京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉 関西百名山シリーズNo.80  紀泉山脈和泉葛城山

和泉葛城山(858m)は、山頂直下まで車道が上がりガッカリする山だ。しかしルートを考えると選択肢は色々ある。春木川から高塚山、岩雄山の長い尾根を今回の登山ルートに選んだ。下りは丁石道で牛滝温泉へ、快晴の冬の一日、紀泉山脈の微かな踏み跡に読図山行を楽しんだ。

 

20130203和泉葛城山3

 

写真3: 和泉葛城山にて

 

 

[個人山行] 関西百名山シリーズNo.80  紀泉山脈和泉葛城山   平成25年2月3日(日)

48期 山本浩史

和泉葛城山(858m)は、山頂直下まで車道が上がりガッカリする山だ。しかしルートを考えると選択肢は色々ある。春木川から高塚山、岩雄山の長い尾根を今回の登山ルートに選んだ。下りは丁石道で牛滝温泉へ、快晴の冬の一日、紀泉山脈の微かな踏み跡に読図山行を楽しんだ。

 

【メンバー】 山本浩史L、奥野淳子、辻春見、吉川彩、田中靖之、由良俊夫 計6名

【行  程】 京都6:30-7:23新今宮7:32-8:06和泉中央8:15=(タクシー)=8:30春木川BS 8:40~9:12高塚山~10:43岩雄山~12:23 P741 12:44~13:11大石ヶ峰~13:41葛城山三角点~14:00和泉葛城山14:08~14:58二十一丁地蔵~16:00牛滝温泉17:25=(タクシー)=17:51東岸和田18:00-18:44大阪

【山データ】  天候 晴れ 歩行 14.0㎞ 7時間20分 延登高 1,130m 延下降 1,065m 4座登頂

20130203和泉葛城山地図

 

 

泉北高速和泉中央から春木川へは南海バスの路線もあるのだが、始発が9:19では待っていられない。タクシー2台に分乗した(\2,580)。地蔵寺と云うお寺の前が春木川バス停でこの広場で出発準備を整えた。更に奥の集落父鬼への道は直ぐに左に分れ牛滝への道となる。これも直ぐに分れてトマ坂道が始まる。当初の計画ではこのトマ坂を登り詰め峠から折り返して高塚山を目指す心算だったが、集落の切れ目に微かな踏み跡を見つけ取り付いた。今回のミッション1は此れを見越して「高塚山への道をルートファインディング」とした。今日久しぶりの登山だと云う吉川さんにルートファインディングの先頭に立ってもらった。

 

登山地図にも道は描かれていない。ドキドキする面白さを持って地図とコンパス首っ引きで急登を這い上がり稜線に達する。目星を付けていた尾根ではなく東側の主尾根に横から乗りあがったようだ。獣道か作業道跡なのか、有るか無しかの踏み跡に従い藪を分け高度を稼ぐとテレビの共同アンテナが現れた。此処が最高所で高塚山(341m)山頂だ。残念ながら狭い山頂には山頂標識などは一切なく、樹林に囲まれ展望もない。NHKのケーブル埋設の標識があり共同アンテナで受信した電波を東側の父鬼集落に配信しているようだ。

 

南側に下るとトマ坂が越える峠に到る。高塚山を直登したことでかなり距離を短縮することが出来た。トマ坂は北側に車道が出来るまではこの峠は春木川と父鬼を結ぶ主要道として人々が行き交ったのではと想像を巡らした。峠を越えて南の尾根に踏み込む。やはり昭文社地図に道はない。次の目的地は岩雄山(575m)、2㎞先だ。急登で小ピークに達すると傾斜が落ち着き、次のピークからは和泉市岸和田市の境界尾根となり大石ヶ峰まで続く。この境界尾根の先に340.1mの三角点峰(3等三角点「春木川」)が存在感を示し、其方へも踏み跡がありそうだ。市境尾根を下ると此処も峠で父鬼からの道が登山地図に描かれハナノタワまで赤点線道に「難コース」と付記されている。次の小ピークはP393で地形の変化が地形図通り現れて見落とすことがない。指導標はなく、赤テープも所々にあるが読図力を養うには最適のコースだ。関西百名山シリーズ初参加の田中さんと由良さんにはコンパスの使い方や現在地の把握指導により大分慣れて貰えただろう。

 

岩雄山がもうすぐと云う処で踏み跡が左に外れ南を巻きそうで山頂を飛ばす訳に行かないので直登し岩雄山に到着した。西側が開け、りんくうゲートタワーや関西空港、そして眼下には最終目的地の牛滝温泉が望めた。山の方に目を転じるとこれから向かう南稜線の禿尾根は険しそう。その肩に和泉葛城山が載っかっている。まだまだ縦走の先は長い。尾根通しに進むと藪が濃くなった。禿尾根の縁を歩くが棘が混じり難義しだした。杉林に逃げ込んで棘棘から解放されたが踏み跡もなく急登。後で昭文社地図を見ると「尾根上はヤブ道」と書かれ赤点線道は大きく東側を巻いていた。

 

牛滝温泉付近で牛滝川に注ぐ谷の源頭部で現在位置を確認、乗り上がったピークから明瞭な稜線とテープに導かれ西の尾根に入り込みP689を目指しかけた。何の疑いも持たない明瞭な稜線だったが、読図の気を抜くとこうなってしまう。進むべき方向は南だった。次に用意したミッションは「P741の位置を特定」でハナノタワの近くにある標高点の位置を現地で特定しようと云うものだ。此処で昼食休憩を取ることにしたので行き過ぎると「昼食抜き」となってしまう! しっかり読図をしよう。何の目標物もなく単調な尾根だが地形の変化は至極読み取り易い。690m程の小ピークを越え登り返しは恐ろしく急、2.5万図の等高線が3本凝縮、乗り上がるとなだらか、もうひと登りでP741と地図通りの地形がそのまま現れて無事ピークに到着し昼食を取ることが出来た。

 

ハナノタワはもう一つ位置がはっきりしなかったがこの辺りからは山が荒れている。オフロードの単車が我がもの顔に林間を走り回ったようで抉られた斜面が痛々しい。今日も遠くで単車の音が響く。大石ヶ峰(860m)で紀泉山脈の主稜線に達し紀泉山脈を南北に分ける大阪・和歌山の府県境に沿って西へと辿る。段々登山道らしくなくなり前方に電波塔、フェンスの傍に1等三角点「葛城山」(866m)が現れる。その後も次々と電波塔が現れ点検道となって駐車場に到る。騒音源の単車が止まっていた。和泉葛城山(858m)山頂へは鳥居前の広場からを石段を登る。山頂には神社が二つ背中あわせに建っている。葛城神社と案内があるが、正式には高龗(たかおがみ)神社と八大龍王社で嘗ては信仰の山であった事が知れる。

 

本当の山頂からは展望はないが西の方に展望台がありコンクリートの塔に登ると360°の展望が得られる。ここで最後のミッション「龍門山を山座同定」だ。ノ川越しに台形状に横たわるその姿を同定した。周回して鳥居前に戻り山名板の前で記念撮影、トイレもあり暫し休憩、下山は牛滝林道を下る。北側斜面にの道路に雪が残っていた。本谷林道との分岐点に通行止め表示があり車はこの先進入できない。沿道の木が倒れて一時道を塞いでいたようだがもう処理されているのだろう単車の親子が走って来た。

 

2㎞弱林道を歩くと丁石道の入口に達する。林道の向かい側にお地蔵さん、二十一丁地蔵だ。此処から始まる丁石道は一丁(109m)ごとにお地蔵さんがあり麓に向かって丁数が減って行く。現地の指導標には「地蔵さん登山道」とあり丸太階段が整備されている。十一丁地蔵を過ぎた処で先程分れた林道に出た。牛滝林道で山頂から下り始めた道だ。牛滝川に下りる登山道が分岐したが辻さんの膝を気遣って林道を歩くことにした。お地蔵さんは林道に続き五丁地蔵まで確認できたが、その後はどうやら大威徳寺への分岐を下って行ったようで四丁地蔵以下を見ることはできなかった。林道の終点は府道40号線に直ぐ向側に牛滝温泉“森(いよ)やかの湯”があった。

 

750円の入浴料金でゆっくり疲れを取り、19:37のバスまで待ってられずタクシーを呼んでもらって東岸和田駅へと出た(\3,500)。 三国ヶ丘で乗換える奥野さんと所要のある辻さんを除く4人は大阪駅の串カツ屋で反省会を行った。《山紀行794》 

 

【感 想】   50期  奥野 淳子

以前、個人山行で歩いた道は人工的でがっかりだったので、関西百名山のバリエーションルートを楽しみに待っていました。高塚山へいきなり直登、その後は藪漕ぎの連続と期待通りの展開! お蔭様で翌日は久しぶりの筋肉痛で、山行の余韻を楽しむことが出来ました。大変有意義な一日でした。

 

【感 想】   53期  辻 春見

昨年の秋から全く例会に参加できず、今年初めての山行になりました。結果は足がつり、膝が痛くなる散々なものとなり、皆さんにもご迷惑をおかけしてしまいました。皆さんが冬山のための事前トレーニングをしたり、日頃の地道な山行を重ねておられるのを、メーリングリストのみで拝見していた結果が、顕著に出てしまいました。山行そのものは、★一つながら、お決まりの直登あり、藪こぎありとバラエティーに富んでいました。一つ少しは判るようになってきたのかしら。と思った点は、読図における自分の現在地が、リーダーの解答と差がなくなってきた点です。結構アップダウンが多かったので比較的判り易かったのかも知れませんが、自分の中では少し前に進んだように思いました。リーダーならびにご参加の皆さま、楽しい山行をありがとうございました。さらに精進しますので、またご一緒お願いいたします。

 

【感 想】   55期 田中靖

今回はじめて関西百名山シリーズに参加させて頂きました。道の不明瞭な中を藪こぎをしたりし、貴重な体験ができ、またそのような状況の中で現在地の把握とコンパスを使っての読図の必要性を痛感しました。今日のコースをひとりで行くと迷ってしまうと思うのでこれからもっと読図を勉強したいと思います。今回天候もよく、景色も楽しめとても楽しい山歩きでした。ご一緒させていただいた皆様ありがとうございました。

 

【感 想】   56期 由良俊夫

入会承認後初めての山行です。大阪南部の山が初めてなら、ICOCAを使うのも、稜線から関空を眺めるのも、本格的な読図も全て初めてでした。その中で読図は、山本リーダーに的確に指導していただきました。これまで本を読んでもいまいちピンとこなかったのが、今回の指導で上達の手がかりを確かにつかんだ気がします。足腰にも、そして頭にもかなり手応えのあった山行でした。リーダーはじめ同行の皆様、ありがとうございました。

 

20130203和泉葛城山1

写真1: 岩雄山南のピークと右肩に和泉葛城山858m(岩雄山より)

 

20130203和泉葛城山2

写真2: 龍門山756m(和泉葛城山展望台より)