京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

  関西百名山シリーズNo.77由良ヶ岳

由良ヶ岳(648m)は丹後由良からの由良コースが最も歩かれている。関西百名山シリーズは石浦コースと嶽コースの周回を計画したが、廃道然とした石浦コースの難路に時間がかかり、由良コースを下った。

20121103由良ヶ岳1

写真1: 由良川鉄橋と槙山、後方に青葉山(由良ヶ岳東峰山頂より)

[個人山行]  関西百名山シリーズNo.77由良ヶ岳    平成24年11月3日(土)

48期 山本浩史

由良ヶ岳(648m)は丹後由良からの由良コースが最も歩かれている。関西百名山シリーズは石浦コースと嶽コースの周回を計画したが、廃道然とした石浦コースの難路に時間がかかり、由良コースを下った。

【メンバー】 山本浩史L、船木佐織、知念正樹、他非会員2名 計5名

【行  程】 京都駅8:51-(まいづる1号)-10:18西舞鶴-10:53丹後由良ST~11:22石浦~13:19東由良ヶ岳三角点~13:38由良ヶ岳東峰14:13~14:33由良ヶ岳西峰~14:22漆原林道~15:14由良ヶ岳西峰~15:23稜線鞍部~16:19丹後由良ST16:29-綾部17:40-(きのさき20号)-18:49京都

20121103由良ヶ岳地図1

【山データ】 天候 晴れ 歩行 10.8㎞ 5時間19分 延登高 821m 延下降 821m 2座登頂

西舞鶴でJRの特急列車から北近畿タンゴ鉄道に乗換え1両編成の列車がトンネンルを抜けると車窓左手に由良川が見えて来た。川沿いに走り日本海への河口をプレートガーターの由良川橋梁を渡る。非電化の上路式なので線路の上に構造物は一切なく絵になる風景だ。列車は橋上で減速し女性車掌の案内放送が入る。無人丹後由良駅で降りて由良川沿いの石浦集落に向かう。

田圃の中でコンパスの使い方を練習しながら長閑な里を進む。由良川沿いは森鴎外の小説「山椒大夫」の舞台で石浦集落の南側には屋敷跡がある。石浦コースは殆ど歩かれていない道で登山口らしきものはなくコンパスの示す方向へと進んで行く。今日のミッション1に「石浦登山道をルートファインディング」を設定したが期待通りのほぼ廃道状態が予想される。やがて集落が途切れコンクリートの道が笹で覆われ出した。地図にある様に分岐もあり意を強くする。

コンクリート舗装が途切れ完全山道となると藪は益々濃くなり所々茨が混じる厄介な道だ。「東由良ヶ岳」三角点のピークの東麓を南にトラバースし谷筋に描かれた登山道に乗ろうとするが踏跡は益々怪しい。杉林となって下草が少なくなり藪漕ぎも苦にならない程度になった。急斜面のトラバースに危険を感じたので三角点峰から東に伸びる尾根に取り付き立ち木を手懸りに急斜面を這い上がった。稜線に達しても正規の登山道らしきものは見つからなかった。ミッション2は「4等三角点『東由良ヶ岳(585m)』を探す」で、登山道は北側を巻いていると云う噂だったが微かな踏み跡を辿って行くと一番高い所にあった。時刻は13時19分、石浦集落から三角点まで2.1㎞の道なき道に2時間も掛ってしまった。展望のないピークで昼食休憩を提案するが東峰山頂まで行こうと云うことになり、小休止の後北北東に歩を進め20分で由良ヶ岳東峰(648m)に到着した。

山頂には虚空蔵菩薩の祠があり遮るものがなく風がまともに吹き付けてくる。脱いでいたジャケットを羽織りゆっくり遅めの昼食を摂った。三つ目のミッションに「大江山を山座同定」を設定している。コンパス講習を行って東南東にどっしりと横たわる大江山を同定した。1週間前の岳連行事で雨の中登ったことに思いを馳せた。そして皆が気になっていた東にあるきれいな円錐形の山も序でに同定すると、若狭富士と呼ばれる青葉山であることが分り、初心者にとってはコンパスの威力を始めて分かってもらえたようだ。

休憩後は北北西へと進む。西峰との鞍部で由良コースが分岐する。このコースはしっかり整備され地図なしでも登れるハイキングコースだ。登り返して暫く行くと南側から林道が上がって来て終端部の広場になっている。東屋や案内板があり、それによると上漆原からの林道だが車は走れないようだ。途中に北側の展望が広がる展望台があるが山頂を目指してもうひと登り、由良ヶ岳西峰(640m)は3等三角点「由良ヶ岳」があり主峰とされ、ご丁寧に「最高峰」との標識まであるが、実は東峰のほうが高い。東由良ヶ岳三角点の標高585mを東峰の標高とする文献もあるがこれは明らかな間違い。等高線も西峰より1本多く640mの標高線が描かれている。古い地図にある648mの標高が記されそれが正しそうだ。

西峰の山頂からは日本三景天橋立を俯瞰することができる。松原の砂州阿蘇海を区切り素晴らしい。しかし見えるのはこの方向だけで東峰の展望には遠く及ばない。行程をチェックしてみると石浦コースの難路で時間を食って40分程押している。下山は嶽コースを計画していたがこちらも石浦コースのような難路が予想され帰りの列車に間に合いそうになく、一番確実な由良コースを下りることに変更した。そうすると時間が余るので先に続く道を“探検”、ザックをデポし刈り払いされた道を少し行ってみようと云うことになった。嶽コースかとおもっていたが南東に進んでいる。どんどん下ると分岐があり「←林道、東峰→」の指導標があった。上漆原への林道のようで「東峰」方面へ進むと登路で見つけた林道終点に達した。

周回して西峰山頂に戻ると雲が多くなってきた。それでは嶽コースの道は? と探してみると草に覆われた踏み跡があり、「これか!」と納得した。列車の時刻まであと1時間10分、丁度いい。ザックを背負い由良コースを下山に掛った。整備はされているが結構急斜面で洗掘が進み、スリップしそうな箇所もある。七合目には一杯水と看板があり分岐して水場があるが、今日は不要で確認には行かなかった。荒れた林道が交差し高度を下げ樹林帯を飛び出すと登山口に達した。「由良ヶ岳山の案内所」と看板の上がる小屋があり、由良地区公民館館長名の登山証明書が置いてあったので1枚づつ貰った。ナンバリングが打たれてNo657となっていたので、此れが今年の登山者数と云うことになるようだ。

丹後由良駅への道には閉鎖された国民宿舎や宿泊施設が侘しげで湿原の茅原から振り返ると由良ヶ岳が見えるが北側からの姿は余り良くない。駅へ近道をしようと畑の畔を歩くと行き詰まり、またまた藪漕ぎズボンに沢山“お土産”を貰ってしまった。列車の10分前に丹後由良駅に到着し、西舞鶴、綾部で乗換え最後は特急で京都に戻った。駅で21時過ぎまで反省会を行い楽しい1日が終わった。 《山紀行785》

【感想】  知念 正樹(体験山行)

今回、はじめて会の方々との山行に参加させて戴きありがとうございました。楽しみでもあり不安もありましたが、メンバーさんの温かみのある対応のおかげで楽しむことができました。由良ヶ岳では道を間違え、藪漕ぎをしたと思ったら道が無くなる始末・・・どうなるんだろうと思いましたが、リーダーの的確な指示のおかげで無事登頂し、

下山することができました。山を始めて1年半が経ちますが、地図とコンパスは使ったことが無く、その重要性を

体験できた山行となりました。リーダー及びご一緒したメンバー様ありがとうございました。

20121103由良ヶ岳2

写真2: 大江山(833m)と杉山(由良ヶ岳東峰山頂より)

20121103由良ヶ岳3

写真3: 天橋立砂州(由良ヶ岳西峰山頂より)