京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

  近畿百名山シリーズNo. 83 岡山県最高峰の後山

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写真1: 後山(1,344m)山頂の3三角点「後山」は辛うじて顔を出していた

 

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平成27328()

 

早朝から登った三室山は16㎞の長距離縦走だったが思いのほか行程が捗り、翌日に計画していた後山(1,344m)を繰上げとダブルヘッダーとした。山開き前の板馬見渓谷は誰も入っておらず、ルートも分かり辛く危険が大きかった。

 

【メンバー】 山本浩史(単独)

【行  程】 魚町公園12:1612:31板馬見橋~12:45林道終点~(行者コース)~14:40後山~15:16おごしき山~16:37板馬見橋16:4317:00エーガイヤ温泉19:0623:07京都

【登山データ】 晴れ 歩行6.3 3時間59 延登高753m 延下降753m 2座登頂

 

三室山登山はコースタイム7時間40分で計画していたが、単独だったこと雪が比較的締っていたので行程が捗り12時過ぎに下山することができた。翌日の天気予報は雨、残雪の急斜面を雨の日に登るのは危険で気も滅入る。午後の時間を無為に過ごすのも芸がなく、行ってしまおう! とダブルヘッダーを敢行した。

同じ宍粟市千種町域で155.4㎞の移動で板馬見渓谷登山口に達する。県道72号線の松ノ木公園から西大峰と扁額のある鳥居を潜り、荒れた林道を3㎞で終点の広場に駐車できるが板馬見渓谷の最後の橋から先は積雪で通れない。橋の傍らに駐車するが他に入った気配は無く、渓谷沿いの登山道を行くと10分程で登山口に達した。「西大峰千種行者講道場」の看板があり、修験道の行場であることを告げている。登山案内図には南から順に島谷コース、行者コース、大馬鹿門コースの3ルートが描かれている。計画では行者コースで登り大馬鹿門コースで下山を考えているが登山道の状況はどうだろう。

登山道を歩きだすと直ぐに「二の沢」の表示のある小屋がる。建物の中を登山道が通り中には休憩用の椅子がある。此れは何処かで見たような、そうだ大峰奥駈道の洞川辻の茶屋のようだ。西大峰はこんな処も共通するのか。小屋を抜けると嘗ての女人禁制の結界「垢離(こうり)取場」跡がある。そして直ぐ先には三角形の荒廃したヒナン小屋がある此れも中を通り出た所に石仏があり背後の立看板に「大壁忠司氏板葉見山再興基地跡 この地でテント生活」とあったが何時再興されたのだろうか。

板馬見渓谷の見せ場、不動の滝は大岩を挟んで両側から流れ込むV字滝で大岩の下には不動尊が祀られている。滝の前を横断し左岸に渡る。此処からは高巻きとなり右手に大岩が現れると「鐘懸の行者」の表示があり大岩の基部に小さな仏像が祀られていた。積雪はまだ大したことは無く「おごしき(大馬鹿門)コース」分岐に到る。ルートを外していたようで標識が10mほど上に見える。谷を遡って行くと雪の量が増してきた。気温が上がり雪の状態は良くない。谷の傾斜も厳しく横断して上の方に見える一般コースと行者コース分岐の看板まで辿り着くのに苦労した。

さてこの状況で行者コースは登れるだろうか。一般コースは巻道が多くかえって危険な気がする。距離も短いので行者コースに入るが要所々々に掛るロープは雪の下で使い物にならず正規の行者コースを辿ることは無理なようだ。行場の岩場を避け横の尾根を忠実に這い上がることにした。傾斜が急で木に掴まり緩んだ雪に足を取られながらも何んとか這い上り、1時間ほど掛けて漸く県境尾根に達した。此処は嘗て笛石山から縦走した時に歩いた道だ。なだらかな稜線にホッとして歩を進めると疲れがドッと出て来た。前方に後山が近く展望も良い。

後山(1,344m)日本三百名山岡山県最高峰、山頂には祠があるが季節外れの今日はブルーシートで覆われていた。山頂標識は兵庫県によるものと岡山県のものがあり、兵庫県は宍粟50名山で1,345m岡山県は「岡山県最高峰」の表示を伴い1,344mとなっている。3三角点「後山」の標高は1,344.36m岡山県の表示が正しい。此れは平成2641日の国土地理院の山岳標高修正で1m低くなった影響で兵庫県の表示が追い付いていないと云うことだった。山頂からは午前中に登った三室山の他、氷ノ山や日名倉山など素晴らしい眺めだ。ダブルヘッダーは流石に疲れる。ゆっくり栄養補給をして東尾根をおごしき山へと下った。少し進むと南東尾根に笛石山が美しく、前方にはおごしき山が見え山頂の平成大馬鹿門もしっかり確認できた。1㎞の尾根下りはスイスイ進み20分でおごしき山(1,095m)に達した。

山頂には平成大馬鹿門があるだけで「おごしき山」の表示は何処にもなかった。北東方向に空山があり、辛うじて片割れの平成大馬鹿門を確認できた。2日で両門を見る予定が1日で一対の門を見ることになり感無量。さて下山は大馬鹿門コースを通るが板馬見渓谷の合流点までの1㎞は殆どが巻道で積雪量は減ったが中途半端な腐れ雪が覆い気が抜けない。なるべく夏道を外さないように進むがルートファインディングは難しい。所々にある赤テープが非常に助かる。幾つも谷を渡り尾根の出っ張りを越え40分も掛って漸く板馬見渓谷に戻ってきた。後は来た道を帰るだけ。林道終点の登山口に戻ると帰路は遠回りだが林道を歩いてみる。ヘアピンカーブを折り返すとおごしき山が見上げられまた平成之大馬鹿門を見ることができた。そして林道の積雪は駐車地点の橋付近と終点広場だけだった。

後山の山開きは毎年418日、この厳しさから未だ訪れる人もないのが良く分かった。岡山県側の行者川を登り詰めた所に真言宗醍醐派の道仙寺(どうせんじ)奥の院があり、そちらも行者道が山頂へと続いている。そして大峰と名付くだけあって其処は今も女人禁制であるらしい。いずれにしても無事に下山できたことに感謝だ。今日の立ち寄り湯は旧千種町の中心部に近いエーガイヤ温泉、400円で入れた。2日の予定が1日で終わり、後は帰るだけ。ラジオは中国道の渋滞を伝えている。ゆっくり休みながら帰ろうと国道29号線から372線に入り延々亀岡に繋がる国道を4時間掛けて走った。

 

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写真2: 午前中に登った三室山(1,358m)

 

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写真3: おごしき山(1,095m)山頂の平成之大馬鹿門