京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉京都百名山シリーズno.98・99 鷲峰山・三上山

令和元年12月21日(土)

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鷲峰山(じゅうぶせん682m)は、宇治茶の産地、相楽郡和束町にある。山域は真言宗醍醐派の金胎寺境内で山号も鷲峰山、役行者の開いた寺で五光の滝への行場がある。三上山(さんじょうざん473m)は、海住山寺の北方にある山で、展望櫓からの展望が良い。今回はこの2山を繋ぐ長距離縦走を行った。

【メンバー】 山本浩史L、加藤一子

【山  域】 京都府和束町・宇治田原町加茂町

【行  程】 京都6:01-7:27加茂7:50=8:10原山8:14~9:39鷲峰山9:44~9:55金胎寺山門~10:05鷲峰山~10:25鷲峰山三角点~10:23平岡分岐~11:13犬打峠~11:44奥岸谷山12:13~12:54白栖三角点~13:23北山13:28~14:05三上山14:13~14:38鳴子川渡渉~14:57海住山寺15:03~15:55加茂16:11-17:12京都

【登山データ】 曇り一時晴れ 歩行22.7㎞ 7時間37分 延登高1,323m 延下降

1,436m 4座登頂 

長距離縦走なので6時の奈良線で出発した。加茂駅で加藤さんと合流し和束町原山へのバスに乗った。全区間京都府下を走るのに何故か奈良交通バスが進出している。原山の集落は船屋坂三角点峰の急な斜面の南側に広がり、鷲峰山の表参詣道とされる東海自然歩道を歩いた。原山地区の茶畑は山の上まで拓かれ、中でも円形茶園は特異な景観で知られている。参詣道は船屋坂三角点峰の中腹を巻いて進むと東に張出した処の東屋の中にお地蔵様が鎮座していた。やはり古来の参詣道であることが窺えた。清水谷川を上る道となり林道に乗り上ると大きな石に「下乗」と刻まれ、金胎寺の寺域に入ったことを知らされた。

山門に到ったが入山料を取られるので門内には入らず折り返すように林道を辿って行くと彌勒殿や多宝塔、行者堂のエリアに達した。多宝塔は永仁6年(1298年)の建立で重要文化財に指定されている。更に登って行くと鷲峰山(682m)山頂で此処にも鎌倉時代重要文化財の宝篋印塔があった。宝篋印塔の案内板を兼ねた山頂標識を前に記念撮影をして北尾根へと下った。道は不明瞭で木立の中を適当に下って行くと林道に飛び出した。電波塔の取付道路が分岐する処から東のピークに這い上がった。

681mのピークには1等三角点「鷲峯山」があり東方向の展望が得られた。此処には六角形のコンクリート柱の“天測点”があった。大文字山で見たのは同じ形で“菱形基線測点”だった。この天測点は用途が少し違い、戦後1等三角点網の東京基点からの捻じれを補正するため全国48箇所の1等三角点の傍に設置された観測台で天文測量が行われた遺物である。

来た道を戻り、林道を歩き鷲峰山の西側を巻いて宇治田原町平岡への道を見送り、和束町と宇治田原町の町堺尾根を辿った。林道と登山道、農道が入り交じり地形図に無い道も沢山あり、ルートファインディングに神経を使うエリアだ。地形図には「∴」の記号が点在している。余り見慣れないがこの地域ならではの茶畑の記号で稜線にまで点在している。斜面に広がる刈り込まれた茶畑の景観は美しく、展望も得られるので気持ちが良い。

4等三角点「三本松」を目指していたが一つ先のピークまで行ってしまい三角点は断念した。犬打峠(368m’)に下り茶畑の農道を登り返した。農道から登山道に分かれ稜線を進んだ。踏み跡を辿り稜線からはみ出した奥岸谷山(522m)に達した。3等三角点「腰越谷」が置かれているが展望は得られなかった。昼食休憩を取っているとやはり12月、体が冷えてきて早々に出発した。

南に続く町界尾根は複雑な地形で地形図を確認しながら進んだ。ルートから外れる中栖三角点へは藪を這い上った。稜線には地図に無い農道があり暫く歩くとまた道が無くなり藪に突っ込だが問題なく4等三角点「白栖」(484m)に到った。谷の源頭を3本巻き込むように半円を描いて北山へと進んだ。一つ手前のピークには「P490」の黄色いプレートが掲げられていたが標高点でもないようだ。南に下り北山(487m)山頂に到ったが樹林帯で展望は得られなかった。

P490の西端に戻り北へと下り縦走路に戻った。左手に登山道が分岐したがコンパスで確認するが少し方向が違うようでそのままメインの道を進んで行くと段々コンパスの矢印が北を示し出しこれはおかしいと引き返し左手の道に進んだ。この後は比較的直線的に南西に進み登り返し峠を越え谷の源頭の右岸の稜線を下り鞍部から三上山への登りが始まるという複雑さ、登り口に「三上山へ」と表示があり始めて丁寧な指導標を見た。

京都百名山に選定された三上山(473m)は、3等三角点「三上山」が設置され、傍らに展望櫓が設置されていた。手摺りが異常に高く展望の邪魔。北東方向には北山と鷲峰山が重なって見え長い尾根を歩いて来た実感が得られた。南に下る道があり下って行くと林道に飛び出す寸前に「冒険の道」なる登山道が稜線に続いていた。地形図には点線道だけが描かれているが、林道がそれだと思い冒険の道はいったいどこに行くのか情報がなくどっちに行ったものかと思案したが、車道を歩くよりは“冒険”してみようと登山道を進むことにした。

分からない道を進む不安を持ちながら何れにしても鳴子川に下るだろうと進んで行くと結果は林道の方が地図に無い道で冒険の道が歩こうとしていた道だった。この林道はグーグル地図には既に描かれていた。鳴子川右岸に達し渡渉して南側の谷間に付けられた道を登って海住山寺へと向かった。稜線に到ると「←海住山寺 神堂寺→」の標識があり左手に進むと少し下って海住山寺(かいじゅうせんじ)の境内に達した。通過だけでも入山料100円が必要とあるが安い。桜の広場から加茂の街が俯瞰出来、関西線のトンネルがある大野山(204m)が木津川沿いに存在感を持っていた。

本道に到ると生憎、工事中で覆いが被さっていた。五重塔は建保2年(1214)の建立で国宝に指定されている。本堂の十一面観音立像は重要文化財で拝観するには追加で300円必要、工事中の本堂、しかも登山靴を脱ぐのが面倒でパスした。離れた処にある山門は歩いてこそ通ることができる。後は車道歩き3.5㎞で加茂駅を目指した。のどかな茶畑の縦走を終え加茂駅到着、駅前のローソンで缶ビールを買ってホームの待合室で乾杯して帰路に着いた。 

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写真1: 鷲峰山金胎寺の多宝塔(重要文化財

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写真2: 鷲峰山(682m)山頂にて

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写真3: 奥岸谷山(522m)、鷲峰山(682m) 白栖三角点北稜線より