【日程】2007年12月23日(日)~24日(祝)
【参加者】計2名
【タイム】
23日6:30美濃戸山荘~8:40赤岳鉱泉~10:00ジョーゴ沢でアイスクライミング~14:00赤岳鉱泉
24日5:30赤岳鉱泉~7:10主稜取り付き~10:50赤岳山頂~12:30赤岳鉱泉~テント撤収13:10赤岳鉱泉~14:05美濃戸山荘
【記録】46期 K.N.
今回はアイスと主稜登攀のセットと欲張りだ。
1日目はジョーゴ沢でアイスクライミング。F1は他グループの講習会で一杯なので,パスしてF2へ。今期最初のアイスだが,なかなか新品のアイゼンのM10の具合がいい。その後大滝までつめてリード(スクリュー打ち),アックスにフィーフィをかけてレスト& スクリュー打ちの練習をした。スクリュー打ちは十分練習しておかないと実践でいきなりは難しい。スクリュー2本で穴を作り,スリングを通して支点とするやり方もやってみた。十分懸垂程度ならできそうだったが,スリングを引っかけて引っ張るのでスリングが痛む。捨て縄を持って行くことが必要だろう。
今回も食事は各自だったが(共同食料はなし),これだと荷物が少なくなっていい。登るのが目的なら食事は各自ってのが合理的だ。
2日目は三年越しのリベンジ,主稜だ。詳しくはM山さんの感想を参照。主稜の取り付きは文三郎道の樹林帯を出て,中程の四角柱のある場所の50mほど下だ。一昨年文三郎道を登った時に確認した。今回は丸山さんが偵察に行き,的確に取り付きを発見した。取り付きには踏み跡もなく,解説本にかいてある赤布もなく,視界が悪いと,知らないと取り付けないと思う。
取り付きのチョックストーンは,4級とされているようだが,雪がつくとずっとやさしくなっていると思った。そんなに難しくはない。岩の全体的な登攀力はM山さんの感想のとおり,金毘羅北尾根アイゼン登攀ができれば十分だろう。ただ,やはりバリエーションだけあって,ルートのどこをとるかが難しい。要所ではM山さんのリードで的確にルートをとっていただいたが,間違えると結構つらいルートになるようなので,ルートの弱点を見る力が必要だ。それと,強風の中での登攀はビレイしているときは強烈に寒い。私は結構寒さに強く,指の先の感覚がなくなることなんてないのに,今回は若干感覚が鈍くなり,2回くらい手袋の中で指を丸めた。フリースの手袋だったが,やっぱり毛の手袋にすべきだったな~。あと,装備としては,短いバイルがいい。長いピッケルはいらないし,かえって邪魔になりそうだ。バイルの先を岩に引っかけて登るのにも短い方がいい。
終了手前のピッチでリードした際,そろそろロープもでているし,切りたいので,ハーケンを打とうかなと思ったら,1m横に残置ハーケンがあった。登られているルートだけあって,間違えなければ支点はあるルートだった。
M山さんのルートファインディング,登攀力に頼った登攀だった。M山さんに感謝。
(今回はアイスも登攀も忙しく写真はなし。写真はテント場とアイスキャンディー)
【感想】43期 H.M.
3年前に取りつき敗退した赤岳主稜にやっとリベンジができた。
初日は赤岳鉱泉にテントを置いて、ジョウゴ沢でアイス練習。乙女の滝が痩せていて、先行パーティーのロープ一本だけでいっぱいだったので、大滝でM山・N野とも2本ずつ練習。F2でもリードの練習をして2時にはテントへ。翌日に備えて5時就寝となった。 翌朝は3年前と同じように、文三郎道は新雪のラッセルから、ガスも同じように視界を閉ざしていたが、今回は取り付きへのトラバース点を前回より50メートル程下に推測して半分までトラバースで偵察に出て、チムニー状ルンゼとエビのシッポがついた残置スリングらしきものを発見。無事最短距離で取り付きに到着した。
1ピッチ目のチョックストーンの乗り越しは最初の一手が4級マイナスらしいが、難しくはない。2ピッチ目も易しいがリッジに出ると強風が粉雪をまき上げ、顔に当たるのが痛い。いかにも冬山という実感が湧いてくる。3ピッチ目は目の前の岩が一見難しく、しばらくルートに迷うが、真ん中のチムニー状を突破して通過。3級プラスだが、ルートの取り方によっては結構いやらしい。次のミックスのリッジは40mくらい登って一回ピナクルで切ってN野さんにリードを交代する。ビレイ中の寒さがこたえる。N野さんの姿がチムニー上の岩の間に消えてしばらくしてフォローし、実質的な登攀は終了。残り100m足らずの雪面をコンテで登って北峰に飛び出した。所要時間は3時間半くらいか。
頂上まで視界なく景色はまったく見えなかったが、冬山気分は十分楽しめた。技術的には2箇所の岩場で金比羅北尾根程度のアイゼンワークと、滑落の許されない雪稜で確実に登高できる力があれば大丈夫。ただし、今回のように岩にエビのシッポが付いてビレイ点が隠れ、ガスに強風という条件では、正確で迅速なルートファインディングが大切だろう。3年前より岩場のルートを読む力やビレイ点の位置を予測する力は少し向上したような気がする。
仕事と家庭の事情で山に行けず悔しい日々だが、あきらめずにボツボツでも登り続けたいものである。最後に、往復とも運転して頂き、トレーニング不足でバテバテの私に合わせてゆっくり歩いてくださったN野リーダーに感謝の意を表したい。