京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3270 北八ヶ岳バックカントリー スキーツアー

今日も蒼と白のコントラストが目に眩しい。時折合間を抜ける風が木々を揺らし、零れ落ちた粉雪が陽光にキラキラと瞬く。

 

1出発

 

1出発

 

 

[c]2013年2月8日(金)夜~11日(月) 

北八ヶ岳バックカントリーキーツアー

【メンバー】CL穐月大介、SL上坂淳一、加藤一子(気象)、寒川陽子(記録)

【天候】9日:快晴 10日:晴れ 11日:曇り

【行程】

・2月8日(金)

20:30御池大橋西詰集合=(マイカー)⇒2:00渋川入口ゲート前・2:30就寝

・2月9日(土)

6:00起床・7:35出発-(R299メルヘン街道) →8:35日向木場展望台→9:40東屋55→10:45駒鳥の池→11:05麦草峠・麦草ヒュッテ12:20→12:50高見石小屋分岐→13:00白駒池→13:50麦草峠分岐→13:55渋の湯分岐→14:10高見石20→14:25高見石小屋40→15:00丸山→16:50麦草ヒュッテ・18:30夕食・21:00就寝       [コースタイム7:20]

・2月10日(日)

6:00起床・6:30朝食・7:20出発→8:30大河原峠林道出合→8:40雨池入口→8:50雨池南湖畔→9:10雨池北湖畔・上坂離脱→10:40林道出合→11:20双子池ヒュッテ12:10→13:00林道別れ→13:30雨池北湖畔→13:50雨池南湖畔14:00→14:20林道別れ(八千穂高原分岐)→15:20麦草ヒュッテ・18:30夕食・21:00就寝

[コースタイム7:10]

・2月11日(月)

6:20起床・6:30朝食・7:55出発→8:10大平峠→8:50横岳分岐→9:20国道出合-(R299メルヘン街道)→10:10渋川入口ゲート前40=(マイカー)⇒11:15渋の湯=(マイカー)⇒18:00京都市

[コースタイム2:15]

 

【記録】

2月8日(金)

夕方から吹雪となった京都市内を発ち、上坂車で一路東へ。高速上も吹雪が止まず白い視界。蓼科別荘地の上りカーブの一角で車が立ち往生していた。クラストした路面で右前輪タイヤが空転、数度車を押してみるも坂を登れない。救助を依頼することにしたようで、我々は助走をつけて坂を登りきりゲートへと向かった。夏用テント内に4人入り込み仮眠をとるが、深夜の八ヶ岳は凍てつく寒さで辛い数時間となった。

 

2月9日(土)

清々しい快晴の雪山日和、スキーを履いて雪のメルヘン街道を登っていく。時折歩みを止めて北岳や御嶽・乗鞍の白嶺を愛でながらのんびり前進。冷山分岐からは国道を離れて林間を縫いながら進む。微々たる登りだが、寝不足気味にはラッセルが地味に堪える。CLがこまめに位置確認をしつつ、適度に先頭を入れ替えながら麦草峠を目指した。

 

一面の大雪原に構える麦草ヒュッテは今例会のベースキャンプになる。スノーシューやスキーの貸し出しのほか、講習やスノーモービルでの出迎えも行っているという万能っぷりで、様々なパーティーと宿を共にすることになる。温茶を頂きつつ宿泊手続きを済ませ、個室部屋に不要装備をデポ。

 

上坂の足の痛みが深刻なこともあり、足馴らしも兼ねて時計回りにゆっくりと白駒池から高見石・丸山を目指すことに。XCコースのフラッグを追い、雪原から林間へと緩い下りコース。白駒池は完全に凍結しており湖上を横切って青苔荘経由で、白駒池の入口へと戻る。高見石から下ってくるパーティーと数組すれ違ったがスノーシュー履きが多い様子で、丸山からの滑走予定を告げると羨望の眼差しを向けられた。緩い傾斜にうんざりしてきた頃、ようやく森が開けて高見石小屋に到着。ほぼ雪に埋もれてしまっている高見石からは、眼前に丸山・中山・ニュウ、奥には硫黄岳や浅間山までをも俯瞰することができた。高見石小屋からはひと登りで丸山頂上。寒川以外はシールを外して丸山北面を滑走。樹林帯であり傾斜もそこそこ急なため、キックターン併用で下る加藤。同じくアルペンターンで慎重に滑っていく上坂。木の間を縫ってスイスイと進む穐月は、数m進んでは転倒する寒川に対し、ひたすらアドバイスやコース取りの助言。そんな調子で各々雪と戯れながら高度を下げ、平凡な樹林帯を登り返してヒュッテへと帰還した。

 

ヒュッテは個室1泊2食8500円に暖房費が300円、浴場はあるが冬季は入浴できない。部屋内は灯油ストーブに電気ヒーター、コタツ。トイレにまでストーブがあり無料でお湯が頂けるという、暖に恵まれたありがたい小屋である。土日共に適度に混み合っており、食事は2組の交代制。味・量ともに予想外に立派な食事に腹も心も癒され、温かい布団の中で安眠することができた。

 

2月10日(日)

双子池への遠征を目標に手早く出発。今日も蒼と白のコントラストが目に眩しい。時折合間を抜ける風が木々を揺らし、零れ落ちた粉雪が陽光にキラキラと瞬く。ピーカンの雨池、背後に聳える茶臼山縞枯山・横岳。好天の素晴らしさを改めて思い知るところである。出発後しばらくでストックのスノーバスケットの連結部が破損した上に前日より足の痛みを抱えている上坂が、雨池より単独にて来た道を引き返す。本隊は雨池を越えて斜面を下っていくが、林道出合が近付くにつれ急斜になり一部板を脱いで下る場面もあった。林道に出ればあとは道沿いにひたすら登り返せば双子池である。冬季休業中の双子池ヒュッテは、麦草ヒュッテにひけを取らぬ立派な外観をしていた。メープルティーを淹れ腹ごしらえも済ませたところで、来た道を引き返し帰路に向かう。林道の下りは滑走に最適なのだが、ようやくシールを外した寒川が板に慣れず悪戦苦闘しなかなか進まない。雨池への登り返しの手前では、林道沿いに流れている沢にスノーモービルが落ちてしまっており、引き上げに難航していた。帰りはシールを着けても穐月・加藤が登りに苦労しつつ、しかし長い急斜もなかったため思った以上にスムーズに麦草ヒュッテへと到着した。

 

2月11日(月)

最終日は下山のみである。往路とはルートを変え、大平峠経由で一部林間の下りを楽しめるコース。曇りに小雪が舞い、吹き抜ける風が凍えそうな位に冷たい。シールを外した途端に寒川が頻繁に転倒し遅々として進まず、見守るメンバーの助言にも熱が入る。国道に降り立ってからはショートカットをせずに、国道を悠々と滑走しているとあっという間にゲートに着いてしまった。車に乗り込みゲートを離れる頃には晴れ間が出てきて、茅野市内からはどっぷりと化粧をした蓼科山霧ヶ峰が鎮座していた。小さなトラブルは多々あったが、天候に恵まれた事により純粋に冬季八ヶ岳の自然を満喫できた例会となった。

 

【感想】48期 寒川 陽子

初めに山スキーを始めてみようと思い立った経緯を記す。まず1点目はそれなりに山と付き合っているにも関わらず山スキーを知らないからである。もう1点は、泥くさい活動をする人が減ったなと思ったからだ。これは山に限った話ではないが、「失敗せず、粗相をせず、カッコよく」楽しむスタイルが増えた気がするのだ。泥くさい事はせず、足を引っ張らずソツなくこなすのが当たり前。それでは私みたいな運動音痴は尻込みして新たな事に挑戦しなくなるではないか。行動の着火剤になればと、またまたお荷物になるのを承知の上でCLのお誘いにホイホイと乗っかった訳である。その代わりどんなに小屋泊のぬるい山行と言われようが、私の中では今例会は錬成のつもりで、行動中の一つ一つを大切にしようと意識して取り組んだ。

 スキーの醍醐味である下りにおいて最大のお荷物だったのは言うまでもなく、皆に生温かく見守ってもらった。初日は力任せに進んでしまったが、疲れてくると楽な歩き方を模索して自然と省エネモードを掴むことができた。シールを外した途端楽しいくらい雪と戯れたし、久々に泊まった小屋のありがたみもひしひしと感じたし、天候もよく、感謝の念に満たされた数日間となった。お誘いいただいた穐月さんをはじめ、メンバーの皆様には大変お世話になりました。

 

感想】48期 上坂淳一

 天候とメンバーに恵まれた楽しい山行でした。

 高見石からの眺望はこの山域ならではの浅間や奥多摩の山々が見られ、ショートシールの調子も期待通りでした。

 ひとつ残念だったのは、個人的に双子池まで到達できなかったこと。これは直接にはプラブーツの不調でしたが、その原因として、今までなら降雪を待ちかねてシーズンインしていたスキーへの気持ちが、すっかり衰えてしまっていたことです。結果として愛用の道具から嫌われてしまいました。何事も中途半端ではいけないということでしょう。

 穐月リーダーをはじめ、同行の皆様には色々とお世話になりありごとうございました。

 

感想】25期 穐月大介(CL)

北八ヶ岳はロープウエーで登ればすぐそばに小屋があり、山容も穏やかだが、こと気温に関しては冬山だ。8日夜半をすぎて仮眠をとったが足が冷えて眠れず、朝、買っておいたコンビニのオニギリは芯まで凍ってジェラートになっていた。

だいたいのコースはウロコソールのテレマークの板ならほとんどの所はシールなしでも行けるし、バックカントリーを始める山としては最適だが、コースの取り方によっては其れなりの所も出てくる。

今回寒川さんはツアー初参加で其れなりに厳しかったと思うが、何度倒れてもパワーで起き上がってくる姿は「明日のジョー」のようだった。

メンバーは上坂さん、加藤さん、寒川さん、とちょっとすごいメンツだったが、リーダーとして立てていただいた。

ずっと運転してくださった上坂さん、いつもサポートしてくださる加藤さんに改めて感謝をのべたい。

今回不味かった物:冷凍おにぎり。

今回美味しかった物:帰りによった茅野のレストランの涙が出るほど辛いわさびドレッシング。

 

2東屋で一休み

2東屋で一休み

 

3小屋着

3小屋着

 

4凍結の雨池

4凍結の雨池

 

5双子池唐松林とサルオガセ

5双子池唐松林とサルオガセ

 

6双子池のお地蔵さん

6双子池のお地蔵さん

 

7国道299号線

7国道299号線

 

8麦草ヒュッテ

8麦草ヒュッテ

 

9朝のおとぎり平

9朝のおとぎり平