京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉台高の沢 堂倉谷本谷

 2017714()16()

【参加者】CL小松久 長野浩三
WS TS 計4

f:id:hirasankun:20170725004531j:plain

25m滝をリードするWS(1段目)

 

【天候】714()晴れ

    715()雨のち晴れ

    716()晴れ

【記録】52期 小松

7/14 21:30京都駅イオン発=24:40大台ケ原ドライブウェイ駐車場·前夜泊

7/15 6:20出発~7:00日出ヶ岳8:20粟谷小屋~9:00堂倉橋~9:20発~10:10入渓~13:20アザミ谷出合~13:50奥七つ釜~15:10堰堤~15:50幕営地着

7/16 7:10発~7:15地池谷出合~9:20連瀑帯に入る~10:10斜瀑12m10:45 225m滝~11:45斜瀑15m14:30尾鷲辻付近の遊歩道

 

【記録】小松(本文敬称略)

7/14京都からTSの運転で、一路大台ヶ原へ。夜は涼しく、よく寝ることができた。

7/15駐車場から日出ヶ岳を経由し、東に伸びる尾根をひたすら下る。

途中粟谷小屋で少し休んだ他は休憩せず、一気に堂倉橋まで下ってしまう。駐車場から3時間で堂倉橋着。明らかに水が少なく、遡行が成功しそうな気配。

 

f:id:hirasankun:20170725004607j:plain

堂倉橋にて集合写真

堂倉橋の次の吊り橋の基部から階段を伝い、尾根上へ。尾根からはルンゼをロープを出して下ったが、落石に注意を要した。懸垂が必要なのは途中数メートルくらいで、あとは歩いて下れる。

沢中着。いきなり沢の幅いっぱいにナメ滝が広がり、奥に8m滝、30m滝が見える。

二人連れのパーティーも入っており、釣りをしているようだ。

今回はWSにリードしてもらうつもりだったので早速8m滝のリードを任せた。途中ロープがスタックするトラブルはあったものの、無事全員登攀を終える。

 

f:id:hirasankun:20170725004711j:plain

8m滝をリードするWS

30m滝の巻きは容易だが、小松が降り口を間違え、やや時間をロスした。

少し進んで、中七つ釜。美しい釜に三段の滝がかかり、美しい。

 

f:id:hirasankun:20170725004733j:plain

中七ツ釜

釜を泳いで右岸を容易なクライミングで突破したが、水に入りすぎて、やや、低体温気味になった。

 

f:id:hirasankun:20170725004753j:plain

斜瀑10m

巨岩帯を抜け、斜瀑10mは右岸からノーロープでサクッと抜ける。全員クライミングジムで登攀の練習をしてきているので、危なげない。

小滝を右岸から小さく巻く箇所では、トップのWSさんがスリップして水に落ちて上がらなくなるトラブルはあったが、無事突破した。

アザミ谷出合を右手に見て、門の滝を右巻きでクリアし、いよいよ奥七つ釜のエリアへ。今回は入口の水流も少なく、特に危険を感じることなくエリアに入れた。

奥七つ釜は、右手に巨大ポットホールの列が、左手にナメ滝が並ぶ、異様なエリアで、他では見られない景色に、気分が高揚する。

 

f:id:hirasankun:20170725004828j:plain

奥七ツ釜

奥七つ釜を抜けると左から斜瀑が入る。乾いたところもよく滑るので慎重にクリア。その後、いくつかの大釜をへつってクリアし、堰堤に到着。1日の行程ももう少し。

堰堤は左から簡単に巻き、少し歩いたところで林道が横切る。メンバーの疲労もそろそろピークなので、橋を越えて少し進んだところの河原で幕営とする。

幕営地では焚火職人の長野により、盛大な焚き火が起こされ、焚火職人弟子のTSにより有り余るほどの贅沢な食材が提供され、満天の星空の下、贅沢な夜を過ごすことができた。

 

7/16二日目は7時過ぎに出発。最初は延々と河原歩きが退屈。奥の右俣などが入る二股を過ぎると徐々にゴルジュ状になり。右から石楠花谷が入った後から、連爆帯が始まる。56mの滝がいくつも続くが、基本直登でき、快適。

 

f:id:hirasankun:20170725004846j:plain

小滝を直登

谷が左に折れたところで12m滝が落ちる。これはWSリードで、右壁を空身で登ってもらったが、上の方までろくな支点が取れず、ホールドも甘いので、この日一番怖さを感じた。

続いて、25m滝が落ちるが、よく写真で見るものよりは傾斜が緩く、威圧感はない。

ここも1段目はWSがリードしてくれたが、途中右にルートミスをしてしまったようで、怖い思いをしたようだ。

2段目は左から入るルンゼを登るが、ホールドが乏しく、意外と悪かった。

落ち口を左から巻くと、溝状の15m滝がそのまま続く。

これは小松が右岸をへつってクリアしたが、滝中をシャワーでクリアしても良かったかもしれない。

その後も、斜瀑が何本も入るが、基本容易に直登できる。但しスリップには注意を要する。

堂倉谷はツメに入ってもいつまでも滝が現れ、メンバーの疲労もたまる。

 

f:id:hirasankun:20170725004903j:plain

源流付近まで小滝が続く

水が切れた頃に右の尾根に乗って正木ヶ原付近に上がり、西に尾根をトラバースして、尾鷲辻付近の遊歩道に出ることができた。

 

【感想】46期 長野浩三

 堂倉谷はスケールが大きく,奥七つ釜など絶景もあり,かつ,後半の連爆帯は登攀対象が多く,かつ,ビバークの際のたき火(串焼き)も充実し,満天の星空も味わえ,ほんとに充実した沢だった。

小松リーダーも書いているが,いくらお金をだしても買えない贅沢な時間だったと思う。クライミングジムに通っているせいか,滝の登攀は前よりも軽い感じになっていた。

沢ではちょっと気が緩んで転んだだけで怪我をする。今回なんでもないところで転んで左膝を強打し,かなり痛かった。気をつけなければと思う。今後も小松リーダーについて行きたいと思いますので,今後ともよろしくお願いします。

 

【感想】52期 小松久

前半の巨大な釜、大滝、後半の登攀的な滝群という、自然の条件が素晴らしかったのもありますが、メンバーのモチベーションという点でも、また、自分たちの実力に合っていた、という意味でも、良い沢に行くことができました。

パーティとしては力を出し尽くして完成させた遡行だと思いました。

焚き火の時にメンバーが口々に「この時間、贅沢やね」と言っていたように記憶していますが、本当の贅沢、豊かさとは、経済的に金がかかっているかどうかというより、みんなで力を合わせて困難を乗り越え、  

焚き火を囲んで満天の星空の下、チビチビ酒を飲む、というようなこういう時間の中にあるのかな、と思った次第です。

ご一緒いただいた皆様、ありがとうございました。

 

【感想】57期 WS

堂倉谷は関西沢登りルート100では2級の沢になっていて、難しい登攀や巻きがほとんどないことを考えると妥当なのかもしれませんが、 かなり歯応えがありました。

高橋Lによる例会3506で大杉峡谷登山口より堂倉滝まで歩いていたため、大台ケ原駐車場から堂倉滝までの約3時間の下りにより、一通り歩けたことになり入渓前に既に達成感がありました。

小松先生に師事して四年目となり、いつもトップロープで登らせてもらって申し訳ないなと思っていたので、今回はいくつかの滝をリードさせてもらえてよかったです。

25m滝では落ち口の手前で気の迷いから右にルートがそれてしまい、手も足もホールドがほぼない中でトラバースするのが怖かったです。

 

【感想】59期 TS

大台ケ原駐車場から登山道を約3時間歩いて入渓地点に到着。いきなり、堂倉滝の荘厳な姿が現れる。これほどの大きさの滝を間近で見るのは初めてだ。その後も、スケールの大きな滝、岩、絶景が続く。ワクワクが止まらない。堂倉谷は難しいと聞いていたので、怖くて行くか行くまいか迷っていたが思い切って行って良かった。

林道交点以降は徐々に登攀要素が強くなっていく。核心部の25メートル滝を見た時、「頑張って練習して良かった」と心底思った。去年の私なら怖くて諦めていた。しかし、私はリーダーでもないし、トップを登った訳ででもない。また、水量が少なかったので、遡行が易しくなっていたことを忘れてはいけない。

林道、堰堤を過ぎたところで幕営。長野さんが火の準備をして、串焼きの始まり。私は串焼きのために沢登りをしている。「沢登りは串焼きのアプローチか?」と、小松さんに看破された。

「仲間といっしょに行きたい」というのが、私の入会の動機の1つだった。入会前は単独やツアー、ガイドを利用して山に行っていた。これはお金で解決できる。しかし、仲間はお金では手に入らない。

仲間といっしょに、串焼きと星空と楽しい会話を肴に飲むは、幸せな時間だった。

みなさん、絶対また行きましょうね。

今回、大きな失敗が1つあった。荷造りの際に、シュラフよりも食材を優先したことだ。夜は寒くて眠れなかった。(;_;)