鈴鹿山脈南部の主稜線・仙ヶ岳(961m)とイワクラ尾根ではみ出した入道ヶ岳の近畿百名山2座を巡った。イワクラ尾根には重ネ岩、仏岩等があり変化に富んだ稜線歩きを楽しめる。しかしこの日は折からの寒波襲来で、山頂域は烈風吹き荒び一時吹雪となり通過するのがやっとだった。
平成26年12月6日(土)
【メンバー】 山本浩史L、船木佐織 計2名
【行 程】 京都6:55=(新名神)=鈴鹿IC=7:17小岐須大石橋7:23~9:06入道ヶ岳9:13~9:18北の頭~9:58重ネ岩~10:36イワクラ尾根分岐~10:52 P919~11:39宮指路岳11:57~13:22仙ヶ岳13:33~13:45仙ヶ岳東峰~14:14仙ヶ谷分岐~15:15小岐須大石橋15:25=15:53鈴鹿さつき温泉16:48=鈴鹿IC=(新名神)=18:00京都
【山データ】 晴れ一時吹雪 歩行14.4㎞ 7時間52分 延登高1,455m 延下降1,455m 5座登頂
まだ12月も始めだと云うのに第一級の寒波が押し寄せている。風は強いが空は快晴、三重県鈴鹿市小岐須町の集落からは入道岳が旭を浴びて輝いているのが見える。御幣川を遡ると、道が狭まり小岐須渓谷が始まる。林道のゲート手前にある大石橋の袂に車を止め、少し戻って入道ヶ岳池ヶ谷コースを登る。登山口近くには公衆トイレがあり、指導票が設置されていた。空は晴れているが小雪が舞いだした。急斜面を登り、池ヶ谷を遡る。途中の指導標もしっかりしているので難なく山頂へ導いてくれるだろう。細い谷間に大岩が挟まって下部を人が通れる位の空間がある。但し下は水が流れていて潜ることはできないが“くぐり岩”と案内されていた。
朝日を受ける入道ヶ岳(906m) 鈴鹿市小社町より傾斜が増し、滝が連続しだす。左岸を高巻き乗り上がると小さな避難小屋がある。登山地図にも載っていないが2~3人は泊れそうだ。指導標に導かれ進んで行くと右にトラバースしだした。2.5万図では右に振れながらも谷を登って行くが、「←小岐須 入道ヶ岳→」の指導標に従って進んだ。やがて滝谷からの道と合流し再びトラバース道で池ヶ谷に戻る。途中、本来歩く予定だった道と交差する筈だが、道形は不明で結局P771は経由しなかった。渡渉を繰り返して池ヶ谷を忠実に遡り源頭部の笹原に達した。樹木は無く烈風が吹き付け最後の入道ヶ岳への登りは風に押上げられた感じで、まったく労力なしで登頂することができた。しかし山頂に付くと立ち止まっているのは大変で吹き飛ばされそうだ。
入道ヶ岳(906m)山頂は一面笹原で360°の展望が得られる。恒例の読図ミッションに「野登山(852m)の山座同定」を用意していたが此の烈風ではコンパスを合わせる余裕もなく、電波塔のあるピークをそれと目で確認するに留めた。この先のルート上の宮指路岳や仙ヶ岳、北に見える鎌ヶ岳や御在所岳を確認するが、雪が混じりくっきりとしていない。耐風姿勢を取り馬酔木の木に隠れ込んだ。此の烈風の中、稜線歩きを続けることはできるのだろうかと不安が過るが、進むことにした。北の頭(910m’)を経由しP915へと笹原を辿る。林に入るとホッとする。入道ヶ岳は東の麓にある椿大神社の御神体の山で入道ヶ岳山頂には立派な鳥居が立ち、P915に奥宮がある。登山の無事を祈り賽銭を捧げた。
イワクラ尾根に入ると樹林帯で風は少し収まるが葉を落とした広葉樹林は寒い。雪の付いた岩混じりの急斜面を標高760mまで下り、登り返すと大岩の重なる“重ネ岩”がある。この先も岩場が連続し仏岩は三角の大岩が上に乗り、人の横顔に見える斜面の岩がユニークだ。宮妻峡から登って来た男性は鎌ヶ岳に行くと云ってイワクラ尾根を前になったり後になったりしながら進んだ。P874と主稜線の鞍部で宮妻峡への道が分岐し乗り上がると鈴鹿山脈の主稜線に達した。平成18年に4日間で鈴鹿山脈を縦走して以来だ。
鎌ヶ岳へ行く男性とは此処で南北に分れ、此方は今日の2つ目のミッションは主稜線にある「P919の位置特定」で、分岐から800mほど南西に進んだ所にある。顕著なピークの二つ目だが地図に現れない小さなアップダウンがある。主稜線に出ると右側から烈風が吹き付け、積雪も3㎝位になってきた。地形を見ながら歩き、16分ほど進むと其れらしいピークに達した。木に巻かれたテープにご丁寧に「P919」と書かれていたので答え合わせも出来た。稜線には山名があってもよさそうな顕著なピークが連続する。下りきった処は仏峠(853m’)でP903への急斜面を登り返す。小岐須峠(850m)はカワラコバ谷を経由して大石橋に下りる道がありエスケープルートに考えていたが、吹雪にも拘らず予定より1時間半ほど早く来ているのでその必要はないようだ。
100m登り返して宮指路岳(946m)に登る。山頂直前には張出した岩場など展望地があるが吹雪でカメラを出すことも出来ない。山頂の東側斜面の木の陰で昼食休憩を取った。テルモスの湯で人心地が付いた。長く休むと冷えて来るので20分足らずで行動再開した。南西斜面は風化した花崗岩の斜面で深い鞍部を越え“犬返しの険”は凄まじいばかりの地形だ。吹雪で写真が撮れないのが残念だった。小さなピークを幾つも越え小社峠に到ると仙ヶ谷から大石橋に到る道が分岐する。これもエスケープルートの一つだった。
登りに転じ今日の最高峰・仙ヶ岳(961m)に登る。幸い雪雲が去り時々晴れ間も覗き始めた。展望は素晴らしく今朝登った入道ヶ岳から宮指路岳も臨むことができた。10分ほど滞在し主稜線を離れ仙鶏尾根で東峰へと進む。鞍部で白谷を下る道が分岐した。少し前にすれ違った男性が登って来た道だ。東峰(955m)からは仙ヶ岳本峰が見える。山頂直下には凄く不安定に立った“仙の石”が変わらずにあった。仙鶏尾根は野登山へと続く。急斜面は厳しさを増し仙ヶ谷への下山路に達した。無名の谷を下り男性二人を追い越すと仙ヶ谷の岩盤の川床を渡渉し小社峠からの道に合流した。400m程進み堰堤が見え出すと林道終点に達し、林道歩き2㎞で大石橋に戻ってきた。
立寄り湯は鈴鹿さつき温泉で冷え切っていた体を温め人心地が付いた。京都南ICを下り、餃子の王将に立寄り解散した。
写真1: 朝日を受ける入道ヶ岳(906m) 鈴鹿市小社町より
写真2: 仙ヶ岳東峰(955m)、仙ヶ岳(961m) 小社峠北稜線より
写真3: 仙ヶ岳山頂にて