京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

  関西百名山シリーズNo.17Ⅴ  八丁山から愛宕山・水尾新年会

シリーズNo.17の愛宕山は今回5回目、毎回愛宕のマイナールートを辿っている。今回は八丁山と清和天皇稜を通るルートを取った。下山後はこれも恒例で水尾の“つじの家”で柚子風呂と鶏の水炊きを楽しんだ。

20130120愛宕山2

写真2: 首無地蔵へ雲心寺林道を行く   

[個人山行]  関西百名山シリーズNo.17Ⅴ  八丁山から愛宕山・水尾新年会  平成25年1月20日(日)

48期 山本浩史

シリーズNo.17の愛宕山は今回5回目、毎回愛宕のマイナールートを辿っている。今回は八丁山と清和天皇稜を通るルートを取った。下山後はこれも恒例で水尾の“つじの家”で柚子風呂と鶏の水炊きを楽しんだ。

【メンバー】 山本浩史L、中尾諭、西田和美、小泉賀奈子、横川陽子、東野政行、船木佐織、増澤由美、

井戸洋介 計10名

【行  程】 阪急嵐山7:11=7:25清滝7:33~8:52八丁山8:59~9:55首無地蔵10:04~11:07愛宕山11:20~12:32神明峠~13:10清和天皇稜~13:28水尾つじの家16:42=(送迎バス)=16:58保津峡17:08-17:12嵯峨嵐山

【山データ】  天候 晴れ後曇り 歩行 14.4㎞ 5時間55分 延登高 1,188m 延下降 1,018m 2座登頂

20130120愛宕山地図

集合に指定したバスは嵐電嵐山駅を発車した。東野さんがいない、そして何故か中尾さんが乗っている。電車に乗り遅れた東野さんはタクシーで追いかけ清滝で無事合流。中尾さんは新年会の際「できたら参加したい」と聞いていたが正式申し込みがないまま突然現れた。前日CXLされた由良さんの穴埋めで結果オーライだった。清滝バス停のトイレは使用不能で清滝駐車場のトイレで準備を整えた。

堂承川の林道を歩き高雄への道が分岐する頃から、今日初参加の井戸さんと袴田さんにコンパスの使い方を指導して歩いていると月輪寺道の分岐に達した。梨ノ木谷の橋を渡ると右側の斜面は八丁山、今日のミッション1に「八丁山への登路をルートファインディング」を設定した。橋を渡ったすぐの処に薄い踏み跡を発見、表示はない。中尾さんが先の方へ偵察に行ったが他にはなく確定した。小泉さんを先頭にこの踏跡に入るが道と言えるのかどうか微妙な状態でルートファインディングのミッションは続く。ところが50m程這い上がると北の方からしっかりした踏み跡が現れその後は難なく八丁山(473m)へと達することが出来た。平坦になると山頂標識が突然現れた。登山道の途中の何の変哲もない山頂で展望もなく感動のない山頂だった。愛宕山頂は山頂標識がないので八丁山で集合写真を撮ることにした。ザックに載せてセルフタイマーをセットし上手く撮れたつもりだったが記録メディアの不調でこの日の写真は全く記録されていなかった! ショック。そして皆さんにもご迷惑をかけてしまった。尤もそれが分かったのは帰宅してからだったが・・・

ミッション2には「首無地蔵までの所要時間を予想」を設定した。八丁山からの距離は2.8㎞、前半はほぼ平坦、その後登りで雲心寺林道に出る手前は等高線が詰る。延べ標高差は300mという条件で皆さんの予想は60分から120分の幅が出た。ずっと樹林帯で展望は利かないが左手の木の間越しに雪で白くなった愛宕山がちらちらと望める。なだらかな稜線を下り最低鞍部は425m、登りに転じてもまだなだらかで西谷から上がって来る道と合流すると傾斜がきつくなった。高雄から始まる西山林道から分岐して雲心寺林道となった道に乗り上がると後は雪の積もった林道歩き800mで首無地蔵に到る。林道は随所で展望が開け梨ノ木谷越しに雪化粧した愛宕山が青空に映え素晴らしい。京都市内を望むと蛇行する桂川が望めるが、霞がかかり今一はっきりしない。

雲心寺林道から分岐してすぐ首無地蔵に到着した。本当に首のない地蔵が鎮座し、真新しい花が供えられていた。そしてミッションの結果は56分と誰もが予想できなかった早さで歩くことが出来た。流石は「体力★★」に参加する強者達だ。予想タイムが最も近かったのは60分を予想した東野さんで拍手を送った。そしてつじの家で1杯づつビールを注いで祝福ということになった。

首無地蔵からは雪の尾根道を行く。思った以上に積もっており10㎝以上ありそうだ。結構踏まれ固まっている、滑りそうだ。この先愛宕の参道も危なそうなのでアイゼンを装着、横川さん、船木さん、井戸さんの三人は今日初アイゼンだ。ミッション3に「P796の位置を特定」を用意していたが現地は南側を巻いており断念した。登山道は18日に降った雪が未だ木に付いており気温が上がればドサッと落ちてきそうだが後で見た山頂の温度計は氷点下2度、解ける心配はなさそうだ。愛宕三角点ピークの南側を巻くようにしてジープ道(本当は何と云うか知らないが神社の関係車両だけが通る道)に飛び出した。展望地があり東側が望めるが今日は霞んでいる。

月輪寺分岐から白髭神社を通り、参道石段の途中に短絡し愛宕神社に拝殿に到着した。山頂域は携帯電話が通じつじの家へ一人追加の連絡をすることが出来た。愛宕山(924m)の山頂は将に此の神社の位置で1,200年余り前からの神聖な場所で三角点を設置することができず北側の小ピーク(標高890m)に設置された。全国に約900社ある愛宕神社の総本社で火伏せの神として知られる。

来た道を戻りジープ道を行く。首無地蔵分岐を西の方に進むと第1回目の愛宕山で下った岩ヶ谷の下降点、竜ヶ岳への分岐を少し越えた処は猪谷の下降点、此処はその翌年の第2回目愛宕で下った。北の方を見ると愛宕スキー場跡の向うに雪の地蔵山を望むことができた。越畑へと下って行くジープ道と分れ登山道を神明峠へと下る。二輪車の乗り入れを阻止するロープが張られているが擦り抜けて進む。標高が600mを切ると急に雪が無くなりアイゼンを外した。神明峠は京都市亀岡市の境界で今日は峠を越えて明智越に入る。2.5万図では峠に直接下りている筈だったが府道に下り立ったところは峠から400mほど亀岡側に入ったところだった。しかも峠より標高が高く惑わされてしまった。しかしコンパスの示す方向に進み神明峠を見つけることができホッとした。

峠の南東側にあるゲートから林道に入ると明智越の登山道に続く。この辺りは外畑(とのはた)の西京都変電所に向かう送電線が集まり上空は若干鬱陶しい。送電鉄塔を過ぎるとそろそろ左に清和天皇稜へ下る道がある筈だ。指導票もない踏跡があったが、確信を持てず暫く進んだ。NTTの施設を見てP484のピークに近づくと此れはおかしい。やはりあの踏跡かと思ったが、先をもう少し偵察し確信を持って引き返した。

第56代清和天皇(850年~880年)は水尾の地をこよなく愛し上粟田山での火葬後、遺言により水尾山稜に埋葬された。また「清和」と云えば清和源氏で孫の経基王臣籍降下し源の姓を賜った。この源氏系統の嫡流源義家や頼朝に繋がる。御陵への道は最初の部分は送電鉄塔への下降路で鉄塔から向きを変えて谷筋に入り尾根の張り出しにトラバースし清和天皇稜に到る一寸気の抜けない道だ。至極静かな山陵で宮内庁により手入れは行き届いている。整備された参道を下り岩ヶ谷・猪谷の下流である水尾川を渡る。柚子の畑を抜けて府道に上がると“つじの家”は近い。

女将さんに14時までの到着を何度も念を押されていたが30分前に入ることが出来ひと安心。早速柚子風呂に入り楽しみの鶏の水炊きが始まった。水尾の冬は柚子風呂と鶏すきか水炊きを楽しむことのできる民家が何軒かある。静かな山里の風物詩として応えられない至福の時間を過ごすことが出来る。帰りは自治会のバスで保津峡駅まで送ってくれる。女将さんも府道まで送ってくれた山陵1,100年祭のときに三笠宮様がお越しになったときの秘話(内容は)を聴かせてもらった。《山紀行792》

【感想】 40期 西田 和美

毎年成人式の頃愛宕山に登ることにしていますが、八丁山から愛宕山に登ったのは初めてでした。山頂に向かう途中の登山道で、高い木の上にやかんが引っかけてあるのに気付きました。何かの目印なのでしょうかかなり古そうな代物で、どうしてこんなところにやかんがあるのか不思議でなりませんでした。ご存じの方がいらしたら教えて下さい。雪の愛宕で見かけた不思議な光景でした。

【感想】 52期 小泉 賀奈子

愛宕山へは表参道からしか登ったことがなく、階段が多くてしんどい印象が強かったので、毎年いろいろなルートで訪れられている浩史さんの山行に、かねてから参加したいなぁと思っていました。

 愛宕山の東に位置する八丁山。しんどいのは最初の登りだけで、あとはなだらかな山道が続き、とても気持ちがよかったです。首無地蔵のあたりまでくると、雪も深くなりました。買ったものの一度も履かずじまいだった軽アイゼンも活躍の場ができてよかったです。

水尾では念願の鶏の水炊きと柚子風呂。骨の髄からもスープが出ているお鍋は本当においしかったです。

夢のような1日でした。楽しいメンバーにも恵まれ、参加してよかったなぁと思いました。浩史さんをはじめ、参加された皆さん、ありがとうございました。

【感想】 55期 横川 陽子

私がお世話になっている病院の屋上からは京都の山々がぐるりと見渡せます。京都に来たばかりのころ、京都がこんなにも山に囲まれ、山が近くにあることに感動したのを覚えています。同僚のおばさんから「あれが愛宕山だよ」とか、患者さんから「愛宕山が見えたらその日は晴れる」と教えてもらったりして、登ってみたい なぁと考えていました。そんな中、山本さんから愛宕山への登山のお知らせをいただき、また水炊きの文字に心が躍り、自分が9月以降全く運動をしていないことを忘れ、参加を表明していました。

 歩き始めると見事に運動不足を思い知らされ、皆さんにご迷惑をかけることとなってしまいました。また、今回が初アイゼンだったのですが、つけ方の手順は買ったときにしただけで、前日につけ方のおさらいもせずに臨んだため、つけるのに時間がかかり、また皆さんにご迷惑をかける結果となってしまいました。申し訳ありませんでした。

 反省点は多々あるのですが、初めて雪の中を歩いてアイゼンの威力に感動したり、雪景色にも感動したり、下界ではありえないくらい薄着で歩いている自分 の状況を考え、寒い中での体温調節は難しいことを実感したりと、勉強になることも多い山行でした。そして、登り終えた後のゆず風呂と水炊きは最高でした。明るいうちから入るお風呂と、飲むビールは格別でした。

 リーダーの山本浩史さんをはじめ、今回ご一緒した皆さま、多々ご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。しんどい思いはしましたがとても楽しかったです。体力つけるのでまたご一緒してください。ありがとうございました。

【感想】 55期 井戸洋介

愛宕山は、夏に登ったことがあるのですが、冬に行くのは初めてで、雰囲気が全然異なり新鮮でした。首なし地蔵あたりからみた桂川がきらきらしていてきれいでした。かすみかかっているので、京都の盆地の東のほうの山がみえずずっと平野が続いているようでした。水尾では柚子の皮を甘く炊いたのがすごくおいしかったです。リーダーの山本さんをはじめ大変お世話になりました。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

20130120愛宕山1

写真1: 愛宕山923m(雲心寺林道より)

20130120愛宕山3

写真3: 愛宕山への尾根道