写真1: 鍋塚山頂から鳩ヶ峰(746m)、大江山(832m)と縦走路が続く
平成28年12月12日(月)
同行者を募ったが単独となったので休日出勤の代休となった月曜日に予定を変更し、京都百名山の2座、鍋塚(763m)と大江山(832m)を登った。年一番の冷え込みで丹波の谷間は霧に覆われ素晴らしい雲海が見られ、山頂付近は1㎝ほどの積雪があった。予定の行程にアレンジを加え鍋塚東稜線と空山へ縦走しバリエーションを楽しんだ。
【メンバー】 山本浩史(単独・車)
【行 程】 京都5:24=沓掛IC=(京都縦貫道)=舞鶴大江IC=6:56酒呑童子の里P 7:07~7:52稜線~8:36鍋塚8:51~9:22鳩ヶ峰~9:45大江山10:12~10:28鬼の洞窟~10:48鬼嶽稲荷神社~11:31空山11:48~12:01堂ノ奥三角点~12:41千丈ヶ滝~12:53酒呑童子の里P 13:03=13:20元伊勢神社内宮=13:36元伊勢神社外宮=14:30福知山温泉15:41=18:24京都
【登山データ】 霧のち晴れ 歩行13.8㎞ 5時間46分 延登高1,267m 延下降1,267m 4座登頂
今冬一番の冷え込みとなり、老ノ坂トンネルを抜けると濃い霧が立ち込め、舞鶴大江ICに到っても霧の中だった。福知山市大江町の酒呑童子の里、水辺の広場の駐車場に車を止めた。凍結する車道を少し戻り童子荘の横道を入り二瀬川を渡った。谷沿いの道を進み南西斜面から鍋塚に到るルートを登ろうとしたが谷沿いの道は道形怪しく高巻きが多く歩き難いので強引に鍋塚東稜線に乗り上ることにした。選んだ枝尾根に道は無いが下草も殆ど無く急斜面を這い上るだけだった。高度を上げると霧の上限を超え上空に青空が見えた。振り返ると酒呑童子の里から丹波地方にかけては全て雲海に覆われていた。
枝尾根は植林帯で獣害防止のネットが張られその縁を歩いた。比較的展望は良く気持ちよく歩いて東稜線に達した。獣害ネットはずっと続いていたが、それも標高650m辺りまでで傾斜が増す頃、左手に消えて行った。この先は踏み跡もない笹藪となり馬酔木やユズリハの木も混じって、しかも薄っすらと雪が乗っているので、雪塗れになり煩い笹を膝で掻き分けて進んだ。鍋塚(763m)に到ると急に開け整備された主要登山道に飛び出した。そして歩く予定だった谷道がすぐ左に薄い踏み跡で続いていた。
山頂からの展望は素晴らしく360°遮るものがない。南方は一面の雲海で標高350m位だろうかそれより高い山だけが頭を出しまるで島のようだった。空気が澄んで珍しく氷ノ山(1,510m)や扇ノ山(1,310m)も確認できた。近くでは、丹後半島の奥にスイス村スキー場の斜面を白くした太鼓山(683m)や依遅ヶ尾山(540m)も良く見えた。南西側にはこの先の縦走路の鳩ヶ峰(746m)と千丈ヶ嶽(832m)、100m程標高が高いので白さが格別だ。カシミールのカシバードで描くと京都の愛宕山まで見通せる筈だが、流石に其処までは無理だった。
スパッツを付けなかったので、雪の積もった藪漕ぎで靴の中に雪が入ってしまった。藪漕ぎの後始末をして先に進み鞍部から鍋塚を振り返ると笹に薄らと積もった雪が美しかった。小ピークの鞍部では酒呑童子の里からの登山道が合流し鍋塚林道終点の休憩舎のある所に達した。此処は4年前の岳連登山大会の折に雨の中休憩した場所だった。登山者とも思えない車が1台上がってきた。逃げるように鳩ヶ峰へと出発した。鳩ヶ峰に雪はなく360°の展望が楽しめた。
進路は略南に変り千丈ヶ嶽へと進んだ。なだらかな稜線だが大江山の最高峰だけあって130m程登らなければならない。階段が整備され道は完璧だ。此の山の山岳標高は嘗て833mとされていたが平成26年4月に国土地理院によって標高が832mと変更された。この時京都府最高峰の皆子山も1m縮み971mとなってしまった。山頂の処女雪は気持ち良く、次回の山行で行く三岳山の円錐形の山容が素晴らしかった。時刻は10時となったが丹波の霧はまだ濃く一面の雲海を堪能できた。そろそろ出発しようと思ったとき南から男性が登ってきた。今日初めての人との遭遇で話をしていると岳連四方会長を知っているとか京都比良山岳会の八田さんとはOLで縁があったとか壬生荘にも行ったとか。名前を聞くと太田さんと名乗られた。此の方から耳寄りな情報として千丈ヶ嶽の東にある姿の良い空山(717m)は鬼嶽稲荷神社の北にある尾根で繋がり問題なく行けると教えて頂き林道を歩いて戻る予定をしていたが渡りに船と行くことにした。
双峰公園への道と分かれ南東に進み鬼嶽稲荷神社に到ると此処からは二瀬川大江山林道となる。看板に「←鬼の洞窟300m」とあり、面白そうなので行ってみるとずっと下りで100m以上も下降し大きな岩を回り込むようにして洞窟に達した。奥行きは2~3m程のもので神秘さを感じる程でもなかった。神社に引き返して空山を望み、よし行こう! と意を強くして林道を下った。1㎞余り進み尾根を乗越す処で東に分岐し新大谷林道へと直進した。新大谷林道がヘアピンカーブで西に折り返す地点からダート道な細道が分岐し登山道へと変わって行った。先ずはP600を目指し南へと緩くカーブして微かな踏み跡は植林地帯で下草がなく、全く問題なく歩けた。P600を過ぎると踏み跡は怪しくなり、適当に歩いて空山(717m)に達した。
展望はなく、山頂標識を探すと文字の薄れた幅30㎝程のプレートが地面から立っていた。一体何処に下りたら良いのだろう。兎に角尾根通しに進み4等三角点「堂ノ奥」(626m)まで行こう。北東に転じた稜線を進むと獣害防止ネットが現れたがかなり古く破損や傾きで人が跨げる位の所もありあまり役に立っていないようだ。笹が繁茂しだし三角点は草に埋もれるようにひっそりしていた。さてこの先はどう行こう? 地図を見ていると尾根を直進すると等高線が詰まり歩き辛そうなのでもう少し下って標高520mから北の尾根に下ると一番傾斜が緩やかそうだ。微かにあった踏み跡も無くなり笹に茨が交じりだし歩き辛い。引掛けないように茨を踏みつけ進んで行くと標高450mで林道(跡?)に飛び出した。
藪は終りと喜んだのも束の間、左手に進んだがすぐに林道が途切れてしまい、谷だか登山道だかわからない所を下ったがやはり谷だったようで枯滝のようになってきたので右岸に上がり尾根通しに下った。二瀬川大江山林道に飛び出し藪漕ぎから開放された。降り立ったところは千丈ヶ滝のすぐ近くで「←千丈ヶ滝100m」の案内板があり行ってみることにした。遊歩道を整備中とのお知らせがあったが、できれば自然のままに残して欲しいものだ。岩盤を流れる落差25m程の滝でこの程度の山域にしては立派だった。林道に戻り10分も歩くと酒呑童子の里水辺の広場の駐車場に帰り着き周回縦走を終えた。
今日は単独行で時間も余ったので近くにある元伊勢神社に立ち寄ることにした。天岩戸神社の標識に従って細道に入って行ったが知らぬ間に通り過ぎていた。内宮の皇大神社の裏手から入り参拝した。神々しさを感じた。伊勢神宮が伊勢の地に鎮座するまで遷座されたとされているそうだ。岩戸山、或は日室ヶ嶽とも呼ばれる城山(427m)の遥拝所がありピラミダルな山容が神宿る雰囲気を醸していた。宮川と雲原川の合流点付近の35m程の丘にある外宮の豊受神社にも立ち寄った。
写真2: 鍋塚西鞍部より鍋塚(763m)を望む
写真3: 鬼嶽稲荷神社から空山(717m)へと進む