京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No. 3657 明神東稜と明神主稜

2017年4月29日(夜)~5月2日

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【メンバー】L A.T、辻博史 計2名

【天候】快晴→吹雪→快晴

【行程】4月29日夜:京都〜平湯
4月30日:平湯〜上高地5:30〜明神館6:30〜瓢箪池9:30〜ラクダのコル16:50(幕)
5月1日悪天候のため停滞
5月2日ラクダのコル5:00〜明神本峰9:00〜明神Ⅱ峰11:00〜Ⅲ峰12:00〜前明神沢下降14:00〜岳沢登山道16:00〜上高地16:40

【記録と感想】51期 A.T

 明神岳といえば2015年の夏に、辻さんと2人で今回と同ルートを辿っていて、我々は明神岳の素晴らしさに感銘をうけ「次回は残雪期にもぜひこのルートをたどりましょう」という話をしていた。

 それでその翌年は何となく時間が過ぎてしまい実現出来ずにいたものだったが、今年こそはということで、企画することになった。

 

 メンバーははじめ、四人くらいいたので、これは賑やかになりそうだなと思っていたが、何だかんだの事情で一人二人と参加中止となり、けっきょくのところ、夏を同じように辻さんと二人で行くことになったのであった。

 

4月29日

夜から出発し、平湯料金所前で仮眠。

 

4月30日(快晴)

暗いうちから起きて、あかんだな駐車場へ。

バスに乗って上高地へ到着。

トイレへ行ってからさくさく歩いて明神館へ。

明神館から明神岳を見上げると、夏に歩いたひょうたん池手前の大平原みたいなところはすべて雪で埋まっていて真っ白に光っている。

明神館で少し休んでから出発。

宮川を少し登ると雪が出てきて、圧雪された固い雪の急斜面をどんどん登る。

夏と違ってガレ場が雪で安定しているので歩きやすいといえば歩きやすいが、斜面が急で疲れる。

途中、辻さんがアイゼンを着けると言うので、自分もあわせて装着。

少し上がるとさっそく宮川のコルが見え出したので、「これは楽勝ですね」「今日のうちに主稜まで出てしまいますか」何て話をしていたのだったが、やはり夏にも同じような会話をこの辺りでしていて、結局すぐにバテバテになってしまったのだった。

そして今回もまあやはり、まったく同じようにその後すぐにバテバテになって歩みが遅くなってしまった。

やたらと息が上がって苦しい。

特に辻さんは疲労がひどく、ひょうたん池までたどり着くと、「今日はもうここで」ということを言うので「いやいやそれはさすがに有り得無いでしょう。」と辻さんを励まし、前進することに。

ひょうたん池で大休止したあと、ハーネスを装着して第一段階に取り付く。

取り付きのところで、左側直登方向の頭上からロープが二本ぶら下がってきている。

二本というところからみると懸垂下降で使用した様子だが、未回収で置いていったものなのか、それともロープが抜けなくなってあきらめて残置していったものなのか。

このロープをつかんで登ろうか、とも一瞬思うが、ロープが草付きの中途半端なところまで登らないとつかめないのと、下手にロープをつかんで上がっても、撤退用のラインであればその先で詰まってしまう、ということ。

そもそもぶら下がっているロープが信頼出来る支点によってセットされているのか解らないということで、このロープを使うのはやめておくことにする。

一方で右を見ると草付きを少しトラバースしたところに立ち木などがあり、こちら側からなら支点をとりながら登れそう。

また、踏み後もあることから、ロープを出して確保しながら右側に進路を取ったが、これが間違いだったかもしれない。

踏後はどんどん右にトラバースしながら、うまく弱点を突いて登っていくルートで、ルートの取り様は悪くないというか、ここから以外では難しいだろうというルート取りだが、右から大きく回り込んで登っていくために直登するよりもかなり遠回りで長い。

たしか1~2ピッチで行けるはずの第一段階を6~7ピッチかけて登ることになった。

また、悪い草付きや、午後からの気温の高さで雪が腐って足元がいつ崩れるか、という雪壁を長いことトラバースさせられ、大変に神経をすり減らしながら登った。

けっきょくラクダのコルに到着したのは日の沈む一時間前くらいだった。

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二人ともかなり疲労困憊している体にムチ打って、スノーソーとスコップで急いでテントサイトを作る。

その日の夜から天気が荒れる予報で、そうでなくても地形的に風も強そうなので、念入りに壁を作った。

テントをたて 、ご飯を済ませて就寝。

夜になりときどき強い風が吹いて、テントがバザバサとバタついて、吹き飛ばされやしないか、と心配しながらウトウト眠る。

 

5月1日(吹雪)

 4時頃、テントを少し開けて外を覗くが、真っ白になっていて一寸先も見えない。

また眠って6時ころ、日が出るがあたりは相変わらず完全にホワイトアウト

辻さんと相談し今日は完全に停滞することを決める。

テントの回りを雪かきして、壁をさらに高くしたり、テントの張り綱をしっかり張り直したりする。

それでも天気がここまでひどいのはまだ早朝だからだろうと思っていたが、けっきょく夕方くらいまでずっとホワイトアウトしていて、1日テントの中で寝て、起きて雪かきして、の繰り返しだった。(こうなるとわかっていれば文庫本のひとつももってくればよかったが。)

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夕方になりようやく天気が回復する。

辺りは絶景。

踏み跡は、来た道の分も行き先の分もすべてきれいさっぱりなくなってしまった。

この日登ってくる人は誰もいなかった。(当たり前か)

 

5月2日(快晴)

4時頃起きて準備し5時頃出発。

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見るとバットレスの岩は下半分は完全に雪に埋まり、右半分も雪がかぶさっていて、こんなコンディションはどの記録の写真をみても無かったというくらい雪が多い。

雪が多いので岩が埋まって楽に登れるかと思ったがそうではなく、ガリガリの固い雪の表面にパウダーの層が積もった様な微妙なコンディションの雪壁で、安定せず心もとない気持ちで登る。

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ときどき露出する木の枝を掘り出して、束にしてガースヒッチで支点にしたり、岩のクラックを見つけてカムを使ったり。

2ピッチほど登ってバットレスへ着くが、岩登りセクションも下から考えていた様に簡単ではなく、雪に埋まっていることでかえって難しい。

雪は岩の表面にパウダーが少し被っているだけで踏み固めたり出来るものではないし、岩のホールドやスタンスを隠してしまっているため非常に困難な登攀。

一歩上がっては雪を払ったり氷をピッケルで砕いたりしながら、次のホールドやスタンスを探さないといけないが、何しろ安定している姿勢ではないので、早く次のホールドスタンスを見つけないと滑り落ちてしまう。

そのため、一歩一歩上がるのも覚悟しながら登る。

本来はスラブ壁を右に登るのが一般的の様だが、すべて雪と氷に覆われているため、支点を探し出せるとは限らない。

そのため、左のクラック沿いから登ることにするが、こちらのクラックにも氷が詰まっていて容易ではない。

ピッケルで氷を砕いて砕いて、ようやくホールドを探り当てながら一歩体を引き上げ、クラックの上部にカムをセット。

もはやフリーで上がる気もさらさら無いのでカムや残置ハーケンをつかみながら上に抜ける。

荷物も冬山テント泊装備なので、岩の上に体を引き上げるごく簡単な動作でもとても力がいる。

後ろにひっくり返りそうになりながら必至で体を岩の上に上げて、ようやく乗り越すことができた。

その後のピッチも雪壁を登れば良いだけなので余裕かと思ったが、雪の状態も良くなく、なかなか支点も取れずに恐い思いをしながら、最後山頂の小さな雪庇状を壊して山頂に到着。

上空ではヘリが飛んでいて、何度も我々の上空を旋回して様子を見ている様だったが、頂上に着く手前くらいからいなくなった。

辻さんをビレイして辻さんも登頂。

前に夏に登った時もそうだったが、とても充実感があり、苦労したぶん、とても嬉しい気持ちになった。

辻さんと握手をする。

天気も快晴で、登ってきた東稜や前穂高岳奥穂高岳、焼岳や上高地、御岳、果ては富士山までよく見えた。

その後のルートだが、辻さんはもうそのまま奥明神沢で下山してしまいたい様子だったが、自分はどうしても明神主稜をたどって行きたかったので、辻さんに頑張りましょうと言うが、辻さんはとてもウンザリした様子である。

明神Ⅰ峰から慎重にⅡ峰とのコルに下りる。

コルからⅡ峰を見上げると、これまた下1ピッチ分はほとんど雪に埋まっていて、これはまた簡単に登れるのではないか、と考えたがこれまたとんでもない話で、雪で埋まっているのはあくまで表面だけであり、足場のほとんど無いような岩を、雪を掘り出してホールドスタンスを探したり支点を探したり。

時には無い雪を無理に固めてごまかして上がったりしながら登る。

登りやすそうなところから登っていたが、気がつけば夏のルートからはだいぶ上に外れてしまっている。

一歩一歩恐い思いをしながら、大きく岩が露出している所まで何とか上がり、クラックにカムを入れ、安堵のため息が出る。

夏の1ピッチ目終了点の少し手前あたりで、ロープの流れが悪くなって一旦ピッチを切る。

2ピッチ目は完全に岩が露出していて登攀はとても容易。

ここへ来てようやく爽快感のある登攀が出来た。

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本来例年通りの積雪なら、バットレスも先ほどの1ピッチ目も、岩が露出している筈なので、このような感じで登れたはずなのだが。。。

Ⅱ峰の上から登ってきた東稜を見るが、今日は誰も登ってこなさそうで、この日に登頂したのは多分我々だけだったろうと思う。(昨日の吹雪では当然だが)

その後Ⅲ峰からⅣ峰(だったかな?)への下りでラッペル用に岩に捨て縄が巻いてあり、見ると確かに急な下り。

辻さんは疲労からだいぶ弱気になっているようで、懸垂下降で下りたいとのこと。

辻さんの持参した捨て縄を拝借し、岩に二箇所巻いて懸垂下降で下りる。

先行して懸垂で下降してみるが、途中で空中懸垂になるところがあり、荷物が重いため疲労した腕に応える。

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懸垂の途中でうっかりピッケル(バイル)を下に落としてしまう。

ちゃんと脱落防止ヒモを着けていたはずだったのだが、懸垂下降のセットをする拍子にうっかり外れてしまったのかもしれない。

このバイルを落とすのは楊梅の滝から落としたのとで、これで二回目になる。

直前に辻さんに「このバイルが登攀中にいちいちひっかかってイライラして、投げ捨ててやりたくなりましたよ」という様な話をしていたので、もしかするとバイルが世を儚んで身を投げたのかもしれない。

幸い、ちょうど下りたところの斜面にバイルが横たわっていたので、無事に回収が出来、心のなかでバイルに詫びた。

そこからしばらく歩くと、這松帯から先に下りやすそうな沢筋がある。

これが前明神沢とみて違いないだろうということで、雪渓をさくさくと下って行く。

長い雪渓を、脚がガクガクになるまで下った頃に岳沢登山道に合流。

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16:50頃、なんとか無事、明るいうちに上高地まで戻ってこられた。

上高地で登ってきた明神岳を見上げながら安堵でガックリ脱力して、最後に辻さんに「こんなことに付き合っていただけるのは辻さんだけですよ」と言うと辻さんに「もう二度と付き合わない」と言われた。

 

今回の山行は、登攀もさることながら山行中のトレースはほぼ雪で埋まっていて、自分でラッセルして足場を固め無いといけない、テント場もナイフリッジ状の雪稜を一からならして作らなければならないしで、本当に大変だった。

また、明神主稜の縦走は自分の希望でお付き合いさせてしまった。

しんどい目、恐ろしい目にあわせてしまって、誠にすみません。

 

しかし辻さんも毎回怖い目を見て、「これで最後だ」という様なことを言っておきながら、それをすっかり忘れて結局また次も来ているという懲りない人である。

今回の山行で愛想をつかされてしまったが、そうは言っても、次回もけっきょくお付き合いいただけることだろう、というのが自分の見立てである。

 

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【感想】53期 辻 博史

明神岳は以前夏季に同ルートを登ったことがあったので(この時もA.Tさんに連れて行っていただきました。)残雪期の方が登りやすいかもと思っていました。ところが過去の記録よりも雪の量が多く、その雪も腐れ雪でピッケルも足元も安心ならぬ状態でさんざんでした。

ひょうたん池からラクダのコルまでの間で、記録では1~2ピッチロープを出した記述の物ばかりでしたのでそのつもりでしたが、今回は5~6回はロープを出して上りました。また、夏の時もそうでしたが一気に高度が上がるため、すぐに息切れする状態になり、初日の幕地(らくだのコル)に到着したのは16時過ぎでした。(夏場は同じルートで12時前に到着していた)

2日目は予報通りのガス、強風、雪の悪天候停滞となりましたが、正直、この停滞があったため、ゆっくり休息できて助かりました。

3日目に登頂をしましたが、核心部といわれるバットレスにいたる取付きが前日の風雪で状態が悪く、岩に付いた氷雪を払いながらの登攀となり、その後のバットレス登攀後もロープなしでは上がる気がせず、ずいぶん時間を掛けての登頂になりました。

また、主稜登頂後の2峰の登り返しがまたまた状態が悪く、今回の山行で一番怖い思いをしました。

今回、雪の付き方や雪の状態によって、山行の難易度がこんなにも違うのかといろいろと学ぶところが多かったです。また、久々に「やばい!」と思うこともありました。2峰の登り返し後は弱気になり、3峰からの下降は懸垂下降をお願いするなど、まったくダメダメでした。(今思うとクライムダウンした方が早かったですね。)

毎回、厳しい状態でもリードされるA.Tさんはすごいと思います。技術・体力だけでなく、メンタル面でも非常に強いなと毎回関心します。今回もA.Tさんが全行程リードをしていただいたおかげで無事、帰ってこられました。ありがとうございました。

№3656 京都外周ウォーク④ ~北白川不動温泉から比叡山 を歩く~ リーダーポイント例会

2017年4月 29 日(土)

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[比叡山頂で]

【参加者】CL崎山康治、SL松井 篤、

奥野淳子、(体験参加)O.M. 以上、会員3名、体験参加1

【天候】晴れ後雷雨後晴れ

【行程】北白川不動温泉(地蔵谷バス停)9:30出発→沢沿い道→京都トレイルNo63への分岐→沢左岸の比叡アルプス登山口の標識9:47-(尾根筋に入る)→P383m10:00→一本杉への尾根筋鉄塔10:35休憩→大鳥居への分岐→沢沿い道出合→大鳥居·トレイルNo 67 11:30休憩-(東へ辿り)→稲荷社11:50谷川の東から北へ上る尾根筋→比叡山ガーデンミュージアム·四明岳付近12:50ガーデンミュージアム入口前 休憩·昼食13:20発→大比叡 84813:30(東へ辿り)→阿弥陀堂13:50【雷雨のため雨宿り】→根本中堂14:10延暦寺会館北14:20-(東へ下り)→日吉大社鳥居前15:20JR坂本駅15:40

【歩行距離等】

歩行距離:12km

所要時間:6時間10

累積標高差(+):1,022m

累積標高差(-):1,159m

【感想】

 46期松井篤 前回に引き続き崎山さんの例会に参加させてもらいました。天候悪化で途中下山とはなりましたが、荒れた古い道を辿り、比叡の頂上まで行くことができたので、その点ではおおいに満足できました。今回も崎山CLをはじめ参加者全員で地図と睨めっこしながら、ルートを探すとても楽しい例会でした。車やケーブルカーでも頂上に行ける比叡山ですが、ルート次第で全く違う楽しみ方ができることを再認識しました。

50期奥野淳子 「京都外周ウォーク」にはに続き2度目の参加でした。今回も地図を見ながら道を探す楽しい山歩きでした。

新緑の自然林はただ歩いているだけで気持ちが良いですが、地図を片手に歩くと楽しさ倍増!です。地図読みは難しく皆様の後をついて行くだけでしたが、とても面白かったです。

体験参加O.M.

天候の急変があり、最終目的地まではたどりつけませんでしたが、私には十二分な山行体験をする事ができました。

今までは登山学校や、他の山に行くにしても、整備されたルートをたどるばかりでしたので、あまり多くの方が歩かれていないルートを地図を読みながら歩くのはスリリングでしたし、読図ができたら登山の楽しみ方一段と広がる事を体験する事ができ、貴重な経験をさせて頂きました。

   天候の急変には驚きましたが、それもまたよい経験ができたと思います。

色々と勉強になる一日でした。

57期崎山康治 出発地の地蔵谷は白川の源流の一つらしく白砂が堆積し、尾根筋も花崗岩や白砂交じりでした。途中から沢筋に戻りましたが荒れた沢沿い道でした。前から気になっていたトレイルNo 67近くの石鳥居から南へ下る道が確認できました。四明岳登り口までの沢辺には九輪草の葉が見えましたが以前よりは本数が減っているようでした。四明岳へは直登の急斜面で、最後はガーデンミュージアムのネットに突き当たり、結局頂上トイレの方に回ることになりました。天気予報のとおり昼下がりに大比叡あたりから雷雨があり、雨宿りをしてエスケープルートを下る山行となりました。境内では阿弥陀堂などの桜が満開で、途中で天気が回復し新緑の中を無事に下山できました。

腰折れを2

「稲妻に木立が浮かぶ阿弥陀堂

「奥比叡今を盛りの遅き春」

〈個人山行〉《山紀行925》京都百名山シリーズNo.21 長老ヶ岳

平成29429()

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長老ヶ岳(917m)は、南丹市美山と京丹波町和知の境にある秀峰で嘗ては密教寺院が100余りあったが焼き討ちにより廃絶し仏像は京丹波町仏主の集落に下ろされた伝わる。大野ダムに到る美山トレイルの南尾根は、仏岩の岩稜があり、仏主や上乙見からのメジャールートと違った趣がある。

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【メンバー】 山本浩史L()、船木佐織 2

【行  程】 桂川6:26=沓掛IC=(京都縦貫道)=丹波IC7:40川谷川浄水場8:01大野ダム8:098:37 P3639:07熊坂峠~10:11仏岩10:2410:34 P75210:55 P82211:34 P88412:01長老ヶ岳12:2112:30仏主峠13:2514:12川谷川浄水場14:21~(自転車)~14:48大野ダム14:5715:08川谷川浄水場15:50スプリング日吉16:57=千代川IC=(京都縦貫道)=沓掛IC17:46桂川

【登山データ】 晴れ一時雷雨 歩行10.9 6時間03 延登高1,064m 延下降937m 2座登頂

 

今回のルートは美山町側の大野ダムから南丹市京丹波町の市町境尾根を歩き長老ヶ岳に到り、美山町三埜(みつの)に下山する。南丹市美山町の境界尾根は、美山観光協会が開発しようと調査のテープを設置しただけのもので正式なものではない。三埜の川谷川浄水場の前に折り畳み自転車をデポし大野ダムの畔に車を止めた。

駐車地点から府道を和知側に進むと南丹市から京丹波町に少し入り込んだ尾根の先端部に林道の分岐があった。林道をジグザグに少し登ると2.5万図のとおり大正稲荷神社があった。安全祈願をして林道を更に登った。終点にコンクリートの小さな建物がありその脇から尾根に取付いた。微かに踏み跡があり、所々に「美山トレイル」のテープが巻かれていた。急登路を登るとP363に到り大野ダムの畔から尾根の東面を登って来る登山道が合流した。共同アンテナの施設がありその裏手から眼下に大野ダム湖と対岸の山々が望むことができた。

アップダウンを繰り返してなだらかに稜線を進みP390に到ると急斜面を下って熊坂峠に達した。深く切れ込んだ峠で塩谷集落と樫原集落を結んだ古道が越えていたのだろう。登り返しも恐ろしく急で斜面をジグザグに登った。暫く急登が続き、足元にはイワカガミやスミレが咲きだしており、踏みつけないように注意して歩いた。稜線は岩交じりとなり大きな岩隗が目の前に現れた。仏岩(730m)に到る稜線は険しいが、このルートの醍醐味だ。固定ロープもあるがそれほど問題はない。大迫三角点峰から流れてきた顕著な尾根が西側から合流する処が仏岩で到着すると小休止を取った。

略北上していた稜線は北東に向きを変えP752からP822に到った。小さなプレートに「P822」と表示があったが山名があっても良さそうだ。少し進むと開けた処があり前方に岩稜が控えその奥にはP884が横たわっていた。仏岩だけではなく随所に岩稜があり楽しめる稜線だ。P884美山町音海や大野集落からの登山道が南東から合流し北北西に進路を変えた。稜線いはタムシバが白い花を咲かせ楽しませてくれた。ソメイヨシノの季節は終わったが山肌には山桜が、里では八重桜がまだ頑張っており遠目に花見を楽しめた。

小さなアップダウンはあるが比較的なだらかに進み長老ヶ岳(917m)に到った。10数名のグループが焼肉を楽しみその内の一人が尺八で「いい日旅立ち」を演奏していた。山頂には1等三角点「長老ヶ岳」があり、昭和63年の京都国体の炬火採火の台座が残されていた。山頂標識は石造りの縦型で真新しい。昼食休憩を取っていると丹後方面の空が真っ黒になり遠く雷鳴も聞こえ出した。天気予報では午前中晴れ、12時以降雷雨となっていたのが、その通りになってきたようだ。

急いで昼食を終え東へと進んだ。東の稜線は旧仏主峠から地蔵杉(899m)、頭巾山(871m)へと尾根で繋がっている。雲に塗り潰されそうになりながら辛うじて青葉山(693m)の姿が確認することができた。林道の仏主峠に到ると東屋があり傍らには文字の読み取れない石碑が建っていた。北東に続く尾根に踏み出そうとした矢先、船木さんが落ち葉に埋もれた側溝に足を取られ転倒し顎から出血してしまった。手当をして出発しようとするとポツポツと雨が降り出したので雨具を着ようと東屋に入った。雨装備を整えていると丹後に掛かっていた黒雲が流れてきて突如起こったつむじ風が落ち葉を巻き上げ、忽ち豪雨となった。遠かった雷も徐々に近づき稲妻の閃光が見えたかと思うと間髪置かず雷鳴が劈くようになり、徒ても動ける状態でなくなった。船木さんの負傷がなかったら稜線で遭遇し大変だっただろうな語り合い寒さに震えながら約1時間様子を見ていると雷鳴が遠退き、空が明るくなり、雨も小降りになってきた。さあ行こうと歩き出すともう殆ど雨は止み嵐は通り過ぎた。

P831に到ると旧仏主峠方面を越えて地蔵杉方面に到る尾根が分岐しているが道はピークの東側を巻いていた。東に続く尾根を進み暫くは尾根通しに進む筈だったが「川谷→」の指導標に従い明瞭な道をジグザグに南側の川谷川源流の谷へと下りて行った。2.5万図に描かれた道はもう少し尾根を進んだ処で此方も気になったが明瞭な道は苦労なく有り難い。歩いていると何と日差しまで戻ってきてあの激しい雷雨は何だったのだろう? と劇的な回復を喜びあった。谷を高巻く登山道は道幅を拡げやがて林道となり北からの谷と合流して林道の分岐点に達した。双方の林道にゲートがあり一般車は進入できなくなっていた。あと数十m進むと自転車デポ点の川谷川簡易浄水場に達した登山を終えた。

船木さんがザックを守って待機し、僕一人が自転車で9.5㎞の道程を走り大野ダムへと戻った。舗装された路面からは日に照らされて湯気を立て、急速に路面が乾き始めていた。府道12号線に出て由良川沿いの道で八重桜を楽しみながら駐車地点に戻った。船木さんをピックアップしスプリングひよし(入浴料740円)に立寄り帰路に着いた。

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No.3655  太陽ヶ丘OL 読図例会  *読図ポイント

2017年4月23日(日)

 

【メンバー】
小泉賀奈子(CL)、山本夏雄、四方宗和、船木佐織、増川雄太、梅村重和、YN    

計7名
【行 程】
4
23日(日) 快晴
9:20
山城総合運動公園(太陽ヶ丘)体育館  

前にてOLの説明と同定の仕方を確認

9:43 OL開始(3分おきにスタート)

  943 YN  946  増川

  949 梅村  952 船木

  955 四方  958 山本·小泉

 *12時終了、体育館前に集合。

1223 全員ゴール地点に戻る。

  1150 船木  1155 YN

  1158 梅村  1200 山本

  1201 小泉  1204 増川

  1223 四方

1230 昼食(食堂にて)

1320 難易度の高い場所の確認

1410 終了


【記録】      52期 小泉賀奈子
 春の陽気が心地よいピクニック日和の中、太陽ヶ丘で常設のパーマネントコースを巡るOLを行った。「冒険の森」「遊びの森」から成る南北1350×東西450mの敷地内にある30個のポイントを、地図とシルバコンパスを使って探して回る競技だ。ポイントは、初級·中級·上級の3つの難易度があり、それぞれ10個ずつ、計30個設置されている。ポイントを見つけたら、上部に取り付けられたホッチキスのような装置に用紙を挟み、地図に穴を開ける。今回の設定時間は2時間。時間以内に、どれだけの数のポイントに辿り着けるかを試した。

太陽ヶ丘OLの特徴は、遊具や東屋などの人工物が点在していること。実際に歩いてみて地図を照らし合わせるとよく分かるのだが、慣れるまではどうも惑わされてしまう。「地図上の風車のような模様は何だろう?風力発電だろうか。」と思って行ってみると、風車はどこにもなく、「なるほど、俯瞰したらこの形になるのか。」と思う遊具がある。また、地図で見るとすぐに辿り着けそうな場所にポイントがあるのに、行ってみると、藪の中や急斜面を進むことになる。いろいろな意味で予想を裏切られる。そして、ポイントを見つけた時は、宝物を発見したような気分になるから、次のポイントを見つけるモチベーションが上がる。不思議な魅力があるのだ。

 

 

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体育館前の桜の木の前で

 

受付で専用の用紙をもらい、OLについて説明した後、体育館の外に出て現在地を確認し、一番近くにあるポイント37を同定した。今回は特にシルバコンパスの合わせ方が重要となる。方向さえしっかり確認できたら、極端な話、直進すれば必ず辿り付けるからである。思い込みに囚われず、素直に行動することが鍵となる。

いよいよ開始。12時には食堂前に集合すること、途中で皆に出会っても、情報交換はしないことを確認した。各々3分の間隔をあけて、YNさんからスタート。

12時。戻ってきた人たちで、感想を交流。南半分だけを回って時間切れになった人、歩く中で見つけやすいポイントだけを回った人などそれぞれの戦略を聞くのも面白い。

そんな中、待てどもなかなか戻ってこなかった四方さん。電話をかけると「あと3つなんやけどな。(ポイント)54の近くにいるから、戻るまでに時間がかかる。」とのこと。2時間の設定では全問クリアが難しいことは承知の上。全員が戻ってきたところで昼食をとった。

 食堂は昨年リニューアルされたらしく、メニューも豊富になっていた。大学の学食の雰囲気。部活後の部員が雑談する感覚でOLの感想を交流した。みんなで確認したい箇所は4つ。南側に位置するこれらを後半は回ることにした。

 ポイント56は、意見が分かれる箇所であった。「南側にあるピークから尾根伝いに歩いたが、見つからなかった。」と梅村さん、増川さん。水路の端から同定し、山本夏雄さん持参のメジャーで直線距離を結ぶ。結論、ポイントと地図上の印はズレてはいなかった。尾根が広いのとポイントが低めに設置されていることで、見つけにくかったのだろう。また、ポイント51は谷を50mほど直進するとたどり着く。夏雄さんから歩測のレクチャーを受け、船木さん、YNさんが確認された。

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 回りきれなかった箇所は次回のお楽しみにとっておくことにし、駐車場で解散した。

各々の記録は以下のとおり。

 

氏名

初級

中級

上級

ポイント数

時間

YN

8

7

3

18

2h12m

増川

5

4

7

16

2h18m

梅村

5

4

5

14

2h09m

船木

6

5

5

16

1h58m

四方

10

9

8

27

2h28m

山本

6

6

6

18

2h 3m

小泉

10

8

9

27

2h 3m

【感想】      6期 四方宗和

宇治の太陽ヶ丘は以前から耳にしていたのですが、行ったのは初めてでした。行ってみて驚いたのは広さでした。前日行った万博記念公園より起伏に富んで遊具も多く、好天の休日ということで多くの家族連れでに賑わっていました。

さてOLですが、過去少しばかり経験したパーマネントコースはどのポストも道路より見つけやすい所にあるのが常ですが、此処のポストはどれも難しく、メンテナンスもしっかり出来ていて私にとっても楽しいものでした。楽しみすぎて終了時間をオーバーしたぐらい楽しみました。申し訳なかったです。

【感想】     59期 梅村重和

ちと肌寒いけど、朝からドピーカンの快晴。私にとって初めてのオリエンテーリングということで、小泉隊長のもと、山城総合運動公園太陽が丘)に出撃。オリエンテーリングと言えば、里山や公園でそれらしき標識を見かけたことがあるが、実際にやったことはなかった。まあ、地図を見ながらその辺りを適当にウロウロすればこんな標識なんて簡単に見つかるだろう、と思っていたが、オリエンテーリングを舐めたらいかんぜよ!と言うことで難易度はなかなかのもの。通常、お山を行動するときは概ね尾根と沢筋の形状で、現在地と目的とする所を判断するが、ここは公園という性格上、トイレや東屋、ウォーターハザードや駐車場等人工物が色々ある中で、ちょっとした地形の起伏や目印となる建造物をきっちり見極めながら、ピンポイントで標識を見つけるのは、思った以上に困難である。ぼーっとしていたら現在地すら分からなくなりそう。もともと距離感がノーカンな所にもってきて、5000分の1の地図となれば、益々、ノーカンが冴えわたる(!?)。現在地がここだから、この尾根の先に標識があるかな?と見当を付けて、上手く見つかったりすれば、思わずひとりでガッツポーズ。ゲーム感覚で達成感を味わえます。

これとミリタリーゲームを組み合わせてやったらもっと面白いだろうな、標識の代わりに松茸かタケノコだったらもっと気合が入るかも、と思いを巡らせ標識を探すこと制限時間の2時間程があっという間に終わってしまった。成績は3014勝(30個の標識のうち見つけられたのは14個)という結果で、とりあえずの合格点60%(??クリア)を取れなかった。地図を注意深く読み取るにはいい練習になった。また、やりましょう!!小泉隊長、深謝!

【感想】       60期 YN

2回目の例会参加でした。山行も楽しいが、読図も別の楽しさがありました。

太陽ヶ丘も初めてで、かつ快晴だったことも気持ちを高めてくれる。ポイントがかなり藪の中にあるものもあり、子どもの頃にしたOLよりも難しい。コンパスの使い方は少し予習してきたのでなんとかなったが、巻き道に行くとすぐ迷ってしまう。自分は道に迷いながらも走り回り、そこそことれたと思ったが、先輩方は同じかそれ以上とられていたのはさすがだった。また確認作業では自分の複歩を知ること、読図は孤独なものということも勉強になった。

途中看板通りスズメバチにも出くわしたが、それ以外は楽しいOLでした。また参加したい。ご一緒していただいた皆様、小泉リーダーありがとうございました。

【感想】     55期 船木佐織
初めてのオリエンテーリングは全てが新

鮮で楽しかったです。とはいえ確実に地図

を読み、確信をもった上でポストを見つけ

るより、付近まで行けたものの見つからず、

きょろきょろしているうちに偶然発見する

ことの方が多く、まだまだ修行が足りない

と痛感しました。このいつまでたっても地

図読みが上達しない理由は、四方さんや山

本夏雄さんに比べ、自分の粘りのなさも一

因なのだと思います。お二人を見習い、粘

り強く修行あるのみです。いつも学びの場

を提供してくださる小泉さん、楽しい例会

をご一緒させていただいた皆様、ありがと

うございました。

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【感想】      8期 山本夏雄

今回はポイントOL形式で行われた競技でした。「山屋の読図」の勉強に楽しみ

ながら、体力のアップにも役立ちますが、気を付けたいのは成績にあまり固守しない方が良いと思います。たまにやって読図力を経験するのもOKです、

出来たら自分らでポイントを設定するのも方法ですが手間と人が必要です。OL協会やその他の団体が行っている大会に便乗するのも一つの方法です。参加費が昔より高くなっていますのと、事前に申し込みが必要です。OL協会で見られます。     

【感想】     59期 増川雄太

当日は快晴で気温も高すぎず、楽しみながら参加できました。はじめに、小泉さんはじめ、参加者の方々、ありがとうございました。以下は、私が講習会に参加した背景と、参加した後に得た学びです。
 GPSは便利です。自分で考え、地図上に現在地を把握しなくても良いためです。ただ、GPSは本来、使用者が次の道を考えるための道具です。そのため、使用者は道具を理解し、使いこなす必要があります。
GPS
は当然ながら地図をベースに作られています。地図を読めることは、GPSを使いこなすための基本技術とも言えます。そのため、今回の読図講習会に参加しました。
気づいたことは以下の2点でした。
小ピーク、尾根、谷筋を地図から空間的に意識することの大切さです。山の地形は、この三大要素の組み合わせと言えますが、普段の登山で、目標とする山のピークしか考えていない自分を痛感しました。
わかりにくい場所に行くときの、一つの方法です。現在地から目標地点までの線だけではなく、別の位置から目標地点までの線を引き、交点を意識しながら進むことが、自分にとって有用と思いました。
以上はGPSを使う上でも有効な学びだったと思います。

 

 

シルバコンパスとメジャーを使って

ポイント56の位置を確認中

〈個人山行〉京都百名山シリーズNo.20 鬼ヶ城

 平成29年4月22日(土)

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写真1: 鬼ヶ城(544m)山頂は展望が素晴らしい

 

鬼ヶ城(544m)は福知山市の市街地から北に望むことができる山で山頂からの展望は菅らしい綾部から西に向けて流れてきた由良川は此の山の山麓西側を回り込むように向きを変え北側にも由良川を見ることができる。今回は烏ヶ岳か南東にある高龍寺山へと縦走を試みた。

 

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【メンバー】 山本浩史(単独)(車)

【行  程】 桂川6:30=沓掛IC=(京都縦貫道)=京丹波みずほIC=7:55三段池公園P 8:05~8:13城山~8:42醍醐寺~9:31鬼ヶ城峠~9:46鬼ヶ城10:05~10:35烏ヶ岳~11:47印内三角点~12:55高龍寺山~13:19南尾根取付~14:06三段池公園P 14:11=14:24福知山温泉養老の湯15:35=千代川IC=(京都縦貫道)=沓掛IC=17:04桂川

【登山データ】 晴れ 歩行16.6㎞ 6時間01分 延登高1,041m 延下降1,041m 4座登頂

 

三段池公園の入口にある第一駐車場に車を止めた。三段池の南西端に達すると池越しにこれから向かう鬼ヶ城、烏ヶ岳がどっしりと聳えていた。鬼ヶ城は大径に飛び出した山頂が特徴で、烏ヶ岳は電波塔が林立している。車道を歩いていると「←猪崎城址」の指導標を見つけ一寸寄り道をすることにした。遊歩道があり歩いて行くと小規模な城跡乍ら見事な切岸(=敵を防ぐため斜面を削って人工的に断崖とした構造)の遺構が続き文化財としての価値は高そうだ。福本稲荷神社の傍らには平坦な廓の跡があり折から八重桜が満開だった。城山(65m)山頂に到ると3等三角点「城山」があり広く、猪崎城主郭として周りを帯廓が取り囲んでいた。由良川に望み眺めが良く対岸には福知山城があり明智光秀が縄張りしたが、塩見氏の城で猪崎城と一対で守っていたようだ。

三段池公園は平成26年8月の水害の際、ボランティアセンターが設置され支援に来た。公園内を北北西に延びる道路を歩いて行くと終端に臨済宗南禅寺派のお寺、醍醐寺に到った。室町時代の興国2年(1341)足利尊氏が建てたお寺で折から門前の八重桜が満開でいい感じだった。

登山道は寺の西側の谷に続き傾斜を増した林道を行く2度目のヘアピンカーブの所で登山道が分岐ししっかりした標識も設置されていた。登山道に入り300m程進むと先程の林道が谷を横切り林道の方に「鬼ヶ城→」の標識があった。一方谷には「沢歩きコース、150m近道」と標識があった。当然沢歩きコースを選んだ。入口付近は岩場の渡渉で楽しかったがすぐに沢沿いの普通の登山道になり左側から迫ってきた尾根に乗り上った。「南の乗越」と呼ばれるところでこの先は烏ヶ岳の西斜面のトラバース道となった。由良川の支流の源頭(名称不明)を回り込むように道は180°向きを変えたがこの谷をそのまま登り、踏み跡がなかったが方向を定め鬼ヶ城峠に到った。

烏ヶ岳の電波塔群の保守道路が池辺集落から上がってきており峠に到る。切り通された尾根の先端から稜線に取付き鬼ヶ城を目指した。鞍部で観音寺からの明瞭な道が合流し急斜面を登り鬼ヶ城(544m)に到った。山頂部は草木なく展望は素晴らしい。福知山市街が一望で、綾部から西流してくる由良川がこの山の西側を回り込むように流れ北西へと向きを変えるので山の南北どちらを見ても由良川が見える。西から北にかけては龍ヶ城や大江山、赤岩山、由良ヶ岳が聳え素晴らしい眺めだ。

此の山は「鬼ヶ城」と凄い名前で呼ばれているが、山容の厳しさと大江山の鬼伝説酒呑童子の副将格、茨木童子が籠っていたとの伝説によるようだ。茨木童子は摂津茨木の産にして床屋に育てられたが、或る日水に映る己の顔に鬼の形相を見て丹波に奔ったという。茨木市には“茨木童子貌見橋”の碑が建てられている。また戦国時代には城塞が設けられ山頂の平さ等にその遺構が見られる。山頂には小ぶりな風景指示版もあり周りの山の同定に役立った。

来た道を途中まで戻り今日は2.5万図に描かれた南東尾根を真っすぐ下る心算だ。メイン登山道が南に去って行ったが尾根に踏み跡はなく斜面を適当に下って行った。尾根が東に向きを変え、谷を跨ぎ尾根に乗り上ると観音寺からの道に合流した。三叉路になっており鬼ヶ城へ行く道と烏ヶ岳へ行く道が指導標に出ているが歩いて来た処は全く記されていなかった。烏ヶ岳への道に入り巻道で鬼ヶ城峠に戻った。前に来たときは保守道路で烏ヶ岳に到ったが今日は稜線の「近道」と標識のある稜線を歩いた。

烏ヶ岳北のピークから電波塔が林立していた。国交省福知山市防災無線塔に交じって日本通運の塔もあり通運会社が何に使っているのか興味を覚えた。烏ヶ岳(537m)山頂には1等三角点「烏ヶ岳」があり電波塔のフェンスに山頂標識が掲げられていた。東から北方向が開け青葉山(693m)を望むことができた。

烏ヶ岳を後にして南尾根の急斜面を下り小杖峠(377m)に達した。印内と醍醐寺に下る道が東西に分岐し、南尾根には「醍醐寺急斜面道」?の標識があり南のピークP420へと歩を進めた。此処までは明瞭な踏み跡があったが目指す高龍寺山への道は最早獣道だけとなった。下る尾根を間違えて15分のロスをして正しい道に戻ったが樹林帯で見通しが利かずルートファインディングが難しい。時々GPSで現在地を確認して進みP287に到った。この下りも曲者で東への転換点を間違わないように注意深く進んだ。印内自治会墓地が見え峠に到った。北の印内からは車道で到達でき墓参りの人達が来るようだ。南の川北へも道があるようだが最早歩く人はいなだろう。

墓地の車道終点の広い所で昼食休憩を取り切通の斜面を登ると微かに踏み跡があるようだ。二つ目のピークに4等三角点「印内」を確認した。微かな踏み跡も無くなり尾根を進むとセンターラインのある佐賀農道に飛び出した。平成5年に竣工したことを記念する石碑があり頻繁に車が走っていた。切通の北端から稜線に取付くが格段に歩き辛くなった。北側に鹿除けネットが張られ下草に茨が混じっている。稜線が東に向く頃下草が落ち着き歩き易くなった。P127の直前で北西方向が開け烏ヶ岳を望むことができた。

南に進路が変わると鞍部に達すると明確な古道が越えていた。高竜寺山が近づき最後の100mの登り返しが始まった。2.5万図に川北集落からの登山道が描かれているので明瞭な道を期待したが余り変わらなかった。山頂に近づくにつれ平坦な地形と急な壁これは確実に人工の地形で城跡であることが明瞭だ。猪崎城の如く堀切、切岸がこれだけはっきり続いているのは見事だ。高龍寺城は内田氏の城跡とされるが詳細は不明。

下山は先程の点線道を考えていたが、はっきりした道形もないのでどこを歩いても同じと由良川戸田橋辺りを目指して尾根を下った。何となく踏み跡があったり、なかったりで府道が見えてきたが府道との間は民家があり飛び出す処を見定めて下った。車道歩き4㎞で三段池に戻るが由良川沿いで見晴らしが良く川北集落では高龍寺山のきれいな姿を写真に収めることができた。由良川の括れを過ぎ猪崎に戻ると鬼ヶ城、烏ヶ岳が見え対岸には周りのビルを隠して福知山城が浮かび楽しませてくれた。

立寄り湯は福知山温泉養老の湯入浴料700円で露天風呂が充実しゆっくり過ごした。時間が早いので千代川ICまでは9号線を走り節約した。

 

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写真2: 高龍寺山(195m) 川北集落より

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写真3: 鬼ヶ城(544m) 猪崎集落より