No.3677A 前穂高岳屏風岩東壁 雲稜ルート
2017年8月9日(水)夜 ~11(金)※12~13日は予備日
【メンバー】L A.T 会員2名
【行程】
08月09日(水)夜
京都→平湯(仮眠)
08月10日(木)曇りのち小雨
平湯→あかんだな駐車場→上高地→10:20横尾山荘(テント設営・登攀準備など)→11:30横尾谷渡渉→12:151ルンゼ押出し→14:00T4テラス→15:30扇岩テラス(幕)
08月11日(金)曇りときどき晴れ
05:00扇岩テラス→08:40雲稜ルート終了点→09:40屏風の頭→12:30パノラマコースを経て涸沢小屋→14:40横尾(幕)
【記録と感想】51期 A.T
屏風岩というと、15年?くらい前はじめて訪れた北アルプスで、横尾谷から見上げたときがはじめて見た時だった。
その時にたまたま奥穂高山荘のテント場で知り合ったシミズさんという方と一緒に下山しているところで、シミズさんが屏風岩の方を指さし「昔あそこを登ったことがあるのだ」と言う。
当時、自分は岩登りもしていない時で、本当にあんなところを人間が登れるのかと、信じがたい気持ちで屏風岩を見上げたのだった。
また、その大岩壁に屏風岩という名前が付いていることも、その時に初めて教えてもらったのであった。
そういう第一印象がだったから、自分のなかで屏風岩というのは必要以上に大きな存在としてずっと心にあって
その気になればもっと早くに登ることも出来ただろうが、何故か「あれを登るのは、まだ先の話だ」という思い込みがあり、ずっと登らずいたのであった。
ところが今回、合宿が横尾になるというので、屏風岩を目の前に知らぬふりをする訳にもいかなくなった。
登るとなったらルートは前から決まっていて、定番の人気ルート「東稜雲稜ルート」を登ることにする。
つぎに相棒となるが、辻さんや比留間さんはご都合悪いとのことで断られたが、粟田さんに話をもちかけたところ、「ぜひ行こう!」と快く引き受けて下さった。
粟田さんというと、勇敢で力持ち。技術も高く、一緒に屏風岩を登るにはこれ以上頼もしいパートナーはいない。
雲稜ルートだが、大部分のパーティーは一日目に横尾泊、二日目に雲稜ルートを登り、終了点まで行ったらそのまま懸垂下降で降りてくるのが一般的である。
それなら横尾から日帰り装備で登れるので、荷物も軽く出来て効率が良い。
上まで抜けて屏風の頭まで行くとなると、もし何かトラブルで時間がかかった時に、途中で日没になる可能性が高い。
そのため、その場合は何らかの計画的ビバーク装備を背負って登る必要があるので、登攀はあまり楽しめなくなってしまう。
自分としては、登るからには絶対に上まで抜けて屏風の頭まで行きたい。
というのは、終了点まで登って懸垂下降で降りるのでは、なんだかフリークライミングゲレンデの様で釈然としないからである。
とはいえ、楽しく登るためにも、荷物は出来るだけ軽くしたい。
両立するか考えた結果、先に屏風の頭に登って荷物をデポすれば良い、という単純な結論になった。
この単純なプランがどうして多くの人に採用されていないのかというと、そんな面倒なことをわざわざする人があまりいないからである。
ともかく自分は、涸沢まではこれまで何度も足を運んだが、屏風のコルを経由するルートは一度も歩いたことが無かったのでそのあたりの興味もあり、山行の10日ほど前に1泊2日で屏風のコルまで歩いて荷物をデポしておくことになった。
そんな山行なので、当然一人で行くつもりをしていたが、辻博史さんがご一緒いただけることになった。
これは本当にありがたく、おかげさまで楽しい山旅となった。
このとき、屏風の頭まで歩いたり、今度は下から1ルンゼ押出しのアプローチを詰めて屏風岩基部まで歩いたりして、周辺の概念などもよく理解することが出来た。
屏風岩の周囲を上から下から歩いてみて、その大きさ、迫力には圧倒されるばかりである。
「いったいこんな大きな岩壁を登ろうなどと、はじめて思いついた人はどんな人物なのだろうか」と思って調べてみると、はじめて屏風岩を登ったのは石岡繁雄という人物で、このときの様子を綴った「屏風岩登攀記」という本がある。廃刊なので古本をアマゾンで注文して読んでみたところ、これが本当にすばらしい本で、たいへん感銘をうけた。
後日、考えてみればせっかく荷物を上げたので、そのまま北尾根まで継続して前穂高の山頂に抜けることも出来るな、と思いつき、そのまま北尾根継続で北穂高に登る計画をたてた。
ところが、日が近づくにつれて急に週間天気予報が悪化。
本来11日横尾泊・12日登攀考えていたものを、日程を一日早めて、11日のうちに上高地から歩いて、その足でそのまま登攀するという予定に変更することになった。
そのために、せっかく荷物をデポして来たにも関わらず、結局は野営装備を担いで登らなくてはならないことになってしまった。
ツエルトは屏風のコルにデポしてしまったので、慌ててツエルトをかして下さる方を探したところ、丸山先生が快くかして下さった。
8月9日(水)夜
京都を夜中に出発。
だいぶ遅い時間なので、お互いに居眠りしながらと思ったが、いざ目をつむってもあまり眠ることが出来ず。
平湯で仮眠。
8月10日(木)晴れ
平湯からあかんだな駐車場へ。
あかんだなからいつものようにバスに乗って上高地へ移動。
すごい寝不足なので、バスの中もうつらうつら居眠り。
上高地に着くと、早歩きで横尾まで急ぐ。
ともかく天気が良いうちに登ってしまいたいので、徳沢でご飯を食べた以外は、休まず早歩きで動いた。
徳沢に着くと、手早くテントを張って、あらかじめ分けておいた登攀具とツエルト・シュラフなどをザックに入れて出発。
横尾からのアプローチは調べてあるので、迷うことなく取り付きへ向かう。
冷たすぎて悶絶する渡渉をして、1ルンゼ押出しを詰めてT4尾根基部まで到着。
一休みしたあと、すぐに登攀準備。
T4尾根の出だしは、下から見ると支点がよくわからなかったが、登ってみるとハーケンやボルトなどがあってルートがわかりやすい。
登攀は特別難しいことはなく、天気が崩れる前にと、とにかく急いで登る。
2ピッチほど登ると、あとは歩いて登れるようなところが続き、T4テラスに到着。
T4テラスには、ストックとヒモが残置してある。ツエルトを張るために、公共物として誰かが置いていったものだろうか。
上を見ると、3ピッチ目の人口登攀のピッチあたりに先行して登っているクライマーの姿が小さく見える。
上高地からここまでほとんど休まず来ているので、さすがにくたびれ、少し長めに休む。
このテラスから上がいよいよ雲稜ルートのスタート。
水などを飲んで、登攀を再開する。
粟田さんがどうぞと言うので、1ピッチ目をリードさせてもらう。
顕著な凹角をステミングで高度を上げる。
最後の乗越しは、落ちるかもしれないと怖かったので、迷う前にさっさとA0で乗り越す。
今回このルートは、3ピッチ目でどのみち人口登攀が入るので、フリーで登ろうというこだわりは全くなくて、その点プレッシャーがなく気楽だ。
凹角を登り切ったところの終了点らしきところでピッチを切る。
2ピッチ目、1ピッチ目を切ったテラスは偽だった様で、少し上がったところにもっとちゃんとした終了点があった。
ちょっと前でピッチを切ったせいで2ピッチ目を登る粟田さんがすぐに見えなくなってあまり良いピッチの切り方ではなかったと反省。
粟田さんの姿は見えないが、澱むことなくスルスルとロープが伸びてゆく。
いつもながら恐怖とか迷いがないのがすごい。
自分だったら簡単なところであっても恐る恐る登るし、本当に大丈夫かと迷いながら登るのですごく時間がかかるところだが、粟田さんは一切迷わない。
自分がミスしない限り、今回の登攀は間違いなく成功しそうである。
あっという間にビレイ解除のコール。
2ピッチ目をフォローで登るが、はじめの方で上の遠いところにホールドがあり、そこまで上がるには飛ばないといけない。
背後はすごい高度感。ここは迷わずA0で通過する。そのまま右上してピナクルから左上し、扇岩テラスへ。
粟田さんに出だしのところはどうやって通過したのか尋ねると、飛んでホールドを取りに行ったという。
飛んで取ること自体は難しくないが、支点も良くない、背後は落ちれば遥か下まで、のあの状況で躊躇することなく飛んでしまえるのは本当にすごい度胸です。
扇岩に着いてもまだ昼過ぎくらい。スピード重視のクライミングで想像以上に早い時間に着いてしまった。
早く登らなければ!という思いで急いで来たが、こんなことならもっと大事に味わって登攀すればよかったかもしれない。
扇岩テラスは2畳も無い、1.5畳分くらいの広さで狭い。
時間もまだ早いので上まで登ってもちょうど良かったくらいだが、万が一登攀の途中で日没になると困るため、やはりここは大事を取って扇岩泊とする。
ここで丸山さんにお借りしたツエルトを張るが、普通に貼ると狭くて居心地が悪いので、ツエルトをひろげてタープの様に上に張り、下にマットをしいて寝ることにする。
ひととおり寝る準備が出来たがまだ昼過ぎ。
扇岩で一杯やりましょう!と言って持ってきたウイスキーを取り出そうとすると、ザックを探しても無い。
どうやら横尾のテントに置いてきてしまったらしい。
扇岩で腰かけて、下の景色を眺めながらウイスキーを、と頭に思い描いていたのでこれには大変ガッカリし、ひどく寂しい気持ちになった。(粟田さんからもだいぶ非難された)
しばらく休んでいると上からさきほど登っていたパーティーが懸垂下降で降りてきた。
ここで落石されるとけっこう危ない。今回は無事だったが、扇岩テラスで寝るのはいつ落石があるとも限らないので、けっこう危険かもしれない。
元々寝不足のところに強行軍だったので、少し座っているとウトウトしてきて、そのうち居眠りをした。
しばらくして目が覚めると、あたりはガスが上がってきて、そのあと暗くなると小雨になった。
横になっているとトイレに行きたくなったが、場所が場所なので用を足すのが非常に困難である。
ズボンを下ろすのにはもちろんハーネスを外さないといけないので、ビレイを取ることが出来ない。
しかし用は足さなければいけない。
考えた末、持ってきていたチェストハーネスを装着し、スリングでセルフビレイを取りながら用を足すが、実に生きた心地がしない。
その後横になってウトウト眠ったり目が覚めたり。
やがて夜になるとガスも晴れて、月が綺麗に輝いたり雲に隠れたりしているのを横になりながらぼんやり眺める。
時々遠くの方で雷がピカッと光ったり、1ルンゼの方から落石が落ちるガラガラという大きな音が聞こえたり、そうこうしているうちにまたウトウトして眠ったりして時間が過ぎたのであった。
こんなところでまともに眠れるのかと思っていたが、案外よく眠ることが出来た。
8月11日(金)晴れのち曇り
寝たり起きたりなので、なんだか昨日の続きの様な日。
日の出前からツエルトを撤収して登攀の準備。
3ピッチ目を登り始めてなかばくらいで壁が朝日で照らされて明るくなった。
3ピッチ目をフリーで登る強者もいるらしいが、壁の様子を見て即刻無理と判断しアブミで登る。
アブミ用の支点は、下から見る範囲では新しいものに打ち変えられている様だったので、これは楽勝かと思っていたが、上の方はけっきょく古い支点になっていて、最後はドキドキしながら登る。
4ピッチ目は粟田さんにリードを交代。
脆い壁を直上し、ハングにあたったところで右にトラバース。
ここもリードは結構怖いセクションだが、粟田さんはどんどん進んでいった。
トラバースした先のルンゼ状でピッチを切る。
5ピッチ目・6ピッチ目はジメジメと濡れたスラブ。
これをまともにフリークライミングにこだわって登れば怖い思いをするところだが、支点は豊富でA0まじえて登るので、たいして時間はかからない。
6ピッチが終わるとその先7ピッチ目はところどころ草付きの階段状に思えたが、いざ登ると支点もあまり取れず草と泥は滑るし、だいたい6ピッチで終わっている人が多いためか岩も脆く、ここまで来てけっこう怖い思いをさせられる。
7ピッチ目が終わり、最後は左側に見える踏み後の様なところを登るが、ここもドロドロ、岩モロモロで危険。
念の為確保して登る。
そこを登りきったところでようやく、これは明らかに終わったという雰囲気になり、ロープを解く。
終了点には広めのテント場があり、解っていれば昨日のうちにここまで登ってきたのにと思ったが、扇岩で一晩を過ごすこともなかなか貴重な経験なので良しとしたい。
途中一泊して、ついに登ってきた、と粟田さんとがっちりと握手を交わした。
その先は1時間の藪漕ぎ。
藪漕ぎといっても、足元は踏み後になっているのでそれほど厳しいものではないし、迷うような要素もない。
藪についた水滴が服について、服がびしょぬれになってしまうが構わず歩く。
1時間くらい歩いて、ついに屏風の頭に出た。
空は雲ってはいるがところどころ青空も見えて爽快。
また粟田さんと固い握手を交わす。
ここまで登ってこられて、感激した。
一緒に登って下さった粟田さん、荷物をデポするための登山に付き合ってくださった辻さんには、本当に感謝である。
穂高の山々はぜんぶ上の方だけ雲で隠れていて、眼下の涸沢小屋とテント村の部分だけが晴れて日が差している。
屏風の耳でまた一休みして、このあとはデポした荷物を回収して5・6のコルまで行く計画だったが、粟田さんが「疲れたからのでやめよう」と言う。
そう言われると自分としても疲れていない訳はない。
明日の天気も悪い予報だし、そこだけ日が差し込んでいる鮮やかな色とりどりのテント村を見ていると、自分もすっかりこれ以上登る気が無くなり、下山する算段となった。
屏風のコルにデポしてあった荷物は無事に手つかずで置いてあったが、その全てがお荷物となってしまった。(水などは持ち切れず、買った水をわざわざ捨てることになってしまい大変遺憾であった。)
涸沢までの水平道の雪渓は、以前に辻さんと来た時はアイゼンが必要だったが、わずか10日間でほとんど溶けていて、アイゼンや確保もなしで歩いて渡ることができた。
その後涸沢小屋でコーヒーを入れ、カレーを食べて大休止のあとにまた下山。
横尾谷を歩いていて、屏風岩東壁がよく見えるところに出たので、腰かけて東壁を見上げ、登ってきたルートを眺めていた。
すると通りかかった年配の登山者の方が声をかけて下さり「屏風岩に登ったんですか。私も若いころに登った。怖かった。」という話をしてくださった。
岩に登ることに限らず、山登りをすると、あとからそれを見上げたときに、「ああ、おれはあの時、あそこに登ったな。」ということが、思い出と一緒に蘇ってくる。
山とかルートに登ると、そういう思い出の記念碑みたいなものが、またひとつ増えた様な気持ちになる。
これからも、何度も通り過ぎるだろう横尾谷、またこの壁を見上げて「あの時」という風に思い返せることは、とても幸せなことだと思う。
【感想】54期 粟田 直和
5〜6年前に涸沢行った時にふと見上げた屏風岩、荒々しいその姿だけはずっと頭に残ってました。クライミングを始めて丸4年半、ついに屏風のお誘いがかかりました。なんでも雲稜ルートを登り屏風の頭まで抜けるとの事、僕も以前から同じ事を考えてたんで二つ返事でOK。
情報見てみると、渡渉あり「なんとかなるやろ」ビバークあり「始めてやわ」A1あり「問題なし」てな感じで日が迫る。事前準備でリーダーと辻さんが屏風のコルに非常食をデポしに行くとの事「ありがたや」と感謝する。前日くらいにリーダーA.Tさんから「とても熱い文章がありますよ」と戦中戦後に屏風岩を登攀された石岡さんという方の記録を見せていただいた。草鞋、投げ縄と今では考えられない装備、方法で登攀されており歴史の深さに感慨深くなりつつ当日を迎える。
野崎さんからヌンチャクを預かってるんでこれをてっぺんに掛けますとリーダーから聞きさらに胸が熱くなる。
午前中に横尾着、リーダーから本日中に扇岩テラス着が目標との御達しがあったのでテントをチャッチャと張り渡渉に向かうがこれが核心でした。「流れ早いし水量多いし下ツルツル!」入ると冷たい通り越して痛い!「コケたらスマホ壊れるっ」こればかり考えながら必死で渡りきりホッと一息。ガレ沢を詰めてT4取り付き着。ここから屏風岩を見上げると「デカイ‼︎」の一言。さっさと準備してクライムオン!T4尾根をチャッチャと登り雲稜ルート取り付き着。諸先輩方登らせていただきますと挨拶し扇岩を目指す。15:30に扇岩着。大人2人が横になって丁度くらいの広さのテラスで初ビバーク。なんでもツェルトは丸山さんからの借用品との事「丸山さん有難うございます」と思いながら準備する。「夜明けまで12時間以上か、退屈やなー」と思いましたがリーダーが酒を持って行くと聞いていたのでそれを楽しみにしていたが「すみません忘れました」とな。「なんやと 」しょうがなくオッサン2人横になり寝る事にする。小雨とルンゼの崩落音で何度か目を覚ましながら翌朝4:30頃起床、準備して登攀の続き。その後特に問題なく雲稜ルートを遂に登り切った!嬉しい‼︎リーダーと握手を交わし小休止、屏風の頭を目指すがここから1時間の藪漕ぎとの事。「ひーっ」、ヘタヘタになった頃に頭に到着!「屏風岩を完全に登りきった!」またも握手を交わし感動に浸る。涸沢を見下ろす景色が美しい。予定ではここから5.6のコル〜前穂高まで行く筈でしたが藪漕ぎで疲れ果ててもう歩けん!「絶対ムリです」と宣言し涸沢〜横尾行きに変更して頂く。屏風のコルにデポ品の回収に向かうがこの時点で水も食料も有り余っていた。「辻さん、すみません」と言いながらドボドボ水を放す。その後涸沢で「辻さん、有難う」と言いながらデポ品のカレーとコーヒーを頂く。途中岩屋跡から見上げた屏風岩は何だかわかりませんが荒々しさが抜けたように見えました。帰りの車中で「野崎さんのヌンチャクどーしたんですか?」と聞いたら「掛け忘れました」と聞きやっぱりなと思いました。
A.Tリーダーとの珍道中ばりの登攀、とても楽しゅうございました、有難うございました。またよろしくお願いします。
No.3679 武奈ヶ岳ボッカトレーニング ※ボッカポイント
2017年8月6日(日)
【メンバー】小西幸一郎CL、藤松奈美、YT、梅村重和(車)、江村一範、山形真知子、YN(車)、YK(体験)
計8名
【行 程】
8月6日 晴れ
国際会館駅(車)7:10=葛川市民センター駐車場8:10
出発8:25~武奈ヶ岳山頂12:00~坊村15:30=(朽木フロ後)帰京
【記録】56期 小西幸一郎
F 15.1kg、YT 21.2kg、梅村重和20.2kg、江村一範22.0kg、山形真知子15.1kg、YN23.0kg、小西幸一郎20.4kg、YK(体験のため計量なし)
【感想】 55期 YT
昨年仕事中に怪我をし、ほとんど山に行けていなく1年ぶりの例会山行で他の参加者について行けるか不安で、2週間前比叡山~鞍馬迄一人で20キロボッカトレ等をし参加させて頂きました。登山口から途中の御殿山まではなんとか20キロボッカで登れましたが、太ももがつりそうになり皆さんにボッカ用のペットボトルを持って頂き、なんとか武奈ヶ岳山頂迄たどり着くことができました。山頂で景色をながめながら 江村さんから頂いたかき氷は格別においしかったです。
今回参加させて頂き、秋にむけて課題も見つかり、好きなテント泊縦走を楽しむ(復帰する)為にも体力強化や減量を頑張りたいと思いました。
会の方と一緒に久しぶりに登れ、凄く充実した楽しい1日でした。小西リーダー、皆様ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
【感想】 59期 梅村重和
~歩荷にはカキ氷が良く似合うの巻~
歩荷ポイントの獲得と、夏山にそなえてザックの重量にカラダを慣らすのが目的で参加した。
たまに歩荷トレーニングをやったところで急に体力が付くわけでもないが、アルプスに行く前にやっておくと重量に対する感覚をカラダが覚え、何もやらずにいきなり大きなザックを担いでアルプスに行くよりも少しはラク。水の入ったペットボトルをザックに詰め20Kgとしたが、“あれっ、20Kgってこんなに重かったっけ?こりゃ、途中でヘバリそう” 大きな不安を抱えての出撃だった。
坊村の駐車場にて、小西隊長より厳正な計量。ズルは一切許さないぞ、と決意のこもった隊長の真剣な眼差しがデジタル秤の目盛に注がれるのであった。私も恐る恐るザックを差し出す。かろうじて20Kgをクリア。ホッとするもやはり重い!
山形隊員を先頭に御殿山コースを行く。つづら折れの急登にも拘わらず、山形隊員はなかなかのいいペース。普段の自分のペースより少し早い。直ぐに汗だくとなり、このままじゃ山頂まで持たない、もはやプライドなんてどうでもいいと隊長に懇願して少しペースを落として貰う。それにしても山形隊員の体力には感動した!途中、西南稜で当会の会員と偶然の出会いが有ったりして、ともかく無事に武奈ヶ岳山頂に辿り着いた。
山頂では、なんと、江村隊員の心づくしのカキ氷大会。このクッソ暑い所で魔法のごとく、おもむろにテルモスから氷を取り出し、組み立て式のカキ氷器で日本の正しいカキ氷が隊員に振舞われたのであった。フラッペなどと言うまがい物ではない、イチゴかみぞれか選択に悩ましい、かの日本の正しいカキ氷である。
美味しずぎる!このカキ氷のためなら大和魂のひとつやふたつ、悪魔に売り渡しても構わない。暫しカキ氷の余韻を噛み締めつつ、山頂を後にする歩荷隊であった。
小西隊長はもとより、参加者皆さんのおかげで何とかクリア。どうもありがとうございました。また、やりましょう。次回はスウィーツ歩荷もいいかも。おしまい。
【感想】 59期 江村一範
昨年、八雲ヶ原で作ったかき氷が美味しかったので、今年もかき氷を比良で食べたいと思い参加しました。この日の武奈ヶ岳は快晴ながらも心地よい風が吹いて歩きやすいものでした。それでも22キロのザックは肩に食い込み、全身から蛇口を捻ったように汗がこぼれ落ちていきました。背負っているのは14リットルの水の他に8人分の氷(テルモス3本に詰めたもの)とかき氷機で、氷菓を背負うのはボッカ時の精神衛生上とても良いなと思いました。武奈ヶ岳の山頂でシャリシャリかき氷を作るのは酔狂で面白かったです。来年はどんな氷菓をボッカしてやろうかと夢が膨らみました。
【感想】 59期 山形真知子
不安を抱きながらの参加でした。
40代までしか荷物を担いだ事がなく、諸事情により、日帰り山行を細々と続けて居りました。
おまけに、雨の日、暑い夏はいつもお休みです。
そんな私が、ポイントを消化して行く目標を持ったのです。
でも、人間の体って不思議ですね。15キロの荷物が、背中で語りかけて来るのです。あの楽しかった山行の数々を・・・・
懐かしい人々を・・・・・
夢いっぱいの江村さんの、冷たいかき氷を食べているのに、望武小屋の在った辺りを見ていると、なぜだか、温かい物が込み上げて来るのです。
【感想】 60期 YN
真夏の歩荷例会、こんな時期にするものかなとか、疲れ過ぎないかとか、また先週の北穂縦走練習例会で肩の持久力に不安を感じていたこともあり、渋々で参加しました。
いざ出発してみると参加者の皆さんは自身の課題や目標のため真摯に取り組まれている姿に最初の自分が恥ずかしくなりました。
御殿山から荷を増やしたのもそんな気持ちを紛らせる為だったかもしれません。いつも明るく話される山形様、話題の豊富なF様、いろんな山行をご存じの梅村様、余裕の亡い僕はそれらを聞きながら肩の痛さに耐えていました。
ただ、快晴の武奈ヶ岳山頂では涼風と眺望と江村さんのかき氷のサプライズは登りの辛さをを良い意味で忘れさせてくれました。辛いけど楽しくおわる。
小西リーダーと皆さんに心から感謝致します。
【感想】 体験 YK
8月6日(日曜日)、比良山地武奈ヶ岳ボッカ例会に体験参加させていただいた。 初参加のためボッカは免除してもらったが、参考までに計ると私の荷物は4.3kg。女性のノルマ15kgの約4分の1だった。
登り口は「く」の字に折れ曲がる細い急斜面の九十九折の山道で、一列に並んで登りながら、昔話に出てくるような山道だと思った。森の中の道では、先頭のYさんに、花の名前を教えてもらいながら歩いた。しかし「小あじさい」しか覚えてえおらず残念…。 キノコ鑑賞も楽しみながら歩いた。
森を抜けると、高い木がなくて低木と草花だけの、開けた尾根の道に出た。雲が流れるのがよく見え、天上の庭のような素敵な場所だった。
山頂では、Eさんお手製のかき氷をナタデココをトッピングしていただいた! ごちそうさまでした。
普段は1人もしくは友人2人と山登りをすることが多いが、皆さんとお話したり楽しみ方を見せていただいて、重い荷物を持てる体を作りたい、山頂で湯を沸かしてみたい、道具を揃えたい、山のおしゃれも楽しみたい…など、いろんな目標や欲が出てきた。
帰りは「くつき温泉」で汗を流して帰途に着いたが、帰りの電車でご一緒したYさんに「60代までは体力も技術も上がっていく。これからなのでがんばって」と嬉しい励ましの言葉をいただいた。
Fさんには「涼しい顔をして登っていた」と言っていただいたが、まだまだ下りに慣れてないようで、以降5日間、筋肉痛に苦しめられた。
今後は、楽しみながら体づくりもしていきたいと思う。
No.3678 沢練習 ツメカリ谷遡行
2017年8月5日(土)
【メンバー】CL高橋秀治、SL辻 博史、鹿嶽眞理子、藤田哲陽、藤井康司、土井司、TW、TS、平川暁朗 会員9名
【天気】曇り後小雨後晴れ
【行程・記録】平川
集合ロッジ前 7;00~神崎川林道前 8;45
林道からの下降点10:10~ルートに迷い引き返す10:45~ツメカリ谷出合11:30~ 6mスダレ状滝13:00~ツメカリ谷出合 14:50~赤坂谷下り終了点16:20~神崎川林道前17:10~八風の湯18:00~帰京
【感想 59期 平川暁朗】
4月にUリーダーに連れられて行った比良の白滝谷以来2回目の沢登りでした。
事前に聞いていた感じではゆるいと思っていたけど、沢に慣れていないせいか思いのほかワイルド。
初回よりは川の流れに対する耐性もできたし、時期的に寒さもまったく感じませんでしたが、やはりぬめりは苦手。
今回はサポートしてもらったが、どこを触ってもヌメヌメするホールドはなんとか攻略できるようにしたい。
お釜にダイブできる箇所がたくさんあり、怖かったが思い切って飛び込んでみると爽快でした。瞬間目は閉じていますが。
渓谷の美しさを内部から見られるのは沢登りの魅力。危険もはらんでいるとは思うが、たまにはこういう別世界を見せてもらえるだけでも山岳会に席を置いた意義があるかもしれない。
登攀スキルとセンスのなさは実感しているので、あくまで私自身は「縦走屋」として谷より尾根を根城にしたいとは思っていますが、沢エキスパートの皆さま、ご迷惑でなければこんな素人にも時折お付き合いください。
【感想 57期 TW】
ツメカリ谷を遡上したら、どんな景色が見えるのだろう?と、参加させていただきました。事前に高橋リーダーより「今回はアプローチの林道歩きが核心部」というアドバイスをいただき、家で事前に「神崎川ゲート・鍵・番号」、「ダイヤル式南京錠・開け方」等で1時間程グーグル検索するも、諦めて当日。もっと調べたら良かったなぁ・・・と少し後悔する程、長い林道歩きでした。沢への取り付きも、ヒルがぴょんぴょん飛び跳ねている藪の中を、地図を見ながら前進。汗と雨とヒルにまみれて、沢にじゃぶじゃぶ入って全てを流してしまいたい気持ちがピークになった頃に神崎川が見え、喜びもひとしおでした。
目的のツメカリ谷では、楽しみにしていた簾状6M滝の取り付きで泳いでいる最中に両足が攣ってしまい、残念ながら現地待機。一緒に居残りをしてくださった高橋リーダーから身体を温めるようにアドバイスを頂き、川で身体が冷えきっていた事に気が付きました。夏だから、と甘く考えていましたが、泳ぎの沢の場合は温かい装備が要るなと痛感した出来事でした。
帰りは足も治まり、思う存分川に流され、さっぱりして帰りました。ツメカリ谷が途中になり残念でしたが、歩き・地図読み・藪こぎ・ヒル・沢登り。探検の楽しさが詰まった山行でした。高橋リーダー、みなさま、どうもありがとうございました。
【感想 57期 藤井康司】
去年赤坂谷の途中で時間切れとなり、リベンジを兼ねて今回の企画には飛びついてしまった。ツメカリ谷ピストンのお気楽山行ということだったが、いやいや丸一日じっくり遊ばせてもらった。天気は生憎だったが、渓相は、広く明るい。水温に比してヌメリも少なく、邪悪なところはない。遡行後は藪をツメて登山道に出る沢と異なり、ここは下りがハイライト。滝から飛び込んだ後は、ザックにいれているマットと防水袋が浮袋替わりになって空を見ながら流れていく。気分は最高。温泉後のソフトクリームは掟破りだが、今回も自制が効かなかった。リーダー、来年は周回コースでお願いします。(教訓:ジップロックは水圧がかかると中が濡れる。)
【感想 54期 藤田哲陽】
7月に赤坂谷とツメカリ谷に行き、大変楽しかったので、今回のツメカリ谷に参加しました。林道歩きと谷の出会いまでの道のりは、思った以上に大変でしたが、その分谷に入った時の気分は最高でした。いつも下ってばかりのツメカリ谷だったので、登りは新鮮さがあり、面白かったです。しかし、今回の沢登りのメインは、滝壺への飛込みだったので、今回も思う存分に飛び込み、仕事のストレスも吹っ飛び、爽快でした。リーダーの高橋さん、ザイルを出していただいたサブリーダーの辻さんをはじめ皆さま方、ありがとうございました。
【感想 53期 辻博史】
ツメカリ谷の遡行に初めて参加しました。
メジャーな場所で、過去遡行したメンバーも参加していたので大した下見もせず参加してしまいました。
長い林道歩きに疲れたこともあり、取付に迷い、河原にでるまで一苦労しました。
遡行自身は水温は思ったより暖かく、楽しく遡行させていただきました。
今回、改めて山行前の下調べ・地図読みが大切と思いました。
ご同行いただいました皆様どうもありがとうございました。
皆無事に戻ってこられたことが一番よかったです。
これからもよろしくお願いします。
【感想 59期 TS】
ツメカリ谷は明るい渓相で、頑張れば登れる滝が続く。滝つぼに飛び込むこともできる。
アプローチは楽で、修行のように厳しい源頭へのツメもない。この沢に行けば、誰でも沢登りを好きになると思う。
入渓地点に着くと、目の前に涼しい、美しい渓が目の前に広がる。気持ちが昂る。日常の生活とは別世界である。渓を見ながら食べる行動食が美味しい。
ヌメリが少なかったことが意外だった。水温は高くて、つらい思いをせずに済んだ。天気が悪く、本降りなったら寒いだろうなと思った。雨具を持って来なかったことを後悔したが、幸い雨は強くならなかった。
今年の沢登りはこれで終わりかと思うと、名残惜しい。
【感想 56期 土井司】
沢山行と言えば川を遡行し登山道など道を下るというのがイメージされるのだが、今回の沢は林道を上り川を下る(少し遡行したが)という真逆のパターンであった。それもその筈ツメカリ谷、神崎川本流はダイブできる滝が次から次へと現れ川を下る(流される?)のが核心であり、また違った楽しみを謳歌できた。
出足は曇りの中であったが延々と続く林道歩きで全身汗まみれ。入渓地点についたところで疲れてしまい、そこから遡行できるであろうかと心配したほどであるが腹ごしらえをしたら俄然意欲が湧いてきた。単にお腹がすいていただけであった。
水は暖かくさほど危険な箇所もなく丁度楽しめた遡行であった。時間切れで目的地まで行けずに引き返す。これからがメイン。登った滝をダイブしていく。一発目はかなり緊張し雄叫びを上げてダイブ!飛び込んだ後の爽快感これはやめられない。郡上八幡の子供たちが橋の上から飛び込んでいる映像を何度も見たがその気持ちがよくわかる。ツメカリ谷だけでなく神崎川本流に入っても何箇所も現れる。飛び込んだあとは桃太郎の桃よろしくどんぶらこと流されていく。何とも極楽のような下りであった。
高橋リーダーを始めご一緒くださいました皆様ありがとうございました。まるっきりおまかせの山行でしたが、またご一緒しました機会でもよろしくお願いします。尚、フローティングベストは最高です。外せません!
【54期 鹿嶽眞理子】
取りつきまでが、一番の核心ですとのリーダーの言葉通り、なかなか長い林道のうえ、降り口を探し右往左往。それでもようやく川に降り立ったときはホッとしました。
あいにくの小雨交じりの天気でしたが、水はあまり冷たくなく気持ちよく歩けました。次々出てくる滝は美しく、目を楽しませてくれました。泳げない私は、ライフジャケットのおかげで何とか滝下に取りつき、ちょっと弱音を吐きつつもみんなに励まされ、助けられて滝を制覇していきました。
下りは皆さん、気合を入れてドボンと飛び込んでいましたが、私は尻込みしてしまい一度スライダーで降りましたが、あとは懸垂下降をさせてもらったりクライムダウンしたり。
飛び込みが不安な私は、本流を下って行ったみんなと別れて、高橋さんとまた林道歩きで戻りました。それでもすごく楽しかったです。
みなさま、本当にお世話になりありがとうございました。
【記録・感想 53期 高橋秀治】
2年前に土井さんと「ツメカリ谷に行きましょう」と約束していましたが行けず、今回ツメカリ谷のピストンという事で実現できました。
定番の「赤坂谷遡行~ツメカリ谷下降」は何回か行っていたので、入渓地点がその先にある「ツメカリ谷」の取り付きまでは林道を進めば安易に行けるとタカをくくっていましたが、林道からの道標もなく、釈迦岳・神崎川こちらと言う標識を見つけ、その先は登山道が整備されていたのでそれを進めば神崎川にすぐ降りられると思っていました。しかし、進めど着けず最後は地図を確認してツメカリ谷に一番近い谷を降りる。そこは皆さん慣れたもので突破するのみで、ようやく入渓地点に到着。
そこで入渓準備をして遡行開始。前を辻さんにお願いしてどんどん進み、核心部の5m直瀑の釜を泳ぎ、左側の岩を掴み這い挙がり、最後をTWさんにお願いしていましたが、釜を泳いでいる途中で足が痙り、それ以上無理を強いると下りが心配と思い、その前で待機して頂く。
予定の裏見ノ滝までは皆さんも行けなかったみたいですが、皆で協力してスダレの滝までは遡行され、思い思いにダイブして下って来てこられました。その頃には小雨になり、急いで本流出会まで降りて来ましたが、その頃には運良く晴れ間が見え出す。水量も多くないと判断、そして7月に本流を下降したメンバーが3名居る事もあり、辻班は本流を下り、高橋班は林道を戻る事にした。駐車場には辻班よりやはり1時間程早く着いた。
チームを2班にその場で分ける事にためらい等があったが、そこはSLの辻さんの力量と状況判断で決めた。また、入渓地点までの道迷い等リーダーとして力量の無さを自覚した例会で有ったが、しかし皆さんの協力と笑顔に救われた充実した1日であった。参加された皆様ありがとうございました。
№3676 縦走練習/北ア/涸沢岳西尾根
2017年7月28日夜~29日 天候:曇り時々雨
【参加者】
上坂淳一L 藤井康司 TS 平川暁朗 増川雄太 YN MK 会員7名
【記録】上坂淳一
28日京都→道の駅上宝(仮眠)
29日道の駅上宝→新穂高村営駐車場5:35~7:00
白出沢出合~11:30森林限界~12:30蒲田富士
~15:00涸沢岳~15:30白出のコル
30日 白出のコル~6:10奥穂高岳~
6:45白出のコル~9:40重太郎橋(未架橋)
~10:30白出小屋跡~11:50新穂高村営駐車場
当初の計画ではRWを利用して西穂高岳からの縦走を予定していたが、今年は太平洋高気圧の張り出しが弱く、涸西からアプローチすることに変更し、不安定な天候の中を出発。栃尾温泉の先から夜間通行止めになっていたので、道の駅にて仮眠、
5時前にゲートが開くのを待って新穂高へ向かう。何とか村営駐車場に止めることができた。
重苦しい空模様の中、午前中は順調に高度を稼いだが、蒲田富士を過ぎるころから雨が降り出す。岩稜帯で雷鳥に出会う。涸沢岳に着いた頃にはすっかり本降りになったが、設営時は小やみになっていた。
食当の藤井が用意してくれた玄米フレークで夕食を済ませ、平川が揚げてくれたワンマンテントに荷物を移動して就寝。
30日も相変わらず降ったりやんだりの天候。テントはデポして奥穂にアタックを済ませてから下山。白出沢では残雪を200mほど下る。重太郎橋はまだ架橋されておらず、角材が側壁に立てかけてあった。
足首程度の渡渉で左岸に移り、白出小屋跡を経て新穂高に下山した。
【感想】48期 上坂淳一
前回のトレーニングは日帰り登山だったので、今回はテントを持って行った。
林道を歩き始めてまもなく、ヤマホトトギスのお出迎え。アザミも鮮やかな色だ。サンカヨウはすでに紺色の実をつけていた。
涸西に取付くと、ゴゼンタチバナ、タケシマラン(実)、ギンリョウソウ、キリンソウが見られた。高度を上げると、ハクサンシャクナゲ、アカモノ、ミヤマダイコンソウ、マイヅルソウ、ツマトリソウが現れ、森林限界からはヤマハハコ、チングルマ、トウヤクリンドウ、コイワカガミ、ヨツバシオガマ、アオノツガザクラ、ハクサンイチゲ、イワツメクサ、リンドウ、ウラジロタデ、イワオトギリ、ウサギギク、タカネツメクサが咲いていた。標高差が大きいこともあってか思いのほか種類が豊富で、また7月のチングルマは白花がほとんどであった。
さらに白出沢では、センジュガンピ、シモツケソウ、ニッコウキスゲ、クガイソウも見られた。
また、蒲田富士周辺では雷鳥も見られ、期待していなかったにもかかわらず、そこはさすがに北アルプス、豊富な自然に驚かされた。
【感想】60期 MK
楽しみにしていた西穂~奥穂高縦走、天気予報が悪化する中、前日夜に何度もメールをチェックして、連絡ないので決行と判断。
靴を3足並べてあれこれ思案、結局普通の登山靴にしたので靴中は快適でしたが、上坂Lは私が外したアプローチシューズにネオプレーンソックス。沢用ネオプレーンソックスも出して悩んでいたのですが、それもありだったのですね。出発前に急遽、日帰り穂高案の時に検索しても夏の記録がなく、上坂Lに通れるのか問合せた涸沢岳西尾根ルートに変更。
登山口で、案外しっかり踏み跡ありますねと安心したのもつかのま、その後は延々と続く藪こぎが待っていました・・・
穂高山荘に到着した時は濡れて寒くて頭痛がして気弱に小屋泊希望しましたが、あっさり却下されました。わがままいってすみませんでした。
6テンで7人、満員テントの中は温かく、服も乾いてよかったのですが、夜中に喉の乾きに耐えきれずトイレに出た時に、おもいきり踏みつけてしまった方々ごめんなさい。
翌朝登った奥穂高も眺望ゼロ。穂高デビューはほろ苦いものになりましたが、白出沢を重太郎橋なしで下れたし、盛り沢山の内容でした。
天気は最高ではなかったですが、山行はとても楽しかったです。
皆様お世話になりました。ありがとうございました!
【感想】57期 藤井康司
今回は夏合宿の北鎌に向けての縦走トレだ。天候不良のため西穂からの周回プランを変更し、涸沢岳西尾根のバリエーションルートを行く。
どんよりとした曇り空の中を白出沢出会から入山する。踏み跡はしっかりしているものの背丈を超える藪が延々と続く。最初は笹、次第に這う松だ。急坂は根元を鷲掴みにして登っていく。アキレス腱への負担を抑えるべく数時間の格闘の末、ようやく森林限界を超える。
打って変わって岩稜歩きは楽しい。四足のカモシカになる。ストックでバランスと鉛直方向への推進力を得て、岩稜の弱点(登りやすいところ)を突いていく。ガレ場では石を落とさぬよう、また、浮石に備えて抜き足、差し足、忍び足で静荷重、静移動しつつ、慣性モーメンタムを失わないようスムースな重心移動を心掛ける。手を使う登攀では、足場が崩れた際に備えて、体重を支えられるようなガバかプッシュできるホールドを探しに行く。ガスと霧雨で眺望はゼロだったが、頭と全身を使う登攀は夢中になれ、時間の経過を忘れる。
翌日は、奥穂高に登った後、2100メートル超の標高を駆け下りていく。当日はいつもの足裏の痛みだけだったが、翌日は全身筋肉痛となった。超回復しない限り、北鎌翌日の山行は厳しいかもと思う。
【感想】59期 平川暁朗
憧れの西穂~奥穂縦走だった計画が天候不良のため代案の涸沢岳西尾根に変更となった。
西尾根?よく分からないままUリーダーについて行った先は藪こぎ地獄(お好きな方には天国)でした。冬はノーマルルートらしいですが、夏の記録は殆ど見られないのも納得。
森林限界以上は中々の岩場で小雨の降る中このルートをこなせたのは多少自信になりました。
下山は3年前にも通った白出沢でしたが、まだ雪渓が大きかった。一応軽アイゼンを持って行って正解でした。重太郎橋が架けられていないので、雨で増水中の川を渡渉するのは少し怖かった。
正直、最初は雨天中止にならず億劫でしたが、久しぶりにライチョウにも会えたし、沢山の高山植物にも癒され、やはり日本アルプス。終わってみれば思いのほか満足しておりました。
【感想】59期 TS
地図に道も町の名前も描かれていない所が「どんなところだろう?」と想像すると、私はワクワクする。行ってみたくなる。
涸沢岳西尾根の地図には道は描かれていない。行ってみて分かった。とんでもない所だった。急登で藪漕ぎ。木の根に足を取られるし、木の枝のジャブの連打が顔面に容赦なく浴びせられる。休憩するにも、小さな平面もないので一苦労。道が描かれていないことに納得した。樹林帯を抜けると、岩稜帯が続く。
2日目、奥穂のピークを踏んだ時は嬉しかった。白出沢を下降する。両側は切り立った崖が迫っている。絶景だ。天気が悪くて、全行程において眺望を得ることができなかったのが残念だった。
当初の予定のルート「西穂~奥穂へ」を、晴天の日に歩きたい。ジャンダルムで青空と岩をバックにドヤ顔で写真を撮りたい。
【感想】60期 YN
北アルプスでの縦走練習、当初、残雪やら重太郎橋がないとか心配されたが、Uリーダーがあまり動じておられないので決行だろうと思っていた矢先、ルートは変更になったものの、決行となり安堵する。
白出沢出会い前の水場では、軽量化途中の重い荷物と出発時に調子に乗り負担した共同装備のテントを力任せに背負ってきたのが災いし、まだ出来ていない肩が非常に痛くなり、TSさんやMKさんに担ぎ方等々を教わり大分ましになり、また調子に乗る。
涸沢岳西尾根ルートは冬期のノーマルルートだそうで、確かに奥穂山荘までつがいの雷鳥(たぶん)に遭遇した以外、他の登山者に出会うこともなく、我が隊だけの独占ルートだった。岩と木の根の絡み合うアスレチックな急登や延々と続く熊笹の藪漕ぎを続け、やっと尾根に出る。ただ尾根から岩稜帯に入った頃に、いよいよ肩が悲鳴を上げ、皆さんに荷物を負担してもらいつつ、ナイフリッジ?を通りなんとか涸沢岳に着けたときは感無量だった。
テント泊中も雨冷えと疲れから体調を崩したが、リーダーの勧めで山荘で休憩したおかげでなんとか回復した。
下山は白出沢ルートで一部雪渓が残っており、軽アイゼンをつけたが慣れておらず、よく滑った。リーダーはアプローチシューズではじめから滑って行かれたのでびっくりした。
岩切道はスリリングで楽しかった。白出大滝はまだ雪渓に覆われており見られなかったが、渓谷は迫力満点だった。奥穂高からの展望はガスっていて見られなかったのは残念だが次回のお楽しみだ。
リーダー、参加者の皆様ありがとうございました。
【感想】59期 増川雄太
今シーズン初の3000m峰で、「まー、体力的にはなんとかなるっしょ!」と思い出発しました。気付いたら、藪の海が広がっていました。
はじめての藪漕ぎでしたが、留まることを知らない笹・ハイマツ・何かよく知らない木々の藪に、幾度となく精神と身体を打ちのめされました。僕は2番手でしたが、U親方が先頭を切らなければ藪の中でたぶん倒れていました。
その後、蒲田富士を経て涸沢岳まで岩の稜線を歩きます。藪でだいぶ脚を使ったので、ほぼ腕を活かし身体を振りながら登りました。ボルダリングジムに行っておいて良かったと思いました。
晩御飯はチャーシュー丼で、マヨネーズ&七味のゴールデンコンビに胸を打たれました。
翌日は雪渓を通りました。雪国出身のプライドから、アイゼンを履かないと気合を入れていきましたが、すぐコケました。やはりアイゼンは必要です。そして、前日の雨で増水した沢をちょっと怖いなと思いながら渡渉し、あとは林道を下り帰路に着きました。
帰り道、ネットで「日頃の充たされぬ思いを非日常の中に発散する」ために藪漕ぎをするひとがいると知りました。人間の価値観は海より広いかもしれません。
〈個人山行〉前鬼川本谷 遡行
2019年7月22日(土)~23日(日)
【メンバー】CL高橋秀治、SL小西幸一郎田辺久美子、鹿嶽眞理子、N/F、高橋幸三郎、土井司、TW 会員8名
【行程】7月22日(土)ロッジ前18時00分集合⇒道の駅 吉野路上北山幕
23日(日)道の駅林道⇒林道終点(車デポ)
7時30分入渓~8時20分 2段10m滝~
11時00分 垢離取場 着~斜滝7m~
12時00分 垢離取場 発~13時00分
宿坊~13時45分駐車地⇒下北山温泉きなりの湯⇒京都
【天気】曇り後晴れ
【記録】N/F
入渓後、川を上っていくとどうも様子がおかしい。別のパーティも引き返して来るため、間違えたことに気付く。川を下っていよいよ前鬼川に入る。水の透明度が増し、たいへんうつくしい。天気は曇りだったが青空も見え、なんとか天気ももちそう。われわれ以外にもパーティがたくさんいて、人気の沢だ。小西さん先頭に、順調に進んでいく。幸三郎さんがいち早く泳ぎはじめ、はしゃぎ方がまるで少年のよう。大きな釜が現れ、「前鬼ブルー」といわれる深く透き通った緑色に息をのんだ。これを見るだけでも、この沢の価値がある。
大半がアクアステルスだったので、時々ぬめりに足をとられそうになる。唯一フェルトをはいていた田辺さんはすいすいと身軽にあるいて行かれる。やはり、フェルトはぬめりに強いようだ。
この沢の核心といわれている2段10㍍の滝の徒渉も難なく通過し、ナメや釜を楽しみながら進む。もう核心はないと思いきや、大きな岩が立ちはだかり、急な流れもあり、どう進んでいいか分からない地点に出くわす。右岸に登れそうな岩があるが、ぬめが少し怖そうだということで、ロープを出すことにし、順番に登っていく。後続の夫婦とみられるパーティは左岸をへつるようにして通過していた。ロープは出していなかったので、そちらが正解なのかもしれないが、沢には正解はなく、総合力で登れればいいというある会員さんの名言を思い出し、総合力の沢の醍醐味を改めて感じた。
2段10mの滝
その後も、釜にジャンプしたり滑り台したり、めいめいが楽しみながら無事に終了地点まで到着した。水は冷たく、寒いときもあったが、心配していた天気も晴れ間が多く、美しいコバルトブルーの沢を楽しめた。ところが、つめと最後の林道歩きで再び汗をたくさんかき、さっきまで寒いといっていたのに···と、沢のおきまりのパターンで駐車場までついた。
巨岩と前鬼ブルー
【感想 44期 田辺久美子】
前鬼川の水の色は想像以上に綺麗で感動でした。薄着の私は冷たくて震えるほど寒いときもありましたが辛くは感じず、ずっと楽しかったです。目一杯楽しもう、と泳いだり滑ったりも出来て大満足でした。飛び込みはちょっと無理でしたが…
諸事情によりなかなか山には入れない今日この頃ですが、また沢に行ける日が来ることを楽しみに待ちたいと思います。
沢初心者で装備もろくに持っていない私を誘っていただいた高橋リーダー、ご一緒していただいた皆さま、本当にありがとうございました。
【感想56期 土井司】
これが前鬼ブルーか!その水の透き通った青さは、大杉谷や神童子谷のように他を呑み込んでしまうブルーではなく、全てと同化するブルーだった。スタートは曇りであったが、しだいに日が射してきて一層透明度が増す。その中を遡行していく、素晴らしいの一言であった。
これを計画いただいた高橋リーダー、この空間·体験を共有いただきました皆さん、ありがとうございました。次の素晴らしいシーンでもご一緒お願いします。
追記:Fさんの身を挺しての日差し呼び込みに感謝します。
垢離取場での滑り台
【感想56期 高橋幸三郎】
事前に心配していた天候も当日は何とか持ち直しそうな気配に一安心、入渓した我々の前に現れた前鬼川の水は恐ろしいほど透明度が高く美しい。これを見るだけでも遠路はるばるやってきた甲斐があったと思った。さらに進むに従ってこれぞ自然の造形の妙、できることならいつまでも眺めていたいと思えるような風景が次々と現れ、全く飽きることがなかった。お陰さまで終始、大満足の遡行となったが、お世話になった高橋リーダーはじめ同行の皆様にはあらためてお礼申し上げたい。
斜滝7m
【感想 54期 N/F】
2年ぶりの沢登り。沢はもうやめようと思っていたのに、行くとやっぱり心を奪われました。前鬼ブルーの釜のうつくしさ。川の中を道を探しながら歩いたり、大岩を登ったり、力を合わせて危険箇所を乗り越える、なんともいえない冒険感。忘れていた感覚がよみがえりました。そして、元気で再び沢にこれた幸せをかみしめました。
髙橋リーダー、みなさま。ご一緒いただいて本当に感謝しています。沢はもちろん、前夜の宴会や車中のおしゃべりもとっても楽しかったです。晴れ女力は相変わらず高いことを証明できましたが、私の目がやはり紫外線にとっても弱いことも証明してしまいました。もっといいサングラス買います。またよろしくお願いします。
記念写真
【感想 53期 高橋秀治】
2年前に小松さん達が行かれた前鬼川本谷テント泊遡行以来、前鬼ブルーは神童子ブルーより青さが違うと教えて頂き機会があれば行きたいと思っていました。
6月頃にある雑誌に『垢離取場(こりとりば)』までならば日帰りで遡行出来ると書いてある記事が目には入りました。それではと神童子谷遡行したメンバーを中心に声掛けして実現できました。
前日は「道の駅 吉野路上北山」で山行の話等で盛り上がり、意気投合した皆様とチームワークよく遡行を始め、水面が朝日で輝き出し、さらにテンションが上がった頃に、2段10Mの滝が現れる。この迫力の景色は大峰の渓谷に立っていると実感させられる瞬間でした。左岸にあるフィックスロープを伝って登り核心の右岸に渡渉する。
先行している他グループがロープを出して渡渉し終わり、こちらは先頭を行く小西さんを高橋幸三郎さんが確保して渡りその後皆が渡渉。その後も、大岩を越える箇所では踏み台になったり、チームワークで進み、気が付けば前鬼ブルーに輝く垢離取場に到着。白い岩と前鬼ブルーに輝く水線を堪能できた遡行でした。やはり夏は水線を進む山行が楽しいと実感できた1日であった。また、大峯奥駈道における靡(なびき)の一つである前鬼山。その麓には今も61代目の五鬼助義之が当主となっている宿坊があり、そこでトイレを快くお借りできる事に驚きであり、そんな神聖な場所に沢登りと言う行為を許しって頂いている事に感謝です。
皆様ありがとうございました。