京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉京都百名山シリーズNo.30・31 天狗岳・小野村割岳

平成291021()

台風21号の影響で雨となったが久多地区は13㎜の降水量の見込なので予定を決行した。滝谷を遡り、馬尾滝を見て適当な尾根に取付き城丹国境尾根に達した。天狗岳(928m)、小野村割岳(932m)を登ったがフカンド山は時間切れで断念した。

 

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【メンバー】 山本浩史L(車)、加藤一子、秋房伸一、高橋秀治、梅村重和(車)

【行  程】 京都駅6:428:24久多上の町P 8:409:11林道終点~9:35馬尾滝~10:04尾根取付~10:41城丹国境尾根10:5911:34天狗岳11:4812:48小野村割山分岐~13:15光砥山~13:47小野村割岳13:5814:51長瀬谷北尾根分岐15:0015:33 P82916:27久多上の町P 16:4017:16朽木温泉てんくう18:1919:41西大路五条

【登山データ】 晴れ 歩行 15.8 7時間47 延登高 1,058m 延下降 1,058m  3座登頂

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台風21号は非常に強く超大型に発達し南海上から日本列島を窺っていた。スピードが速まり北山も秋雨前線が刺激され雨の一日となった。鹿嶽さんが寝坊でドタキャンし5名となって久多を目指した。久多は京都市左京区ではあるが、国道367号線で一旦滋賀県に出て梅ノ木から入った。上の町の北部には建物はあるが住人はもういないようだ。前回の三国岳山行で車を止めた岩屋谷出合に止めようと行ってみると先客がありスペースがないので市後谷付近の駐車場に戻った。後で聞くとこの車の主は高橋さんの知り合いの車だと云う。

幸い雨は止んでいて暫く持ちそうだ。高橋さんを先頭に久多川・滝谷の林道を歩きだし、30分で終点に到ると渡渉して右岸に渡った。渡渉を繰り返し時々出てくる踏み跡を辿って行くと谷の名の由来である滝が姿を現した。馬尾滝で上下二段に分かれ落差は夫々15m位だろうか。上の滝は流れをくねらせたような姿が馬の尾を想像させ、そのネーミングとなったようだ。馬尾滝の右岸の踏み跡を辿り高巻いて通過した。高巻きから下りてくると二股で右の谷へと入って行った。滝谷を行ける所まで行こうと遡り、いよいよ谷が狭まり沢やの世界となってきたので左側の斜面へと取付いた。

急斜面を這い登り、左の北尾根と合流すると踏み跡があり、てっきり国境尾根に達したと思い込んでしまったのが間違いの第一歩で、実は支尾根の更に枝尾根が支尾根に合流しただけだった。小雨の降り出す中、本当の国境稜線に達した。思い込みで確認もせず左に曲がってしまった。その後コンパスを合せるとどうも方向がおかしい。何と南に進んでしまっていた。皆を呼び止めようとコールするが届かず、急いで追掛けたがP921の登りに掛る処でやっと呼び止められた。元に戻りこの間20分程のロスをしてしまった。

城丹国境稜線を正しく北に進み、三国岳への分岐を目指して進んで行ったがこれがまたはっきりせず、台杉の迫力に見とれて知らぬ間に通り過ぎたようで、天狗岳(928m)に達してしまった。芦生の山が峠と称される例に倣って天狗岳は別名天狗峠とも呼ばれいる。山頂は国境稜線から北に飛び出し南丹町芦生の京大研究林のエリアで北側は由良川が流れている。展望は利かないが芦生の孤高の山の趣で天狗の棲み家のような静けさを感じさせてくれた。

険しい道、道迷いによる遅れは、出発遅れ25分、駐車地点の変更15分を差し引いて30分余分に時間が掛かってしまった。時刻は11:34、お腹が空いたので昼食時間とした。雨の中立ち止まると体が冷え集合写真を撮ってそそくさと出発した。

来た道を戻り少し登り返した所に来る時に見た「天狗岳↑」の標識があり、この地点が三国岳への分岐だった。先ほど間違った滝谷西尾根の分岐を無事に過ぎP921に到ると90°右に曲がる。しっかりコンパスを合せ今度は間違わないように進んだ。城丹国境尾根は登山地図では赤点線道で経験者好みの山域で地形は複雑、指導標もなく読図力が試される。京都百名山シリーズでは是非地図とコンパスだけで歩いて貰いたいものだ。

P927の手前でフカンド山への分岐に達した。国境稜線は南西方向に進路を変え、光砥山(こうんどやま951m)に到った。コウンド谷の源頭にある山で難読な山名だ。展望はなく、小さな標識が掲げられていた。此の辺りには立派な台杉が散見され芦生を肌で感じることができる。

台杉とは室町時代の中期頃からこの地の森林の狭さと苗杉の不足を補うために考えられた育成法で、植え付け後56年で行う枝打ちの際裾の方の枝を幹の周りに残すことにより複数の幹に育てたもの。白杉を使った鑑賞用のものもあるらしいがこちらは深い山の中。このような台杉の一面には板取り(ばんとり)された平たい跡を見ることもでき先人たちの林業の工夫がみられる。

少し戻り左に分岐して小野村割岳を目指した。小さなピークで進行方向が90°北に向く。二番目の間違いは此処をまっすぐ進んでしまい早生谷川の林道方向に行ってしまいそうになった。元に戻って国境稜線を進み漸く小野村割岳(932m)に到った。今日二つ目の京都百名山だ。この後三つ目のフカンド山を目指すが時間的に厳しくなってきた。国境稜線分岐まで行って判断しよう。

来た道を返ると云うことで油断してしまい三つ目の道間違いで二番目の尾根の張出しに入ってしまった。トラバースして復帰し、来るときに間違った尾根は問題なく右手に見送り、光砥山手前に戻ってきたが山頂には立ち寄らずに直下を通過した。台杉の東の小ピークの先がY字尾根になっていて右に取ってしまい4回目の道間違い。フカンド山分岐に戻ってきて時計を見ると14:51。ルート間違いを繰り返しながらも天狗岳1時間15分の遅れを30分までに回復した。しかし予定していたフカンド山から上の町に下山するには2時間10分のコースタイムで明るいうちに下りられない。皆で相談し最短距離の滝谷と長瀬谷の間の尾根を下ることにした。

先頭を託され間違うことはできないので地図をしっかり見てコンパスを合わせ手元に持ったまま進んだ。200m余り先でフカンド山への稜線と分かれ下り出した。道は無いと思っていたが所々に薄い踏み跡があるようだ。忘れた頃にテープもあり人が入っていることは間違いない。P829に到ると少し展望が開けた。①北東へ続く主尾根を下るか、②長瀬谷林道終点へ向けて南尾根を下るか、それとも③長瀬谷西尾根にするか再度協議した。主尾根は嘗て高橋さんが下ったことがあるので安心だが、駐車地点に最短距離で達する長瀬谷西尾根を下ることにした。主尾根との間にスッと切れ込む谷を挟み一貫した下りで林道に達する筈だ。

南東尾根を下りそうになりトラバースして復帰した。尾根通しに鹿除けネットの残骸があり、此れに沿って下った。やがて左右の谷が近づき尾根が収束すると林道に達した。この林道最早用途は廃止されているようで久多川に出合うと橋が途中で流され久多の車道に繋がっていなかった。10分程の車道歩きで駐車地点に戻り雨の山行を終えた。出だしは雨もなく、一時激しくなるかと思われたが、略小雨で支障することはなかった。今日時間切れで登れなかったフカンド山はまた別途山行を計画しよう。

 

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