三重県大台町にある仙千代ヶ峰(1,100m)は宮川貯水池の畔でどっしりと構えている。2日目は大熊三山縦走で古ヶ丸山(1,211m)、白倉山そして関西百名山シリーズで行った迷岳を巡った。自転車に故障があり結果的に2日間で44.7㎞を歩く長い歩行になった。
平成26年11月15日(土)~16日(日)
【メンバー】 山本浩史(単独)
1日目(11/15): 仙千代ヶ峰
【行 程】 京都4:10=6:45大杉谷林間キャンプ場=7:06野又橋(ホタルの里公園)7:19~8:36野又高~9:01野又峠~10:18仙千代ヶ峰10:50~11:29倉元谷左岸尾根の頭~11:41千丈山~12:23小森山12:36~13:13大杉谷林間キャンプ場~14:23野又橋14:28=15:02六十尋滝15:12=15:45△犁谷公園
【山データ】 晴れ 歩行21.5㎞ 7時間04分 延登高1,476m 延下降1,476m 5座登頂
今日の近畿百名山シリーズは鈴鹿の2座を計画していたが参加希望者がいないので、11月2~3日で計画していたが大雨が予想されたので中止したこの山域に2日間の快晴を捉えて方向変更した。誰も参加希望者が無く、独りになったので朝4時に出発し大台町を目指した。高速道路は早朝でスイスイ走れ大杉谷林間キャンプ場に到着、自転車をデポし野又橋に向かった。周辺はホタルの里公園で東屋やトイレがあるが肝心の公園らしいものはない。水害で流されたのだろうか。トイレの傍らに車を置いた。
野又橋を渡ると桧原谷川(きそだにがわ)が野又谷と池ノ谷に分れる。この谷の真ん中の尾根を登るが2.5万図には野又谷をトラバースするように点線道が付いている。しかし指導標に導かれ尾根に取り付き急斜面を登った。P619に近づくと益々急登となりピークに到った。P619はさしてピーク性は無いが越えると若干の下りがある。再び登りだすと野又高へ行く道と野又峠へ巻いて行く道の分岐があり勿論稜線道を進んだ。
この地域には「~の高(こう)」と云う山名が多いが2.5万図には一つも記載がないのが残念だ。見渡すと父ヶ谷高、鯎谷高(うぐいだにのこう)、七ッ釜高など中にはテンネンコウシ高なんてのもある。ここ野又高(783m)は木立の中に3等三角点「野又谷」が置かれているは展望は無い。池坂越えから延びてきた東の稜線は大台町と紀北町の境界で此処から先、仙千代ヶ峰まではこの境界尾根を行く。名前があってもよさそうな顕著なピークを越え下りきった処が野又峠で巻道と合流する。峠の西側に展望地があり、ドンと構えた仙千代ヶ峰から北方の展望が得られる。南に進むと鹿除けのフェンスが稜線沿いに張られている。道はしっかりしていて大雑把な指導票も随所に置かれている。稜線上所々に展望地があり仙千代ヶ峰や日出ヶ岳を始め台高山脈の山々を望むことができた。
仙千代ヶ峰(1,100m)はどっしりした山体で2等三角点「桑ノ木谷」が置かれている。残念ながら期待したほどの展望は無いが池小屋山、野江股ノ頭、迷岳などが樹林の切れ目から望めた。ゆっくり休憩し北東尾根に進んだ。広い山頂域が徐々に北に曲がり下りだすと東側斜面が伐採され薄の輝く斜面になっている。千丈山との鞍部は倉元谷の源頭で倉元橋からの登山道が合流する。此処に「倉元谷左岸尾根の頭」の標識が掲げられていたが明らかな間違いで「源頭」ではあるが「頭」はピークでなければならない。左岸尾根のピークは北にあり道はなく間伐された丸太が転がる斜面を越えてピークに達した。倉元谷左岸尾根の頭(970m’)に立つが展望はなく山頂標識もなかった。
二重になった鹿除けネットの続く稜線を北東に進み千丈山を目指すが道形が薄くなった。所々で仙千代ヶ峰を望めるが逆光で写真は撮り辛い。千丈山(1,042m)に達するが展望は無い。登山地図には西仙丈谷を下る赤点線道だけが記されているが、小森山経由で大杉谷キャンプ場へ下るルートもあるので山名を稼げるこのルートを取ることにした。樹林帯で展望は殆ど得られず200m余り下る。鞍部は830m位で2つの小ピークを通り小森山(880m)に達する。3等三角点「小森」が設置され千丈山方向の展望が辛うじて得られる。
小森山から大杉谷キャンプ場への下りは急で標高660m位で尾根を外れ北東歩行の支尾根に入る。明瞭な道形があり間違うことはない。キャンプ場のプールの横に下り立った。舗装道路を下るが反対側は仁衛門林道の起点となっている。左手の斜面にキャンプ場のバンガローが見え直ぐにキャンプ場入口に達した。この山行中遂に誰とも会わずに終わった。
電波塔のフェンスに繋いでおいた自転車に乗って帰ろうとするとチェーンが外れて走れない。点検してみると何故か歯車の一つが曲がっている。工具もないので石で叩いてみたがどうにもならない。仕方がないので跨って下りは転がって行ったが半分お荷物になってしまった。9.5㎞の道程を1時間余り乗ったり押したりしながら野又橋に戻った。
近くに温泉は無く、まだ時間が早いので宮川貯水池沿いの県道を遡り美野ヶ谷の六十尋滝(ろくじゅびろたき)を見に行くことにした。大杉谷登山口への細道で来週はバスで此処を通る予定だ。県道から直ぐの処に滝はあり、案内板によると天文10年(1541)御用材搬出の為地図が作成されたときに滝の落口から綱を下げて高さを図った処六十尋(90m)あったことから名づけられたとあった。「美濃ヶ谷」の謂われはこの時美濃の杣人が入山したことによるそうだ。この後は今日の塒とする犁谷(からすきだに)公園に移動し、夕食を食べていると、トイレ掃除の小父さんが来て此処で泊って明日登山かと聞いて来た。この地域指定場所(キャンプ場)以外キャンプ禁止になっているので車中泊も拙いかなと思ったが咎められることなく済んだ。
2日目(11/16): 古ヶ丸山
【行 程】 △犁谷公園6:20~7:30柁山~7:47清治山~8:29古ヶ丸山8:37~9:01八景山~9:32白倉山9:42~10:33大熊谷の頭~11:32迷岳11:54~13:30口迷岳~12:58林道登山口~14:30八知山林道入口~15:10犁谷公園15:14=15:55奥香肌温泉16:44=19:40京都
【山データ】 晴れ 歩行23.2㎞ 8時間50分 延登高2,029m 延下降2,029m 8座登頂
この時期の日の出は6:25、5時に起き朝食を食べて明るくなるのを待った。今日のコースは大熊三山縦走コースで古ヶ丸山・白倉山・迷岳を巡る。登山口の案内板には14㎞所要時間9時間とあるが、終点は林道の標高750mの地点で自転車が使えなくなってしまったので車道歩き10数㎞が加わる。犁谷公園看板の横から急斜面に取付き尾根に乗る。30分程歩くとP473に到り傾斜がひと段落、また急登となり北から巻き込んで柁山(865m)に到る。3等三角点「天狗岩」のある山頂は南の展望がよく昨日登った仙千代ヶ峰や千丈山、そして台高山脈の加茂助谷ノ頭、日出ヶ岳(1,695m)、鯎谷高等も望めた。なだらかに登って清治山(971m)に達するが展望は得られない。今日のメインの山、古ヶ丸山を目指して西に進む途中にあるP1056は意外に急登で大岩が散在する厳しい地形になってきた。P1056から見る古ヶ丸山は円錐形に屹立している。
犁谷の奥から登って来る犁谷コースが奥芋口で合流し古ヶ丸山直下の急登となる。岩混じりで登り応えがある。古ヶ丸山は標高は1,211m、近畿百名山の山頂には3等三角点「古ヶ丸」があり展望良好、仙千代ヶ峰、日出ヶ岳、池小屋山など台高の山々の他、大峰山脈も良く見え八経ヶ岳や大普賢岳も確認できた。大台町の山々の展望を楽しみ北へと踏み出すと小ピークが連なる。八景山は約1,240mの標高があり古ヶ丸山より高く長い山頂域を擁している。ピークには山頂標識もなく一寸寂しが、迷岳方面だけ展望が利く。
細かい石混じりの稜線を下りきるとゴツゴツした岩の立ちはだかる白倉山の斜面が迫ってきた。垂直に立っている岩場にはロープがたらり。僅かな張り出しに足を掛けロープに体重を預けて這い上がること5m、この難路を名付けて「大熊落し」と云う。登山地図には赤点線道になっているが、相当危険なので迂回路も設けられているようだ。岩場の上からは勿論展望が良い。最大の危険個所を通過し白倉山(1,236m)山頂に立つと何の為か郵便受けを伴った山頂標識があり展望もよい。此の山も大熊三山の一つで2座目に登頂。
西に野江股ノ頭(2.5万図では江股ノ頭)から池小屋山への尾根が分岐する。この尾根もいずれは歩いてみたいものだ。大熊三山尾根を北へと進む。躑躅の群落の瘦尾根が続く。大熊谷の頭(1,190m)は東に流れる大熊谷の付き当りの山で、分かりやすいネーミングだ。山頂標識はなく展望も利かない。90°以上折り返すように東に向きを替え迷岳を目指す。葉を落とした橅の林は陽が入り気持ちが良い。P1285はツインピークで名が無いのがもったいない位のピークだ。稜線上も展望個所があり、登って来た古ヶ丸山や険しかった白倉山が姿良く眺めることができる。古ヶ丸山は迷岳に近づくに連れよく見えるようになってきた。
今日の最高峰迷岳(1,309m)は今年4月にも来た。関西百名山シリーズでの山行だったが近畿百名山にも指定されているのでNo.70Ⅱとしての登頂となる。あの時は飯高町香肌峡から登ったのでまた一味違った趣があった。冬枯れの稜線を進み山頂に達するが此処にも誰もいない。静かな山頂で昼食休憩を取り前回歩いたルートと同じ東稜線へと進む。二重三重になった複雑な稜線は陥没地形もあるが、しっかりした踏み跡があり問題はない。見晴岩は南側の展望がよい。P1185を越えると桃ノ木平でテントを張るにはよさそうだ。口迷岳(1,224m)は展望無く山頂標識だけを写真に収め先に進んだ。北側の展望が利く所があり台高山脈の果ての三峰山や局ヶ岳を見ることができた。
P1194の手前で植林帯の見通しの良い場所に出る。植林がネットで囲われている。此処から稜線を離れ八知山谷林道への下山路へと入る。ネットの隙間を縫って林道跡の道に到りジグザグに下って八知山谷林道登山口に達した。標高は約980mしかしここまでは一般車は入れない。犁谷公園にあった案内板によると林道の標高750mの地点までは来ることができるらしいが林道はかなり下までダートが続く。然も林道は勾配緩和のため大きく迂回するので強引に短絡尾根を下ろうとP859のある尾根に突っ込んだ。林道の支線が尾根の右側に下って行くようだが2.5万図にはなく何処まで行っているのか分からない。尾根を忠実に下りP859まではそれほど問題なく進んだ。
此処から尾根は幾方向にも分れしっかりコンパスを合わせて進む。急斜面で間伐材の放置が煩い。しかし人の手が入っていると云うことは何処かに下りられるだろう。標高550mで左手に林道が見えるが切通しの壁で下り立つのは無理、尾根の先端になだらかな所を見付け、辛うじて林道に下り立つことができた。これで3㎞ほど短縮できただろう。林道からP859を見上げると紅葉が見事で、口迷岳の冬枯れと合わせて素晴らしい眺めだ。紅葉を楽しんで歩いていると案外早く国道422号線に達した。八知山谷の橋は掛け替え工事中で通行止め、そういえば車で走って来た時対岸に迂回した所があったのはこの為だったのか、橋の向こう側には素掘りのトンネルがあり、どうも橋ができたら新トンネルを掘るようだ。
日曜日で工事はお休みなので未完成の橋を工事の足場を伝って渡りトンネンルを越えると迂回路と合流した。あとは国道歩き3㎞で犁谷公園に戻った。立寄り湯は飯高の香肌峡温泉Hスメール(\700)にして、さっぱりして高見トンネルを越えて帰路に着いた。
【歩行データ計】 歩行44.7㎞ 15時間54分 延登高3,505m 延下降3,505m 13座登頂
写真1(11/15): 仙千代ヶ峰(1,100m)、千丈山(1,042m) 野又峠より
写真2(11/15): 仙千代ヶ峰(1,100m)山頂2等三角点「桑ノ木谷」
写真3(11/15): 千丈山の後方に古ヶ丸山、迷岳、口迷岳 仙千代ヶ峰山頂西より
写真4(11/16): 迷岳(1,309m) 清治山付近
写真5(11/16): 白倉山へのほぼ垂直の岩場
写真6(11/16): 古ヶ丸山(1,211m)、八景山、白倉山 迷岳西稜線より