京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3790  残雪期の五竜岳山行

2019年4月27日(金) 夜発~29日(月)*テント泊P

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 【メンバー】

CL土井司、SL高橋秀治、鹿嶽眞理子、小前竜吾、TW、YN     計6名

【記録・感想】61期 小前竜吾

4月27日(土)

京都20:00=(名神高速)=20:45草津SA=(中央道)安曇野IC=25:00 道の駅「安曇野松川」幕営

 28日(日)

道の駅「安曇野松川」6:30=7:30エイブル白馬五竜(車デポ) 五竜テレキャビンとおみ駅8:20-8:30アルプス平駅 (アイゼン装着)~9:10 地蔵の頭~10:50小遠見山~11:30中遠見山~12:20大遠見山~13:30 標高2170mあたりに幕営

 29日(月)

幕営地4:00~4:40西遠見山~5:45五竜山荘~6:50 標高2630m鞍部 これ以上の登頂は危険と判断し小休止後下山開始7:25五竜山荘~8:30幕営地 雪のテーブルにて朝食を取った後に幕撤収 10:10~12:10地蔵の頭~12:30アルプス平駅12:50-とおみ駅14:00=14:20 手打ちそば山品 15:20=安曇野IC=20:40草津SA=21:10京都

 

五竜と言えば険しい山という認識と私の名前が竜吾なので必ず踏まなければならない山と思っていました。土井Lより企画を伺ったので、即答で参加表明させていただきました。山と高原の地図にてルートを確認しイメージをインプットしていると、2日前に八方尾根から唐松岳をピストンした知人がおり、計画ルートを説明すると「かなりやんちゃですね(笑)」と回答がありました。五竜山荘を越えたところで下山ハイカーに「私たちは敗退ですよ」と聞いた際にやっと回答の意味が分かりました。噂通りの険しい山であり、私にはクリアする術がない事を突きつけられます。夏山でもなかなか難しい登頂と聞いていますが、まず夏山から再チャレンジしたいと強く感じ、準備を進めていきたいと思います。同行いただきましたメンバーに感謝申し上げます。

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【感想】57期 TW

お天気と景色、メンバーのみなさんに恵まれ、自分の実力不足を助けてもらった山行でした。出発日から体調が悪く、アップダウンが多く長い遠見尾根に苦しみましたが、中遠見を過ぎた辺りから五竜岳の迫力ある武田菱や、鹿島槍の双耳峰が間近に見えて、晴れ晴れした気持ちになりました。また予定よりも手前に幕地を決めていただき、早めに就寝できた事で2日目は元気に行動できました。メンバーの皆様には申し訳なかったのですが、リーダーのご判断は本当にありがたかったです。

出発前に会のHさんから「残雪期の五竜は初心者の山とちゃうで、気を付けてね」とアドバイスをもらっていましたが、ピークに近づく程その言葉の通り、五竜岳はきびしい山だなぁと実感しました。白岳までは踏み跡のはるか上にある雪庇の大きさにビビりながらも進めましたが、山頂直下の雪壁トラバースは見るだけでも恐ろしく、先へ行く気になれませんでした。天気もよく、風もほとんどない絶好の状況でしたが、ハッキリと私の実力では無理だと感じました。頂上付近を見上げると大きな荷を背負い、ダブルアックスで切り立った雪壁を慎重に登る登山者がくっきりと見えました。やはり冬山はえげつない、でも私ももっと雪山登山の総合力を高めて、頂上からの景色を見てみたいと強く感じました。ピークを踏むことは出来ませんでしたが、この五竜岳山行が平成最後の登山として、次に繋がる良い締めくくりになったと感謝しています。土井リーダー、高橋さん、細やかなお心遣いを頂き、どうもありがとうございました。鹿嶽さん、出発前から励まして下さり、ありがとうございました。晩ごはんの鯖缶鍋とっても美味しかったです。小前さん、Nさん、テントを担いでくださってありがとうございました。

 

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【感想】60期 YN

残雪期五竜岳山行、当初五竜岳など全く知らず、あまり深く考えず参加した。後から普通の山でなかったと思い知ることになる。テレキャビンとおみ駅からアイゼンを装着し先頭を任されていざ出発、無風で雲一つない空の下、地蔵の頭に着くとくっきりと武田菱を見せる五竜岳鹿島槍ヶ岳が最高の表情で見えてくる。あれに登るのかとワクワクしながら進むが、途中小遠見山を過ぎたあたりから左太ももに違和感を感じつつ歩いていたら大遠見山手前でかなり痛みだし歩けなくなる。雪山だからそんなに喉は乾かんやろと少ししか水分をとっていなかったからか、冬靴とアイゼンの重さに耐えるだけの筋力がなかったからかもしれない。鹿獄さんやWさんに助けられてなんとか幕営地まで辿り着く。少し休ませて頂き、先に幕営地を探しに行かれていたリーダーと高橋さんと小前さんが地面を掘り下げるのを眺めていると何とかましになり、切り出された雪のブロックを風よけに積んでゆく。自分が忘れた土嚢袋も使わないで済む立木の横に幕地を張られていたのには感心しつつ、申し訳なかったです。雪山のテント泊は初体験で水作りから色々と勉強になった。翌日は3時起床の4時出発で無風の中五竜山荘まで登る。パーティーの安全を考慮されやむなく撤退となる。最終的にピークは踏めませんでしたが、次回は実力をつけ計画のルートを踏破したい。アイトレや滑落停止の訓練もせず、鈍くさい自分を心よく受け入れてくださった土井リーダー始め、的確にアドバイスされる高橋様、美味しい鯖缶鍋を作って下さった鹿獄様,色々と助けて頂いたW様、話題の豊富な頼もしい小前様、大変お世話になりありがとうございました。

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【感想】53期 高橋秀治

「今年の残雪期は五龍岳です。」の発言で、早速に五龍岳についてググると、「トラバース」と「雪庇」に要注意の表現が多く気になる。さらに計画書には、ピストンでなく唐松岳縦走とある。不安と縦走ができた時の充実感とが混在した気持ちで当日を迎えました。

スキーやスノボーを担いだ人混みに混じりアルプス平に到着。五龍岳や鹿島槍のカッコ良さに見とれてスタート。地蔵の頭を過ぎ、遠見尾根を進むにつれて、切れ落ちたナイフリッジが出現し、これはやばいとアドレナリンが出てくる。

中遠見山を過ぎたあたりから、前方に急登の西遠見山がはっきりと見え、白岳直下のトラバースルートも見えてくる。ここをテント装備を担いで這い上がるのかと想像すると、「無理」の単語が頭をよぎる。リーダーから、「大遠見山付近で幕営します。」と告げられ、一安心となりました。夜半に目が覚めてテントから抜け出すと、眩いばかりの大町の夜景と星空で明日の登頂の不安より期待が勝りました。しかし、五竜山荘から先は、アイゼンとピッケルで確保して一歩一歩慎重に急斜面のトラバースを進みます。そして、先行しているパーティーが雪壁をトラバース通過している様子を見て、リーダーが登頂を断念。コルであえて残念な表情をして記念写真を撮り、幕営地に戻り、快晴の下での遅い朝食となりました。

土井リーダーとは、1月の甲斐駒岳登頂、2月の赤岳から硫黄岳縦走と厳冬期の山行きを楽しみましたが、今回は残雪期ではありましたが、一番こわかったです。しかし、毎度ながら、土井リーダーの判断力と山に対する造詣の深さには頭がさがりました。ご一緒頂いた皆様ありがとうございました。

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【感想】56期 土井司

今年は残雪が多く雪庇に気をつけるよう白馬五竜のパトロール隊の方に注意喚起され遠見尾根を登った。地蔵の頭からはっきりと武田菱が見える。あれが目指す五竜岳だと気持ちが高揚し、まだ一面雪世界の急登を登る。晴れ渡り真っ青な空、真っ白な山々、気温は寒くもなく暑くもなく風もなく最高の景色と最高のコンディションである。これだけで今山行の満足度は30%をクリア。当初は長い遠見尾根を登り五竜山荘のテン場で幕営の予定であったが諸事情により大遠見山を越えたところでの幕営に変更した。が、これはこれで正解であった。この付近では我々以外にも数パーティー幕営しており、皆とる行動は似たり寄ったりという事であろう。この時点で八方尾根下山はあきらめ遠見尾根のピストンとした。

翌朝五竜岳の頂上をめざし暗いうちから出発。暗い中に堂々たる五竜岳の雄姿がうかぶ。一歩一歩近づくにつれ少しずつ明るくなり一層山が迫ってくる。太陽が顔を出すと山域全体がモルゲンロートで赤く燃え輝く。素晴らしいの言葉しか出てこない。白岳直下の急登を登りきると山荘に到着した。すでに多くのパーティーがアタックをかけておりピークを目指している様子が見える。我々も後を追ってアタック開始する。途中、下山者に話を聞くとピーク直下のトラバース道はかなり危険であり一旦第2峰へ登り、そこから頂上を目指した方がよいとのアドバイスを受ける。しかし我々はロープを持参しておらず、よじ登ったとしても下山がかなり難しいと判断しトラバース道手前で引き返すことにした。尚、アドバイスをくれた登山者も頂上はあきらめたとの事であった。頂上での万歳写真ではなく、途中での頂上をバックの残念写真撮影に切換え下山した。

あまりに天候が素晴らしいので幕営地まで戻りテント横にテーブルをつくりそこで遅い朝食をとった。五竜岳のバックと降り注ぐ太陽の下での食事は最高においしい。

今回頂上は踏めませんでしたが、それでも充実した素晴らしい山行でした。ご一緒いただいた皆さんありがとうございました。来年はもう少し雪の少ない時期にリベンジしますので是非ご同行下さい。

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