京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No. 3659 裏比良 猪谷(ししだに) 沢登り

2017年5月14日(日)

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【メンバー】LA.T、SL秋房伸一、上坂淳一、藤井康、織田直子、高橋秀治、高橋幸三郎、土井司、TS、TW、他体験1名 計11名

【天候】快晴

【行程】5月14日 坊村8:30〜横谷林道(車デポ)〜猪谷出合9:30〜入渓10:00〜第1ゴルジュ出口6m10:30〜第2ゴルジュ入り口8m〜第2ゴルジュ深い釜3mで怪我発覚12:30〜少し沢を下り北東方向の急斜面を登って登山道に復帰14:30〜横谷林道15:00〜車デポ地


【記録と感想】51期 A.T
前回比良の沢に登ったのは、確か貫井谷を登ったのが最後だっただろうか。
比良の沢をいまさら一本一本塗りつぶしていこうというつもりは無いが、八幡谷と猪谷はなんとなく興味がある沢である。
そこで、新緑祭でせっかく近くまで行くという機会に恵まれたので、以前に猪谷に登りたいと秋房さんがおっしゃっていたので、お誘いして遡行することになった。
新緑祭に関係する例会が無かったこともあって、参加者が次々名乗りをあげてどんどん参加者数が増える。
しかし上坂さんや秋房さんをはじめ高橋さん等、頼りになるメンバーにご参加いただけるので、何とかなるだろう、何とかならなければ撤退するのみ、ということで増えるに任せていると、最終的には11名の大所帯となった。

5月14日【快晴】
坊村で皆さんが作ってくださった朝ごはんを食べながら、藤井さん達を待つ。
昨晩は遅くまで飲んでいたので非常に寝不足で、天気もドンヨリとして曇っており、全く沢登りをしようという気が起きないが、例会として表明した以上、訳もなく中止というわけにも行かない。
幸い、藤井さん達が坊村へ到着する頃には日が照ってきて、いかにもそれらしい天気になり安心である。
坊村駐車場で一旦荷物や人員を分けて、三台の車に乗り込んで横谷林道へ。
車を横谷林道にデポして、猪谷へ向かう。
猪谷の入り口にはずいぶん古いワンボックスの車が捨ててあるが、苔むして、屋根には立派な草が生えていて、ちょうど車が植木鉢か盆栽の様になっている。
蛇谷に打ち捨ててあるワンボックスの廃車もなかなかの趣があると思うが、こちらの廃車は苔や植物と相まって芸術的なセンスを感じるほどの見事な出来栄えである。

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堰堤をいくつか越えて入渓。
少し歩くとすぐに小さな滝があらわれるが、高さは無いものの乗り越しの部分が少し厳しい。
お助けヒモを出して通過するが、その後の滝も、11人もいると通過にはけっこうな時間を要する。
寒いので絶対水に浸かりたくないと思い、深いところは無理矢理登攀したりしながらやりすごして行く。
第一ゴルジュをこえて、第二ゴルジュに入ったところ、1mくらいの釜の深い小さな滝を越えた辺りで、下から何か叫んでいるのが聞こえたので見ると、織田さんがうずくまっている様で「指を怪我した」という様な誰かの声が聞こえたので、遡行は中止して下山することにする。
すでに滝の上に登っていた四人で右岸をいったん登り返し、ロープで下の織田さんのところまで戻り、撤退の旨伝えて先に下りていただく。
上坂さんが最後に懸垂下降で下りてくるのを待つが、下降したあとロープが屈曲して下りて来ないので、これの回収にずいぶん時間を食ってしまった。
しかも上坂さんが滝壺にルベルソ4を落としてしまった様だが、結局見つけることは出来なかった様で諦める。
エスケープは、計画していた通り右岸を登って登山道まで登り返すことにするが、岩盤があってはいけないので第1ゴルジュと第2ゴルジュの間あたりまで沢を下降して登り返すことにする。
滝を1、2個下りた辺りで第2ゴルジュ入り口の8mの滝を懸垂下降しようというところで、上坂さんが「懸垂下降するよりもここから右岸を上がってしまった方が良いのでは」と言われ、たしかに右岸は見える限りは歩いて上がれそうなので、その地点から登り返すことにする。
急傾斜を、木の根などを踏みながら登って行くと、やがて人工林になり、そこをさらに登って行くと立派な登山道に出た。
登山道をてくてく歩いていくとあっさりと林道に出る。
ずいぶん苦労して時間をかけても、登山道を歩くとすぐという。沢登り岩登りはだいたいそんなものである。
30分も歩くと車のところに無事戻ってこられた。
織田さんの指だが、本人は「大丈夫だ」と終始言っておられ、遡行を続行しましょうと言っておられ、本人も明るかったので、思ったより軽度の怪我だったかなと思ったが「動かせるようなら骨折ではないです」と二度ほど織田さんに言ってみても、二度とも指を動かそうとはしなかったので「これは骨折しているのでは」と思った。
後日織田さんが病院へ行かれたところ、けっきょく骨をプレートで固定する手術をすることになったようで、全治に6ヶ月以上はかかるとのこと。

この怪我の原因としては、お助けヒモを掴んだときのもので、お助けヒモはスリングに一度手首を輪に通してから掴まないといけないのだが、慌てていてスリングを指で掴んでしまったからだということである。
自分も強く引っ張り上げたりしたので、もしかすると最初の滝から我慢しておられたのかもしれない。
今後は、スリングに手首を通すという注意は、これまで以上に徹底して呼びかける様にしたい。
それにしても怪我をした織田さんには申し訳ないが、天気も良く、みなさん明るい方ばかりで、久しぶりに上坂さん、秋房さん高橋さん達とご一緒に沢登りも出来たし、実に楽しい一日となった。織田さんには申し訳ないが。
猪谷も、途中までとはいえ、見上げると先までずっと滝が続いていて、とても美しい良い沢だなと思ったので、また来年にリベンジしたいと思う。
ルベルソ4の欲しい人「我こそは」と思う人がいたら、第二ゴルジュの滝壺にルベルソ4が落ちていますので拾いに行くと良いと思います。(上坂さんにはその後、また別の某所谷底で拾ったルベルソ3を差し上げた。)

【感想】48期 上坂淳一
 さしぶりのA.T例会は、手ごわい滝をサクサク突破し、難渓猪谷をまるでハイキングでもするかのような遡行でした。エスケープでさえも何事もなかったかのように終え、お風呂とソフトクリームまで満喫の一日でした。
リーダーの手腕はもとより、同行の皆様も逞しく、賑やかで楽しかったです。
終了点までは到達できなかったことは、また次回のお楽しみにしたいと思います。

【感想】 52期 秋房伸一
 久しぶりの比良の谷。比良全山縦走の時、イクワタ峠北峰手前の猪谷の源頭があり、それは長閑な景観なので、その下はどうなっているのかと興味があった。

 シーズンの初めということもあって、ヌメリはひどくなく、リーダーがロープを張ってくれたお陰で、怖いところもなく、滝の直登を楽しめた。お助けの出番も多くあり、「団体競技」としての沢登りを満喫できた。

 事情により、途中で撤退することになったが、私は、さほど大きな滝もなかったことでもあるし、そのまま懸垂下降をしながら沢を下るのかと思っていたが、リーダー判断で、登山道まで詰め登った。人数と安全を考えると、登ってよかった。「道に迷ったら、谷を降りずに、登り返す」というのが、登山の基本だが、今回は道迷いではないが、登り返しの実践的トレーニングにもなって有意義であった。

 下山後の風呂で、ヒルが太ももに付いていたのは、想定内ではあるが、やはり嫌だったのと、下降でドボンしたからか、ニコンの防水30mスペックのカメラが、浸水して壊れてしまったのは、残念な要素であった。

【感想】53期 髙橋秀治

A.Tリーダーとは蛇谷遡行以来の沢例会とあり参加させて頂きました。第2ゴルジュ途中の滝で巻き道を探しに登り最後の一手が出ずに途方に暮れていた時に、上からお助けを出して頂き無事難無く通過できた時、入会当時に演習林の中のツボ谷遡行をご一緒願い、最後の滝は巻かずに登りましょうと言って頂き、必死にロープにしがみついた事を懐かしく思い出しました。また沢例会は、参加者皆で助け合い遡行してく例会ですと入会当時に秋房さんから教えて頂いた事も再度実感できた例会でした。

上坂理事長をはじめ、久しぶりに皆さんの笑顔にふれ充実した一日を過ごせありがとうございました。

 

【感想】56期 土井

五月晴れの中、今年初の沢登りで期待を込めて入渓、

滝と新緑がよくマッチし大変綺麗で気持ちのいい沢でした。

しかし手ごわい滝が次から次へと現れ、お助けなしではクリアできませんでしたが

いとも簡単に登っていくA.Tリーダーの技術の高さにあらためて関心した次第です。

この沢は私の再度チャレンジしたい場所に加わりました。

皆さん、機会があればご一緒させて下さい。

追記:ヒル担当からは卒業できたようです。

 

【感想】57期 TW

やっぱり沢は楽しいなぁ、と思った山行でした。

怪我をされた方がいるのに、パーティーの足を遅らせ、残念ながら一番足手まといになっていたのは私なのに。こんなことを書くのは不謹慎かもしれませんが、それでもやっぱり沢は楽しいなぁ、と。

寒くて暗いゴルジュから見る、明るい緑や空。織田さんが確実な足どりで滝を登る姿に感心したり、身体の重さがないみたいにスイスイと先頭を登るA.Tさんに感動したり。

高橋さんが教えてくれたルートやコツを忘れず進めば、こわい滝でも案外登れることができて、驚くやら嬉しいやら。ご一緒させていただいた皆さまにはご迷惑をおかけし、助けてもらってばかりでしたが、満喫させていただきました。

A.Tリーダー、ご一緒させていただいた皆さま、どうもありがとうございました。

 

【感想】59期 TS
沢登りにはまだ早過ぎると思ったが、我慢できず参加した。足首辺りまで水に浸かっているうちは快適だった。しかし、水を被ってウエットスーツの中に水が入ると寒かった。
猪谷には小滝が連続する中に、約7mのやや大きな滝がある。小滝を超えていくのは楽しく、大きめの滝は私にとっては少し難しい課題だった。しかし、A.Tさんの登りを観察して、真似すれば登ることができた。いい勉強ができた。
比良山系の他の沢もこんな渓相なのだろうか?すべての沢に入ってみたい。

 

【感想】57 織田
悪渓に部類に入る猪谷、前日の雨もあり滝の水流に岩場から剥がされるんじゃないかと行く前から心配してました。入渓すると暗いゴルジュの中でも少し入る光が緑を美しく際立たせ、体を動かす内に怖さはなくなってきました。沢登りも雪山も危険な所ですが、人が比較的少なく厳しく美しい自然の中に身を置かせて頂いてる感じが私は好きです。沢登の一番好きなところは、身体全体を使って自然の中で遊ばせてもらえるところかなと思っています。手足を使ってる間に童心に帰っていきます。テンション上がりすぎないように気をつけています。しかし、今回自分の不注意のせいで遡行を断念せざるを得なくなりました。皆さん楽しみにされていたのにと思うと申し訳ない気持ちで一杯でした。また来年リベンジしましょうとリーダーや上坂さんが仰って下さることが大変嬉しく、また参加された皆さんの温かい援助やお心遣いに感謝致します。

 

【感想】56期 高橋幸三郎
今回初めて訪れた猪谷は、次から次へと息をつく間もなく滝が現れ変化に富む大変楽しい遡行だったと思います。また遡行中は渓流の背後に折からの新緑が映え、なかなか見応えのある風景を堪能いたしました。ただ事前にNETからの情報から予想していた通り小生にとっは少々、手強い沢だった事もあり緊張するような箇所もありましたが、同行の皆様の適切な手助けもあり、お陰さまで無事に下山する事ができました。

 

【感想】57期 藤井康司

ガイドブックに「悪い谷」の部類と記されていたので、どんなところかと思っていた。確かに渓相は暗く、流木、虫の類も多かったが、小滝が連続し緊張感あふれる醍醐味のある沢だった。水しぶきの中にホールドを探しにいったり、ロープやお助け紐の安心感もあり、シャワークライムを存分に楽しむことができた。

 

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