京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.2931 「RDBの会」第7回植生調査:東山-その2

東山一帯の植生調査は、カシノナガキクイムシという虫による枯死・被害木カシ・ナラの現状観察でした。

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本日一番のリーダーの笑顔

No.2931 5月9日(土)

RDBの会」第7回植生調査:東山-その2

           40期 西田和美

【コース】伏見稲荷神社-泉涌寺-清水山―将軍塚―蹴上―日向宮―大文字山―火床―銀閣

【参加者】

CL山本憲彦 SL西田和美 大杉喬 四方宗和 小西和代 穐月大介 篠原利孝 辻野喜信 豊田幸宏 四方真知子 富岡慶子 野沢邦彦 寒川陽子 宮崎みちこ 木本美紀子    計15名

【記録】

伏見稲荷9:15~四ツ辻10:00~10:10~

泉涌寺10:45~今熊野神社11:00~剣神社11:20~東山(12)12:00~12:40(昼食)東山(18)13:00~清水山13:20~将軍塚13:50~14:00東山(25)14:30~日向大神宮15:15~大文字山頂17:12~銀閣寺18:00

【感想】       40期 西田和美

今回のコースでは、実際にカシノナガキクイムシの被害によって木屑が吹いたままになっている木を発見することはありませんでしたが、闘病中の大木を何本も見かけました。また、治療の甲斐なく枯死したのでしょうか、伐採され、ビニールシートに覆われた根本だけになっているものも沢山ありました。

京都では平成14年ごろからカシナガの被害が報告されるようになったそうです。薬剤薫蒸、ビニール被覆、粘着剤塗布、つまようじ作戦など様々な駆除方法が試されているそうです。専門家の先生によると、放置しておいても自然に終息するので心配ない…という意見もあるようです。

私たちに何か出来ることがあるかというと、これも難しいです。数年前芦生の森で、ノコギリで引いた形跡もないのに、大木の根本におが屑が積もっている奇妙な光景を見て不思議に思ったことがありました。カシナガだったとは…。 

【感想】       50期 木本美紀子

 5月の青天は、山の森の美しさを際立て、光と緑と瑞々しい空気とウグイスの鳴き声(実は半分以上は大杉さんの口笛です。最高でーす!!)の1日でした。

 東山一帯の植生調査は、カシノナガキクイムシという虫による枯死・被害木カシ・ナラの現状観察でした。資料と現状を見ながら、抜本的な解決策がまだ見つかっていない事に心が曇ります。知らなかったではなく、自らのライフスタイルを通して自然と環境保護に向き合っていかなければと考えさせられました。

 それから四方さんの顕微鏡(ネイチャースコープ.)を覗かせていただいて、草花のユニークなデザイン!新鮮な驚きです.

穐月さんの大文字山の山城、中尾城の由来・歴史の話など山の楽しみ方奥が深いです。

 脚の故障等で3ヶ月ぶりのRDB例会山行きでした、まだ脚に違和感が残っていましたので、調子が悪くなった時点でリタイアと思っていましたが、大文字山の登りでは西田さんと寒川さんが前後についてくださり、支離滅裂な私のおしゃべりの聞き役そして叱咤激励で無事完歩です。 

山岳会に入会して2年、素敵な山の仲間と共にいる幸運を実感しています。

【感想】      48期 寒川 陽子

 ここ数年、年末の度にマウンテンマラソンに出走・応援しており、東山の稜線にすっかり愛着がわいてしまった。だから今回のRDB例会コースが同マラソンのコースの一部である稲荷~大文字と知り、あっさりとRDB例会初参加を決定。

 最近歩く機会が少なかった(=走ってばかりいた)東山トレイルコース、速度が違うと目に映るものが新鮮に見えて面白かった。今例会のテーマである病虫害に侵された枯木の多さと、人の手によってかろうじて生かされている木々を見て、今までこのコースの事を何も知らなかったことを痛感した。

 もう一点収穫だったのは、活動ジャンルをはみ出して同行させて頂いたことで、自分とは違う山に対する考え方、楽しみ方を聞くことができ頭が柔らかくなった事だ。十人十色というが、当会はまさにその通りだと改めて感じた。夕暮れ時まで士気下がることなく歩き通したRDB例会メンバーの熱意の強さに万歳。

【感想】       25期  篠原利孝

稲荷駅で配られた資料に、初めて聞くカシノナガキクイムシという虫が出ており、この虫がカシ・ナラるいの樹木を枯らしていると説明をうけました。歩き出すと、森の中のあちこちに、ビニールで養生されたきり株を見かけました。森林は深刻な状況に、あることを実感しました。

今まで、樹木の知識は、全く無かったもので、会員に樹木や花に詳しい先生が、いらっしゃる御蔭で、大変有意義な山行でした。貰った資料を、家に帰って、何回も読み返しました。

地球環境やエコも大事ですが、身近な問題にも関心を持たないといけないし、出来る事を実行する事も大事だなあと思いました。

【感想】       25期 穐月大介

知っているようで知らないのが京都である、伏見稲荷~大文字間の主な歴史的史跡をおさらいしてみたい。と言っても京都は奥が深すぎてとても網羅できないのであくまで私が調べた極一部である。

1)伏見稲荷:言わずと知れた全国稲荷社の総本山であり渡来系の豪族として知られる秦氏が奉った神社でもある。古来神奈備山という祖霊信仰の山で古墳が有ったらしい(紀氏か?)其処へ後から来た秦氏が引き継ぐ形で稲荷社を奉ったようだ。秦氏は自らのハイテク技術を生かし嵯峨野の干拓等遷都前の京都の基礎を築く。その後鎌倉か室町時代伏見稲荷は山上の社殿を麓に遷し麓にあった藤森神社は深草に移されたと言われている(麓の氏子は今でも藤森神社の氏子である)。

2)坂上田村麻呂の墓:坂上田村麻呂は平安人が恐れた蝦夷を討伐しスーパーヒーローに祭り上げられ元々臨時職であった征夷大将軍を一生帯びることになる。さらに亡くなってからも武装させ太刀をはかせ棺に収め都に向かって立ったまま埋葬されたと言われている。最近その墓が判明した、九条通-泉涌寺から真っ直ぐ東に行った東山の山頂付近に有る西野山古墳である。実は田村麻呂の墓と言われるものは山科の坂上田村麻呂公園、と田村麻呂が建立したと言われる清水寺にあるが本物は此処らしい。

3)将軍塚:長岡京遷都で不運続きの桓武天皇和気清麻呂が此処に連れ出し京都盆地を見下ろし此処に都を定めるよう進言したと言われる。その後都を長く守るため土の将軍像(坂の上田村麻呂と言われる)に武装させ太刀をはかせ都に向かって埋めたので将軍塚と言われる、四つ目の田村麻呂の塚とも言える。今回和気清麻呂と田村麻呂が同時代の人だと気が付いた。

4)大文字山:五山の送り火としてあまりにも有名だが山頂に如意岳城(大文字山城)と支尾根に中尾城という中世応仁の乱頃の城跡が有る。どちらも足利将軍も使った城だが、特に中尾城は足利義晴が築いた対鉄砲装備の堅固な城だったらしい(今回は行けなかった)。 大文字山山頂はよく見ると土塁の跡や郭の跡、雛壇式に平坦にされた縄張りなどを見ることが出来た。

その他南禅寺と六勝寺、疎水、清水寺泉涌寺、御陵等々知らないことだらけなのでこの辺で。

今回東山の植生の豊かさに驚かされた、意外と椎の巨木が多く都市近郊でもっと里山化していると思ったのに意外であった、神社仏閣で山が保護されてきたのだろうか?又大文字山山頂は赤松が残りかつて山頂の木が切られ平にされた為ではないかとも思える。人の歴史と植生の関わりが解るようにまでなれば良いのだが。

【感想】      36期 辻野喜信

年に何回か登る稲荷山、今まで気がつかなかったが、今回「ナラ枯れ」被害を見た。清水山では見たことがあったが、稲荷山では知らなかった。

カシノナガキクイムシの被害だ。アカマツ中心だった東山は台風による倒木、松枯れなどで徐々にシイの木が多くなってきた。また里山として利用されなくなり老木が増加したなどの理由で被害が広まっているとも言われている。温暖化の影響も懸念されている。

それにしてもこの虫はすごい。木の中に共生菌を培養して子供の餌にする。なかなか退治するのは難しそうだ。色々と植生が変化しているのが分かった一日でした。

【感想】      6期 小西 春代

暑い暑い一日でした。

歩く距離が問題でなく暑さにバテました。

大文字山の登りでは足が、ツルー、ツルー、水分不足には充分気をつけていたのに ナゼー???。

ごまかしごまかしなんとか歩けました。今日の水分補給(アミノバイタル、750ml アクアエリアス500ml)全部飲んでしまいました。

さあー、これからはどうすればよいのか???。

皆さんお知恵をお貸しください。

                                

【感想】       6期 四方 宗和

たびたび声かけをしていただいているんですがなかなか参加する機会がありませんでした。桑谷山以来ですかな・・・・。

今回は京阪沿線・伏見稲荷が集合、スタートだったので参加いたしました。住まいと同じ路線の集合はやはり便利ですし、それがためにこのコースはよく足慣らしに真知子会員と共に歩くコースでもあるんです。

今回のRDB例会は私が3年前に由良川源流を訪ねた祭、ナラ(シイも)の大木の根元に穴が開き木屑が結構な量落ちていたのを見かけ、その後東山・将軍塚周辺でも良く見かけるようになり、岳連・自然保護委員の方からも京都近辺での目撃例を報告してくれとの説明を受けたりしていた現象の現地調査、説明会とのことで興味もことさら湧いていました。

この現象の犯人は「カシノナガキクイムシ」で体調は4.5mmほど、それが繁殖のために木に穴を掘りメスを迎えるときにカビを持ち込みそのカビが木の通水機能を低下させ枯れ死に至りしめるとのことで大変勉強になると共に由良川源流での疑問が解けてすっきりしたしだいです。

下山後、ネットでこの虫を調べたら分布地として「沖縄、九州、四国、本州」と出ておりやはり南方が繁殖の中心であることをうかがわせ「温暖化」の影響が近畿周辺にまで影響してるかなと考えさせられました。

例会にはリーダーの山本(憲)さんの他に大杉さんの参加もあり大変勉強になりました。後から走り主体の寒川、野沢、富岡の3君も加わり2桁の参加者で百万遍の居酒屋反省会も含め楽しい山行になりました。  

【感想】       44期 山本憲彦

 みなさん、あわただしいRDBの会「東山その2」でしたが、参加していただいたみなさんにまずはお疲れ様と。と言うのはどなたかが当日の歩行距離はのべ20kmを越えていたと言うことでしたから。

さて、今回は自然と人間とのつきあいを考えるというのがコンセプトでしたが、まあ、カシノナガキクイムシがまさか当例会の主役になるとは誰も思わなかったのでは?

 人間は対自然に自分勝手です。必要なときは油がないと言って松の木をことごとくひっこぬきましたし、もう柴より灯油だといってもう里山に入らなくなりました。戦後一斉に杉・檜が植林されましたが、その「恩恵」はすばらしく、今はアレルギーの患者で医院をあふれかえらせています。

今回は自然(人間も含めて)の循環ということ、ある意味では「生まれ変わり」「輪廻」などということを思い出しました。

 人はあるときに跡に譲って去っていく。それを惜しむ連れや末裔がいる。友がいる。親族がいる。それをしなかったら跡目が何のメリットもなくなる。いつかやりましたが、尾瀬でしたか、針葉樹では、更新を繰り返します。親が老齢木になるとその場で倒れます。するとその親の木が腐り始めると、親が上から落とした種子が芽を出します。もちろん、その親の木の栄養分を吸収して。子どもの木が成人する頃には親の木は腐って跡形もなくなっていきますが、子どもの足下に大きな空洞(大抵は親の木の最後の形)をのこします。子どもはその空洞を大きな支えにして更に大きく成長していきます。針葉樹の根元の空洞はそのような意味があるのでした。

 自然界ではこのようなことが日常的に行われています。

 本来なら古くなったナラやカシやクヌギやクリなどのブナ科の樹木は、ある程度の大きさになると、里山に入って村人がそれを切り取って生活に活用していました。それが上に述べたように里山が放ったらかし状態になっています。それで老木が森で大きく照葉面積を占めることになります。それを樹木自身が調整することは出来ません。なんとそれを結果として解決したのがカシノナガキクイムシだったともいえないでしょうか?かつての里人に代わって、このような昆虫が環境を左右するような状況は一種の異常事態であることを示していますが、その原因の一端が人間の諸活動にあることに気が付かないのは我々人間ばかりなのかもしれません。

 その自然を地形を武器に盾にした過去の人間のおこないを「歴史」の目で解き明かしてくれる穐月さんのマジックのような謎解きの「講話」も段々と冴えわたってきています。「自然」といっても人の手の入っていないところはない日本の国土での自然観察ですから、どうしてもその場所での過去の人間の営みを知ることも必要になります。これからもRDBとのドッキングよろしくお願いします。

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稲荷で学習中

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