京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉高島トレイル踏破

 

あの山の向こうが小浜

あの山の向こうが小浜

 

 

〈個人〉 5月2日(土)~4日(月)

高島トレイル踏破

48期 寒川 陽子

今まで全然気にしたことなかったのに。

当たり前すぎてその大切さに気付かなかっ

た。…日々目にする景色の中に山がない。

京都であれば行く気がなくても山に突入で

きる程身近だったのに。だから安心して山

から離れてレースやらに行っていたのに。

だから、無性に山に会いに行きたくなった。

どっぷり山に浸かりに帰りたくなった。

【参加者】単独

【天候】 2日 晴れ

3日 晴れのち曇り

4日 曇り

【行程】 

5月2日(土)

マキノ駅前バス停13:00=(湖国バス)⇒13:20国境バス停

国境バス停13:20→国境スキー場13:30→14:30乗鞍岳35→15:10芦原岳→15:45黒河峠→16:35三国山→16:50明王ノ禿→17:05赤坂山→17:10粟柄越→17:50寒風(泊・20:00就寝)

[行動時間 4:05]

 5月3日(日)

(4:30起床)5:35出発→5:50大谷山→6:20抜土→6:45近江坂→7:10大御影山20→8:40三重嶽→9:10水谷分れ20→10:10武奈ヶ嶽→11:15水坂峠45→12:35二の谷山→13:20桜峠→13:50搦谷越14:00→15:05行者山→15:40横谷峠55→17:00池原山分岐→17:30駒ヶ越(泊・19:00就寝) [行動時間 10:40]

 5月4日(月)

(4:40起床)5:40出発→5:50駒ヶ岳→6:25与助谷山→6:30池河内越→7:00桜谷山→7:15木地山峠25→8:10百里ヶ岳→8:35根来坂峠45→9:00おにゅう峠→9:50オクスゲノ池→10:00ピーク803m10→10:40ナベクボ峠→10:55三国峠→11:45地蔵峠12:05→12:55ピーク818m→13:30岩谷峠40→14:15三国岳→15:10桑原バス停30→16:40葛川梅ノ木バス停   [行動時間 10:20]

葛川梅ノ木バス停17:20=(京都バス)⇒18:20出町柳駅前バス停

         [総行動時間 25:05]

【感想】

 広大なスキー場からスタート。目印がないのでとにかくゲレンデを登り、登山口を発見。乗鞍岳からの展望は良かったが、それまでのルートの様子が…。このトレイルのために木や根を切り倒したのがありありと分かるから。乗鞍岳までずっとずっとそんな道。痛々し過ぎて。このトレイルができた事を喜んだ私、お気楽に進むつもりだったけど、このトレイルがあることの意味を考えざるを得なくなった。

 

 黄色いリードが風になびいてる。巻きつけてあるリードよりわかりやすい。迷う支尾根の分岐にはちゃんと標識も設置されていた。乗鞍岳~黒河峠間は頭上に送電線が通るため読図に良さそう。黒河峠~粟柄越は過去に田辺CLの例会で、左足に装具装着のまま同行した事がある。左足よりも、足を庇うために手にしていたストックが重くて重くて(普段使わないので余計に)、メンバーからさんざん野次られたことも思い出しつつ。夕焼けの草原を独り占め。小浜の海と琵琶湖がきらきらと光っている。やっぱり最高、最高!あ-幸せだーって叫びたい!!極めつけは寒風。言葉失くして見とれてしまった。誰一人いなくてたった一人だけで気のすむまで。そこを泊地としたのは言うまでもない。

 

 高島トレイルの最高峰は三重嶽の974.1m。だというのにこの内容の濃さな何なんだろう。景色・ルート・植生…進むにつれて様々に姿を変えてゆく。まずルート。アルプスばりにアップダウンがしっかりある。二の谷山や横谷峠からの登りは嬉しさ余って悲鳴になるほど凄まじい急登だったけど。そして、北琵琶湖から京都北山へと山域を越えるに従って明るい登山道から鬱蒼とした木々に覆われた藪さながらの薄いトレースへ。怠慢なのか、京都北山に向かうにつれて、あれほどしつこくぶら下がっていたリードを目にする頻度が極端に下がった。迷えと言わんばかりやね~。でも個人的にはすごく嬉しかった。これでこそ北山!標高せいぜい500m前後しかないくせに、一度迷ったら最後、しかも油断するとすぐ迷う。景色もなくリードも不親切、人の入りも少ないから、真剣に山と向き合える京都北山。嫌い、大っ嫌い、もう二度と行くもんか!…と言っているうちに登山者を虜にしてしまうのが京都北山。京都北山好きは、本当の山好きだと思う。

 

 行動中に話を移すと、初日こそ暑かったものの、後2日は涼風に助けられた。山行届出の際宣言した通り、桑原までは一度も走らず。2日目昼頃は疲労で気が挫けそうになったが(初日夕飯を焦がしたのも痛かったなぁ)、誤魔化しのつもりで食べたらガッツが戻ってきた。今まで全然アテにしてなかったけどやっぱちゃんと効果あるじゃん、パワーバーって。ちょっと見直すことにしよう。それより足が痛い。富士五湖で走った際に左足甲を痛め、なんだか腫れて内出血しているし。痛くて左足の蹴りがきかない。更に調子乗って淀川走って以降、右足も痛むし。2日目からは、左足を庇いすぎたせいか、右膝が痛み出すし…まあ、学生の頃泣き泣きで歩いた事を思えば全然大丈夫なので気にせずさっさか前進。案外逆療法で治っちゃったりして!予め調べていたこともあって水に困ることはなかった。三国山直下、三国山~赤坂山間、抜土、水坂峠、搦谷越、横谷峠、木地山峠、地蔵峠と、ポイントが多く安心して進めた。

 

 下山を1日短縮できるのではと思ったのが初日の泊地。確信に変わったのは三重嶽通過時点。桑原バス停の交通の便の悪さだけが気になっていた。桑原からバスに乗り朽木まで出てから出町柳行きバスに乗るのだが、案の定…。そこで選択肢、①ここでテントを張る(やだなぁ)、②タクシー呼ぶ(でも電話番号知らないし)、③ヒッチハイクでもする(こんな臭い奴乗せないってば)。とにかく朽木発の京都バスに乗れたらいいだけなのに。あれ?ここって鯖街道マウンテンマラソンで通ってるよね?…梅ノ木まで行けば問題ないじゃん!猶予は2時間ちょい。エアリアを持ってきてないため距離が掴めないのが悔やまれる。小入谷~久多が約20km…ということは10kmちょいあるのかな?(後日調べたところ、国道738号線までが8.6km、そこから梅ノ木までが3.3kmの合計11.9km)とにかく走って行くしかない、じゃないと間に合わないもん。嘲笑うかのようにレジャー中の乗用車が脇を追い抜いていく。「乗せてあげるよ」と言われてもぜ~ったい乗らないもんね!一度決めてしまったら負けず嫌い根性丸出し。物珍しそうに凝視していく村人も無視。でっかいザック背負って必死に走ってて何が悪い!?足痛いわ肩痛いわグロッキーだった割にザック背負って70分でよく走ったな自分。下り基調だったのが幸いでした。

 

登山者はというと3日通して5組しかすれ違わなかった。GW中の大混雑を予想していたのに。日本人は流行に敏感というから、アルプスや日本百名山の山々は大混雑だったのだろうか。思いがけず静かな縦走を楽しむことができて、忘れかけていた山の魅力に圧倒された。ただ、このトレイルの開通のためだけに切り倒された自然が沢山あることを目にしてきた。高島トレイル公式HPには、このトレイルが中央分水嶺である上に若狭越という古道を通るのもポイントのひとつであり、薮に埋もれていた古道やかつて使われていた山道を活かしたものであると記されている。地域の歴史や文化を知るきっかけもなるため、こういった素朴な山々を楽しめるトレイルは嬉しい。いずれ知名度があがれば登山者やトレイルランナーが大勢入山するだろう。どうか今のような素朴なトレイルであって欲しい。地図とコンパスを持ってきょろきょろしながら歩くようなトレイルであって欲しいものである。

 

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1明王ノ禿で黄昏ひとり

 

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2笹原続きの楽園