京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉京都百名山シリーズNo.14 多禰山

平成2924()

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写真1 多禰寺の山門は鐘楼を兼ねている

 

舞鶴市大浦半島にある多禰山(556m)は、山腹に西国薬師49札所の30番医王山多禰寺があり、多禰寺山とも呼ばれている。お寺まで車で上がることができる気軽な山だ。しかし今回は安易な登山を避けて三浜峠の自然文化園に車を止め、府道を赤野まで戻り南から縦走した。立春とは云え、山頂部の積雪は40㎝近くあり、締った雪にツボ足で楽しみ三浜へと抜けた。

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【メンバー】 山本浩史L(車)、畑中里子     2

【行  程】 桂川6:00=沓掛IC=(京都縦貫道)=舞鶴IC7:36三浜峠・自然文化園P 7:458:11赤野BS8:46多禰寺~10:05多禰山10:4611:20小ピーク11:2212:27三浜12:3713:13三浜峠・自然文化園P 13:2214:12たかお温泉15:14舞鶴西IC=(京都縦貫道)=沓掛IC16:23桂川

【登山データ】 霧のち晴れ 歩行12.8 5時間28 延登高806m 延下降806m 1座登頂

 

単独山行になり当初計画にアレンジを加えたところ、畑中さんが急遽参加になった。京都縦貫道で老ノ坂を越えると濃霧が立ち込めた。霧は舞鶴に到っても晴れることなく大浦半島へと進んで行った。今日の登山口は赤野バス停付近を予定していたが駐車場所を探して先に進んで行ったが道路脇には側溝があり止める処がなく三浜峠に到った。峠付近に舞鶴自然文化園があり冬季でも営業しているようで駐車場に車を止めた。多禰寺への林道が峠から分岐するが赤野からの縦走を目指し、走って来た道を2.5㎞歩いて戻った。赤野集落は直ぐに途切れ地道の林道となった。車が走ることはもう無いようで登山道として利用されているようだった。

標高が上がると積雪が徐々に増してきた。「アト400m」とプレートが置かれた地点はお地蔵様も鎮座していた。林道と分かれ石段で山門に到るとちょっと違和感が、そう山門に鐘が吊り下げられ鐘楼を兼ねていた。志納料100円で誰でも撞くことができる。雪の境内は静かで参拝を終えた頃お寺の受付の男性がやってきた。本堂の裏は西国薬師49箇寺の仏像巡りができるようになっていた。空は完全に晴れ真っ青で太陽が雪に降り注ぎサングラスをしないと眩し過ぎる。寺の裏手から林道に這い上ると三浜峠から始まり多禰寺高原牧場に通じる林道だった。林道沿いに西に暫く進むと登山口があった。登山道に踏み出すと雪に覆われ積雪は30㎝程ありツボ足で進んだ。雪は微妙な締り具合で時々ツボにならずにすっすっと行けるところがありかえって力の入れ方が不安定で疲れてしまった。

暫くすると東コースが分岐した。山頂まで1.8㎞とあり、このまま行くと0.8㎞なのでかなり迂回しているようだ。このまま西コースを進み山頂域に達すると東屋があり山頂まで0.1㎞と表示があった。山頂に建てるならともかくこの地点の東屋の必要性を考えるとどうも腑に落ちないまま多禰山(556m)山頂に達した。1等三角点「多禰寺山」があるが「大切にしよう三角点」の白い標柱の頭が露出し大体の位置は推定できたが三角点を掘り起こすことはできなかった。開かれた山頂は嘗て砲台があったそうで「砲台跡」の標識が設置されていた。

南北方向の展望が開け南側は下界を埋め尽くす雲海が見事だった。北の方は日本海で磯葛島、沖葛島がすぐの所にあり少し沖合にはオオミズナギドリの繁殖地となっている冠島が海中から険しく突き出た島影を見せていた。北西方向は丹後半島で先端の船津山、権現山、そしてスイス村スキー場が白く浮き出た太鼓山など京都百名山シリーズで行った山々を望むことができた。風もなく穏やかな陽だまりの中、山頂のベンチで寛いでさあ出発と再び南側を見ると劇的に晴れていて東舞鶴の街並みを望むことができた。舞鶴東港の平集落にあるベニヤ工場の煙突から今時の環境基準では許されないのではと思われる程色の着いた煤煙が気になった。

下山は北の小ピーク(約500m)を越えて三浜へと下る。山頂北側に達している林道を進み小ピーク直下のコルに到った。2.5万図には点線道はピークを越えているが積雪で分からず斜面を適当に登った。山名があるかと密かに期待していたがピークには何もなく北へと下った。途中で東に方向が変わる処のルートファインディングが肝で2.5万図では東からの道が合流する筈だが道形がないのか、雪の下で隠されているだけなのか全く地図とコンパスだけが頼りだ。林道が見えてきたが夏道から少し南に逸れたようで断崖となっているので少し北に着地点を求めた。

林道に下り立ち少し北上すると除雪もされている1ランク上の三浜瀬崎林道に出て多禰山山頂からの林道は終わった。こちらは冬季閉鎖なのか入口に柵がされていた。再び登山道に入り谷筋を行くと大きく迂回した林道に合流した。暫く林道を歩き三浜への下降点に到った。指導標はなくテープが巻かれただけでガードレールの隙間から下って行った。此処まで来ると積雪は殆ど無くなり、最近整備されたのか登山道に被さっていたであろう木が切られ歩き易いくなっていた。里に近づくと愛宕神社の祠があったが中は祀られているべき御神体と思しきものはなかった。三浜集落の高台に下山するとアンジャ島から繋がった竜宮浜漁港に抱かれた漁村の風景が長閑で、沖に横たわる磯葛島との間に冠島も望むことができた。南東側に存在感のある山があった。2.5万図で同定すると523mと標高点の打たれたピークで名前は無いようだ。

此処からは車道歩き2.5㎞で三浜峠に戻らなければならない。標高差が170m程あり下山後の車道の登りは気分的に辛いものがあった。半分くらい来たところで下山時に一部歩いた三浜瀬崎林道の入口を左手に見て稜線で潜った送電線を再び潜ると三浜峠はもうすぐ。東に林道が分岐し空山展望台と書かれていた。むむ「空山?」と食指を動かされP523のことかと想像したが林道は山腹を巻いており山頂に到るのかどうかも分からないので今日は断念し後日の宿題とした。帰宅後空山はもう少し東で560m程の電波塔の林立する山であることが分かった。

三浜峠の自然文化園駐車場に戻り、西舞鶴のたかお温泉光の湯を目指した。途中平集落で引揚桟橋跡に立ち寄り終戦時の混乱で苦労を強いられた先人達に思いを馳せた。この桟橋のすぐ北側が山頂から煤煙の上がっていたベニヤ板工場(林べニア産業)だった。

 

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写真2 多禰山(556m)山頂は積雪40

 

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写真3 クレインブリッジ多禰山(556m) 舞鶴市大波下の海岸より