京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉近畿百名山シリーズNo.80 鷲峰山と金胎寺行場 《山紀行868》

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写真1: 鷲峰山山頂の石造の宝篋印塔前で

 

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平成27222()

 

鷲峰山(じゅうぶざん632m)は南山城の低山ながら金胎寺とその行場を伴い楽しませてくれる。清水谷川に下る行場は、急峻でスリルを味あわせてくれる。

 

【メンバー】 山本浩史L、藤松奈美、崎山康治    3

【行  程】 京都7:048:13加茂8:399:04原山9:1410:15船屋坂三角点~11:07鷲峰山11:1811:24金胎寺~12:14千手の滝12:3712:45五光の滝~13:02東海自然歩道出合~13:33原山14:1314:38加茂14:4515:41京都

【登山データ】 曇り一時小雨 歩行8.4 4時間19 延登高670m 延下降670m  1座登頂

 

早朝のJR奈良線は快速がなく普通で1時間かかる。加茂で小杉行の奈良交通バスに乗換え原山BSで降りると小雨が降っていた。今日の降水確率は50%だったので諦めて雨具を着ると雨は止んでしまった。和束町宇治茶の栽培が盛んで急斜面の山肌に茶畑が広がる。原山集落には養治(よじ)の茶畑が有名でまるで観客席のように弧を描く畑が美しい。

今日のリーダーは大きなミスを犯してしまった。用意していた地図をザックに入れるのを忘れてきてしまった。GPSの地図と頭の中に残っていた地図だけを頼りに歩き始めるが心もとなく、同行の藤松さんと崎山さんには迷惑を掛けてしまった。急な坂道の集落の最上部から茶畑の道となり山へと入って行く。林道の終点付近にまた茶畑が現れ、畑の端を登り稜線を目指した。稜線には何処から続いているのかしっかりした踏み跡があり辿って行った。日頃の疲れからか藤松さんが遅れがちになりスピードダウンして進んだ。傾斜がなだらかになると登山道の傍らに4等三角点「船屋坂」を発見した。

標高は607m、暫し休憩して複雑に折れ曲がった稜線を進む。明瞭な登山道に従って進んでいると稜線の西側を巻く巻道となり、どうせピークの先で元に戻ると高を括り進んで行くと道は違う方向に進んで行ってしまう。道が途絶え笹藪に突っ込み稜線へと這い上がるとピークを通ってきたらしき道に合流した。宇治田原町立川から登って来る車道と交差し斜面を這い上がり鷲峰山の西稜線の端に乗り上がる。微かな踏み跡があり辿って行くと金胎寺からの道に合流した。

合流地点には石造りの屋形に収まった仏像が鎮座し、登りきると鷲峰山(682m)山頂で、金胎寺の石造の宝篋印塔があった。正安2年(1300)の銘があり重要文化財に指定されている。山頂からは樹林の隙間に僅かに北方の展望が得られる部分がある。案内板には比叡山や琵琶湖が望めるとあったが、雲が厚く遠望は利かなかった。

この先鷲峰山三角点まで足を伸ばす予定だがGPSに三角点の情報は無く、さてどの尾根かと迷ってしまった。北に向かって下りだしたが、林道が絡んでくる地形であったか疑わしくなり西へと進路を変えると金胎寺の核心部である本堂に出てきた。重文の多宝塔や厄除け行者堂、大師堂があった。大師堂があると云うことは真言宗のお寺で、金胎寺は真言宗醍醐派に属している。白鳳4(675)役小角により創建されたと伝わるが、修験道の行場のある山はご多分に漏れず役小角創建とされているので疑わしい。

厄除け行者堂の裏から西に尾根を進むと所々に赤い矢印の板が木に掲げられ、「行場」の表示も現れた。此れは既に行部への道に入りこんでしまったようだ。鷲峰山三角点は諦め行場を進むことにした。迎へ地蔵を見て少し進むと行場の辻に達した。5年前に歩いた記憶が蘇った。行場巡りは一方通行で右回りに進む尾根通しに下り断崖に達すると東覗で迫り出した岩から展望が得られる。下は樹木が覆い余り恐怖感は無い。此処から清水谷川への下降が行場の核心部で絶壁にへばり付くように道が付けられている。西覗で再び展望があり、「黄色い石」と云うのがもう一つ良く分からず胎内潜りへと達する。人一人がぎりぎり通れる岩の隙間を潜り清水谷川へと達する。少し下ると千手の滝で落差は8mある。12時を過ぎたのでお腹が空いた。此処で昼食休憩を取ることにした。

五光の滝までは直ぐで折り返すようにして下り滝壺に到る。落差は12mあり両側に注連縄の巻かれた杉の大木がある。左岸に渡るとベンチとブルーシートで囲われた簡易トイレが供えられているがトイレの方は一寸使えないかも。左岸を下ると行場の道は右岸に渡り斜面を登って行くが標高差300mの登り返しとなる。もう行場は堪能したというリクエストに応えてGPSの地図にある点線道を辿って下山することにした。道がどうなっているか分らないので引き返しも覚悟の上だったが道はしっかりしている。落差4m程の無名の滝がありその50mほど下流のコンクリート橋で清水谷川を渡ると道は益々しっかりして林道となった。

鷲峰山からの下山道と合流し茶畑が見え出すと養治の茶畑を見て朝歩いた道に合流した。鷲峰山三角点に行かず、2時間かかる行場巡りも金胎寺に戻らなかったので所要時間を大幅に短縮した。原山BSに戻ってきたのは13:3340分後のバスに乗ることができた。雨具のズボンは履いたままだったが殆ど必要なかった。晴れ女、晴れ男を自認する二人のパワーか良い山行ができた。

 

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写真2: 胎内潜りの岩を隙間を抜ける

 

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写真3: 五光の滝(落差12m) は両側の杉に注連縄