こんな近場に、これ程アルパインクライミングのムードを漂わせたルートがあるとは意外であり、短いながらもなかなか充実感の味わえるルートだった。
[個人山行]2011年3月20日(日)
堂満岳 ルンゼ中央稜
【参加者】AT、本田勇樹(計2名)(小松:イン谷口で途中離脱)
【天候】晴れのち雨
【記録】T
07:30比良駅→10:05Ⅰルンゼ取り付き→10:30中央稜取り付き→12:30中央稜ルート終了→12:45チムニー→13:30チムニー上部の岩通過→15:07堂満岳山頂→16:11金糞峠→17:10イン谷口下山
【記録兼感想】51期 T
長野さんの荒島岳例会に参加したかったが、日程の関係で参加できず予定がポッカリと空いてしまったところ、クライミングジムで会った小松さんよりのお誘いで某山小屋で宴会でもという話になった。
ジムに居た本田さんも巻き込み、小松さんが行ったことが無いので堂満ルンゼから堂満へ登りたいとのこと。それならばアイゼントレをしたいので中央稜ルートを行きましょう、ということになった。
とはいえ、三人とも中央稜なるものを聞いたことがあるだけで詳細はほとんど知らない。一夜漬けでネット検索をする。
堂満ルンゼのことなので季節的にどうかと思ったが、ロッジの織田さんによると「尾根筋だし、ハーケンありますから夏でも行けますよ。」(それが本当ならまた無雪期にフラットソールでも訪れたいものだ)とのこと。
翌日は早朝集合予定だったが、ドタバタに準備したのでアイゼンを忘れて取りに帰ると時間に遅れてしまったが、小松さんも寝坊して同じ電車に乗っていた。これにより三十分ほど到着が遅れる。
イン谷口に着いたところで、突然小松さんの携帯に会社より連絡があり、小松さんは急遽東日本大震災の復興支援に向かわなければならなくなった。
順調に電車に乗れていたら携帯電話の電波が入らず、小松さんは復興支援に向かえなかったかもしれない。
それを思うと珍しく小松さんが寝坊したことや、ギリギリのイン谷口で電話があったことも運命だったのではないかと思う。
小松さんはそのまま自宅に帰っていった。復興支援、頑張ってください。
残された我々は日程を一泊から日帰りに変更することにする。
こんな時に呑気に山登りしているということがなんだか急に申し訳なくなり気勢を削がれたことと、寝不足が災いしてか、とてもバテてしまって、ルンゼの入り口にたどり着くころにはフラフラになってしまった。
そのため水筒と行動食だけを持って、あとの荷物をデポしていくことにしたが、本田さんは念のためにと言って、スノーシューだけをデポしてあとは背負って行った。
Ⅰルンゼに入ってすぐの滝があるところで、ルンゼが二股に別れているところに中央リッジ部分がある。
ここが取り付きがどうか半信半疑だったが、近づいてみると残置ハーケンが打ってあり、ここであると確信。アンザイレンして登攀にかかる。
岩に手をかけてみると、一手目から岩がグラグラと動いて、どれもこれも崩れそうな岩ばかり。先が思いやられる。
ひとつひとつ岩が動かないところを確かめながら慎重に登っていく。
数ピッチ登ったところで中央リッジはルンゼに吸収されあっけなく終了したが、事前情報でその後チムニーを抜けるルートがあるとのことだったので、そこから左側(右岸)に移動してチムニーを探す。
本田さんが狭いチムニーに残置ハーケンを発見したので、そのチムニーを登ったが、その先の岩壁にはハーケンも打たれておらず、灌木立木の類も無いので、岩のとがったところにスリングを巻いてランニングを取った。
左側をまわりこんで登るが、見た目今にも崩れそうな岩に体重を預けて登らねばならず、少し怖かった。(帰ってから調べてみたものの、どうもここのピッチはルートなのかルートでないのか、ハッキリしないところである。)
そこを抜けると岩場も無くなったので、そのまま山頂を目指すことにしたが、大変雪質の悪い中をラッセルしながら登るため、わずか100m弱を一時間半くらいかけて登ることになり、消耗が激しい。
山頂へ着くと雨が降ってきて、気温も高いのでルンゼを下降するのは危険かもしれないと思い登山道から下山するものの、途中で道を間違え、登り返すなどして体力を激しく消耗する。
山頂を目指さず、すぐにルンゼを下降すべきだった。(重い荷物を背負おう本田さんには申し訳なかった。)
帰りは比良とぴあで汗を流して帰京。思わずハードな内容の山行となってしまったが、アイゼン・体力トレーニングとしてはこの上ない練習になったと思う。
こんな近場に、これ程アルパインクライミングのムードを漂わせたルートがあるとは意外であり、短いながらもなかなか充実感の味わえるルートだった。(落石の危険が高いのは難ありだが。)また練習に訪れたい。
【感想】53期 本田
堂満岳には多分10回ぐらいは登っていて、近いし登り甲斐のある静かな山で
とても好きな山です。堂満岳中央稜はぜひ行ってみたいところでした。
登ってみて、岩場から見る景色はやっぱりいいなと、急なルンゼの間にあるので高度感もあって、
短いながらも充実したクライミングでした。
ただ最後の4ピッチ目は恐かった。リードしていただいたTさんの勇気はすごい
と思いました。今回、リード、セカンドビレイの練習をする予定であったのですが、
そんな余裕もなくすこし反省します。そんななかTさんには感謝です。
ご一緒いただきありがとうございました。
また重要な任務のため、被災地に立たれた小松さん、お身体お気をつけて。