No.3034 北アルプス縦走:「立山~薬師~黒部五郎~三俣蓮華岳」
6泊(車中泊含む)というサラリーマンにとっては長い山行でした
写真:五色ヶ原のテン場を目指す
No.3034 北アルプス縦走:「立山~薬師~黒部五郎~三俣蓮華岳」
2010年7月26日 (月夜)~8月1日(日)
52期 秋房伸一
【参加者】 CL秋房伸一、向 昌宏、亀島文子会員3名
【行程と天候】
7/26 23:00京都駅八条口(アルペンライナー)=7/27 曇り時々晴れ 7:00-7:50立山・室堂バスターミナル-~9:00一ノ越~9:50-10:00雄山~11:00一ノ越~11:55竜王岳~14:40ザラ峠~五色ヶ原テン場
7/28快晴4:00起床、5:50出発~7:20鳶山~9:05-9:50越中沢岳~12:07スゴ乗越~13:00スゴ乗越小屋テン場
7/29雨 7:25出発~8:40間山~10:10北薬師岳~11:10薬師岳~11:45-12:50薬師岳山荘~13:50薬師峠テン場(向・亀島は太郎平小屋へ)
7/30曇 6:30テン場発~7:00太郎平小屋~8:55北ノ股岳~12:05黒部五郎岳の肩~12:30黒部五郎岳~13:30黒部五郎岳の肩~(カールルート)~15:30黒部五郎小舎テン場
7/31曇 4:00起床、6:15出発~8:15三俣蓮華岳~9:10双六岳分岐~9:35双六岳山頂~(夏道偵察→退却・春道)~10:40-11:05双六小屋~13:25鏡平山荘~15:40林道~15:50ワサビ平小屋(泊)
8/1晴 8:15小屋発~9:30新穂高温泉=(バス)=高山(昼食)=(JR)=京都
【記録】
7/27 アルペンライナーは定刻に室堂に着き、バスターミナル前のホテルの待合室で持参した朝食。ホテル内には売店や自販機があり、大概の物は揃えられる。
一ノ越から雄山山頂を目指す。地元の小学生の団体登山が数グループおり、団体よりも先に出発しないと渋滞に巻き込まれる。
雄山山頂では、神官に御祓いをしてもらった。一ノ越から薬師方面への道に入ると、登山者は激減。竜王岳ピークにも立ち寄る。
(写真:立山雄山を振り返る)
鬼岳付近で雪渓を横切る箇所があるとのことで、その状態が気になっていたが、雪はグスグスで、斜面も階段状に整えられており、普通にツボ足で歩けた。
(写真:鬼岳付近の雪渓通過)
獅子岳からはザラ峠を隔てて、五色ヶ原の特徴的な地形(台地状の地形で北側が大きく崩れている)が一望できた。
ザラ峠では遭難救助のヘリが来るので急いで通過して欲しいとの声がかかった。後で山小屋の人に聞いたところ、高山病の人を搬送したとのこと。
五色ヶ原のキャンプ場は、トイレや水場も整備されており、快適であった。食当の亀島さん特製のローストビーフやワインで豪華な晩餐となった。亀島さんは新型のモンベルの超軽量シェルターを初使用。
(写真:モンベル超軽量シェルターとプロモンテのテント)
7/28 快晴で気持ちよくスタート。朝日を浴びて歩く。振り返ると五色ヶ原が雪渓越しに大きく広がる。
(写真:五色ヶ原を振り返る)
天気も良く、スゴ乗越小屋までは比較的近いので、行程を伸ばそうかどうかいろいろ話をするが、まあ予定どおり行こうとの結論になった。歩き始めると、想像していたよりもアップダウンが厳しく、スゴ乗越小屋までで十分だとの気分になった。
越中沢岳からの展望は180度遮るものがなく、絶景。正面には薬師岳がドカンと構える。行程に余裕があることから45分間も山頂で佇んだ。
(写真:越中沢岳にて)
昼すぎにテン場に着き、小屋で調達したビールや酎ハイをたらふく飲み、昼寝もした。
だんだんと雲が広がり、ラジオの天気予報は下り坂であることを伝えているので、翌朝の起床時間は3時にして天候悪化の前に行動を開始する方針とした。
7/29 夜半には雨音が強くなり、場合によっては停滞することも考えながら寝る。3時に目覚めると雨がしっかり降っているので起床時間は5時に変更して、二度寝する。
小雨になってきたので行動することに決定。小屋付近は穏やかな雨だが、途中で2組のパーティーとすれ違った。薬師岳を目指したが強風で引き返したとのこと。テン場を出るときに見たところでは、我々が出発した時点で約半分のパーティーが出発済み。小屋泊まりの人はほとんど出発したとのことなので、引き返したパーティーの方が少ないと考えた。
間山を過ぎたあたりから風が強くなったが、亀島、向、秋房の順に特段行動に制約をうけることなく歩き続けた。
薬師岳の頂上は強風で、下り方面の斜面は植生や風よけになる岩石が何もないため、暴風であった。
(写真:薬師岳山頂にて)
地形図にあった「避難小屋」は屋根がなく3人が入って休めるだけのスペースもないものだったので、一瞬立ち寄っただけで通過。 薬師岳山荘は改装工事中だが売店だけは営業していると前日に聞いていたので、薬師岳山荘に期待をつなぐ。地形図で地形の先読みをしながら歩いたので、小屋までの距離や地形を予想でき、強風ではあるが冷静に歩けた。
薬師岳山荘に到着し、向・亀島に暖かいコーヒーを渡す。後ろを歩いていた分には想像できなかったが、向はずぶ濡れになり寒さも相当ひどい状況であることを言い、改装中の小屋でしばらく休ませてもらう。
向の状態も回復したが、雨は相変わらずなので、亀島と向は太郎平小屋泊まりとした。
7/30 天候の回復を期待したが、雨こそ大丈夫だがガスがかかり、展望はほとんど望めない状況で黒部五郎岳を経て黒部五郎小舎テン場まで縦走。途中、大きなお花畑を通過。お花畑での写真撮影を目的としている人が沢山いた。
(写真:黒部五郎岳にて)
7/31
この日もガスの中で、楽しみにしていた三俣蓮華岳からの槍穂の眺望はまったく得られなかった。双六岳へは残雪のためアイゼンが無いと行けないと他の登山者から聞いたので、真偽を確かめるため、秋房は双六岳頂上を目指し、向と亀島は巻き道を通って、双六小屋で落ち合うことにした。頂上まではまったく問題なかったが、双六小屋に降りる「夏道」が雪渓に埋まっており、雪渓はまるでコンクリートのようにカチカチ。6本爪アイゼンとピッケルは持っていたが、通過できるような代物ではないことは一目瞭然で、引き返して道案内標識にあった「春道」を下降した。
長い下りを、十分堪能しつつ、わさび平小屋を目指す。
林道に出て長い縦走はエピローグを迎えた。立山からずっと縦走してきた喜びにひたりたかったが、それよりも早く小屋について風呂に入ってビールを飲みたい一心で、急いで歩いてしまった。
(写真:双六小屋を振り返る)
(写真:わさび平小屋にて)
【感想】 52期 向 昌宏
山5泊の大縦走、行程も程良く、週間予報も良くて意気揚々と出発しました。立山から五色ヶ原、スゴ乗越までは眺望良く、高山植物も咲いていて最高でした。特に越中沢岳からの眺めは圧巻でした。
問題は山3日目で、猛烈な風雨の中進んだので薬師岳で私は限界でした。北薬師での注意書きを見落としたのも余裕がなかったからでしょうが、薬師小屋(建築中)についた時には寒さにふるえが止まらず低体温症寸前でした。昨年のトムラウシが頭をよぎり止まったらやばいと思い亀島さんに必死について行きました。迷うことなく最短で小屋に着けたから助かったのだと思います。ほんとに亀島さんのおかげです。ありがとうございました。また、北薬師で自分は無理かもと思ったのにそれを秋房さんにきちんと伝えなかったのが大きな反省点です。それと防水性の落ちたカッパなどの装備面も見直します。現場のおじさん達の計らいで小屋に入れてもらい、体温は持ち直せました。この日はテント泊を止めて太郎小屋に泊まりました。太郎のラーメンは格別に美味しかったです。
4日目以降はこの後晴れるだろうと期待をしつつ進みましたが、近くにあるはずの槍ヶ岳も見えず少し残念でした。反省点もありましたが、全体としては行程通りで、いい経験がつめた山行だったと思います。高山植物、鳥、蝶、そしてテント泊ならでは楽しみと小屋泊も味わえ6日間山を満喫できました。ご一緒いただいた秋房さん、亀島さんありがとうございました。また天気の良いときにリトライしたいです。
【感想】 53期 亀島文子
雄山で山の無事を祈ってもらい、いざ放浪の山旅に出陣!
ザラ峠~テン場の五色ケ原までは天気も良く高山の花々、荷揚げのヘリ、高山病で向かえ来たヘリ、などで楽しく会話がはずみ山小屋で買ったビールで夕食。4時頃から雷、雨、突風。
28日朝から今にも泣き出しそうな空模様。
スゴテン場でも夕食後、雨、突風。
29日朝から小雨、先発隊が薬師岳を雨、強風(台風なみ)で越せなく引き返して来る。同じコースで同じ思いして縦走した数年前が思い出される。台風体勢で進み、開いてる目にそのままシャワーは辛く痛い。
強行突破で太郎平小屋到着。今回は全身ずぶ濡れで、亀島、向が小屋泊に変更。太郎平のラーメンは何回か食べたが旨い・・と思う。
30日太郎平小屋から赤木岳に向かう登山道は高山花々のローカ。
赤木沢からの突き上げ登山道を懐かしく思い出す。
黒部五郎小屋では300円のりんごを丸かじり。旨い
また夕飯4時頃からドシャ降り。スゴで一人テントが飛ばされそうになり、今回(五郎)はテントの周りに石を積み上げた。
最後の登り、三俣蓮華岳を過ぎると、ほぼ80%の工程が終わった事と成り少し安堵。
双六小屋で牛丼(800円旨い)を食べ、元気にわさび平小屋に下山。
6日間の汗臭い身体をお風呂で洗い、生ビールで乾杯。遥か彼方の日のごとく室堂が懐かしく思われる。
新穂高温泉から高山までバス。高山ラーメン、飛騨牛さしが旨い。ビールを買い込み3時間の電車の旅
このコース、行く度に雨、真っ青な青空の下で歩きたかったなー! 秋房さん、向さんお世話になり有難うございました。
【感想】 52期 秋房伸一
6泊(車中泊含む)というサラリーマンにとっては長い山行でしたが、向さんと亀島さんに同行いただき、計画通り無事、山行を終えることができました。ありがとうございました。
計画段階では1日あたりの行程が無理の無い範囲なので楽勝かと思っていましたが、そこは山岳のこと、天候の悪化もあり、なかなか一筋縄ではいかないことになりました。食事や強風下での行動など、チームの力にずいぶんと助けられました。
最後のわさび平小屋で風呂上がりに飲んだビールは、月並みな表現ですが、これまでの人生の中で一番美味しかったと思います。
強風下の行動については、補給食をきちんと摂るようにリーダーとして言うべきだったと反省しています。皆、補給もとらずひたすらスクスクと歩き続けるので、「すごい人たちだな」と脳天気に思っていたのは危ないところでした。風雨下での行動については、個人的には沢登り用の下着(ファイントラック製)を身につけていたので、濡れからくる冷えに効果的であったと思います。個人の体質としては、決して寒さに強いタイプではありませんので。靴はグスグスに濡れてしましました。スパッツを持参して装着すべきでした。
帰宅して、ザックの重さを量ってみたら22Kgでした。感覚的にはだんだん軽くなって17kgくらいかな、と思っていましたので、長期間の山行で、歩荷力がついたのかもしれません。
今回に懲りず、またよろしくお願いします。