平成29年4月29日(土)
長老ヶ岳(917m)は、南丹市美山と京丹波町和知の境にある秀峰で嘗ては密教寺院が100余りあったが焼き討ちにより廃絶し仏像は京丹波町仏主の集落に下ろされた伝わる。大野ダムに到る美山トレイルの南尾根は、仏岩の岩稜があり、仏主や上乙見からのメジャールートと違った趣がある。
【メンバー】 山本浩史L(車)、船木佐織 計2名
【行 程】 桂川6:26=沓掛IC=(京都縦貫道)=丹波IC=7:40川谷川浄水場=8:01大野ダム8:09~8:37 P363~9:07熊坂峠~10:11仏岩10:24~10:34 P752~10:55 P822~11:34 P884~12:01長老ヶ岳12:21~12:30仏主峠13:25~14:12川谷川浄水場14:21~(自転車)~14:48大野ダム14:57=15:08川谷川浄水場=15:50スプリング日吉16:57=千代川IC=(京都縦貫道)=沓掛IC=17:46桂川
【登山データ】 晴れ一時雷雨 歩行10.9㎞ 6時間03分 延登高1,064m 延下降937m 2座登頂
今回のルートは美山町側の大野ダムから南丹市と京丹波町の市町境尾根を歩き長老ヶ岳に到り、美山町三埜(みつの)に下山する。南丹市美山町の境界尾根は、美山観光協会が開発しようと調査のテープを設置しただけのもので正式なものではない。三埜の川谷川浄水場の前に折り畳み自転車をデポし大野ダムの畔に車を止めた。
駐車地点から府道を和知側に進むと南丹市から京丹波町に少し入り込んだ尾根の先端部に林道の分岐があった。林道をジグザグに少し登ると2.5万図のとおり大正稲荷神社があった。安全祈願をして林道を更に登った。終点にコンクリートの小さな建物がありその脇から尾根に取付いた。微かに踏み跡があり、所々に「美山トレイル」のテープが巻かれていた。急登路を登るとP363に到り大野ダムの畔から尾根の東面を登って来る登山道が合流した。共同アンテナの施設がありその裏手から眼下に大野ダム湖と対岸の山々が望むことができた。
アップダウンを繰り返してなだらかに稜線を進みP390に到ると急斜面を下って熊坂峠に達した。深く切れ込んだ峠で塩谷集落と樫原集落を結んだ古道が越えていたのだろう。登り返しも恐ろしく急で斜面をジグザグに登った。暫く急登が続き、足元にはイワカガミやスミレが咲きだしており、踏みつけないように注意して歩いた。稜線は岩交じりとなり大きな岩隗が目の前に現れた。仏岩(730m)に到る稜線は険しいが、このルートの醍醐味だ。固定ロープもあるがそれほど問題はない。大迫三角点峰から流れてきた顕著な尾根が西側から合流する処が仏岩で到着すると小休止を取った。
略北上していた稜線は北東に向きを変えP752からP822に到った。小さなプレートに「P822」と表示があったが山名があっても良さそうだ。少し進むと開けた処があり前方に岩稜が控えその奥にはP884が横たわっていた。仏岩だけではなく随所に岩稜があり楽しめる稜線だ。P884は美山町音海や大野集落からの登山道が南東から合流し北北西に進路を変えた。稜線いはタムシバが白い花を咲かせ楽しませてくれた。ソメイヨシノの季節は終わったが山肌には山桜が、里では八重桜がまだ頑張っており遠目に花見を楽しめた。
小さなアップダウンはあるが比較的なだらかに進み長老ヶ岳(917m)に到った。10数名のグループが焼肉を楽しみその内の一人が尺八で「いい日旅立ち」を演奏していた。山頂には1等三角点「長老ヶ岳」があり、昭和63年の京都国体の炬火採火の台座が残されていた。山頂標識は石造りの縦型で真新しい。昼食休憩を取っていると丹後方面の空が真っ黒になり遠く雷鳴も聞こえ出した。天気予報では午前中晴れ、12時以降雷雨となっていたのが、その通りになってきたようだ。
急いで昼食を終え東へと進んだ。東の稜線は旧仏主峠から地蔵杉(899m)、頭巾山(871m)へと尾根で繋がっている。雲に塗り潰されそうになりながら辛うじて青葉山(693m)の姿が確認することができた。林道の仏主峠に到ると東屋があり傍らには文字の読み取れない石碑が建っていた。北東に続く尾根に踏み出そうとした矢先、船木さんが落ち葉に埋もれた側溝に足を取られ転倒し顎から出血してしまった。手当をして出発しようとするとポツポツと雨が降り出したので雨具を着ようと東屋に入った。雨装備を整えていると丹後に掛かっていた黒雲が流れてきて突如起こったつむじ風が落ち葉を巻き上げ、忽ち豪雨となった。遠かった雷も徐々に近づき稲妻の閃光が見えたかと思うと間髪置かず雷鳴が劈くようになり、徒ても動ける状態でなくなった。船木さんの負傷がなかったら稜線で遭遇し大変だっただろうな語り合い寒さに震えながら約1時間様子を見ていると雷鳴が遠退き、空が明るくなり、雨も小降りになってきた。さあ行こうと歩き出すともう殆ど雨は止み嵐は通り過ぎた。
P831に到ると旧仏主峠方面を越えて地蔵杉方面に到る尾根が分岐しているが道はピークの東側を巻いていた。東に続く尾根を進み暫くは尾根通しに進む筈だったが「川谷→」の指導標に従い明瞭な道をジグザグに南側の川谷川源流の谷へと下りて行った。2.5万図に描かれた道はもう少し尾根を進んだ処で此方も気になったが明瞭な道は苦労なく有り難い。歩いていると何と日差しまで戻ってきてあの激しい雷雨は何だったのだろう? と劇的な回復を喜びあった。谷を高巻く登山道は道幅を拡げやがて林道となり北からの谷と合流して林道の分岐点に達した。双方の林道にゲートがあり一般車は進入できなくなっていた。あと数十m進むと自転車デポ点の川谷川簡易浄水場に達した登山を終えた。
船木さんがザックを守って待機し、僕一人が自転車で9.5㎞の道程を走り大野ダムへと戻った。舗装された路面からは日に照らされて湯気を立て、急速に路面が乾き始めていた。府道12号線に出て由良川沿いの道で八重桜を楽しみながら駐車地点に戻った。船木さんをピックアップし“スプリングひよし”(入浴料740円)に立寄り帰路に着いた。