京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

レポート 岳連 夏山ファーストエイド講習会

2019年7月6日(土)

 

レポート 59期 江村一範

夏山のシーズンを前にした7月6日、京都府山岳連盟の遭難対策委員会の主催で「夏山ファーストエイド講習会」があり、当会からも参加したのでレポートさせて頂きます。

 

場所はいつも総会や新年会で使わせてもらっている「職員会館かもがわ」です。

 

13時からのスタート時には各会から30人位の人数が集まっていました。

講師は現役の救急救命士である遭難対策委員会のメンバー。

まずは机上講座、救急外傷の初期診療を行うための手順「ABCDEアプローチ」を解説。

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A:Airway 気道評価及び気道確保と頸椎保護を行う。

B:Breathing 呼吸評価を行い、緊張性気胸やフレイルチェスト、開放性気胸、大量血胸など緊急に呼吸困難になるような疾患の有無を確認する。

C:Circulation 血圧、心拍数などの循環評価と止血を行い、ショックや緊張性気胸心タンポナーデの有無を確認する。

D:Dysfunction 意識レベルや瞳孔所見、麻痺などの所見を基に中枢神経系の評価を行う。

E:Exposure & Environment control 脱衣と体温管理を行い、低体温を防止する。

 

上記の手順をわかりやすく解説していただきました。

 

また傷口の処置に関して、

以前までの消毒液を使った方法ではなく、綺麗な真水を使って洗い流す方法が現在の外傷処置のトレンドになっている事を話されました。

 

次に三角巾の使い方を、折りたたみ方から実際の患部の固定法など時間をかけて行いました。

 

①三角巾の折りたたみ方

②三角巾の腕の固定法・結び方など

③三角巾の足首の固定法

④テーピングを使った足首の固定法、膝の負担を軽減するテーピングのやり方など

 

普段ファーストエイドキットの中に何となく入れている三角巾やテーピングも、

何となくでしか使い方を把握しておらず、いざ使うとなるとなかなか上手くいきません。
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最初は迷いながら行っていた皆さんも何度も繰り返し練習することで素早く固定できるようになっていきました。

 

次に山の中でマダニに噛まれた時の処置方法を解説。最近、北山に多く発生しているというマダニ。刺されると大きな腫れ・熱が発生し、傷もなかなか治りにくいとの事です。

マダニは無理に剥がそうとすると身体が残ってしまうので、

ティックツイスターという器具でひねりながら取るのが良いと実際の器具使って実演してもらいました。

 

また蛇・蜂に刺された毒を抜くポイズンリムーバーの使い方、

蜂に刺された時にアナフィラキシーショックを抑えるためのアドレナリン注射(エピペン)の使い方や、他人への措置の是非などを解説。

 

最後に三角巾とスリング・カラビナ使って怪我人を搬出する方法を、実際に見せてもらいました。

怪我人の足や肩を三角巾とスリングでハーネスのような状態にして背負って運ぶのですが、大人一人がひょいと持ち上がるのは驚きました。
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講習会は13時から17時までの長丁場でしたが、あっという間に時間は過ぎてしまいました。

 

プロの救急をすぐに呼べない山中では、自分たちが当事者となり初期の処置をしなければなりません。

ファーストエイドの知識は自分を助ける為だけでなく、仲間や他人を助けるための知識でもあります。

 

山の中で友人や仲間と安全に遊び続ける為にも、

最低限のファーストエイドの知識を身につけておきたいと思いました。

 

 

【感想】    52期 小泉賀奈子

 夏山を前に緊急時の対応の仕方を改めて学びたいと思い、講習会に参加しました。現役の消防士の方のお話はとても分かりやすく、実習もあったのでとても勉強になりました。緊急時には「3S」の確認のあと「ABCDE」の順に対応するなど、慌てずに対応することが大切だと感じました。普段は最低限のものしか持っていかない救急セットですが、三角巾とテーピングは常備して応用できるようにしたいです。三角巾の末端処理にも焦らず本結びを。三角巾を使ったけが人の搬送には驚きました。いただいた冊子をバイブルにして繰り返し復習します。ありがとうございました。