火口のフチが途中岩稜になっているので、それを避けて火口に下りてみると、思ったより雪が深く重い。
少し進むにもとても体力を要し、ここまでのトレースの有り難みが身に染みる思いであったが、それにしてもトレースのついていないところを歩くのは気持ちの良いものである。
動画(もっと高画質のは、本文リンク先へ)
[NO.3286] 残雪の焼岳に登る
【参加者】
CL AT、小松久剛、辻博史、吉川彩、K 計5名
【日時】 2013年4月14日(日)
【天候】晴れ
【行程】13日18:00京都駅⇒12:00沢渡駐車場(幕)⇒14日5:00沢渡駐車場⇒5:30中ノ湯温泉旅館⇒6:10新中ノ湯登山口⇒7:30りんどう平⇒9:40焼岳南峰⇒10:50焼岳北峰⇒11:40焼岳南峰⇒12:30りんどう平⇒14:00中ノ湯温泉旅館⇒京都
今回の動画↓
【記録と感想】51期 T
集合時間をすこし早めて18:00に京都駅集合。
沢渡駐車場に到着したのは12時ころで、そこから4時間ほど睡眠して翌朝4時に起床。
5時に予約してあったタクシーがやってくる。
スノーシューやピッケルを着けた5人の荷物をタクシーのトランクに入れると、ぎゅうぎゅうでトランクが閉まらない。
トランクの蓋とバンパーをロープで縛って固定するタクシーの運転手。
タクシーに5人が乗りこむと、これまた車内もぎゅうぎゅうであった。
運転手さんによると、道路凍結のため中ノ湯温泉旅館の前までは行けないかもしれないとのことであったが、無理をして中ノ湯温泉旅館の前まで乗せていって下さった。
この運転手さんは今まで焼岳に44回登ったことがあるとのことで、焼岳登山についていろいろとアドバイスを下さり、帰りも2000mあたりで電話をくれたらまた迎えに来てくれるとのことであった。
中ノ湯温泉旅館の裏から雪の斜面を登り、つづら折れの道路をショートカット。
テープとトレースを頼りに6時過ぎ、新中ノ湯ルートの登山口に入る。
中ノ湯温泉旅館を出発する時から、スノーシューを装着したものの、朝一で雪もしまっており、なおかつトレースがあるのでかえって歩きづらい。(けっきょくトレースがあるので、最後までスノーシュー装着の必要がないようなコンディションであった。)
トレースはスキー・スノーボード・スノーシュー・ツボ足と三者三様な踏み跡が、縦横無尽についている。
今回スノーシューを初めて着けるという吉川さんは随分歩きにくそうにしていて、ここで大きく体力を消耗してしまったようであった。(ペースが少し速くて申しわけありませんでした。)
1972ピークを越えると急だった斜面が緩やかになり、りんどう平に到着。
あたりが開けた風景になり、焼岳が姿を現した。
りんどう平から焼岳まではまた急斜面のため、ここでスノーシューをデポしてアイゼンに履き替える。(気温も高く、けっきょく山頂までアイゼンの必要性がある場面は無かった。)
りんどう平からの稜線登りは天気もよく風もそれほど強くないので快適で、振り返ると霞沢岳をバックに眼下にりんどう平が見え、これはなるほどスキーやスノーボードで滑ったらずいぶん気持ち良いのだろうなと思える斜面である。
ただ吉川さんはさきほどのスノーシュー歩行でバテてしまったようで、たいへんしんどそうにして登っている。
上部のほうまで来ると少し風が強くなってきて、途中でKさんの二回しかかぶっていない帽子が風に飛ばされて遥か遠くまで飛んでいってしまった。
焼岳南峰の山頂まで登ると、今度は地形の関係からか、直前まで強く吹いていた風がまったく吹いていない。
反対側にガスを吹く北峰が見え、トレースは無いものの火口のふちを歩いてたどり着けそうであるので、北峰まで行ってみることにした(このときは勘違いしていてどこが南峰かと探していたが、のちに調べると立っていたところが南峰であった。)。
慣れないスノーシュー歩行で疲労の激しい吉川さんは南峰でまっていますということだったので、念のため小松さんのツエルトを持って、待っていただくことにする。
すぐそこに見えていた北峰だったので内心「ここまで来たのに、もったいないなぁ。」と思っていたが、行ってみると往復に2時間ほどもかかったので、吉川さんの自己判断は大正解であった。
火口のフチが途中岩稜になっているので、それを避けて火口に下りてみると、思ったより雪が深く重い。
少し進むにもとても体力を要し、ここまでのトレースの有り難みが身に染みる思いであったが、それにしてもトレースのついていないところを歩くのは気持ちの良いものである。
フチを歩いたり、斜面をトラバースしたりしながら北峰の下まで到着。
硫黄ガスの吹き出す横を通過して山頂にとりつく。
標高から言えば南峰の方が高いそうだが、北峰の方が硫黄が吹き出したりしていて、いかにも焼岳らしいという感じがして面白い。
山頂に着くと笠ヶ岳や北アルプスの山々が一望出来てたいへん爽快である。
また火口をはさんだ反対側には、手を振る吉川さんが小さく小さく見えていて、我々も大きく手を振り返すが見えているのかどうか。
軽く食事を採って景色を堪能したあと、来た道を足早に戻り南峰へ。(健脚のKさんが先々歩くので、辻さんによると「Kさんは要注意人物」だということであった。)
南峰まで戻ってくると、吉川さんはゆっくり食事を採りながら北峰まで歩く我々の様子を眺めていたとのことで、ここでようやく余裕が出来たので、はじめてカメラを取り出して写真やムービーを撮ったりしながら待っていたということであった。
あとから望遠ズームで反対側から撮った映像をみせてもらったが、随分遠いのにアップに撮られていてとても面白い。
最近のコンパクトカメラ性能の発達は凄いものである。
吉川さんと合流したあとりんどう平まで下山。
途中でKさんの二回しかかぶっていない帽子が幸運にもりんどう平に落ちていて、無事回収することが出来た。
デポしてあったスノーシューを回収して、朝のタクシーの運転手さんに電話しようとすると、自分のソフトバンクは電波が入っていないので(ソフトバンクは「つながりやすさナンバー1」というが)、辻さんのau電話をお借りして運転手さんに予約。
「それなら下山は一時間後くらいだね。下ろしたところへ迎えにいきます」とのこと。
その後、何も考えずトレースを調子よく下っていると、小松さんの指摘で間違えて旧中ノ湯ルートの方へ下山してしまっていることに気が付き、少し登り返すことになってしまった。
GPSで確認したところ、少しトラバースすると新中ノ湯ルートに戻れそうなので、自分が道を間違えてしまったので挽回したいという思いもあり、GPSを見ながらトラバースして元のトレースラインに戻るが、強引だったので非難されてしまう。
そこから少し歩いたところで下山路は傾斜の急な斜面まで戻ってきて、足がガクガクになっている吉川さんがコロコロとよく転ぶ。
振り返ると吉川さんがなかなかやってこない時があったので、何かあったのかと思ったが、なんでも足が雪にはまってしまったさいに靴が脱げてしまったそうである。
後からムービーを確認すると本当に靴が脱げていて、念入りに紐を締めて履く登山靴だが、そうやって脱げるようなことが実際にあるんだなあと感心してしまった。
新中ノ湯旅館まで下りてくると、朝のタクシー運転手さんがすでに待っていて下さり、またタクシーのトランクに我々の荷物をギュウギュウにつめて、沢渡駐車場まで乗せていって下さった。
この運転手さんは面白い人で、いろいろと楽しい話を聞かせてもらう。(タランティーノ映画に出て来そうな渋いオヤジであった。)
帰りは運転手さんのアドバイスに従い、松本側から高速道路に乗って帰京。
日帰りでかなり強行軍だったが、天気も快晴で最高の景色が楽しめた山行であった。
小松さん、辻さんには長い間運転をしていただき、たいへんおつかれさまでした。
またKさん、吉川さんにはムービー撮影に御協力いただきありがとうございました。
【感想】55期 K
お天気にも恵まれ、最高の景色を満喫させてもらいました。楽しかったの一言です。
個人的な反省ですが、地図が読めない、というより読もうとすらしていない姿勢をいい加減改めないとと思います。最近偏りがちでしたが、バランスを大事にしていきたいです。
お疲れの中で長時間運転してくださった辻さん・小松さんには大変感謝です。ありがとうございました。
【感想】53期 辻博史
今シーズンはあまり雪山に行けてなかったので、シーズン最後の雪山と思い参加しました。当日は天気予報通りの晴天で風もなく春山らしい登山になりました。
(この時期、ちょっと厳しい気候を少し期待していましたので少し残念でした。)
雪に覆われた焼山は美しく、噴火口からの噴煙は間近まで近づけ大変迫力がありました。火口周回もこの時期ならではのルートで楽しかったです。(帰りはバテましたが)
素晴らしい例会を企画してタクシー手配もしてくださったT様、同行いただいた皆様ありがとうございました。
(タクシー運転手の方が面白い人でナイスでした。)
【感想】53期 吉川彩
一度登ってみたかった春の北アルプス、焼岳。
今回は絶好の機会と思い参加させていただきました。
が、初めてのスノーシューは想像以上に歩きにくく、12本爪アイゼンにも四苦八苦、登り始めて1時間ともたず、登頂は無理かもしれない…と不安になりました。
途中で待っていてもいいですか、と弱気で告げるとTリーダーに、それはできない、吉川さんが登れないなら、皆登りませんと告げられました。こんな絶好の天気に私のせいで登頂できないのはありえない!と必死で登りました。
登りたいのに滑ったり、はまったり、コケたりと散々でしたが、皆さんからのブトウ糖、アミノ酸などなど温かいサポートをいただいて、どうにか南峰に登頂することができました。
北峰まで行くパワーは無く、南峰で待っていましたが、北峰へ向かう皆さんを眺めながらの一人のんびりコーヒータイムはここまで全く周りの風景を楽しむ余裕の無かった私には至福の時間でした。
下りも転げた方が早い位で散々でしたが、皆さんのお陰で無事に下山できました。ご一緒して頂いた皆様、本当にありがとうございました!