平成26年2月23日(日)
14日に市内でも4㎝の雪が降った。この1週間寒い日が続き愛宕山は白いまま。見上げていると意欲をそそられ今年3度目の愛宕山に登った。関西百名山シリーズのコースにするには厳し過ぎる明神谷を登った。
写真2: 首無地蔵にて
【メンバー】 山本浩史L、畑中里子、高橋幸三郎、小西幸一郎 計4名
【行 程】 嵯峨嵐山6:39-6:43保津峡6:50~7:21明神谷出合~9:57明神谷下降点10:13~10:25水尾分れ10:40~11:01社務所前11:18~11:26愛宕山~12:23首無地蔵12:33~13:32高雄山13:47~14:07文覚上人御墓~14:27神護寺~14:44高雄BS 15:15=15:54四条松原
【山データ】 小雪後晴れ 歩行距離18.3㎞ 7時間54分延登高 1,138m 延下降 1,053m 2登頂
直前にメールで同行者を募ると3人が来てくれた。今日の登路は愛宕山のバリエーションルートの中で一番厳しいと思われる明神谷。JR嵯峨野線の列車で集合し保津峡駅に降り立った。まだ雪はない、落合橋までは保津川沿いに府道を歩く。対岸のトロッコの保津峡駅への吊橋は昨年の台風18号の水害で歪み通行止めのままだ。清滝川の遊歩道に入ると木の枝にやたらにゴミが絡みついている。此れも水害の爪跡のようだ。左手から顕著な谷が現れると遊歩道は鉄橋で越えて行く。ここが明神谷の入口だ。何の表示もなく、踏み跡らしきものもない。橋の袂から谷に入るといきなり険しい道が始まる。
今日は一日晴れの予報だったが、曇り空で何か白いものがちらついている。写真を撮るとオーブのように写る。右に左に渡渉を繰り返し歩けそうな所を進む。谷は倒木や放置された間伐材が散乱し歩き難い。急峻な谷で滝が多く、その都度高巻き通過する。落差は5mとか10mのものもあるのに、2.5万図に滝のマークはなく一つも名前も付いていないようだ。嘗ては道があったようでしっかりした石組が随所に残っている。標高300mを超えた辺りで残雪が現れ徐々に深さを増す。地層の現れた大岩が両側に立ちはだかり険しさを感じる。最大の滝は落差15m位あるだろうか。“明神滝”とでも名付けたいがどうだろう。
2.5万図では谷の途中から表参道へと上がってしまっているが、高橋さんの経験をもとに今日はそのまま源頭部まで詰めることにした。両側から枝谷を迎え入れ上流に行くに従い水流は細ってきた。やがて水は地下に潜り雪のない川床を暫く行くが倒木が煩く迂回を強いられる部分が多い。やがて谷と云えない広がりを見せると上方に表参道を行く人が見え出す。最後は急登で表参道7合目のベンチ、かわらけ投げの跡の少し手前、三十丁地蔵と「嵯峨消防分団27/40」の標識のある地点に乗り上がる。途中で高橋さんの足が攣りそうになったりして、予定時間を大分超えてしまった。水尾分れの休憩舎で暫し休み凍りついた表参道を行く。アイゼンを履かなくてもそれ程問題はない。天下の表参道で登山者はそこそこいた。
黒門を過ぎると嘗ての白雲寺の寺域、廃仏毀釈で破壊され今では愛宕神社が唯一の宗教施設、丁石地蔵岳が仏教を残している。間もなく社務所前に到着、トイレの前の休憩舎で昼食休憩。愛宕山(924m)山頂の愛宕神社には高橋さんと畑中さんはパスし、小西さんと二人で参拝した。参道の石段は雪で埋もれ50㎝ほどの幅だけ除雪されていた。白髭神社経由でジープ道に下りると丁度時間調整をしていた二人と合流した。ジープ道からは展望が良く蓬莱山、焼杉山、比叡山が一寸霞みがちながら見渡せる。琵琶湖バレイはスキー場だよりでは95㎝の積雪があり、蓬莱山は真っ白だ。
下山は竜ノ小屋から芦見谷東尾根に入り周山の細野口BSまで行く予定だったが、高橋さんを気遣って行程を短縮し首無地蔵から高雄山を通り高雄BSへと下ることにした。愛宕三角点にも寄らず手前の分岐から首無地蔵を目指す。当初は笹ヶ谷の西尾根P811を通って竜ノ小屋付近に下りようと思っていたがそれも次回に置いておき、通常のルートで首無地蔵へと向かった。途中5組ほど登山者と出合った。最初の人は八丁尾根、次のグループは梨ノ木谷を登って来たと云う。途中展望個所があり蓬莱山から比叡山のパノラマを見ることができた。鞍部に到ると梨ノ木谷と芦見谷登山道のピークにあたる地蔵峠だ。地蔵が祀られているが首がなく“首無地蔵”と通称されている。他の地域でもそうだが廃仏毀釈の際縊られたものではないだろうか。
首無地蔵から雲心寺林道を行くと展望が素晴らしい。うねうねと蛇行する桂川や京都市内が一望できる。梨ノ木谷を回り込むように進むと愛宕山も姿を見せた。この積雪の中、若者3人が単車で上がってきており思わず「よく来たなあ!」と声を掛けると「いや~」と照れ笑いをしていた。分かり難い八丁尾根の入口を高橋さんと此処だろうと目星をつけた所は、先程出合った登山者のものと思しきトレースが続いていた。2つ目のヘアピンカーブの直ぐ先で折り返すように分岐する西ノ谷林道に入らなければならないが、雲心寺林道はここまでで、真っ直ぐ進めば谷山林道となる。先々と行ってしまった畑中さんと小西さんの姿は見えず、谷山林道に入ってしまったのでは? と比良山コールを送ってみると案の定100m余りも先から返事があった。
西ノ谷林道に入り南東に進む。右に分かれる2本目の林道を目印に歩いていたがそれらしきが現れないまま違う方向に林道が行ってしまいそうなので右方向に修正して藪を突っ切ると高雄への登山道があった。暫く進むと右側に意味ありげな赤テープを見つけ稜線の道へと入って行くと、果たして乗り上がった処は高雄山(429m)だった。3等三角点「高雄」があるが展望はない。山頂付近の木に30㎝はあろうかと云う巨大なサルノコシカケがあった。10年ほど前にこの山から南の尾根を辿って西ノ谷と清滝川の合流点に下りたことがあったが今日は神護寺に下りたい。分岐に戻るのも面倒なのでコンパスの示す方向に突っ切って登山道に復した。
暫く下ると右に整備された参道、「文覚上人・・・」と薄れた標識があり、時間もあるので行ってみることにした。どうやら2.5万図のP342に登るようで地図には此処に「高雄山」と記されている。山頂付近には性仁親王(しょうにんしんのう・後深草天皇の第4皇子1267-1304)墓と並んで神護寺を再興した文覚上人御墓があった。親王墓と殆ど同じ形式の墓石だった。此処からの展望は良く嵐山高雄パークウェイの高雄駐車場や神護寺の甍、菖蒲谷山(314m)、長尾山の連山と京都市内が展望でき素晴らしい。2.5万図にはP342のピーク付近に「高雄山」の表示があり確認に登ってみるがピークには何もなかった。高雄山は三角点の処と結論付け、2.5万図は誤りとした。
分岐に戻り暫く行くともう神護寺の境内、シーズン外れで観光客の姿は2人だけ、秋の喧騒からすると信じられない静けさだ。裏山から入って来たので拝観料も払わずお寺を参拝し表門から出るがお咎めなし。一旦清滝川の川面近くまで下り、登り返してバス停に到る。バスは3分前に出たばかり、次のバスまで30分待って大宮松原まで乗車した。壬生のやまとの湯に立寄り反省会をしようとしたが畑中さんは「主人の夕飯の用意が・・」などと言ってバスを降りなかった。男三人汗を流し2時間程反省会をして解散した。
【感 想】 56期 高橋幸三郎
久しぶりに歩く明神谷は相変わらず頻繁に渡渉を繰り返しながら微かな踏み跡を辿って行く面白いコースでした。ただ、少々張り切りすぎてしまったのか小生、足がつってしまい大幅にスピードダウン。結果、芦谷東尾根は断念という申し訳けない次第となりました。下山後は市内にて反省会。登山の話で盛り上がり楽しい一時をすごす事ができました。リーダーの山本さんをはじめ同行の皆さん、どうもありがとうございま
した。
【感 想】 56期 小西 幸一郎
予定通りのルートとはなりませんでしたが、バリエーションルートの明神谷も楽しく、また、愛宕山頂からは首無地蔵のあるサカサマ峠までしっかりと積雪があり、ラッセル跡がなければ結構な労力を要するほどの雪道を堪能出来ました。まさにバリエーションに富んだ楽しい山行でした。あと、畑中さんの脚力に脱帽の一日でした。
写真1: 愛宕山・明神谷最大の滝
写真3: 愛宕山924m(雲心寺林道より)