目は朝から青空が広がっており天気に関しては全く心配はないと確信。朝食を済ませたあと、1合目から8合目までの登りを開始。後は自分自身との戦いです。2週間前からボッカなどで体力作りに励んできた成果が試されます。1合目から2合目までは問題なし。途中、3~4合目であたりで肩に痛みが出てきた時はどうなることかと思いましたが、小泉さんからザックの背負い方、合わせ方などについてレクチャーを受けてからは不思議なくらい痛みが無くなり問題なく5合目まで到達することができました。いままであまり意識してきたことがありませんでしたが、重量が増えるとザックの調整など、細かい部分への気遣いひとつで自分自身への負担を大きく軽減することができるものなのですね。

 

5合目で吉田口ルートと合流。5合目に着くなり、通りの雰囲気がいきなり観光地へと変貌する様にはびっくり。さすがに有名所は違います。ここで少し休憩を取ったのち、宿を目指して再出発。5合目以降は次第に岩場が増えてゆき、登りも急になってゆきましたが、別段、大きな疲れや高度障害などは感じることは無く、宿泊場所である8合目の山小屋「白雲荘」までたどり着きました。あとは翌日頂上でのご来光を残すのみ。

 小屋に入ってからは、さっそく晩ご飯。

小泉さん、吉川さんの用意してくださった食事と中尾さん持参の日本酒が妙にマッチしてなかなか楽しい宴会?となりました。僕と長野元君があまり飲めないので、中尾さんとしては消化不良のようでしたが。

 食事を終えてからはすぐに就寝。小屋のベットは狭いためなかなか寝付けず途中、外に出て夜景を見ながら時間つぶしをしたりしておりました。風は強かったものの、街明かりがしっかり確認できるくらいクリーンな夜空。この調子ならご来光は大丈夫!そう思っていたのですが…。再びベットに戻ってから数分後、急に風の音が強まりはじめ、だんだんと怪しい雰囲気に。出発時間までに天候が回復することを願って再び就寝。

 

 目を覚ました時、残念なことに外は大雨・強風の荒れ模様。窓がガタガタと揺れるくらい酷い状況でした。願い通じず!この時点でご来光を見ることは不可能であると理解できました。協議した結果、リスクを侵さず下山しようということに決定。

道半ば、途中で下山することは無念ではありましたが、リーダーの「苦渋の決断」は十分に理解できうるものでした。無理に登り続けて事故でも起ったら取り返しのつかないことです。分単位でコロコロ変わる、予測のつかない天候…。安全面を考えた場合、素直に下山することこそが正しい判断であったと思います。ご来光の予定時刻5:30まで宿で待機し、その後速やかに下山を開始。下山する直前、先程までの強風と大雨が一瞬止み、一面を覆っていた雲の間から陽の光が覗いた時はここまで登ってきたことへのささやかなご褒美のようにも感じられました。

 下山途中、虹の架かった美しい景色に遭遇したこともとても印象に残っております。

苦労の後には、それなりの見返りがあるものですね。今回、ご来光を見ること叶わず、頂上に立つことすらできませんでしたが普段の山行では味わえない醍醐味を体験することができたと思っております。富士山は変わらずそこにあるものですから、来年またチャレンジしたいです。山行を計画いただきました小泉リーダー、ご一緒しました中尾さん、吉川さん、長野元くん、皆さんと共に登れて楽しかったです。よい思い出ができました。有難うございました。

 

【感想】   53期  吉川 彩

今回、約17キロの荷で参加。メンバーの中では最軽量、にもかかわらず3合目ですでにバテてしまい、軟弱さを思い知りました。ふらふらで8合目の宿にたどりつき、翌日は悪天候で登頂断念という結果だけ見れば散々なのですが、実際には大変楽しい山行でした。

樹海でのテント泊、きのこ狩りの方に分けて頂いたきのこは夕食時、小泉さんの機転でハーブチキンと調理され、豪華な晩餐となりました。下山路にかかった大きな虹は、虹の始まりがすぐ近く触れそうな位の所にあり感動しました。とても力強い歩きだった長野元さん、ムードメーカーで沢山の笑いを提供してくれた鶴田さん、バテた私を指導してくださった中尾さん、そして皆をしっかりとリードしてくださった小泉さん、お陰さまでとても楽しい富士登山でした。ありがとうございました。

 

【感想】   26期  中尾 諭

夏山の富士山というと、多くの人が比較的に手軽に登れ、観光地化されている山という印象があるため、日本で一番高い山ですが、あまり興味がなく今まで登る機会がありませんでした。今回は、青木ヶ原の樹海を突っ切って登るということで、一般的な富士登山のコースと異なることや、青木ヶ原の樹海ってどんなところか興味があり、参加することにしました。 

天気は、沖縄の方にあった台風の影響を受け、時折青空が覗くものの、全般的に曇り又は霧がちで、展望は利かず、さらに、山頂に向けて出発する時刻には、風、雨とも強く、特に山頂付近は登れないほどの強風という状態でした。そのため、登っている途中見ることができる南アルプスや八つが岳などの山の姿は見られず、富士山のピークも踏むこともできず、少し残念な結果に終わりました。

 しかしながら、行程的に比較的余裕があり、青木ヶ原樹海では、「風穴」に立ち寄り、立ち上る冷気を体感するなど、樹海での自然の魅力を楽しむことができました。また、樹海でキノコ狩りをしていた方から、富士の自然の恵みを食べてくださいと、キノコ(ヌメリスギタケ)をいただき、夜、恐る恐る料理し、お腹をこわすことなく、おいしく?食べることができたのも、樹海から登ったからこそできた経験で、思い出に残る山行になりました。

下山途中、霧雨が上がったあと、富士山に架かる虹や下山道を跨ぐように架かるくっきりとした虹を見ていると、何故か機会をつくって再度の富士登山に挑戦しようかなとの思いにかられました。最後に、楽しい山行を企画していただいたリーダー及び同行のメンバーに感謝。

 

 【感想】   52期 小泉 賀奈子

 毎年恒例の一合目からの富士登山。今回は3つめのルートを開拓しようと試みたけれど、9月の三連休はあいにく富士宮口側の山小屋が閉鎖の時期にあたり、予定していた村山道は来夏にアタックすることに。代替案は2年前に訪れた樹海コース。今年も山頂からのご来光を楽しみに向かいました。

 個性豊かな頼もしいメンバーに恵まれ、柔らかな木漏れ日の中、樹海をぐんぐん進みました。澄んだ空気はなんとも気持ちよく、日ごろの喧騒を忘れさせてくれるから不思議です。前回は立ち入れなかった風穴ものぞくことができて満足。探しても見つからなかった氷穴は名残惜しいですが!ポットラックは5人でも快適に過ごせたし、ひたすら登る六合目からのガレ道もいい加減体が慣れてきたようで、これまた発見の多い山行になりました。

 予定外だったことは3日目の激しい風雨。「晴れるものだ」と勝手に思い込んでいた私は、富士山の怖さを教えられたように思いました。河口湖川側に下りたからこそ出合えた大きな虹と富士山ソフトクリーム。あれは本当に感動ものでした。ご一緒してくださった皆さん、ありがとうございました。残念ながら見られなかった御来光は来年、リベンジしましょう!

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