京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3328 鈴鹿 宇賀川 蛇谷(沢登り)

昨年の鈴鹿 蛇谷での事故。

高橋秀治さんと「かならずふたたび遡行して、リベンジを果たしましょう」と約束していた。

錫杖岳例会が終わって肩の荷が下りた翌週、

高橋秀治さんと皆さんでふたたび蛇谷を遡行することになった。

hebitani01.jpg

 

 

[No.3328] 鈴鹿 宇賀川 蛇谷(沢登り)2013年9月29日(日)

 

【日時】2013年9月29日

【メンバー】

AT(CL)、高橋秀治(SL)、寒川 陽子、秋房 伸一、由良 俊夫、高橋 幸三郎計6名

 

【行  程】御池ロッジ前集合→名神 京都東IC→八日市IC→国道421→9:00宇賀渓駐車場→9:20白竜橋(入渓)→13:40竜ヶ岳→裏道登山道から下山→白竜橋→16:15駐車場

 

動画

 

 

記録と感想【51期】AT

 

昨年の鈴鹿 蛇谷での事故。

高橋秀治さんと「かならずふたたび遡行して、リベンジを果たしましょう」と約束していた。

錫杖岳例会が終わって肩の荷が下りた翌週、

高橋秀治さんと皆さんでふたたび蛇谷を遡行することになった。

 

朝、御池のロッジ前に集合。

2台に別れて名神へ。

宇賀渓の駐車場に到着し、準備を整え9時頃出発する。

駐車場の登山指導所で、昨年の遭難騒ぎの際に色々と便宜をはかってくださった職員の方にご挨拶すると、我々のことを「懐かしい」と言って覚えて下さっていた。

高橋さんと共にお礼申し上げ、登山計画書を提出すると、沢沿いの道は先の大雨で崩壊箇所などあり、帰りは金山尾根の登山道から下山するのがよいとアドバイスをもらう。

金山尾根というと、昨年事故が起こって、助けを呼ぶためにはしった尾根である。

当時は蜘蛛の巣がはって歩く人の少ないような道だったようだが、聞くと今は整備されているのだとのことである。

 

林道を歩いて白竜橋から入渓。

もっと先から入渓してもよいが、水も綺麗なので前回に続いて今回も白竜橋から入渓した。

エメラルドグリーンの美しい沢を遡上していくと、すぐに大きな釜の魚止滝。

 

9月末で気温も低い。

魚止滝に取り付くために釜を泳がなければいけないので、巻こうかとも思ったが、SL高橋さんが登る気まんまんであったので、リードしていただくことになった。

 

高橋秀さんに確保してもらい、全員釜を泳いで魚止滝を登る。思ったより冷たくない。

この沢は小滝の連続となっており、ほとんどロープ出すところがない。

そのため、停滞することなく歩けるので体温が下がりにくかったということもあるかもしれない。

hebitani02.jpg

 

 

ふたたび美しい渓相の本谷を遡上していくと、本流は左に曲がり燕滝。

燕滝を横目に、右の蛇谷に入る。

 

蛇谷に入ってすぐ、15mの滝。

この滝は唯一直登できない滝だが、右岸のガレを登って簡単に巻くことができる。

その後、多くの小滝を、時々お助けロープを出したりしながら遡上。

 

廊下を過ぎて、高橋秀治さんと、昨年の事故発生現場を探りながら歩くが、ヘリでピックアップしてもらったポイントは特定できるものの、どれが事故発生現場なのか、どれもそれらしく見えるがよくわからない。

高橋秀さんが事故を起こしたところはそれほど何でもないような場所だったわけで、登山中の事故というのは、誰にでも起こるし、また沢中で事故が起こった時、いかに救助が困難なものか。それを学ばせていただいた昨年の事故であった。

そしてその事故がきっかけで、その後の沢登りの計画を変更して笠ヶ岳へ行ったのだが、それが錫杖岳に登るきっかけとなったわけで、何がどの様になるかわからないものだと思う。

 

昨年事故が発生した地点もいつの間にか過ぎ、上部まで遡上してくると、花崗岩から岩質が変わって黒っぽくなってきた。

稜線が近づいて水量もだいぶ減ってきたところで、石がゴロゴロしていて水が伏流している右俣に入る。

少し登ると伏流している水流がふたたび出てきて、山頂手前まで水流が続く。

やがて景色が開け笹原の草原の様なところへ出る。

上に竜ヶ岳山頂が見える辺りで、右岸から尾根に乗り、笹原を薮漕ぎしながら山頂方向へ。

hebitani03.jpg

 

ときどき踏み後を見つけるがすぐに途切れ、薮漕ぎしながら山頂に出る。(あとから見るとすぐ横に道があったようでガッカリ)

辺りが笹藪なので遮られるものが無く、すごく眺めの良い山頂。

 

天気もよくて最高の気分である。

高橋秀さんと握手。

当然だが、今回は無事に登って来られて本当に良かった。

山頂で軽く昼食を食べて下山にかかる。

帰りは登山指導所の方が薦めて下さった金山登山道から下山したが、昨年と比べ標識やテープなどが整備されており、わかりやすくなっていた。

小走りで登山道を駆け下りてゆく高橋秀さん。足を怪我していた時のことを思うと考えられないことである。

 

「あんなに脚が痛かったのに、今はこんなに元気に歩ける。時間とは本当に不思議なものだなあ。」と高橋さんがしみじみおっしゃるので、自分も

「ほんとうだなあ。」と、思ったのであった。

 

16:15頃下山。

 

 

【感想】53期 高橋秀治

エメラルドグリーンのお釜、鈴鹿特有(花崗岩の谷特有)の明るく美しい渓相の蛇谷を昨年のリベンジで遡行して竜ヶ岳に登頂して来ました。

思い返せば昨年の9月2日、Tさん・藤田さんの3名で遡行中に最初の廊下帯を過ぎ、四連の滝の最後の滝をステミングで乗り越えられず滝壺に降りた結果、浮石に足を取られそのまま転倒し、右足首脱臼骨折し、動く事も出来ずに救助要請をしてしまいました。

事故当時、リーダーを務めて頂いたTさんは、急斜面を這い上がり、尾根道を駆け下り、携帯の電波の通じる林道まで出てやっとの事で救助要請をし、また、在京の野崎会長をはじめ理事の皆様に一報が伝わり、

野崎会長と丸山副理事長が駆けつけて頂き、思い返せばキリがないくらいご心配をお掛け致しました。改めてこの紙面をお借りして、お詫びと御礼を申し上げます。「ありがとうございました。」

13ヶ月経って再度こうして遡行が出来、素晴らしい沢とご一緒して頂いたメンバーに感謝の気持ちで一杯です。

最後になりましたが、私自身ご迷惑を掛けたのは重々承知で申し上げるなら、あの事故が今の自分をよりスキルアップできたと信じております。

 

【感想】48期 寒川陽子

秋の気配漂う蛇谷に同行した。中盤~源頭部は荒れ気味となっており、以前の面影はないとのことで残念。今年は沢始めも沢納めも鈴鹿になりそうだが、どちらも明るくて険悪な箇所がなく気持ちのいい場所だったのが印象的である。

今季の振り返りを生かせる、来季の沢山行を考えてみたい。

 

【感想】56期 高橋幸三郎

 今シーズンは、おそらくこれが最後のチャンスになると思い、鈴鹿蛇谷での沢登

例会に参加させていただきました。宇賀渓駐車場に車を置き、暫くのあいだ林道を歩いた後に入渓。

真っ白な岩肌と澄んだ流れが印象的な明るい沢を進んでいくにつれ、次から次へと現

れる美しい滝、廊下、ゴルジェ等には、ただただ感嘆の声をあげるばかりで。終始、渓谷美を堪能する事ができました。この蛇谷は事前に期待していた以上に素晴らしい沢だったと思います。

 また今まで経験のない9月末の時期の沢登りとあって寒さは覚悟して臨んだので

すが意外にも8月に行った奥ノ深谷より水温が高く感じるほどで快適に行動できたのは幸いでした。

 ただ、このコース、恐怖を感じるような箇所は無かったものの非力な小生にとって

は少々距離が長かったのかも知れませんが、詰めにさしかかったあたりからは息切れしてしまい、どうにか山頂には立ったものの、下山時にはすっかり疲労困憊。改めて己の体力不足を痛感した次第です。

 いずれにせよ、このような素晴らしい企画を立てて下さったCLのTさんは勿論の事、道中、何かとサポートしていただいた諸先輩の方々には大いに感謝したいと思います。また可能なら来シーズンにも是非とも又、訪れてみたい沢なので宜しくお願いします。

 

【感想】 52期 秋房伸一

 高橋(秀)さんのリベンジ沢登りということで、なんとしても行こうと思っていました。実際、行ってみると、山行コンセプトよりも、実際の沢の魅力にすっかり夢中になってしまっている自分に気づき、ちょっと反省。何と言っても、花崗岩質の白い岩で谷が明るく、水も綺麗。滝の大きさも適度で直登できて、ロープの使用回数も適度、詰め上がりの笹藪が、これまた綺麗で歩きやすい。ドロドロの急斜面をずり落ちそうになったり生命の危険を感じながら高巻いたり詰め上がるような沢登りとは違って、爽やかでした。皆に紹介したくなる、素晴らしい沢です。来年も、行きましょう!高橋(秀)さん、リーダーよろしくお願いします。