【参加者】CL 長野浩三,AT,辻博史,渡邊桂,TN(会員外)
【天候】3日晴れ,4日曇り後一時雨,下山後下界は晴れ
【行程】
5月2日PM8:00 烏丸御池発
5月3日AM1:00 駒ヶ根SAで仮眠
AM7:40 猿倉発
AM9:00 白馬尻着、幕営
PM5:00 就寝
5月4日AM3:30 白馬尻発
AM5:00 稜線で撤退決定
AM6:45 白馬尻着、撤収
AM8:15 猿倉着
AM9:00 温泉 八方の湯
PM5:00 京都着
【記録と感想】57期 渡邉 桂
5月3日
猿倉に到着する前から、青空をバックに雪化粧された北アルプスの山々を見て駐車場に着くのが待ち遠しかった。しかし楽しい気分は束の間で、普段岩ばかりで持つことのない重いザックを担いでよろめき、テント場までついていけるのか不安が大きくなった。そんな私の不安をよそに、リーダー他男性3名は持ち上げるのもやっとなほど重いザックを背負って事無げに登り始めていく。ついていくより他に仕方がないので、平気なふりをして粛々と歩を進めた。先頭はリーダー長野さん、そしてしんがりは辻さんが務めてくれた。安心感このうえない編成だった。
シャリシャリの雪の上を、小休止を取ることもなく進んでいくこと1時間余り。やっとテント場に到着、ザックを下して解放感に浸った。見渡せば白馬大雪渓、そして明日登るべき雪壁。ところどころ雪は溶けており、茶色い土や岩、樹木の緑が模様を描いていた。重荷から解放され元気を取り戻し、そのままテント設営に入った。テント泊山行は1年以上ぶり、2度目のことで自分たちだけで登山用テントを設営するのは初めてだったが、他会のおにくちゃんに丁寧に教えてもらってうまく設営することができた。スコップでの地ならしやスノーソーでの雪の切り出しなど、初めてする雪上土方仕事はとても楽しかった。
テント設営やトイレ作りが一段落すると、次は滑落停止訓練に移った。少し傾斜のついた斜面をそりで滑り降り、途中でピッケルを雪面に突き立てる。頭の中では何度も完璧にできるのだが、実際にやってみると全く停止せず、ただずるずると無様に滑ってビレイヤーに制止されるのみ。何度か挑戦したが、分かったことはピッケルでの滑落停止は困難だという事実であった。滑落停止訓練に伴い、スタンディングアックスビレイの練習も行った。ATさんからセッティング、姿勢の手ほどきを受け、まずは軽めのおにくちゃんからビレイ。1回目、2回目は制止時に体幹が歪み、一緒に落ちそうになるのを必死でこらえるという有様だった。しかし徐々に荷重方向、ロープの流し方をつかみ、最終的には辻さんを難なく制止できるまでに上達した。今回の例会で体得できた、最も自信のある技術のひとつとなった。忘れないうちに機会があれば反復しておきたい。
滑落停止、ロープワーク練習のあとは取り付きまで偵察に行った。その後は食事を摂ったり、飲んだり、昼寝したり、トイレの壁を拵えたり、そり遊びをしたり、と思い思いに好天の春山キャンプを満喫した。そして夕食後は早めの就寝。
5月4日
午後から雨という天気予報を見据えて暗いうちからテント場を発つ。雪のおかげで真っ暗ではないが、それでもヘッドライトの明かりが頼り。シャリシャリの雪の中を進んでいく。途中岩がむき出しの箇所もあったが、金毘羅でのアイゼントレを思い出しながら前爪を信じて登った。空が白んでくると、白いガスを背後に従えた稜線が見えてきた。空から小さな雨粒が落ちてきた。ガスが迫り、稜線を覆った。高度を上げても、雪の硬度は変わらずシャリシャリのままだった。
稜線まで出たところで小休止し、長野リーダーが撤退を決めた。天候、視界の悪さ、雪質の悪さを鑑みての決定であった。後付けで、私の下山時のアイゼンワークの不安定さも理由の一つとなった。それほど、シャリシャリでアイゼンの効かない雪壁をクライムダウンするのは難しいものだった。一箇所懸垂下降で降りねばならない場所もあった。長野リーダーが先頭を切って下降し、ATさんがそれに続いたので全く不安を感じることなく懸垂下降を楽しむことができた。
まだ朝早いうちからテントを撤収し、下山。体力を持て余したまま温泉につかり、信州そばを味わって帰京。ピークハント出来なかったのは残念だったが、安全に帰ってこられたことが何より大事なように思う。そしていろいろ経験し、勉強もできた。楽しい思いもした。長野リーダー、ATさん、辻さん、おにくちゃんのおかげで充実したGWを過ごすことができた。
【感想】46期 長野浩三
11年前に山本夏雄さんと挑んだはじめてのバリエーションルートだったが,今回は雪質と天候が悪く撤退を決めた。体がもっていかれそうな強風の中をわずか30cm程度で横は200m以上切り立ったリッジを慎重に進んだ記憶が懐かしい。今回は残念だったが,白馬は雪上訓練するにもいいところなので,また来年企画したい。
【感想】51期 AT
GWのアルプスは毎回来るたびにまったく気候が違って本当に油断なりません
今回は気温が異様に高くて、夜中や早朝でも雪がぐずぐずになっていました。
天候にも恵まれずに今回は残念でしたが、こういう日もあっての山登り。
昼寝したり、ソリで滑って遊んだり、蕎麦を食べたりで、それなりに楽しいGWを過ごしました。
皆さま、ありがとうございました。
【感想】 53期 辻 博史
白馬主稜といえば雪壁をよじ登り、ひょっこり頂上に顔を出す、有名なバリエーションルートなので大変楽しみにしていましたが、天候不良で途中撤退になり残念でした。GWの山行は天候に左右されやすく、それも含めたバリエーションルートだと思いました。
状況としては行けなくもない感じでしたが、足元の状態・天候の変化を合わせて判断すると楽しんで登れる状態ではなく、リーダーのナイス判断でした。
撤退時には露岩箇所でのクライムダウン、急斜面の懸垂下降もあり、事前訓練のアイゼントレの成果で全員スムーズに撤退できました。
今回は下見として、次回は楽しんで登頂したいと思います。
ご同行いただいた皆様、ありがとうございました。