京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉  六甲全山縦走

2016年11月17日(金)

[メンバー]

江村一範(単独)

 

【行 程】

7:45須磨浦公園~8:14旗振山~9:10須磨アルプス~10:30横尾~11:30菊水山~12:10鍋蓋山~12:30市ヶ原~13:55掬星台~14:50藤原商店~15:00記念碑台~15:30ガーデンテラス~16:00六甲最高峰~16:45有馬温泉

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[記録]59期 江村一範

 

11月の半ば、親から有馬温泉のホテルでのバイキングに誘われた。

でも私は来春のフルマラソンに向けて目下減量中の身、ただ食べるだけでは罪悪感がある。

せっかく有馬温泉に行くのだからと減量がてら六甲を登ろうと思い立ち、

夕刻のバイキングまでに極限までに腹と罪悪感を減らす事にした。

 

朝、始発で家を出てスタートの須磨浦公園に着いたのが午前7時半。

パッキングをやり直したりして、7時45分に出発。バイキングが始まるのは18時頃と考えてあと10時間で有馬温泉に到着しなくてはならない。

登りは歩いて下りや平地はジョグで流せばなんとかなるだろう。

最悪、ガーデンテラスから有馬ロープウェイで下山すれば間に合うだろうという算段である。

 

最初は公園内なので朝の運動に歩いている地元の人がちらほらいる。

旗振山頂からは秋晴れの空の下に明石海峡大橋が見えた。港の舟に旗を振るのにちょうどいいなと思う。

 

8時半、鉄拐山をすぎるといきなり高倉台という住宅街に入る。六甲全山縦走路は何度も山と街を往来するのが特徴である。

最初はこの山と街のギャップに面食らう。日常のど真ん中を登山ルックで歩く居心地の悪さとでも言おうか。でも神戸の人たちはそんな光景にも慣れているようである。高倉台にあるスーパーのピーコックは朝7時からやっているので補給食を買うのに助かる。ここで念のためにおにぎり2つとロイヤルゼリーのジェルを追加購入する。

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 (鉄拐山から街へ。ジブリの「耳をすませば」にこんな景色あった。)

 

栂尾山・横尾山を過ぎて切り立った岩場の須磨アルプスに入る。私は岩場が苦手な為、滑らないようにそーっとへっぴり腰で通過する。岩肌むき出しの景色は大変良かった。「アルプス」と言われるだけの事はある。

 

東山を降りてまた横尾という住宅街に入る。

基本的に六甲全山縦走路は頻繁に道標が立っているので迷わないのだが、

住宅街は複雑で迷いやすい。でも4年前に比べれば道標は増えている印象。

そして「お静かに!」という登山者への注意を喚起する看板も目立った。

横尾はレトロな外観の店や町並みが続いて目を楽しませてくれる。

hikari工房というカフェでは経口補水液カロリーメイトなどの行動食を売っていた。カレーやランチなども売ってるみたいで立ち寄って見たかったが、私には有馬温泉のバイキングが待っているので今回は泣く泣く見送る。

 

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 (妙法寺前の住宅街、レトロな商店が続く。素敵なY字路だ。)

 

高取山を越え、また住宅街に入り菊水山の登りに差し掛かる。

個人的にこの菊水山の登りが縦走路で一番斜度がキツく心折れポイントだと思っていたのだが、

今回はすんなり登れて4年前からの成長を伺えた。

登りを人生に例えた地元山岳会の道標が菊水山の名物だったのだが今回は見当たらず寂しく思った。

 

鍋蓋山を越えて市ヶ原天狗峡という谷に入る。時刻は丁度昼時、河川敷には遠足と思しき小学生達や大学生や家族などのかなりの数の人達が昼飯を食べていた。

六甲全山縦走路には基本テン場は無いのだが市ヶ原は非公式だが大丈夫なようだ。全部歩き通しでいくなら市ヶ原テント泊すれば、行程の丁度真ん中でいい塩梅の場所だと思う。

 

天狗道というアップダウンの緩やかなトレイルを歩いて摩耶山を登りきると車道になり、

掬星台という展望良い公園に入る。

神戸100万ドルの夜景が見れる場所であり、2年前に東京から来た友人と賑わうカップルたちを尻目に宴会ビバークをした思い出の地だ。

 

ここから暫く車道と人工的な登山道の地味な昇り降りが続く。このあたりは車道が続く割にはコンビニなどは無く、唯一、藤原商店という自販機に取り囲まれた個人商店でのみ補給が可能である。

 

別荘街やゴルフ場を通り抜けて、15時25分六甲ガーデンテラスへ到着。

実は私は4年前に全山縦走中にハンガーノックでフラフラになってここからロープウェイ下山した。

(下山後すぐに駅蕎麦を食べたら味覚が完全に無くなっていた。シャリバテは恐ろしい。)

今のところ過去のトラウマから執拗に行動食を食べていたお陰で身体の調子は良い。親に有馬温泉への到着予定時刻を伝えてから残る六甲最高峰を目指す。

そして、またガーデンテラスからが非常に長かった。

「六甲最高峰↑」という道標がやたら頻繁に出てきて、「この登りを終えたら最高峰!」・・・という期待を5回位裏切られるのだ。

 

16時、遂に六甲最高峰に到達。辺りはガスまみれになり展望はゼロ、苦虫を味わう。

でもここから有馬温泉まで下りオンリーである。バイキング目掛けてかっ飛ばして行く。ひゃほー。

16時45分。有馬温泉下山口到着。出発から丁度9時間くらいだった。

バイキングを食べる予定のホテルは下山口からすぐの所だったので助かった。

両親と実家で飼っている愛犬と再会を果たした後(ペット可の客室)、さっそく風呂に入らせて貰った。

露天風呂からは丹波篠山の山並みが見えて、山座同定したい!あの山に登ってみたいと独りごちた。

 

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 (実家の愛犬フー♀。久々に戯れた。)

 

六甲全山縦走路は山と街が混じり合ったルートであり、補給もエスケープも容易だ。下りを走れる人なら日帰りで、歩きだけでも市ヶ原幕営の一泊二日で可能だろう。山と街のコントラストが楽しめて、そしてゴールは温泉が待っている。素敵な縦走路だった。(了)