京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.2919 室生火山群4座 -関西百名山シリーズNo.20~23-

室生火山群の山々は活動を休止して久しいがその特異な山容は山屋の心をくすぐる。今回の関西百名山シリーズはコテージ泊まりの豪華版。2日間で尼ヶ岳、大洞山、住塚山、兜・鎧岳の4座を一挙に登った。

写真3:鎧岳(兜岳北尾根より)

鎧岳(兜岳北尾根より)

 

 

No.2919 平成21年3月28日(土)~29日(日)

室生火山群4座 -関西百名山シリーズNo.20~23-

48期 山本浩史

室生火山群の山々は活動を休止して久しいがその特異な山容は山屋の心をくすぐる。今回の関西百名山シリーズはコテージ泊まりの豪華版。2日間で尼ヶ岳、大洞山、住塚山、兜・鎧岳の4座を一挙に登った。

 

【1  日  目】 尼ヶ岳・大洞山  H21.3.28    晴れ

【行 程】 桂5:25-京都東IC6:20=(名神新名神)=甲南IC7:10=三滝桜P8:35=尾高山林道9:00-08~富士見峠9:13~尾高山10:00-05~富士見峠10:39-40~尼ヶ岳11:18-58~大タワ12:19-22~大洞山二ノ峰12:36-54~倉骨峠12:57-13:01~大洞山雄岳13:40-54~大洞山雌岳14:07-27~三滝桜P15:19-21=姫石の湯=尾高山林道15:45=△サンヴィレッジ曽爾16:40

【参 加 者】 辻野L、西田、葛城(食当)、山本TC

【歩行データ】 歩行10.6? 6:11 延登高 984m 延下降 1,259m 11座登頂

 

この日から高速道路は土曜・休日上限1,000円がスタート。しかも1週間前に新名神に甲南ICが開業し、まるでこの山行のためにお膳立てされたようだ。そして旧美杉村へも早く安く行けるようになった。大津SAで辻野車と最終集合し一路、津市美杉町(旧美杉村)に向かった。

国道368号線を下り津市美杉町猿子の尼ヶ岳への林道分岐点を通り過ぎ、まずは今日のコース終点となる三多気桜の駐車場に山本車を置きに行った。分岐点に引き返し林道に入る。倉骨峠への道から分れ富士見峠への林道に入ると道はダートになり、やがてとんでもない悪路になってしまった。なんとか辻野車は進むが最後の分岐の先は進入不可能。

分岐点(標高約695m)に車を置き登山を開始。林道の残りを歩き5分で富士見峠に達した。指導標には反対側への下山路と尼ヶ岳への道が示されているが目指す尾高山への案内はない。ここでミッション1「尾高山へのルートファインディング」が始まる。辻野Lを先頭に立ちはだかる北西斜面に突っ込み急登路を這い上がると微かな踏み跡と赤テープに導かれる。しかも下草はほとんどなく問題なさそうだ。急登が尽きてなだらかになると尾高山(861m)山頂に達する。私製の山頂標識が掲げられているが展望はない。この先に?峰、?峰、?峰とピークが続くが何れも展望はない。そして?峰で踏み跡は途切た。

ミッション1を無事に終えて来た道を引き返す。富士見峠に戻り反対側の尼ヶ岳への登山道を登る。こちらは整備された道で階段が何度も出てくる。巻き道と交差すると傾斜が増し山頂へと続く。尼ヶ岳(958m)は伊賀富士と呼ばれるだけあって山頂部が屹立している。山頂には2等三角点「尼ヶ岳」があり西面が開けている。先ほど登ってきた尾高山や向かい側に倶留尊山、大洞山を望むことができる。ただ冷たい風が強く、ゆっくりすることができない。急いでミッション2「高見山、古光山を山座同定」を実行。古光山は後古光山とほとんど重なって見え、その左奥に高見山が確認できた。お昼時だが寒さに耐えかね小憩しただけで歩を進め南面の草原に入ったとたん風が防げる暖かい陽だまりとなり、ここでゆっくり休憩することができた。

南面も急斜面でこれを避けるために迂回路が開かれているが、距離の短い直登路を下る。鞍部の大タワ(標高は750m)は猿子からの登山道が越える。登り返すと大洞山の山域ですぐに大洞山一ノ峰(804m)に達する。次の大洞山二ノ峰(842m)は山頂を巻いて登山道が付いているが踏み跡を辿って登る。山頂から木の間越しに尼ヶ岳の姿が望める。踏み跡は山頂手前で90°右に折れるが地図を確認しないまま直進してしまい10分ほど時間ロスしてしまった。

次の鞍部は倉骨峠(標高800m)で林道が横断する。駐車スペースもあり尼ヶ岳、大洞山へはここからピストンするのがメジャーだ。峠からは大洞山三ノ峰(876m)はすぐ。特に展望もなく四ノ峰(894m)へと続く。ここまでは大洞山の序盤で、最高峰の雄岳(1,013m)への登りはしっかりと標高差がある。山頂展望は良く高見山から台高山脈、微かに大峰奥駈の山並みまで確認できる。東の方は伊勢海が広がっているのだろうが霞んで空との境が定かでない。昨夜山頂域に降雪があったようで薄っすらと積もった新雪を踏むことになった。樹木の北西側は雪が付き風が強かった証を残していた。

さらに南下すると大洞山雌岳(985m)に達する。3等三角点「大洞山」があり、関西百名山はここを大洞山本峰としている。最高峰の雄岳を差し置いてどうしてなのだろう。こちらも山頂展望素晴らしく南の展望が開けている。早速ミッション3「学能堂山を山座同定」を行い、存在感のある山を確認した。これも関西百名山、いずれ訪れることになる。

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南斜面を津市美杉町三多気へと下り三重四国八十八箇所第71番御嶽山真福院の境内に達する。小規模なお寺だが観光用のトイレもあり観光客は多いようだ。ここから麓の駐車場にかけては桜の古木の並木が続く。蕾はまだ固いが4月中旬のさくら祭りの頃はさぞ素晴らしいことだろう。これこそが有名な三多気桜である。

葛城さんと西田さんは道端のせせらぎに咲くキクザキイチゲニリンソウを見つけ教えてくれた。最後は観光気分で駐車場に辿りつき朝デポしておいた山本車に乗り込んだ。辻野車ピックアップに富士見峠手前まで戻らなければならないが、女性二人を途中の御杖温泉姫石の湯で下ろし三峰山例会のときに入ることができなかった湯を楽しんでもらった。その間辻野Lと山本TCは再びあの悪路を往復してきた。ビールと明日の食料調達にコンビニを探したがそのような気の利いた店はなく小さな酒屋でかろうじて調達することができた。

姫石の湯で二人をピックアップし宿泊地サンヴィレッジ曽爾に向かった。春休みとあってテントサイトやバンガローにも結構人が入っているようだ。今日のお宿は5人用のコテージでバス、トイレ、エアコン、キッチン、食器など完備している豪華版だった。食当の葛城さん手配の食材を西田さんと二人で手早く調理し、運転手の二人が交代で入浴を終える頃にはすっかり出来上がり、冷えたビールと葛城さん持参の輪島の原酒、山本持参の立山と共に賞味した。終に辻野さん持参の焼酎までは達しないうちに宴会は果ててしまった。

 

【2  日  目】 住塚山・兜岳・鎧岳  H21.3.29    曇り一時小雪、のち晴れ

【行 程】 △サンヴィレッジ曽爾6:05=下小場6:15=屏風岩公苑6:30-35~住塚山7:13-21~ゼニヤタワ7:35~国見山7:55-8:07~松ノ山8:27-29~クマタワ峠8:38-42~目無地蔵9:45-55~兜岳10:33-48~鎧岳11:48-12:15~新宅本店前BS13:02~下小場13:27=屏風岩公苑13:45-47=曽爾高原・お亀の湯14:02-15:20=甲南IC16:51=(新名神名神)=京都東IC17:30=桂19:00

【歩行データ】 歩行13.8? 7:22 延登高 1,104m 延下降 1,394m 5座登頂

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天気は曇りで今日も寒い。今日は住塚山から兜岳、鎧岳を縦走する。まずは鎧岳麓の下木場集落の果てに山本車を置く。引き返して屏風岩公苑(標高740m)駐車場に辻野車を停めた。屏風岩は東西1,500mに及ぶ柱状節理の断崖が続き壮観な眺めを呈する。歩き出しは屏風岩を仰ぎ西に進む。屏風岩の西端から標高線がギュとつまった急斜面を登る。尾根に出ると傾斜は緩くなり登り詰めて住塚山(1,009m)へと達する。屏風岩公苑からの標高差はあまりなく歩き始めて40分弱で到着した。2等三角点「黒岩山」があり展望は良好。

昨日のような風はないが冷え込みは厳しく寒い。国見山を見ると夜にガスがかかっていたので時ならぬ霧氷の花が西斜面を白く染めている。屏風岩の峰の向うには古光山、昨日と全く逆の方向からの眺めが得られる。しかし昨日登った尼ヶ岳・大洞山は倶留尊山の陰に隠れ見ることができない。しかも倶留尊山自体がガスの中、予定していたミッション1「倶留尊山を山座同定」はお預けとした。

住塚山の北東斜面も霧氷がしっかり付き霧氷のトンネンルを潜りゼニヤタワ(標高約875m)へと下る。ほぼ同じ標高差を登り返す0.5キロの道程で国見山(1,016m)に到る。国見山は住塚山を凌いで本日の最高所である。時刻は7:38、ここでミッション2「国見山へ登頂時刻を予想」を行う。山本 8:00、辻野L 8:05、葛城さん8:10、西田さん8:20と予想した。樹林帯を登りだすとすぐに小さなピークがあり前方に目指す国見山の姿を望むことができた。再び樹林帯に入り山頂に立つ。時刻は7:55、飛ばした訳ではないが、皆の予想時刻より相当早く着いてしまった。

山頂では住塚山でできなかった倶留尊山の山座同定を行った。いくつかあるピークのうち最も高いところがそれと特定した。西から見る倶留尊山は曽爾高原の草原が特徴的で二本ボソ(996m)と亀山(849m)の間に広がっている。葛城さん情報では3月21日に山焼きが行われる予定であったが荒天で中止になったそうだ。今日はその1週間後の日曜日、もしかしたら延期されて今日やるのではないだろうか?と期待を抱きながら縦走は続く。

クマタワ峠への縦走路を歩いていると2.5万図に顕著なピークが一つある。地図に記載はないがもしやと期待しながらピークに達すると私製のプレートに「松ノ山」の表示、標高は945mと記されている。ラッキー!一つ儲けた。下りきるとクマタワ峠に達する。タワ(乢)は尾根の鞍部、峠は山越えのピークで同じ場所でも目的によって言い方が違う、それが重なって地名になるとは面白いものだ。

水はないがトイレも備わっている。ここからは東海自然歩道に指定された林道、川沿いに下っていくと何か白いものが空から落ちてくる。雪!3月下旬の麓だと言うのにそこまで来たか!2.3キロ林道を歩き左に分岐して登山道に入り沢筋に降りると済浄坊渓谷となる。両側に切り立った断崖が迫りナメ滝が美しい。クライマックスは済浄坊の滝、10m弱の落差があり、澄んだ水はエメラルドグリーンの滝壺を作っている。

サンヴィレッジ曽爾の上に続く道に達するとそこは兜岳の麓。指導標に導かれ車道を歩きヘアピンカーブの上には目無地蔵の祠、辻野Lの号令で休憩。この後はミッション3「兜岳への登山道を記入する」だ。2.5万図と地形と見比べると谷筋に沿って暫く進んだ後、尾根の先端に這い上がり忠実に尾根を登って行く。そしてそのまま兜岳(920m)山頂に達した。急登続きの登山道で皆息が上がった。

見る角度によって様々な形に見えるが南から見ると本当に先の尖った兜に見える切り立った山容はその名に相応しい。特に東斜面が切り立った断崖となっている。山頂は樹林であまり展望は利かないが、高見山が望めた。真下には宿泊したサンヴィレッジ曽爾のコテージが見える。テニスコートに野球場まで備えた大きな施設だったのだ。

北東方向に進み急斜面を慎重に下り逢坂峠(730m)に達する。最後の山は鎧岳(894m)で西側から谷筋を登り詰める。今まで登山者には誰も会わなかったが2組のパーティが下ってくるのとすれ違った。稜線に乗りあがり南に進むと鎧岳山頂、3等三角点「鎧岳」がある。晴れ間が出だしたこともあり兜岳よりは展望が楽しめた。倶留尊山は増々近づいたが、山焼きが始まる気配は微塵もない。南斜面にも道があるようだが、恐ろしく急で危険すぎるのだろう。通行禁止になっていた。

最後の記念写真を撮って来た道を引き返す。分岐を通り過ぎ北に進む。やがて稜線を離れ東の斜面を下りだすと急斜面の植林帯でジグザグに登山道が付いているので全体としてどの方向に進んでいるのか分からない。分岐点があり「←新宅本店 葛→」の指導標が立っているがどちらの地名も分からない!葛城さんの持っていた地図で「新宅本店前BS」の表示を見つけそちらの方に進んだ。しかし下り立ったところは駐車地点より随分北で2.5万図に「久津間」と記載された辺りに下りてしまったようだ。

仕方がないので県道を歩き下木場の集落に戻り、最後はTCだけで車をピックアップしてきた。屏風岩公園で辻野車をピックアップし曽爾高原のお亀の湯に立ち寄った。時間が早かったのでゆっくり過ごし甲南IC経由で帰路に着いた。

 

【感想】  40期 西田和美

お昼を過ぎても霜柱が溶けずに残っている、春なのにとても寒い二日間でした。

 一日目、大洞山の山頂から、今日一日歩いてきた山々がずらりと並んで見渡せました。「いっぱい歩いたなぁ。」とちょっと自己満足に浸る。

 下山した三多気は桜の名所とのことで、幹に地衣類やシダをまとった桜の古木が印象的でした。

 二日目、クリスマスツリーのような霧氷のトンネルの中を、美しさに感激しながら歩きました。兜岳、鎧岳は共に柱状節理が素晴らしい岩山で、見る角度によっては絶対に登れそうにない山々でした。二日間車の運転をして下さった山本さん、辻野さん、手際よく食事の準備をして下さった葛城さん、ありがとうございました。

 

【感想】  48期  葛城美知子

3月末とは思えない気温で、急登でも「寒い」の言葉しか出てこない2日間でした。空気は澄み素晴らしい展望と霧氷が見られた。回を重ねるごとに、山の名前や形が覚えられるのが嬉しいです。兜山登山口から0.5kmで山頂の表示に「そんなに近いの」と思ったが?最初の大岩の背を登るルートの横には2本のアセビが咲いて綺麗でした。そこからは木の根や露岩の急登、気は抜けないが面白く直ぐに山頂に着きました。済淨坊渓谷では連続する滝とエメラルドグリーンの滝壺を楽しみ、屏風岩公園や鎧岳では柱状節理が見られた。1日目の三多気では、今年初めてスプリング・エフェメラルのキクザキイチゲが見られ嬉しかった。咲き始めのニリンソウは可愛く、小さな沢沿いにはワサビの花が群生していた。設備の整ったコテージは外の寒さとは無縁で快適でした。急登・急下降で直ぐに次の山頂に着く山も面白いです。初めは「エー」と思っていましたがやってみると楽しいです。

 

【リーダー感想】36期 辻野喜信

今回の関西百名山の4座山に一挙に登るのは難しいと思っていました。山本TCは車を2台使って上手く縦走コースを組んでくれました。おかげで十分に歩き応えのある山行になりました。何時もの事ながらTCの下調べには脱帽します。

一般路から離れた尾高山は読図が役に立ちました。尼ケ岳と大洞山は階段道が多く結構疲れました。稜線からは東に伊勢湾、西に倶留尊山や住塚山、南は高見山から三峰山の稜線、局ケ岳?もきれいな三角形を見せていました。北には御在所辺りが見えていると思いますが霞んでいました。

泊まったバンガローは快適でした。夕食時の銘酒ですっかり酔ってしまって一人早く寝てしまいました。朝起きると朝食を用意してくれていました。感激・・・

住塚山から国見岳では樹氷が見られました。兜岳は急登の連続でした。鎧岳は南から見るととても登れそうにありませんが、道は西側から登り来たに回り込んでいました。鎧岳から北に400mほど行って下山しました。この先は特徴の無い大きな斜面で地形はまったく読めませんでした。

バンガローで足がケイレンして心配だったのですが、先頭をマイペースで歩かせてもらい助かりました。皆さん有難うございました。

 

写真1:尼ヶ岳山頂にて		H21.03.28 11:20

写真1:尼ヶ岳山頂にて H21.03.28 11:20

 

090328室生2

写真2:尼ヶ岳(大洞山より) H21.03.28 13:39

 

写真3:鎧岳(兜岳北尾根より)

写真3:鎧岳(兜岳北尾根より) H21.03.29 10:55