京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

レポート 第三級アマチュア無線技士 取得記

2016年11月27日

 

59期 江村一範

 

 私の好きな映画の一つに「銀河鉄道の夜」があります。

よく知られた宮沢賢治原作の作品をアニメ化したもので、

登場人物が猫に置き換えられた幻想的なアニメーションです。

この映画には原作には無いシーンが幾つかあって

その一つに盲目の無線技士が出てくる場面があります。

沈みゆく船からモールス信号の弱い電波が流れてきて解読すると賛美歌だったという場面なのですが、

「・ー」だけで会話が成立するモールス信号は子供心にかっこいいなと思ったのでした。

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(一場面。エスペラント語が使われている世界。)

 

モールス信号を扱うには第三級アマチュア無線免許が必要です。

私は今年の夏山合宿に向けて講習会で4級を取ったものの、

結局合宿には間に合わず、従事者免許証が届いた後は開局もできていませんでした。

最近、冒頭の銀河鉄道の夜を見直して、

やっぱりモールス信号を使ってみたいと思ったのでした。

 

山の上でもライトを付けたり消したりして、

夜の遠く離れた稜線でモールス信号で会話できるかもと妄想が広がり、

打たねば!と思い立ち3級を取得することにしました。

また2級はかなり難易度が高いのですが、3級は4級と変わらない易しい難易度らしいのです。

 

そもそもアマチュア無線免許を取得するには方法が2つあり、

普通に国家試験を受けるのと講習会と修了試験で取得できるものがあります。

 

4級の講習会は計2日間で初日に無線法規、2日目に無線工学と修了試験があります。

料金は国家試験だけなら5千円で済むのが、講習会では2万円くらいします。

授業では講師の先生が試験に出てくるポイントを言い、本当にそのまま出てきます。

試験問題は事前に配られている模擬問題集から出てくるのでそれを丸暗記すればいいのです。お金と時間に余裕があれば講習会ならほぼ受かります。

 

 

そして3級の講習会は1日で済むため料金が安く9500円(QCQ企画主催の場合)。

申請手続きの料金も含まれているので普通に国家試験を受けるのと二千円位しか差がありません。

京都の講習会は10月で終わっていたので堺市の産業振興センターという所まで赴きました。

 

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(会場。この日受けたのは17人でした。)

 

事前に送られてきた模擬問題集の暗記と欧文モールス信号と幾つかのQ符号だけ覚えて授業に挑みます。

授業はかなり早く進むため、理解しようとするのは難しいです。

出て来る言葉だけひたすら覚え続ける感じでした。ちゃんと理解するなら後で教科書をじっくり読み返す必要があるでしょう。

 

 

無線法規4時間、無線工学2時間、そして最後に修了試験と続くので休憩があるとは言え少々疲れました。

試験は4級の時と同じように模擬問題集から全問出てきました。

まだ結果は出てませんが受かっていると思います。早く「ー・ー・ ーー・ー」打ちたいです。

4級をお持ちの方は多いとお思いますが、

こんなに容易なら3級も取っておいて損は無いと思います。

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(教科書と模擬問題集。まだ送信できない無線機)

 

基地局の拡充で山でも携帯電話がつながりやすくなり、最近は山に無線機を持っていく人もかなり減ったと聞きます。

ですが奥地やバリエーションルートなどではまだまだ圏外になる所も多いです。

もしもの時に備えてハンディ無線機という保険があれば安心です。

2台あればベースキャンプとアタック隊で会話もできて大変便利です。遭難者捜索の時の連絡にも必ず使われます。

また災害が起きて電話網がダウンしても、自力で発信できる強みがあります。

 

寒くて雪山以外は山に行く気にならない長い冬。こたつで温もりながらアマチュア無線の勉強してみるのはいかがでしょうか。(了)

No.3618 比叡山 読図例会  *読図ポイント

2016年11月23日(水) 

【メンバー】

小泉賀奈子(CL),山本夏雄,穐月大介,船木佐織,竹山昌孝,山本雅也,織田直子,梅村重和,江村一範,水岩雄一,吉井利一    

計11名
【行 程】
11
23日(水・祝) 晴れ
9:00
京都バス 野村別れバス停集合。地図記号などについて説明後,9:21歩き始める。

10:54仰木峠(小休止)11:0512:00△水井山~12:20横高山(大休止)12:5813:10玉体杉~14:10釈迦堂~14:30阿弥陀堂14:55△大比叡~15:25ケーブル比叡駅15:31千種忠顕の碑~15:42雲母坂登山口


【記 録】     52期 小泉賀奈子
 野村別れのバス停に着くと,北風が激しく吹きすさんでいた。昨日までの暖かさはどこへやら。自己紹介を終えた後,寒さに耐えつつ,リーダーの読図講座がスタート。今回のルートは,山中に延暦寺の境内があるため,地形図に人工物がたくさん記載されている。あまり馴染みのない地図記号は見落としがちだが,国土地理院1/25000地形図にはきちんと説明が載っている。等高線の間隔も,磁北線の傾きも。これらを予習した上で出発した。

トップバッターは水岩さん。「A地点は谷が合流したところ。」と宣言して進まれた。分かりにくいだろうと思われた登山口を難なく見つけ,ゲートの開け方までご存知だった。もしや一度来られたことがあるのだろうかと思ったほどだったが,A地点はスルー。2番手の竹山さんと相談しながら「まだ先ですね。」とおっしゃっていたので,一度止まってもらった。向かって右手にある谷に沿って行ったので,左側に現れた谷を目視できなかったようだ。みんなで引き返し,間にある尾根を確認して,A地点を決定づけた。

梅村さんへの課題,E地点は意見が分かれた。谷が突き上がっていて,短い木の橋が架かっている所だと思っていたが,穐月さんの文明の利器(GPS)が登場したり,「もう一つ前の谷だ。」という意見が出たりして,大きな不安がリーダーを襲った。再訪する時に,もう一度考えようと思う。

その先はコル5連発。難なくクリアしていくも,I地点は偽コルを過ぎた後に出てくる,水井山直下のコル。一度は止まったものの,「あれ。」と思ってさらに進まれた水岩さん,竹山さんはさすがだった。水井山には三等三角点があり,みんなで石柱の一辺を計測。二等,三等は15㎝,一等は18㎝と決まっていて,後に訪れた大比叡の三角点は,一回り大きくて美しかった。

 

 

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現在地を確認中

 

横高山で大休止。その前に,ピークからの下山ルートをみんなで探した。地形図で確認すると何てことないのだが,思わず尾根を横切って南西に下りてしまいそうになるのが怖いところである。

山本夏雄氏さんによる読図講座のあと,後半戦スタート。織田さんは読図がかなり苦手だとおっしゃっていたが,K地点の説明を的確に言い当てられていた。さらに進んでいくと,それまでピンポイントで止まっておられた吉井さんが,L地点で悩まれた。穐月さんから,「ドライブウェイの曲がり方を見てください。」とのアドバイスを受け,納得された。右側には谷が現れる地点でもあった。続く梅村さんは,リーダーが余裕をかまして釣瓶の話をしていた時に突然「ここ。」と止まられた。先頭を歩くと,何故かこじつけて地図を読もうとするから面白い。答え合わせをして,実際のM地点まで行ってみると,興味深く地図と地形を照らし合わせておられた。その後に出てくるトンネルは,江村さんには簡単すぎた様子。N地点がトンネルの入口だということがすっと分かるのはすごいと思う。山本雅也さんも,コルといい,電波塔(これは簡単でしたね。)といい,迷いなく立ち止まられて,的確だった。

 比叡山の境内に入ってからは,人工物が多く,勘が狂いやすい。下見の時に通してもらえなかった関所には,誰もおられなかったので,阿弥陀堂に直に行くことができた。今回,最難所と思っていたO地点がすぐに解明されてしまうのでは・・・と内心焦りを隠せずにいたが,否,思ったとおりに皆さん迷われた。船木さんが,阿弥陀堂に上がる石段だと言われたが,実は,全ての石段が地形図に載っているわけではない。大比叡の方向と阿弥陀堂の位置から考えて,Oの石段は裏手にあることを確認した。細い登山道を見つけて進まれた船木さんを先頭に,辿りけた時は,「この石段か。」とみんな憎らしいやら安堵するやら,心地よい疲労感が漂った。

 

 

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大比叡の一等三角点を前にして

 

 紅葉の時期を過ぎた比叡山を後にし,ケーブル比叡駅を横切る。千種忠顕碑は,とても立派だった。お喋りに高じていたにも関わらず,S地点の送電線を見落とさなかった織田さん。「読図が苦手。」は思い込みだと思いますよ。夕暮れの空に見守られながら雲母坂登山口まで歩き,解散した。

      

【感想】     59期 吉井利一。

昨日はお疲れ様でした。また、資料等の準備、下見でも大変お世話になりありがとうございました。参加者のレベルが異なる中での講習会、わかりやすく良かったです。

地図読みの目的は登る山を頭の中で立体的に描き、その中を移動している感覚をつかむことと思います。実際にコンパスを持ってポイントを探すのは初めての経験です。

これを機会に慣れていきたいと思います。

 

【感想】     59期 江村一範

入会後,はじめての読図山行でした。地形を読み取るポイントをリーダーに設定して頂いたのですが,これが本当に難しかったです。ルート上にあるのに谷や尾根の細かな形状を見逃すとそのまま素通りしてしまう。そして偽尾根や偽コルなどと見誤ってしまう沢山の罠がありました。

ロゲイニングには何回か出た事はあったのですが,また違う難しさがありました。普通に歩いていたらなんてことない登山道なのに,いやはや読図は面白いと思いました。

 

【感想】     55期 船木佐織

恥ずかしい話ですが,読図は苦手です。さらに恥ずかしいことに,どのように現在地を見極めるのかさえ分かりませんでした。
今回の例会では,地図記号の見方から教わり,地形図と実際の地形の見方を教わりました。やっとスタートに立てた気持ちです。
例会を企画してくださった小泉さん,楽しくご一緒させていただいた皆様,ありがとうございました。

 

【感想】     57期 山本雅也

もっと読図力を身に着けたいと思い参加させていただきました。地図記号から,シルバコンパスの使い方,地形の読み方等いろいろ勉強になりました。ご指導くださいました小泉リーダー,みなさまありがとうございました。

 

【感想】     59期 梅村重和

読図はイマイチ自信がなくて,今迄,出たとこ勝負でやっつけていたが,機会があればきちんと練習してみたい課題だった。

今回のトレーニングは,まず,集合地点で小泉隊長お手製のスケッチブック(これは上手い!)を使っての地図の基本のレクチャー。ずいぶん過去に学校で習ったような・・・。地図を見るにあたっての基本中の基本。意外とわかっていない!

フィールドに出て,まず講習生が交代でルート上にプロットされたポイントの特徴を説明し,そこを探し当てるのであるが,意外と難しい。今までいかに適当に歩いていたかが反省させられる。パーティが正しい地点に到着したら,小泉隊長が地形と地図を解説するのであるが,なるほど,とってもわかりやすい説明で,充分納得!

ルート上の19個のポイントは地形上の特徴が色々取り入れられ,よく考えられて設定されている。このポイントの設定もうまい!講習会としての全体の組み立てもよく練られたものであった。カラダを使うだけではなく,頭も使ってパズルを解くような面白さもあり,充実した一日だった。小泉隊長,どうもありがとうございました。

 

【感想】    57期 織田 直子

1年以上ぶりの例会,しかも苦手な読図。

朝から緊張でお腹が痛かったのですが,参加できて本当に良かったなと思いました。小泉さんお手製の記号のイラスト集が後の地図読みにすごく活かされました。

先頭を交代で進むのですが,「なぜここだと思ったのですか?」という小泉先生の質問にドキドキ。先頭の方の答えや小泉先生の正解を聞いて,考え方のポイントも勉強になりました。私自身,尾根を見落としやすいと感じました。

また,山本夏雄さんが1/25000の地図の時,02個とって・・・とアドバイス頂き,なるほど,そういう覚え方をすればいいのかとすごくためになりました。

また,今回驚いたことが二つあります。

一つ目は,一等三角点の一辺は18cm,二・三等三角点の1辺は15cmで大きさが違うということ。今まで気にもしていなかったのですが,これから気にしてみようと思いました。二つ目は,小泉さんが高校の競技登山でインターハイに出るぐらい凄い人であったということ。実は,競技登山という名称も初めて聞いたのですが,聞いてみるととてもハードだけどおもしろそうな内容でした。

小泉さんが,下見でポイントとなる所をチェックして,すごくポイントを押さえた地図を準備して下さったお陰で,楽しんで地図読みの勉強ができたと思います。大変な労力だったと思います。本当にありがとうございました。またありましたら是非参加したいです。ご一緒して下さった皆さま,本当にありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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  山本夏雄さんによる読図講座

  

 【感想】      55期,竹山 昌孝

比叡山で読図。比叡山って特徴的な地形はないし読図に向いてないのでは。実のところ,そう思いつつ参加しました。しかし直ぐに現在地がわからなくなり,今までの適当な自己流との明らかな違いを思い知らされました。また,鮮明なコルでさえ偽コル(?)が現れて,一人であればチェックポイントを間違えているところでした。
 今回参加できて良かったのは,一部の地形だけ見て何となくではなく,全体的に見極めて確信するまで眺めることを繰り返さないと地図読みの力がつかないと実感したことです。
 リーダーの周到なポイント設定とお手製の地形図クイズは感動ものでした。小泉リーダーさま,ご参加の皆さま,貴重な機会をありがとうございました。みんな山がすきやなあ。率直な感想です()

【感想】      59期 水岩 雄一

今回初めて読図例会へ参加させていただきました。実はこれまで比叡山には登ったことがなかったので,そういった意味でもとても楽しみにしていました。

読図例会ということで先頭を歩く順番についてジャンケンで決めることになったのですが,思いがけず一番勝ってしまい,最初に先頭を歩くことになってしまいました。本当に勝ちたい時には勝てないのに,こういう時に限って勝ってしまう自分を呪いつつ,先頭を歩いていきました。これまでの経験で登山口が判らずに山に登る前から迷ってしまうという笑えないケースが多かったこともあり,かなり緊張しながら登山口を探して進んでいったのですが,何とか登山道らしきものが見えた時には本当にほっとしました。

普段の登山では専らGPSに頼り切っているため,地図とコンパスをまともに使って登山したのは初めての経験でした。小泉さんに設定していただいた読図のポイントは,とても凝っていて本当に勉強になりました。等高線から現在地を把握することの難しさを改めて思い知らされた次第ですが,読図のポイントを探すことは純粋に楽しかったです。実は小学生の頃,父親に連れられて新聞社主催のオリエンテーリングに何度も参加した経験があるのですが,読図しながら当時の楽しかった記憶を思い出していました。

今回の読図例会に参加させていただいて色々と学ばせていただいた点が多かったので,今後の登山でも当面はGPSに頼らない脱GPS登山(GPSはお守り)で頑張りたいと思います。

今回の読図例会を企画&準備してくださった小泉さんをはじめ,例会にご参加いただいたみなさまがたに御礼申し上げます。楽しい時間を本当にありがとうございました。今後とも,どうぞよろしくお願いいたします。

 

【感想】     25 穐月 大介

リーダーの小泉さんは何時も積極的に読図例会を企画してくださっており,一度参加したいと思っていました。

初めのレクチャーから手書き漫画を使って面白く工夫されていました。読図の課題は先頭を変わりながらポイント地点を言い当てるのですが,初めにポイントの特徴を発表し,着いたらその根拠を発表します。問題も,解説もどれも授業として大変よくできていました。流石は先生です。

この日は今年一番の急激な冷え込みで朝から北風がピューピュー吹いていましたが,新人の方の参加も多く賑やかで為になる例会でした。皆さん有難うございました。

 

【リーダー所感】  52期 小泉賀奈子

 かれこれ3度目の読図例会となりました。今年は4月に企画できなかったので,こうして11月に開催できたことに,ほっとしています。1年前の読図例会で登った金毘羅山の稜線から,水井山がとてもきれいに見えていたので,次はあちらをルートにしようと考えていました。ところが,下見に行くと,読図のポイントを設定するには面白くない山道で,どうしたものかと思案しました。もっと,北山らしい入り組んだ地形であるとか,よくよく用心していないと見失ってしまうような箇所があってほしかったなあと思いました。物足りないポイント設定になったのは残念でしたが,分かり易く納得しやすい地形ばかりを押さえたので,それはそれで良かったと思います。

 たくさんの方に参加していただき,いろいろな話ができたのも楽しかったです。水岩さんお勧めの「山の検定」を,来年はみんなで受けられたらいいなと思います。読図だけでなく,山への興味を持ち,山の知識を謙虚に学ぶことを続けていきたいと感じた1日でした。ご参加いただいた皆様,楽しい山行をありがとうございました。

〈個人山行〉京都百名山シリーズNo.10 赤岩山

平成28年11月20日(日)

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写真1: 赤岩山頂域の芝広場には赤岩権現の大岩がある

 

赤岩山(694m)舞鶴市宮津市の境にあり信仰の山として山頂に赤岩権現の大岩がありご神体とされ、一つ一つ名前の付けられた大岩が点在している。山頂付近からは天橋立丹後半島が望め、由良ヶ岳も望むことができる。杉山へかけての稜線は樹齢300年の杉が点在する太鼓の森が広がっている。

 

【メンバー】 山本浩史L(車)、平川暁朗、船木徹 3

【行  程】 洛西口8:23=沓掛IC=(京都縦貫道)=舞鶴大江IC9:39西芳寺平集会所9:5310:16愛宕神社10:2011:14赤岩山11:4412:14宇野ヶ岳12:2512:41杉山~12:58杉山西峰~13:17杉山~13:34宇野ヶ岳~13:49林道下山路~13:54西芳寺林道終点~14:51西芳寺平集会所15:0215:31たかお温泉16:35=(京都縦貫道)=舞鶴西IC18:22桂川

【登山データ】 雨のち曇り 歩行12.1 4時間58 延登高750m 延下降750m 4座登頂

 

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1回から参加していた土井さんがドタキャンになった。船木さんが遅れ出発が20分余り遅くなった。舞鶴市に入った頃から雨が降り出した。先週と同じ舞鶴大江ICで京都縦貫道を降り舞鶴市西芳寺集落に向かった。集落の奥にある集会所に車を止めると先客が2台、集落の人の車ではないようなので登山者がいるようだ。雨具を着て害獣除けのフェンスを開閉して登山道に入った。

暫く進むと左手の山が迫り鞍部に到った。2.5万図にはこの稜線の先端に神社マークが標され、愛宕神社がある。立ち寄ってみようと稜線を南西に進むと道形は全くなく棘のある蔓草が行く手を阻み歩き辛いが上手く踏んづけて進んだ。下りに転じたのでもう何もないのかと思ったとき先頭を行く平川さんが朽ちた祠を見つけた。打ち捨てられてかなりの年月が経っているようで此処に到る道すら今や全く失われているようだ。

引き返して登山道に戻ると直ぐに林道が交差した。此処が案内板にある登山口Ⅰ”で林道を右に行けば林道植物観察コースで回り込んで再び登山道と交差する。その箇所は登山口Ⅱ”とされているが2.5万図には林道上部は描かれていない。急登となりP482の西側を回り込むように進んで西芳寺林道への分岐に達すると赤岩権現の鳥居があった。暫く進むと日本庭園のエリアへとに入り、手水鉢立てり岩と名付けられた大岩が散在し登山道も険しくなってきた。

登山道は山頂東側に回り込んで芝広場に乗り上った。舞鶴市宮津市の境界で北の方が開け栗田半島や天橋立がガスっぽくはあるが辛うじて望むことができた。この場所には祠などはないが赤岩権現のご神体とされる大岩があった。嘗ては修験道の行場とされ山頂にかけて木魚岩挟み岩等の一つ一つ名前の付けられた大岩奇岩が連続し赤岩山(669m)山頂に到った。山頂の覗き岩からの眺めは素晴らしだろうが今日は雲を纏った由良ヶ岳(648m)が辛うじて見える程度だった。心配された雨も西芳寺集落を歩き始めた時だけで何時の間にか止んでいた。ゆっくりと昼食休憩を取り、更に西への稜線を進んだ。

80m程下降し登り返しが始まった処に西芳寺林道への下山路の分岐があった。此れから宇野ヶ岳、杉山、杉山西峰まで足を伸ばし戻ってきて此処を下る予定だ。宇野ヶ岳に近づくと原生林に杉の大木があり、広葉樹に混じって気持ちよい稜線歩きが楽しめた。宇野ヶ岳(694m)に達すると地元宮津市9人グループが休憩中で大江山まで2回に分けて縦走すると云う。集会所にあった2台の車の主であった。山頂からは天橋立が素晴らしく、日本三景の中で最も美しいと確信した。そして山頂標識には舞鶴市の最高峰であると記されていた。

先行した9人組を追い抜き、杉山を目指した。この先も樹齢300年を超えると云う大杉が素晴らしく山名は将にこの大杉群から来たものだろう。なだらかな稜線を進み杉山(697m)山頂に達すると、手書きの山頂標識があり、今日の最高峰であるが展望は得られなかった。更に進んで杉山西峰(650m)まで来た。山としてあまり認識されていないかもしれないが650m標高点でこんもりしたピークで「火の用心」の赤い標識のある所が山頂だが、山名を示すものはなかった。山頂の東側は樹林が薄く杉山本峰の姿を望むことができた。

引き返すと宮津9人グループと再び遭遇し展望のなかった杉山は通過し、少し下ると北側の開けた所があったが見るほどのものはないだろう。展望が少しでも良くなっていることを願って宇野ヶ岳に戻って来たが状況は同じで暫し休憩した。先ほどの西芳寺林道への下降点まで戻り、稜線と別れた。林道終点までは400m5分程で達した。後は3.8㎞の林道歩きで西芳寺集会所へと戻る。途中林道越しに雲に纏わり付かれた赤岩山が望めた。墓地を左に見て回り込むと林道にフェンスがあり、獣除けで開けて通るのだろうと思ったが、錆び付いて開かない。下部は土が被り、長年通行されていない状態で頑丈なのを幸い、乗り越えて西芳寺集落へと戻ってきた。

今日の立寄り湯は先週と同じたかお温泉光の湯”(\720)で、舞鶴市街地を避けて真壁峠を時間短縮した。再び雨が降り出し京都縦貫に乗って帰京の途に就いた。京都に戻ると雨の降った気配は無かった。

 

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写真2: 赤岩山(669m)山頂にて

 

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写真3: 西芳寺林道から雲に隠れた赤岩山(669m)を望む

〈個人山行〉  六甲全山縦走

2016年11月17日(金)

[メンバー]

江村一範(単独)

 

【行 程】

7:45須磨浦公園~8:14旗振山~9:10須磨アルプス~10:30横尾~11:30菊水山~12:10鍋蓋山~12:30市ヶ原~13:55掬星台~14:50藤原商店~15:00記念碑台~15:30ガーデンテラス~16:00六甲最高峰~16:45有馬温泉

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[記録]59期 江村一範

 

11月の半ば、親から有馬温泉のホテルでのバイキングに誘われた。

でも私は来春のフルマラソンに向けて目下減量中の身、ただ食べるだけでは罪悪感がある。

せっかく有馬温泉に行くのだからと減量がてら六甲を登ろうと思い立ち、

夕刻のバイキングまでに極限までに腹と罪悪感を減らす事にした。

 

朝、始発で家を出てスタートの須磨浦公園に着いたのが午前7時半。

パッキングをやり直したりして、7時45分に出発。バイキングが始まるのは18時頃と考えてあと10時間で有馬温泉に到着しなくてはならない。

登りは歩いて下りや平地はジョグで流せばなんとかなるだろう。

最悪、ガーデンテラスから有馬ロープウェイで下山すれば間に合うだろうという算段である。

 

最初は公園内なので朝の運動に歩いている地元の人がちらほらいる。

旗振山頂からは秋晴れの空の下に明石海峡大橋が見えた。港の舟に旗を振るのにちょうどいいなと思う。

 

8時半、鉄拐山をすぎるといきなり高倉台という住宅街に入る。六甲全山縦走路は何度も山と街を往来するのが特徴である。

最初はこの山と街のギャップに面食らう。日常のど真ん中を登山ルックで歩く居心地の悪さとでも言おうか。でも神戸の人たちはそんな光景にも慣れているようである。高倉台にあるスーパーのピーコックは朝7時からやっているので補給食を買うのに助かる。ここで念のためにおにぎり2つとロイヤルゼリーのジェルを追加購入する。

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 (鉄拐山から街へ。ジブリの「耳をすませば」にこんな景色あった。)

 

栂尾山・横尾山を過ぎて切り立った岩場の須磨アルプスに入る。私は岩場が苦手な為、滑らないようにそーっとへっぴり腰で通過する。岩肌むき出しの景色は大変良かった。「アルプス」と言われるだけの事はある。

 

東山を降りてまた横尾という住宅街に入る。

基本的に六甲全山縦走路は頻繁に道標が立っているので迷わないのだが、

住宅街は複雑で迷いやすい。でも4年前に比べれば道標は増えている印象。

そして「お静かに!」という登山者への注意を喚起する看板も目立った。

横尾はレトロな外観の店や町並みが続いて目を楽しませてくれる。

hikari工房というカフェでは経口補水液カロリーメイトなどの行動食を売っていた。カレーやランチなども売ってるみたいで立ち寄って見たかったが、私には有馬温泉のバイキングが待っているので今回は泣く泣く見送る。

 

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 (妙法寺前の住宅街、レトロな商店が続く。素敵なY字路だ。)

 

高取山を越え、また住宅街に入り菊水山の登りに差し掛かる。

個人的にこの菊水山の登りが縦走路で一番斜度がキツく心折れポイントだと思っていたのだが、

今回はすんなり登れて4年前からの成長を伺えた。

登りを人生に例えた地元山岳会の道標が菊水山の名物だったのだが今回は見当たらず寂しく思った。

 

鍋蓋山を越えて市ヶ原天狗峡という谷に入る。時刻は丁度昼時、河川敷には遠足と思しき小学生達や大学生や家族などのかなりの数の人達が昼飯を食べていた。

六甲全山縦走路には基本テン場は無いのだが市ヶ原は非公式だが大丈夫なようだ。全部歩き通しでいくなら市ヶ原テント泊すれば、行程の丁度真ん中でいい塩梅の場所だと思う。

 

天狗道というアップダウンの緩やかなトレイルを歩いて摩耶山を登りきると車道になり、

掬星台という展望良い公園に入る。

神戸100万ドルの夜景が見れる場所であり、2年前に東京から来た友人と賑わうカップルたちを尻目に宴会ビバークをした思い出の地だ。

 

ここから暫く車道と人工的な登山道の地味な昇り降りが続く。このあたりは車道が続く割にはコンビニなどは無く、唯一、藤原商店という自販機に取り囲まれた個人商店でのみ補給が可能である。

 

別荘街やゴルフ場を通り抜けて、15時25分六甲ガーデンテラスへ到着。

実は私は4年前に全山縦走中にハンガーノックでフラフラになってここからロープウェイ下山した。

(下山後すぐに駅蕎麦を食べたら味覚が完全に無くなっていた。シャリバテは恐ろしい。)

今のところ過去のトラウマから執拗に行動食を食べていたお陰で身体の調子は良い。親に有馬温泉への到着予定時刻を伝えてから残る六甲最高峰を目指す。

そして、またガーデンテラスからが非常に長かった。

「六甲最高峰↑」という道標がやたら頻繁に出てきて、「この登りを終えたら最高峰!」・・・という期待を5回位裏切られるのだ。

 

16時、遂に六甲最高峰に到達。辺りはガスまみれになり展望はゼロ、苦虫を味わう。

でもここから有馬温泉まで下りオンリーである。バイキング目掛けてかっ飛ばして行く。ひゃほー。

16時45分。有馬温泉下山口到着。出発から丁度9時間くらいだった。

バイキングを食べる予定のホテルは下山口からすぐの所だったので助かった。

両親と実家で飼っている愛犬と再会を果たした後(ペット可の客室)、さっそく風呂に入らせて貰った。

露天風呂からは丹波篠山の山並みが見えて、山座同定したい!あの山に登ってみたいと独りごちた。

 

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 (実家の愛犬フー♀。久々に戯れた。)

 

六甲全山縦走路は山と街が混じり合ったルートであり、補給もエスケープも容易だ。下りを走れる人なら日帰りで、歩きだけでも市ヶ原幕営の一泊二日で可能だろう。山と街のコントラストが楽しめて、そしてゴールは温泉が待っている。素敵な縦走路だった。(了)

 

〈個人山行〉京都百名山シリーズNo.9 由良ヶ岳

平成28年11月13日(日)

由良ヶ岳(648m)日本海に面した秀峰で丹後富士とも呼ばれている。丹後由良からのメイン登山道の他に上漆原からの登山道が2路あり、今回はその2路を周回した。

 

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写真1: 由良ヶ岳(西峰640m東峰648m) 西峰コース林道より

 

【メンバー】 山本浩史L(車)、土井司、崎山康治(車)、江村一範   4

【行  程】 洛西口駅8:00=沓掛IC=(京都縦貫道)=舞鶴大江IC9:21上漆原9:339:38白髭神社10:18林道登山口~10:47由良ヶ岳西峰10:5711:14由良ヶ岳12:1012:24東由良三角点~13:09真奥滝~13:27白髭神社13:33上漆原13:4014:00 R178ドライブイン・ダルマ14:2314:53たかお温泉光の湯15:50舞鶴西IC =(京都縦貫道)=沓掛IC17:10洛西口駅

【登山データ】 晴れ 歩行9.2 4時間00 延登高749m 延下降749m 2座登頂

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今日は、北海道以外は全国的に晴れ、丹後で5回目にして初めて終日晴れの登山が出来た。前回と同じく由良川PAで崎山さんと合流し舞鶴市上漆原公民館の駐車場に車を止めた。登山者用駐車場とは書いていなかったが此処に設置された登山案内板にはこの位置に「P」と記されていたので遠慮勝ちに止めさせてもらったた。林道の先を見ると由良ヶ岳の姿が望め快晴の下登山意欲が高まった。

今日のコースは登りに西峰コース、下りに東峰コースを取る。上漆原和江林道を歩き白髭神社まで来ると東峰コースが右に分岐した。西峰への谷筋を進みヘアピンで折り返すと山麓道となり樹林の途切れから由良ヶ岳の西峰と東峰を望むことができた。よく整備された広い林道だが車は全く通らず林業のためだけなら良すぎて過剰整備のような気がする。駐車場程のコンクリート舗装の広場に達すると、その先はダートとなった。標高約415mで折り返すように「←遊歩道」と書かれた標識に従って車止めの柵を越えて林道の支線に入った。車が入ることはないが車の幅があり嘗ては車が入っていたようだ。ヘアピンカーブで折り返す地点に休憩所がありヤマモミジやイロハモミジが植えられていて折しも紅葉の時期で美しく色付いていた。暫く行くと“チャレンジロード”と呼ばれる登山道が分岐し尾根通しで西峰山頂に到った。本道をそのまま行くと西峰の東側稜線に達しているので西峰下山時にまた出会うことになる。

山頂には登山者に出会った、京都百名山シリーズ9座目にして初めて山頂で人に会った。それだけメジャーな山であるようだ。暫くすると高齢者団体も上がってきて賑やかになった。山頂からは栗田半島とその後ろに丹後半島、間には天橋立も望むことができた。山頂には2等三角点「由良ヶ岳」があり標高は639.95m、山頂標識に「由良ヶ嶽 最高峰640M 関西百名山」と書かれていたが、最高峰と云うのは誤りで最高峰は東峰648mに譲る。従って主峰は東峰で関西百名山の標識も東峰に立てるべきである。

集合写真は主峰の東峰で撮ることにして先に進んだ。先程分かれた林道の終点に到ると東屋が設置され稜線には場違いな整備のされ方だった。やがて最もメジャーな登山道である由良コースが左に分岐し丹後由良へと下って行った。稜線を進むと東峰への最後の登りとなった。東峰に達すると其処は由良ヶ岳の主峰(648m)で標高の表示はないが虚空蔵菩薩の祠が一段高い所にあった。2.5万図に標高の記載はないが古い地図には648mの表示があり、この数字を標高とした。山頂展望は素晴らしく略360°展望できた。眼下には京都丹後鉄道宮舞線由良川橋梁、由良川の対岸には槙山(483m)があり後方には多禰山(556m)、そして円錐形の青葉山(693m)が美しい。丹後半島の先端部の山は山座同定でも確信が持てなかったが帰ってカシミールで調べてみるとシリーズ第1回目でいった権現山だった。前回縦走した磯砂山から高竜寺ヶ岳の稜線が確認でき、次回の赤岩山も岡田川を隔てて向かい側だった。

今回の山行はコースタイムは僅か3時間45分で余裕があり、しかも小春日和とあって山頂でゆっくり過ごし眼下の由良川鉄橋を渡る宮舞線の列車が見たいと待っていると12時に下りの1両編成の列車が走ってきた。山頂に居た10数人の人達は俄か撮り鉄となり大変な騒ぎだった。

列車も見ることができ満足し東へと進んだ。東峰コースは余り歩かれていないようで先程の道とは大違いだった。折り返すように下って行くが今日は東由良ヶ岳三角点に足を伸ばす。道形は微かな踏み跡と云うかと獣道を辿り稜線南東端のピークに達した。昭和476月に設置された4等三角点(585.00m)で訪れる人もいないので綺麗な状態を保っていた。

引き返して下山路に入るが針葉樹林帯の暗い道で指導標はなかった。やがて椿の群生する「椿尾根」に達し次に出てくる案内板にあった「ドンドン岩」は分からずに通過した。此の辺りから指導標がしっかりし「7/8椿尾根」と書かれていた。そして下るにしたがって「6/8」となり「5/8」へとカウントダウンしていった。やがて岡田川の支流富士川沿いの道となると真奥大滝で3段に分かれて、上段は極々普通の滝で、中断は少し立派、下段が最大の規模で落差は28mある。この部分の登山道は唯一の危険個所で滝の横を急坂で下った。滝を過ぎると直ぐに林道終点で登山口の標識があった。

後は林道歩きで駐車地点に戻るだけ。富士川沿いに歩くと一対の大岩、恰も山門に立つ仁王のように立ちはだかっていた。その名も「仁王岩」と案内板にあった。最後に苔むした丸太橋の向こうにこれも苔むした大岩があった。これは座禅岩と呼ばれている。以前はこんな苔はなかったので座禅をした人もいたことだろう。白髭神社に戻って来るともう一息で公民館に戻ってきた。

江村さんの提案で国道178号線由良川沿いにあるドライブインダルマに立ち寄った。此処は昭和レトロが漂う自販機コーナーがあり関西では此処にしか残っていないと云うラーメン、うどんの自動販売機が人気で次々と人が訪れていた。ハンバーガーの自販機、瓶入りコーラーの自動販売機等も年代物だった。舞鶴西IC近くのたかお温泉光の湯で汗を流して帰京の途に就いた。

 

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写真2: 由良ヶ岳(648m)山頂にて

 

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写真3: 槙山(483m)の後方に多禰山(556m)青葉山(693m)を望む 由良ヶ岳山頂より