京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉  近畿百名山シリーズNo.82

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写真1: 空山(901m)山頂の平成之大馬鹿門

 

平成27328()

 

兵庫県宍粟市には宍粟50名山なるものがある。北部の旧千種町域は岡山・鳥取県に接し、県境尾根には1,300m級の山が点在する。その一つ三室山(1,358m)鳥取県境の山で、この季節にはまだたっぷり雪がある。魚町公園を起点に空山の尾根を登り、竹呂山経由で周回した。

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【メンバー】 山本浩史(単独)

【行  程】 京都3:07大山崎IC=山崎IC5:31魚町公園5:516:14大谷三角点~7:02空山~7:30金谷三角点~8:09 P10819:36三室山10:0310:13南峰~10:48竹呂山~11:27真所三角点~12:13魚町公園12:1612:31板馬見橋

【登山データ】 晴れ 歩行16.3 6時間22 延登高1,435m 延下降1,435m 4座登頂

 

今回の近畿百名山シリーズは単独行となった。宍粟市の奥旧千種町の2峰を目指した。一人の気楽さで未明の3時過ぎに京都を出発し、深夜の中国道を走り明るくなり出した頃魚町公園に着いた。現地には「魚町公園」の表示は一切ないが登山道の指導標にあったのでそう理解した。登山道は駐車場の端から始まり公園の遊歩道として整備されている。木の種類を示すプレートが掲げられ、30分ほど登ると遊歩道の終点広場に達する。4等三角点「大谷」(681m)が設置されている。樹林越に見える後山(うしろやま1,344m)は雪をたっぷり持っている。

北への尾根を進み2㎞余り、傾斜が増し空山(そらやま901m)に到る。山頂域にだけ残雪があり塔が聳え立っている。これは嘗て京都の仏教大学の門として空充秋氏が製作したが名称を「平成之大馬鹿門」としたため大学が受取りを拒否した。当時の千種町が平成9年に受入れ千種高原への道を挟むように空山とおごしき山の山頂に建てたものだ。おごしき山の門は明日後山からの縦走で見る予定だ。山頂からの展望は良く後山やダルガ峰、南東方向には植松山等が望めた。3等三角点「空山」があり宍粟50名山の標識が立っていた。

 空山を過ぎると残雪が稜線にも現れ始め金谷三角点に達する。4等三角点で標高は947m、樹林の隙間から後山が望めた。徐々に高度を上げ兵庫・鳥取県境尾根に達すると雪の量は格段に増えてきた。P1081からは県境尾根の西に続くP1199がどっしりと存在感を持っている。鳥取県域には高倉(1,137m)や“くらます”(1,232m)がたっぷり雪を持って青空に映えている。地道が殆どなくなったのでここで軽アイゼンを付け大通峠に下った。県境を越える林道が横断しているが勿論積雪で車は通れない。県境尾根は比較的展望が良く爽快な稜線歩きができる。北の方には扇ノ山がどっしりと存在感を示し、氷ノ山は真っ白な山頂がなだらかで優雅に横たわっている。

県境尾根は南側に雪庇を発達させ5m以上もの壁が立ち上がっている。なだらかな稜線だが徐々に高度が上がり三室山が近づいて来た。直下まで来ると中途半端に笹が露出しているが何処にも夏道は確認できない。最後は傾斜が増しジグザグにステップを刻んで登る。9:36三室山(1,358m)山頂に達した。360°の展望が得られ日本二百名山の氷ノ山、日本三百名山の後山、扇ノ山、那岐山など西日本の結構有名な山が手に取るように見ることができた。2等三角点「三室山」が設置され、此処も宍粟50名山なのでその標識も立っていた。東方面と西方面の山名が写真入りで案内されていて山名を知ることができた。お腹が空いたので超早目の昼食にした。空を見上げていると風によって幻想的な形をした雲がUFOか竜かと想像を起こさせ楽しい。気温は上がっているようだが山頂には風があり寒くなってきた。

三室山を南に下ると前方に険しい突起がある。近づくと雪を被った岩峰で遠くから見ると登れるのか? と思うぐらいの険しさ、這い上がり山頂に達すると特に標識等は無く、明確な山名は無いが三室山南峰(1,300m)とした。次の山は竹呂山だがその前にP1198があり西に飛び出して赤西川支流の源頭を回り込むように迂回する。下りは雪の上をスイスイと進み、鞍部の少し手前で初めて人に会った。犬を連れた男性二人組で竹呂山から登って来たそうだ。登り返しは80m程、急登もなく竹呂山(たけろやま1,129m)に到った。3等三角点「中山」がある筈だが雪の下で発見できない。此処も宍粟50名山で今日の山は南峰以外全て宍粟50名山だった竹呂山からは展望は得られなかった。

さっきの人達は此の山頂でアイゼン・輪檋(わかん)を付けたようだ。雪があるとこういう情報まで残っていてまるで探偵のように彼らの行動を追うことができる。下山は南西尾根で山頂の少し手前から下りだす。尾根に入ると途端に積雪が無くなりアイゼンを外して尾根を忠実に下る。指導標は標高900m辺りで北側の竹呂谷方向に向かっているがこの先尾根を下れば4等三角点「真所」がある。谷筋を行くよりは三角点発見の楽しみがあり、明瞭な踏跡ではないが尾根を下ることにした。河内川に面した先端部にその三角点はあった、標高は713m。西の尾根を下れば集落が近い。下りだしが少し違ったようで南にトラバースして尾根を捉える。境界標識が続いているので間違いは無い。集落に下ると鹿柵の扉を開け耕作放棄の田んぼに出て河内川をコンクリート橋で渡り集落を貫く道に達した。

2.5キロ程の車道歩きで駐車地点に戻る。振り返ると三室山が谷間に望め昔から集落の人々は毎日拝んでいたことだろう。道路の柵越しの河原に一ノ宮神社の鳥居が潜ることのできない妙な場所にある。川越しにある神社は欅と杉の巨木が本殿脇に而立し神々しい。更に歩いて魚町公園に帰り着いた。

 

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写真2 三室山(1,358m) 東稜線より

 

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写真3: 後山(1,244m) 三室山山頂より