京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉近畿百名山シリーズNo.99 薊岳

平成28年4月24日(日)

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台高山脈主稜線の西にある薊岳(1,408m)は雄岳、雌岳奈からなる鋭鋒である。奈良県東吉野村大豆生から麦谷川の両岸の尾根を反時計回りに周回縦走した。

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【メンバー】 山本浩史L(車)、畑中里子  2

【行  程】 京都3:30城陽IC(京奈和道)=木津IC6:06大又6:246:37大豆生登山口~8:13井光岳~9:35仏山9:4510:40二階岳南峰~10:48二階岳~11:18木ノ実ヤ塚11:4012:00薊岳~12:23薊岳雌岳~12:43木屋ノ尾頭~12:59大鏡山~13:27麦谷西三角点~14:00比増垣林道入口~14:20大又=15:25やはた温泉16:30=木津IC(京奈和道)城陽IC18:58京都

【登山データ】 曇り一時晴れ 歩行18.9 8時間56 延登高1,500m 延下降1,500m 9座登頂

 

木津ICを出ると後は一般道、早朝は空いているので走り易い。東吉野村に入り四郷川を遡り大豆生(まめお)のやはた温泉を過ぎた所に車を止めた。今日のルートは麦谷川左岸(南側)の尾根を登り右岸の尾根(北側)を周回するコースを設定した。歩行距離が長く体力レベルは星2つとした。

山間の集落ではまだ桜が見ごろでふるさと村の桜が見事だった。民家の脇に登山口を見付け入って行った。途中までは2.5万図の点線道を辿ったが、道は尾根の東側を巻き出しどこまでも山に登る様子がないので谷を横断したところで見切りを付けて尾根に取り付いた。道は無くとも植林帯で下草もなく特に問題はなく進めた。主尾根に乗り上がると何処で逸れたのかしっかりした登山道が付いていた。そして道は再び巻いて井光辻へと向かっているので稜線通しに進んだ。

登山口から1時間半程かけて井光岳(いかりだけ1,116m)山頂に到着したが展望もなく、手書きの山頂プレートが掲げられているだけだった。ここまで登りはきつかった。前日悪寒を覚え早く寝たが今日の体調は十分でないまま来てしまった。息が上がり健脚の畑中さんに付いて行くのがやっとの状態で、まだ1/4も来ていない行程に大丈夫だろうかと心配になった。何とか体力を温存していかなければならないので、栄養と水分補給を取った。

東吉野村と川上村の村界尾根を進むと井光辻の表示があり別名を大谷峠とも云う。大豆生と川上村井光を結ぶ峠で嘗ては良く歩かれていたのだろう。それにしてもこのあたりの地名は難読だ。「大豆生」は「まめお」と読ませるし「井光」は「いかり」、四郷川に分岐するところは「小」と書いて「おむら」、字は簡単だが読めない地名ばかりだ。その井光辻から八丁平にかけての稜線は複雑でしっかり地図を見ていた積もりでもいつの間にか方向が違っていたりして修正を繰り返した。八丁平は静かな開けた所で水さえ確保できたら良いテン場になりそうだ。小さなアップダウンを繰り返し、ガードレールが現れ荒れた車道と交差した。両仏山山頂付近にあるNTT電波塔への作業道路で直登して短絡、再び作業道に出るとへたばり掛けた体に直登はきつく作業道を迂回して電波塔に達した。山頂は折り返すように北上して3等三角点「瀬戸」のある両仏山(1,308m)に達したが樹林帯で展望は得られなかった。

更なる体調の悪化を慮り、まだ9:35だが食べられるときに食べておこうと暫し休憩して栄養補給をした。東方向に進み下って行くと左手から再びNTT作業道が近づき作業道の始点、麦谷林道と出会うところで林道に降り立った。此処は地蔵辻で小さな祠に瀬戸地蔵が祀られていた。瀬戸川に下る道が緩やかに右に分かれて行った。この後稜線に付けられたこの林道を2㎞近く歩き二階岳に向かうが略平坦で捗り、所々展望も利き薊岳や木ノ実ヤ塚が展望できた。

やがて林道と分かれ稜線歩きとなり標高差130m余り登って尾根の分岐点のピークに達すると「二階岳」の古びた山頂標識があった。山頂かなと思い一息ついて地図を確認すると1,242mの標高点の位置こそ山頂のようでここはピーク性があるので二階岳南峰として置いた。標高は約1,230m、本当の二階岳山頂は200m程先で達した山頂は標識の類はなく拍子抜けだった。しかし展望はこちらの方が優れていた。

木ノ実ヤ塚(1,374m)への登りは140mの登り返し、あのピークまでと頑張ると更に先にピークがあり急登を登り切って山頂に到ると、3等三角点「木ノ芽塚」が迎えてくれたが山頂標識は文字が完全に消えて山頂名を期したものは全く無くなっていた。残念ながら展望も得られなかったが、昼食休憩にしたが予期したように余り食欲が出ず行動食とコーヒーだけで済ませた。

次はいよいよ本日メインの薊岳(1,408m)だ。しっかりした鞍部へは結構下らなければならない。そして登り返しは110mでそれほど苦もなく山頂に達した。山頂部は岩場で展望が良く台高山脈主稜線の山、国見山(1,419m)、水無山(1,441m)、南の白髪岳(1,378m) 、登尾山(1,320m)など懐かしい山が展望できた。薊岳本峰は雄岳と称し、西側に雌岳(1,332m)を従えている。南からは穏やかな山に見えたが西に続く稜線は岩場の危険な下降で緊張を強いられた。雌岳は裏側から巻き込むと簡単に登ることができ木に巻き付けられた黄色いテープに「雌岳」とだけ書かれていた。

険しい稜線が続いたが鞍部に達するまでに収まった。木ノ実ヤ塚の山頂に平成21年の行方不明者の捜査情報提供を呼びかけるパウチされた張り紙を見かけたがこの稜線で転落したのだろうか、だとしたら上からではまず見つからないだろう。鞍部から登り返すと木屋ノ尾頭(1,300m)に到った。展望はなく、晴れていた空に雲が多くなり日差しが無くなった。後は基本的には下りで大鏡(1,183m)が最後のピークだ。3等三角点「麦谷2」があり下山路から西に逸れているので注意深く分岐を捜し進むとほんの少しの登り返しで山頂に到った。展望はなく、すぐに元に戻るが右手に見えた明るい窪地と神社に立ち寄るため斜面を這い下り底に達すると其処は大鏡池だった。2.5万図には水面の表示があったが最早湿原化し、干上がるのも束の間と云った状態だった。傍らの神社は何の表示もないが真新しい銅葺きの屋根が立派だった。

丸太階段の参道を登り登山道に復すと後は樹林帯を只管下るだけ。今日は体調の悪さであまり考える余裕がなく用意していた3つのミッション「高見山を山座同定する」、「白鬚岳を山座同定する」は何れもパス、最後の「4等三角点『麦谷西』(878m)を発見」は下山路の傍らにある筈なので標高が下がると注意を怠らずに捜していると左側の藪の中に標識を発見、コンクリート製の真鍮のヘッドの付いた新しいタイプのものだった。この後は稜線を離れ北側の巻道となり益々長い下りにうんざりしてきた。登山道は何時しか林道となり四郷川を渡ると県道に達した。反対側の谷を登ると和佐羅滝が案内されているが結構遠そうだ。誰も人影を見ることもなく県道を歩き駐車地点に戻った。

今日の立ち寄り湯は100m程先にあるやはた温泉で、朝見たときは比較的しっかりした施設かと思っていたが、お風呂が一つあるだけのこじんまりした施設だった。(入浴料500円)

 

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