京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3992 荒島岳雪洞体験

2023年3月4日(土)~5日(日)

ピークをバックに

 

【メンバー】CL MO、SL RK、HM(ベース滞在)、MK、TW、HI、MS、HE、MK、YK 計10名

【行程】3月4日 晴れ 京都市内=10:20勝原スキー場跡駐車場11:00~13:40シャクナゲ平~14:00宿泊場

3月5日 晴れ一時曇り 宿泊場7:00~8:00荒島岳~8:40宿泊場~9:40シャクナゲ平~11:20勝原スキー場跡駐車場

立派な雪洞

【記録】63期 MO

出発時点の駐車場に雪は無く、スキー場跡はまばらに地面があらわれていたが数分歩くと雪道となる。まだ雪質はそう緩んでなくツボ足でスタートし、しばらくして暑くなったので体温調整をし、急登にかかるところでアイゼン装着する。休憩時間除くとほぼ推定時間でシャクナゲ平に到着。積雪量をプローブで測定すると2.4mあったので雪洞予定地に移動する。事前に候補地としていたところがやはり適地と思え積雪量も2.4mあったのでここで雪洞ほることとする。

3人ずつの3パーティーに別れ横並びに3人用の雪洞を掘り始める。同時に各パーティーからの1名づつ計3名でトイレ作り開始。トイレは30分程で完成し雪洞掘りに加担する。2.5時間ほどで終了し、夕食のゴマ豆乳鍋の作成開始。会装備の大コッヘルで3回に分けて9人分を調理するも3時間ほどかかってしまう。21時に就寝。

5時起床し7時にピークへのピストン開始。雪がしまっておりアイゼンが良く効く。想定通り一時間でピーク到達。ガスの中で眺望はないので写真撮影後すぐ下山にかかる。宿泊地到着後雪洞解体し下山開始。アイゼンは雪がなくなるスキー場跡までほとんどの人は装着したまま下山。ほぼ予定通りの11:20出発地の駐車場着。

出発地点

 

【感想】63期 MO

今回の例会を提案できたのは、まずYFさんにSL務めるので荒島岳あたりで雪洞例会しないかと提案頂いたのが始まりだ。次にSLが参加できなくなりHMさんにお願いし体調不良にもかかわらず引き受けていただいた。次にRKさんが参加表明いただきSLを代わっていただけ、HMさんはベース滞在で参加いただけることとなった。これらのお三方に今回の例会を開催できたことに大変感謝いたします。

一人だけ山スキーでの参加をさせていただき、山スキーを経験していない人たちに良さをアピールしたかったが、うまく滑れずに良さが伝わらなかったことが残念だ。

雪洞掘りに2.5時間ほどもかかってしまいビーコン体験ができなく、下山後にしたかったが失念してしまい、持参された人に申し訳なかった。

緊急用の雪洞は一人用にすべきと感じた。三人用とするなら米山式簡易イグルーを次回挑戦したいと痛感。

HMさんが推し進めていただいたデジタル無線機の性能確認では宿泊場と駐車場とは快適に通信が可能なことが確認できたが、次の日にもっと続けて通信すべきことを怠ってしまいご迷惑をかけてしまった。

夕食時段取りが悪く寒い中で皆さんが長時間立って食事をすることとなってしまった。

雪洞泊後ピストン準備

 

【感想】64期 HE

以前より興味のあった雪洞を掘って一泊するという企画ということで、即参加希望させてもらい、荒島岳へ連れて行っていただきました。

今冬は山の雪が少なく(街中は降りましたが)、雪洞が掘れるか、現地にいかないとわからんということで、日帰りピストンの可能性も残しつつ、勝原のスキー場跡を出発。スキー場跡に残って頂くHMさんとは毎時00分の交信で、新規導入したデジタル無線機のテストも実施です。

荒島岳、天気が悪く、ぬかるみが多いというイメージでしたが、今回も晴れ!というよりは曇りがちで、またしても日焼け止めを塗るのを忘れて出発です。

こんなに急だったか と思いながら急な坂を直登していくとシャクナゲ平に到着。こういう道ならMOリーダのようにスキーで行くと楽かも。何しろ足が上がりませんので(笑)。

雪洞ポイントの積雪量は十分でした。東側斜面を降り、少し傾斜の緩いところに場所を決め、雪洞堀り開始。やってみて気付いたのは「堀った雪を捨てる動線上に荷物を置かない」、 「とにかくガツガツ掘りたくなるが、ブロックとして切り出した方が効率的(後々の床面、天井の手入れを含め)」、 「低山、積雪が少なめの場合、専用のスノーソーよりのこぎり改造型の方が有効(枝類も切れる)」、そして何よりも「思った以上に大変」ということでした。また、天井強度を保持するために厚目の天井にしていましたが、斜面で奥へ行くほどどんどん天井が厚くなるため、想像以上に天井が強いということもよくわかりました。

雪洞泊なのに、なぜか明け方寒かったのは、入り口の構造に問題があったのだろと思いますのでやはりツエルトだけでなく雪ブロックも積んでおけば良かったんでしょう。

あと、デジタル無線は峰を超えた雪洞前でもものすごくクリアな音声で会話することができました。良いツールになりそうな感じです。

色々反省もありますが、学ぶところが多くあり、良い経験になりました。同行の皆さん、まもなく正会員となられるMOリーダ、サポート頂いたHMさん、ありがとうございました。

追)それにしても荒島岳の人の多さには参りました。あんなに人が多いのは登山ブームのせいでしょうか。

もちが壁の急登

 

【感想】65期 YK

今例会の発見…1 雪洞には場所選びが何より重要:掘って眠れればよいだけなら春先の締まった雪であればさほど時間はかからない様子。快適にしようとすれば時間をかければいくらでもできると思いますので、その分野を突き詰めるのも面白そうです。

個人的には積雪期に防風できるという一点だけで絶大な効果があるため、特にシビアな山では圧倒的にテントより快適ではないかと感じました。

2 登山活動のパッケージ化:雑誌やメディアなどで紹介されている山域、季節、山の遊び方などが主流になり、そのような遊び方が「当たり前」でそれ以外の遊び方への許容度が低い登山者が増えたと感じました。

登り下りともアイゼン装着される方があまりにも多く、この時期の雪質で中斜度程度にも関わらず凸凹の雪面を維持することを求められること、また「あんなに転倒するなら銀杏峰に行けばいいのに」などの発言を耳にしてしまったことなどがきっかけです。

アイゼン装着を否定するものではなく、アイゼン歩行の機会も大切だと思うのですが、雪国地域の山の場合、靴裏で滑るのでアイゼン跡のような凸凹した雪跡は急斜面以外は壊されることが往々にしてあります。トレース跡を潰さない配慮は必要ですが、その理由として「凸凹がないと登れない」と言われてしまうと、それは許容度の狭さというよりも柔軟度の幅が狭いことにより、いざという時に負傷や事故を防げるかどうかを左右するのではと憂慮してしまうのです。アイゼン専用雪山と滑る専用雪山との棲み分けが進み、山によって楽しみ方が定められてしまう時代になったことを実感しました。

ピークにて

 

【感想】61期 RK

案内に雪洞を作るとあったので、参加させていただいた。テント前の風除けに、切り出した雪のブロックを積み上げたことはあるが雪洞は未経験であり、果たしてうまく雪洞泊が実現するのか?ドキドキワクワクしながら参加した。荒島岳はこれで3回目で、ピークハントの興味よりも雪洞泊の方が勝っていた。事前に適所を教わっていたが、思った以上の勾配に、本当にこんな場所に掘れるのだろうか?と不安になった。それでも、一旦グランドレベルを決めると、3チームが一斉に掘り始め、私も童心に戻って無心に掘った。3人で交代しながらシャベルで掘り進め、2時間半くらいで何とか形になった。雪洞泊が出来ない場合は、持参したツエルトで寝なければ、その時の部屋割りはどうしたものか・・・など頭を巡らせていたが、杞憂であった。内覧会ではないが、各チームの雪洞を見学しあい、「広いですね」「左右に分室している」「おしゃれなろうそく立て」など感想を言い合う。何とも楽しい会話が弾み、充実感が漂っていた。プライベートで雪洞泊をするのは、技術的にも精神的にも無理だと思う。社会人山岳会ならではの企画であり、MOリーダーには本当に感謝しかない。雪洞掘り中に、「本当はイグルーが作りたかった」と伺った。隔年で、交互に企画していただければと思った。

 

【感想】57期 TW

雪洞で仲間とごはんを食べ、ローソクのともしびのもと歌を歌う・・・小さい時に読んだマンガの中の一場面。そのあこがれを胸に、今回の雪洞例会に参加させていただきました。

ところが現実は厳しいものですね。まず雪洞を作る場所探しが難しい!次に雪を掘り出すのが大変!!寝る場所を作るだけでも、3人作業で休憩なし、2時間半もかかりました。天井の高さも体をかがめたら頭がつっかえる低さ。仲間とまったり過ごせるスペースなんて、夢の話のように思えました。そして、寒い。山行当日の夜は気温が下がらなかったためか、雪洞の温かさが私にはあまり実感できませんでした。HMさんのお話では、雪洞が威力を発揮するのは、風速15m・気温マイナス10度が、風速ゼロ・気温マイナス2度くらいになる事だとか。かなり厳しい環境下じゃなければ、雪洞よりもテントが良いなというのが正直な感想でした。

予想外の多い雪洞経験でしたが、それでも、自分たちで作った雪洞で過ごす雰囲気は最高、外でみんなで立ちながら食べたお鍋は美味しく、とても思い出深い味となりました。 

今回の山行に参加させていただいたおかげで、経験値はグンとあがったと思います。

企画くださったMOリーダー、貴重な機会を作っていただき感謝しています。ご一緒頂いたメンバーのみなさん、ありがとうございました。

 

【感想】64期 MK

去年から雪洞泊をしてみたくてHMさんにお願いしていましたが、MOさんが例会を上げてくれましたのでありがたく参加させていただきました。

雪洞組9人はベースキャンプでサポートしていただくHMさんと無線連絡取りながら登りました。ザックは重いけど短時間なので問題ないだろうとタカをくくってたら急登でびっくり!積雪期の荒島岳は登ったことありましたが、もちが壁以外にこんなに急登あったとは記憶になかったです笑

心配していた積雪はプローブを刺して計ると2m以上あり、雪洞は掘れそうと安心しました。3人1組で自分達が寝るスペースを各自掘りますが、勝手がわからないのであーでもないこーでもないと手探り状態で作業しました。中腰になるので腰が痛くなりますね。そして掘り進むと木が出てきて進めなりショックでした。横に掘っていくしかなく横長では3人並んで寝るほどのスペースは無理なので2人に寝てもらい私は念のため持って来てたテントに寝るしかないかなと考えましたが、右に右に掘っていくと2人寝れそうな空間が取れて、今度は左側を奥に掘っていき、もう1人分をなんとか確保。形が少し見えてくると一気にやる気も出て夢中になり楽しかったです♪ 入口や天井の高さを調整して天井と壁の表面を整えたらなんとか完成!右の女子チームの雪洞は広くて壁も平らで快適そうでした。

皆さんの活躍のおかげで通路、トイレ、皆で食事する雪洞前の階段などが出来ていました。晩ご飯は重い出汁を歩荷してもらったおかげで豆乳鍋は最高に美味しかったです。

雪洞では寝るだけでしたが、中は暖かく、当たり前ですが静かで、思ってたより快適でした。私のシュラフは厳冬期用ではありませんが、ぐっすり眠ること出来ました。 翌朝は穏やかで天気もよくザックも軽いから快適に山頂アタック出来ましたが、山頂ではなぜかガスって真っ白になりました…。

初めての雪洞作りは体力を要して時間もかかるということがわかりましたが、今回の経験を元にまたやってみたいです。MOさん、来シーズンはイグルー泊例会期待しています!皆さん、ありがとうございました。

 

【感想】64期 MS

日本百名山荒島岳で雪洞を作り、その中で寝るという山行に興味があり、参加して来ました。
雪が少なくて、雪洞を作る事が出来なければ日帰り下山の予定でしたが、登山口から登って行くと、段々と雪が増えていき、その心配はなくなりました。
しゃくなげ平から少し下った所で3グループに分かれ、それぞれ雪洞作りを開始です。
入り口の大きさや、屋根の高さに気を付けながら掘り進めていきます。
奥に行くほど、屈んだ姿勢のために腰は痛いし、掘り出した雪を運ぶのは重いしで、とても大変でした。
ここまで重たいザックを背負って、急登を登って来て疲れているはずなのに、休憩なしで、みなさんすごい勢いで雪洞を作り出して、すごい体力だな、と感心しました。
2時間半ほど掛けて出来上がった雪洞は、グループそれぞれの個性が出ていて面白いなと思いました。
男性グループの雪洞は、入り口が大きくて、屋根は高めで中も広々です。
私たちの雪洞は、大きな倒木や張り詰めた木の根が現れた為、奥には進めなくなり、左右に掘り進めたので、蟻の巣の様な作りです。
もう一つの雪洞は、入り口の前に掘り出した雪で風除けの壁を作っていて、見本の様な雪洞です。
雪洞が出来上がると、次は食事作りです。
冷え切った身体に、熱々の豆乳鍋がとても美味しくて感動しました。
0℃に保たれた雪洞の中は、狭さを除けば、静かで、朝まで快適に眠れました。
次の日は、荒島岳山頂までの急登を、素晴らしい景色を見渡しながら登りました。
山頂で記念撮影をして雪洞まで戻り、雪洞を元の状態に戻して下山しました。
今回の雪洞作り体験を通して、色々な事を学ぶことが出来ました。
MOリーダー、SLのRKさん、ご一緒していただいたみなさん、ありがとうございました。