京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉 丸山・初河山

 平成25年4月13日(土)~14日(日)

 

白山美濃禅定道は石徹白から始まる。神鳩ノ宮避難小屋に泊り丸山(1,786m)、初河山(1,613m)の周回縦走を行った。

 

20130413丸山・初河山6

 

写真6: 初河山1,613m (丸山南西稜線より)

 

【メンバー】 長野浩三L、山本浩史TC、浅野さん(非会員)   計3名

 

1日目(4/13)

【行  程】 京都6:00=京都東IC=(名神東海北陸道)=白鳥IC=9:05石徹白大進橋9:22~10:48大杉登山口11:08~13:21△神鳩ノ宮避難小屋

【山データ】  晴れ 歩行距離9.2㎞ 4時間07分 延登高 875m 延下降 20m 0座登頂

 

20130413丸山・初河山地図

 

早朝の京都市内で車を走らせていると緊急地震速報が入り淡路島で震度6弱の揺れが起こった。京都でも一時鉄道は全て止まったようだが車の走行に問題はなく予定通り出発した。白鳥の街は桜が満開で気持ちは浮き浮き。桧峠を越えるとまだ桜の気配はなく残雪が沿道に残る。この季節は石徹白(いとしろ)林道が通行止めで大進橋から大杉登山口までは6.2㎞の車道歩きを強いられる。林道入口にはブルドーザーが斜めに置かれ完全にバリケードになっている。

 

林道を進むと木に付いた前日の雪が気温の上昇と共に落ちて霙のようだ。野伏ヶ岳や母御石のピークが雪を纏って青空に映え、自ずから期待が高まる。初河谷の橋の袂は八反滝への遊歩道の入口で駐車場が半分露出している。登山口にはトイレと東屋があり先客が2人いた。途中からスキーで歩いて来た男女2人組、神鳩ノ宮避難小屋で同宿となるようだ。先発した二人を追うように「美濃禅定道(南縦走路)」と標識のから登山道に入る。登山口でも積雪は50㎝以上あり地面の露出は全くない。稜線を乗り越したところに樹齢1,800年の石徹白大杉がある。国の特別天然記念物に指定され幹周囲は14mあるそうだ。半分枯れてしまっているが葉っぱを蓄えた枝はしっかり頑張っている。

 

伝説では白山開山のとき泰澄上人の使っていた杖がこの大杉になったと伝わるが勿論、杉の年代はもっと遡る。

ここからスキーの人達より先行しツボ足で進む。このところ続いた冬型の気圧配置で新雪が載っている。折角持ってきた輪檋(わかん)は車の中に置いてきた。長野L、浅野、山本の順に先頭に立ち踝くらいのラッセルで倉谷と母御石谷の間の尾根を登る。“おたけり坂”と呼ばれる急登を登り切ると石徹白川対岸の野伏ヶ岳、薙刀山、日岸山、よも太郎山、願教寺山の稜線が望めるようになる。反対側には初河山、明日歩く丸山の稜線などが真っ白で素晴らしい。母御石のピークが谷を巻き込み存在感を増して近づいて来た。母御石を望む直ぐ先のピークの向こうに避難小屋はある。

 

先客は一人、亀岡山の会に属する男性が輪檋を履いて歩きまわっていた。1時間程経ってスキーの二人が到着、これで今日の宿泊者が揃った。スキーの二人と浅野さんはweb繋がりであることが判明、世の中は狭い!

 

2日目(4/14)

【行  程】 △神鳩ノ宮避難小屋5:08~6:48丸山~8:13初河山~9:55初河谷出合~10:45石徹白大進橋11:07=11:25満天の湯12:58=白鳥IC=(東海北陸道名神)=15:35京都東IC=16:00京都

【山データ】  曇り時々晴れ 歩行距離11.1㎞ 5時間37分 延登高 516m 延下降 1,371m 2座登頂

 

2日目は石徹白道を外れ丸山から芦倉山、天狗山、大日ヶ岳、水後山、蝉ヶ岳を通り石徹白に下山する21㎞の縦走を目論んでいたが、雪の状態からすると全山を踏破するのは悲観的で、何処まで行けるかと考えながら出発した。2.5万図には小屋から巻道が丸山の西稜線へと続いているようだが、雪庇が阻んでいるので一旦尾根の分岐まで登り丸山西尾根へと入った。別山谷を挟んで白山南尾根の三ノ峰、別山(2,399m)が素晴らしい。雲が下り標高1,700m以上は雲で覆われた。やはり天気は下り坂なのか?

 

別山谷の支流の谷が突き刺さるように南に突き出した1,572m標高点で90°以上左に折れ北東へと向きが変わる。そして右回りに円弧を描くように進むとほぼ180°回転し右手に避難小屋が見えて来る。折しもスキーの二人組が出発するところで何度か「ヤッホー」と叫ぶと漸く「ヤッホー」が返って来た。彼らは薙刀山を目指すそうだ。別山の雄姿も雲に隠れてしまい、野伏ヶ岳の稜線も見ることはできない。標高1,680mほどのピークを越えるとガスを纏った丸山が見えてきた。左肩に太陽が時々姿を見せる。丸山の直下は急登で先頭に立った浅野さんが作ったステップを辿る。丸山(1,786m)は今山行の初ピークで最高峰、2等三角点「丸山谷」があるが遥か雪の下に埋もれている。山頂標識は高い木に掲げられ露出していた。

 

処女雪を踏んで山頂に到ったが、何処からともなく現れた新しいトレースを発見、昨日のもののようだ、輪檋で来たようで此処で引き返している。さてここまで1時間30分を見込んでいたが、ラッセル続きで1時間40分掛った。このペースで行くと予定ルート踏破は無理、気温の上昇で益々条件は悪くなるだろう。南に続く雪庇の上にもトレースがあったが途切れているようで初河山の尾根に続くトレースは遠望でき此方にエスケープすることにした。山本が先頭交替してトレースを辿る。初河山の尾根は丸山からほぼ南西に流れて石徹白林道に到る。途中顕著なピークP1659に達すると行くはずだった芦倉山(1,717m)が初河谷を挟んで向かい側にあるが山頂は雲に包まれている。振り返り丸山はと見ると全姿を現し存在感を示している。

 

最低鞍部1,500mまで下り初河山(はっこやま1,613m)に登り返す。トレースのあるのは心強いが相手は輪檋、此方はツボ足で10㎝以上沈みラッセルを強いられる。目前に見えていた稜線に登りつくが山頂はまだ先、トレースの主は雪庇の端の方を歩くのが好きと見える。所々ツボ足で嵌り込む亀裂があったりしてそのままは辿らない。初河山でも木に括りつけられた山頂標識が待っていた。銚子ヶ峰、丸山、芦倉山に取り囲まれ、怪我の功名で登れた山だが、中々味わいがある。北北西の方向に方角には倉谷越しに遠く避難小屋が望め、歩いて来た距離を実感することができる。山頂域の南西300m弱の所に3等三角点「初子」(1,588m)があるが勿論雪の下で未だ眠っている。

 

2.5万図には下れそうな尾根が3本ほど認められるが、石徹白に戻るのは一番南側が都合良い。しかし確実に下るのは何と云ってもトレースに従うことだ。再び長野さんを先頭に下りだすと潅木や笹が繁茂し歩き難い部分が所々出てくる。標高が下がるにつれ藪に悩まされトレースも見失いがち、発河谷の対岸には中腹に林道が走り芦倉山からも下れそうな様子。初河谷が近づき八反滝遊歩道入口の駐車場が見えだすが標高差はまだある。何処から石徹白林道に下りられるのか。トレースは物言わぬ案内人、辿って行けば初河谷出合の50mほど北で林道に下り立つことができた。

 

昨日歩いた石徹白林道を40分歩き大進橋に戻り早々に山行を終えた。大杉が林立する神々しさの漂う白山中居神社に立ち寄り、もう咲いているかなと覗いた庭にはザゼンソウが咲き、咲き始めたミズバショウも見ることができた。桧峠の満天の湯で寛ぎ早々と帰路に着いた。 《山紀行801》

 

【後日譚】 

浅野さんがwebでトレースの主を見つけた。名古屋市に住む32才の男性で、芦倉山に周回縦走する12時間の山行だったようだ。トレースありがとう。

 

20130413丸山・初河山1

写真1: 石徹白大杉

 

20130413丸山・初河山2

写真2: 願教寺山1,691m (白山美濃禅定道より)

 

20130413丸山・初河山3

写真3: 神鳩ノ宮避難小屋

 

20130413丸山・初河山4

写真4: 三ノ峰1,962m、別山2,399m (丸山西稜線より)

 

20130413丸山・初河山5

写真5: 丸山1,786m (丸山南西稜線より)